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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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名前を言えない謎のリゾート「マン◯ラ:愛の波しぶき」・4

「な、ななななな」


「凄まじいものだな…」


いまだ見たことがない、とんでもない光景に圧倒される我々。


列を作って連なる、荷降ろし待ちの長大な荷車…ろーどとれいんなる代物が待機する姿の先には。


淫化(いんか)北部はもちろん、絶頂悪取(いくあどる)から両手挙(ころんびあ)、更には米根吸栄良(べねずえら)からはるばる運ばれて来たと言われる木材が、がらがらと音を立てて荷車から落とされて行きます。


あっという間に荷台を空にされたとらっく、すぐさま荷降ろしの列から外れますと、入れ替わりに次のろーどとれいんが荷降ろしの場所へ入ってきます。


そして降ろされた木材は、落ちた溝の中で動く帯に載せられ、集積場らしき場所へ。


更には、そこに置かれた木々はこれまた巨大なからくりの腕で掴まれると、煉瓦(れんが)を敷き詰めた台皿に載せられては次々と大きな建物の中へ消えてゆくのです。


「あちらが炭焼き工場となります。あの中で生焼け状態を続けることで、丸太は炭と変わるのです。そして…続く棟の中にて、圧縮焼結工程を経て鉄を拵えるための炭へと更なる変貌を遂げるのです」


で、生焼けの炭を作る際に生まれ出る煙、まだ燃える成分が残っておるそうでして、鉄を溶かす炉や、煉瓦を焼成焼結なる処理に供する工房にその煙を送り込む太い管を見せられます。


「むろん、これらの工房で火を燃やした際の熱は簡単に無駄には出来ませぬ。更にはここで働く者たちの湯風呂や、蒸気を利用した調理に用いる仕掛けがございます」


何せ、紙や木が燃える二倍以上の熱さでないと質の良い鉄が出来ぬということで、不純な何かしらを取り除いた炭にする際、生焼けとはいえ既に燃やす訳です。


そして、肝心の鉄が含まれた石を熱して湯にする工程に用いる高炉なる炉からして、その熱が遠くからでも感じられる代物。


要するにこのチンボテの工場の主要部分、片端から暑いのです。


で、その暑い熱い場所にて担当の技術女官なる方から説明を受けておりますのは、私こと淫化(いんか)帝国皇妃・コイリュル。


そして我が夫君であり、淫化帝国の第三代皇帝たるクシと、我々の淫化帝国内視察巡幸に付き添う従者として指名された千人卒神官かつ太陽乙女のニスカとワヤチャ。


我らと、付き従う全ての者が、黄色く軽く硬い安全帽なる帽子を被って、見学用に用意されたという通路を巡っております。


そして、緑色の作業服を着て安全帽を被った女性お二方、私どもに付き添われております。


Claireze Takagi 高木クレーゼ Hundred million Suction(Limited Billion)一億卒(限定十億卒) Slut Visual 痴女外観 Minister of International Trade and Industry, Imperial of Temptress. 通商産業局長 Imperial lineage of holy temple. 金衣皇統


Azusa Iokibe 五百旗部梓 Hundred thousand Suction. 十万卒 Slut Visual. 痴女外観 Red Rosy knights, Imperial of Temptress. 赤薔薇騎士団 Ministry of trade industry, Resource management department, mining production department, Production manager, Imperial of Temptress. 通商産業局資源管理部・鉱業生産部担当部長


即ち、この方々がここにいらっしゃる事自体が、このチンボテでの何かしらの事業について痴女皇国本国の通商局と連携しての事業となります(あかし)


そして、専門的な事どもや政治が絡む話となることが予想されましたので、このお二方はクシと私の見学に合わせて説明役としてこの場にお越しになられました。


で、この見学に先立ちまして受けた説明会では「南米行政支局(淫化帝国管内)鉱工業産業のあらまし」なる資料を頂いた上で、その内容について解説を頂いたのです。


・チンボテ製鉄所(石炭精製工場・焼結煉瓦製造工場等付帯施設を含む)について

・マルコナ鉱山鉄鉱石採掘場について

・チュキカマタ鉱山銅鉱石採掘場について


この、イオキベという方…痴女皇国二代目皇帝たるマリアヴェッラ陛下のご学友で、しかもご実家のお父様が鉄づくりに関する専門の集団にお勤めであると聞かされておりました。


「もともと、連邦世界でのインカ帝国では銅の利用こそ旺盛でしたが、高温の炎を必要とする製鉄は燃料を都合することの困難さからも、利用に目が向かなかった鉱石でした。その鉄鉱石資源の開発は、スペインによる征服と植民地化の過程を経て、近代に入ってからようやく進められた経緯があります」


しかし、さくさくと、ご自身が生まれた世界と、私どもの世界の淫化帝国との違いを解説されるイオキベ様のお姿。


大柄ではありますが、正直なところ色気にはいまいち欠けるお顔立ちとお身体にお見受けします。


(今や()()服なんて痴女皇国じゃ地味な部類の服だから…)


(あずささん、気にしてはまけなのですわ…)


(局長も私も同じ通称局仕様の()()服のはずなんですよ…)


ええ、密かに色気について、気にしておいでの様子。


お気になさらずに。このコイリュルとて、その方面の訴求力がいまいちな見た目の女ですから、お互い強く生きてゆきましょうと励まして差し上げます。


(ううううう、あの淫化の紐服が裏山…懲罰服1号の類似品ですら、何かこうイマイチな反応を茸島でも貰うんですよ…)


淫化の紐服、申請すれば本宮の方も色違いを着用できるそうですから…。


しかしですね、内心のやり取りはともかく。


皆に話すイオキベ様、この方の価値はそこにあらずとばかりに、堂々と立って理路整然(りろせいぜん)滔々(とうとう)と、我々の目の前にある白い幕に映し出された映像や文字を次々と切り替えてはお話を進めて行かれます。


そのお姿、かつて淫化にお越しになって行政体制の基礎を築かれた、南洋行政局長のオリューレ様に被るものもあります。


(あの痴女皇国きっての年増園面子であるオリューレさんよりは遥かに若いのですよ、あずさんは…)


(年増園は余計ですっこの腐れ陛下っひぎぃっあひぃっ)


(口の減らないおばはんにはその体に言うことを聞かすのですっ)


漏れてくる南洋王国方面の心話はともかく。


「リュネ世界からかつての淫化にもたらされた製鉄技術は、このチンボテの地で鉄鉱石が産出されたのを移住したリュネ民が発掘した事によって、産業化する試みがなされました…しかし、今も問題にはなっておりますが、淫化帝国の西側、目の前の太平洋を南極から北上して流れる冷たい海水の流れが、この淫化西側一帯の気候について、人の暮らしを歓迎しないものとしております…つまり、この一帯に雨が降らないのはこの、南極海域を源流とするフンボルト海流またはペルー海流と呼ばれております海流が原因なのです」


目の前の地図図面に表示された、淫化の国土の西側すぐの海を流れる海流を示す、青い矢印。


まさか、南の果ての雪と氷に覆われた陸地の周囲の海の水が、淫化の海岸沿いを雨に無縁な砂の大地に留める悪さの原因であったとは。


そう…淫化の海沿いが砂と岩だけの乾いた土地であるということは、当然のように畑作はおろか、燃料にする草木が手に入らないことを意味しております。


そして、淫化の民が長年にわたって、山の中で畑をこしらえ石造の建物を築き、山中に街道を張り巡らせる暮らしをしておった原因でもあるのですよ、この…雨と無縁な乾いた海岸。


そして、雨と無縁であるということは、飲める水にも事欠くということ。


離魔(りま)でも深い井戸を掘り、東方聖母教会管内の猫絨毯(ぺるしあ)帝国なるいにしえの国由来の地下水路を多数建設してまで飲み水を確保しておったの、他ならぬ離魔(りま)暮らしをしておった私がよう、存じております。


なにせリマク川、離魔(りま)の人々の暮らしに必要な水の量がないのです。下手をすれば乾季には枯れ川に近くなるほど、雨季に比べて水量が少ないのですから。


このような有様では、鉄や銅となる源の石を掘り当てるどころか、人の営みすらも叶わぬ話でしょう。


ですので、せっかく見つかった鉄の源になる石も、それを熱して加工するための炎の源がなければただの石。


もっとも、リュネの方々はその石が貴重であるとして、己の土地へ持ち帰っておられたようですが。


(リュネの戦士が使用していた刀剣類ですが、放射線源検査や、成分検査から淫化由来の鉄鉱石を使用していた可能性が非常に高いことが判明しております。ただ、淫化由来だけではなく、リュネの人工大地から採取された鉱石を混入して、周辺の大気から熱を奪ったり、あるいは指向性プラズマ化する攻撃効果を起こす武器化加工を施していたのでしょう)


と、イオキベ様からこっそりと教えて頂きましたし。


例えば、エマネ様が腰に提げておられる爆炎剣。


あれが炎を出すからくりのためには、リュネ世界由来の鉱石も必要なのだそうです。


今現在、淫化で使われておるチャロックを含む調理剣ですとか着火剣または冷凍剣なるもろもろ、リュネ世界の鍛治工を招いてこのチンボテで生産しておるのは存じておりますが。


でまぁ、このチンボテ。


実は、包茎(かんとん)同様に「聖母教会がないに等しい」町なのです。


(あるにはあるのですが、精気回収のための聖母像を設置した聖堂だけに等しいしろもの。何せ司祭をチンボテ支部長が兼ねるとありまして…逆に、チンボテ支部の所属女官は罰姦(ばちかん)の尼僧資格保有者である事が必須なのです…)


なぜか。


少年労働者の意欲を煽るために、女日照りにしているのはマンコラ視察の段階で既に知っておりました。


そして、男の子たちの勤務はシフト制とかいうもので、毎日一定の人数が休みをもらえますので、休みの前日の午後からマンコラに向かう船または()()に乗って女を買いに行くのが従来の娯楽であったとも。


しかし、近年は包茎(かんとん)の町を拠点とする荷車御者の数も増えたことから、マンコラの売春利用が増えて来たのです。


むろん、マンコラの苗床を使えば女官量産は、可能。


しかし、マンコラには女官向けの保養施設という顔もありますので、あまり男性客を増やしたくないという要望、レオノール司教から厚労局と通商局へ寄せられておったそうです。


そこで、チンボテの少年労働者のために、もう少し近場に保養所なり売春施設なりが作れないか。


これが、チンボテ支部長たるマユミ様からの要望です。


Mayumi Rahua Nouchi. マユミ・ラウア Ten thousand Suction (Limited hundred thousand) 一万卒(限定十万卒)Slut Visual. 痴女外観 Red Rosy knights. 赤薔薇騎士団 Peru branch, South-America Americas Regional Headquarters, Imperial of Temptress. 痴女皇国米大陸統括本部南米行政支局 qurimanta caballerokuna 黄金騎士団 Jefe de Zona Administrativa Especial Acerías de Chimbote, Imperial of Temptress. チンボテ製鉄所行政特別区支部長


(マユミさんはれんぽう世界のペルー出身、れんぽう政府からの派遣者ですわ…)


(日系ペルー人の方でしたね…エネルギー鉱山省の職員経験者の履歴書を拝見しました…)


で、クレーゼ様とイオキベ様がこそこそーっとマユミ様の経歴をお話しですが、そういう方なので余計に、その…痴女皇国特有の性欲処理、いえもとい精気授受に関わる政策について苦手なご様子なのです。


そして、そんな訳ですから泣き付きにも等しい請願、離魔支部を通じて南米行政支局…挿入器具(くすこ)の行政神殿にも要望が来ておりました。


で、チンボテで働く少年たちのための保養所を作るかという話にまでは至りました。


しかし、場所選び、意外に難航したのです。


と申しますのも、チンボテ自体はチンボテ湾という入江に面しております。


そして、湾内には海水浴場として整備するのに都合の良い砂浜もあるのだそうです。


ですが…離魔悪所(りまあくしょ)の運営時の問題点がここで浮き彫りにされたのです。


ええ…女の巣、すなわち淫化の神殿や聖母教会他、神官や女官の住まいに近いと、女の方から男を漁りに来てしまうのです。


抜け駆けも同然ですが、チンボテでは逆夜這い、掟破りであることに変わりはありません。


これでは何のためにわざわざ女日照りの隔離貧民街を作ったのか。


ええ、チンボテに近すぎると、抜け駆けする女官が後を絶たないであろうことが予測されたのです。


そして発生するであろう、予定外の妊娠の予想も問題視されました。


幸いなことに、離魔ではパチャカマック神殿地下に苗床がありますし、プクヤーナ神殿とワジャマルカ神殿にも独自の苗床が別途設けられております。


つまり、子供をさぁ産めとかさぁ種を絶てなどと慌てて始末をすることなく、母体にも負担のない形で妊娠した卵子を回収できるのです。


しかし…チンボテの場合、離魔までそこそこの距離があります。


ここは一つ、チンボテだけではなく周囲の開発のためにも聖母教会が置けて苗床運用も可能な娯楽の地を見繕(みつくろ)うべきではないか。


ここに、チンボテ関係者が思いを一つにしたのです。


それがどうやら…本来はペニペ同様に「あまり私やクシに見せたくない」町であるチンボテ。


この男臭いらしい町に、私たちが呼ばれた真の理由らしいのです…。


そう、「保養所作るから候補地見学して、オッケーならハンコください」「精気収集量のカイゼンも出来てお得ですよ」「南米行政支局の政務予算確保して」などなど、チンボテの上位部局となる離魔支部のエマネ様も巻き込んでの請願の結果なのですよ、このチンボテ行き。


で、私たちとしてはチンボテの製鉄やら煉瓦製造やら、そして炭をこしらえる巨大な工場設備をまじめに見学する気満々でこうして視察しておるのですが、どうもクレーゼ様とイオキベ様、私たちの袖を引っ張って…その、さっさと保養所候補地に引きずって行きたそうなのです…。


「保養所の所轄は厚労局。そして局長の二代目様からもけしかけられておるおはなしなのですわ…」


ああ、クレーゼ様といえば二代目様の子孫で聖院金衣の一族のお方なので、二代目様には頭が上がらないお立場でしたね…。


そしてイオキベ様の本音。


(チンボテって現状では精気抜き、偽女種さんに頼ってるんですよね…見たくもあり見たくもない光景、三交代のたびに居住街区で起きるって聞かされてますし…)


つまりまぁ、特殊な上にも特殊かつ、助平な光景から我々を隔離したいご様子です…。


しかし、その保養所候補地って、選定は終わってるんですか。


「このチンボテ湾の南側の街区であるヌエボ・チンボテに造成する案が出ております。そして…ヌエボ・チンボテから更に南側のサマンコ湾に面した岬のなかほどにある小漁港たるサマンコ村も、その隔絶具合から痴女皇国保養所としては好適でないかとされております。視察につきましてはこの二ヶ所を予定しております…」

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