がんばれペアーズ・おねショタ布教軍創設ものがたり・11.1
みーなーさーまー。
いきなりでございますが、このイリヤ・ヤスニ・インティより一言。
贅沢ぬかすな、この腐れ妹がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
…失礼しました。
で。この間からこちらでお話しであるというレオノール様、いえレオノールさんからちょこっとの間、このイリヤが語り手、引き継がせて頂きます。
いえ、メマーラをしばくため。
おのれは何を贅沢言うとんのや。
ちょっと肌が白い黒いで何を言うとるのであるかと。
いえ、そもそも歴代剣聖は侍従、選べんかったんやぞ。
全部違う世界から貰ってた男児やったんやからな。
それも話を聞けば、向こう様…つまり淫化側では性格よし外観よしの美少年を選りすぐって送り出してたそうではないですかっ。
それに、いくら西方北国の出の妾妃の産んだ子とは申せど、リュネの者に近い外観のクシー王子はともかく、古代淫化の王家の出らしいクシ皇子にしても、その顔立ちや身体だけでも優良物件なる評価を出すべきではないのかと。
っとですね。クシ皇子、リュネの少年戦士に比べてちょっとばかり貧弱なんですよ、体。
ただ、顔は女の子っぽい感じです。
そりゃ、当時の淫化の状況も考えてみなさいよ。
この方々、言うなれば贅沢せずに暮らしてた訳ですよ。
あ、ちょっと習い覚えた件の復習を兼ねてご説明しときましょうか。
淫化の食文化、戦時体制を取っており食料も配給だった我がリュネよりも、ある意味では更に質素で素朴。
と申しますのも、これ、淫化の土地の大半を占める高い山々や、はたまた海沿いのわずかな平地であっても海岸砂漠とか申す砂地の大地が大変な影響を及ぼしておったのです。
たとえば、我々が使っていた武器の源になる鉄鉱石とやらを産出しているチンボテなる町、ただいま俗界の都たる俗都として絶賛整備中である離魔の更に北に存在します。
このチンボテ、もともとは寒々とした漁師村だったそうです。
わずかに住んだ人々は貴重な船を出すだけではなく、浜辺で網を引き釣りなどしては魚を獲って暮らしていたそうです。
では、魚だけを食べていたのか。
これは淫化の方々とマサミ先生にお教え頂きました件。
場合によっては山あいのウアリャンカやティンコやマンコスといった町で取れるインカほおずきやとうもろこしにオカと呼ばれる芋やらじゃがいも各種、そしてキヌアと呼ばれる花の実を交換していたそうです。
https://x.com/725578cc/status/1728614062588858787?s=20
お分かりでしょうか。
お読みの皆様の食生活であれば、恐らくはこういったもの「健康食品」の部類になると思うのです。
https://x.com/725578cc/status/1728620173215903780?s=20
チチャと呼ばれる乳酒とか、高地で多量に飲むと体調を崩しやすくなるからという以前に、かなりのぜいたく品でおいそれと口に入らない高級飲料だったそうなのですよ。
で、このイリヤ、何を申し上げたいのか。
例えば、クシ皇子もその対象にされたカパコチャといういけにえの儀式。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/229/
この儀式に従って山に埋められる子供たち、その1年前から選抜されて特にぜいたくな食事を食べさせられていたようなのです。
そして儀式の1ヶ月前くらいからは乳酒を多く飲んでいたという分析結果、マサミさんから聞かされております。
そう…高級品とされる乳酒を与えて、高い高い山に登るための体力をつけさせられていたようなのです。
わかりますかメマーラ。
クシ皇子の外観が貧弱とか言ってもね、そもそもお肉自体が贅沢品だったんやで、淫化。
淫化の家畜たるヤクとかラバとか言われる四つ足の肉なんか祝い事の食べ物、赤飯の位置付けやったんや。
そもそも荷物運搬のための貴重な家畜、そうそう簡単にシメられへんかったんはおのれも聞かされたやろ。
クシ皇子とて、いけにえにされるからと言って、特に贅沢させてもろてたんやで…と、マルハレータ様のカンサイベンが思わず伝染してしまいましたけど、まぁ、このイリヤ、フユキが側にいた関係もあって、こうした「無理やり引っ張ってこられた」少年少女の境遇について思いを馳せる程度には理性はあるのです。
むしろ、将来があるはずだった子供を無理からに山に埋めるとか、いくらなんでもちょっとなぁ、とは思いますよ。
淫化の伝説では神様の元へ遣わす使者として、いけにえにしていたようですけどね。
「確かにリュネでも生贄にする風習めいたものはありましたよ。しかしですね。あれはあくまでも魔族との取引のため。確実に見返りを得られるからこそ差し出す価値があったのです」
こう申すのはリュネ王宮の司書役でもあった四天王戦士の一人、レヴェンネです。
「それが、淫化の地では、いるかいないか不明な神なる者の許へ遣わす使者というのも、いささかに理不尽」
で、レヴェンネの言う感想、このイリヤも全く、同感。
子供に神の世界で暮らせるとか、言うなれば嘘ついて生き埋めを承諾させてたようなものではないですか。
(イリヤ〜〜〜〜、お前ら必要以上に余など魔族を悪者扱いした伝説を子供らに吹き込んでおったろうが〜〜〜〜〜〜)
なんで魔王、こんなにも食いつきが良いのでしょうか。
そしてロッテは魔王を諌めると思いきや、こいつはこいつでいらんことを申しよります。
(魔王様。淫化とリュネではいささかに事情が異なります。それにこの暴力女を必要以上に怒らせたとばっちり、このアスタロッテに来るのですよ?)
おのれロッテ。
(というか今のは魔王様の失言だろうがっ)
うぬぬ。
「しかしイリヤよ、メマーラ…目の届くところに置く方が良かったのではないか」
でまぁ、ロッテと言い合いしとる場所。
サクサイワマン北神殿ではなく、行政神殿です。
元来は行政神官たる淫化人の丞相クイリョルの指揮下にあって、淫化帝国の内政を仕切る場所ですけどね。
昨今はわしら…私とロッテやチャスカだけではなく、更にはレヴェンネにエマネとクシーまでもが、朝の儀式の後はこっちに詰めてあれやこれやと政策協議をしとるありさまなのです。
どれだけこれが負担かと申しますと、リュネ世界の方があらかた落ち着いたということで、エウドラとルキフェルを淫化に呼んでマチュピチュとワイナピチュの担当代行になってもらっているくらいなのです。
(で、リュネ王宮に詰めていた大使役の混血魔族…グレモリとアンドレアルを代役にせざるを得なかったんだよな…)
(あの二人なら何とかなりますよ。ドミネラとマルヴィレがついておりますし)
(正直言うと、あの二人を淫化に呼んで欲しいんだけど…)
(魔王様に依頼しておく)
あ、レヴェンネが申した名前のうち、ドミネラ。
剣聖配下の剣豪四天王の上に、兵子学校長だったのです。
そしてマルヴィレはリュネ王宮の文官館長。
ロッテが言うには、リュネ王宮側で予備研修とやらをしてから淫化に呼ぶ方が絶対にいいと主張されています。
「確かにレヴェンネ同様、イリヤがこちらに呼びたがるだけはある人材とは思う。だが…メマーラなぁ…」
「ロッテ。これはマルハレータ陛下とオリューレ様の策謀ですよ…あの二人とレオノール様ならば絶対に失策に走る可能性があると…」
「で、その間にドミネラやマルヴィレを呼んで、実質的な南神殿と聖院学院の長に仕立てると言うわけか…」
「メマーラに統治の才覚があるか。ロッテ…あなたもお分かりでしょう…」
「振り回されるであろうメマーラの気持ちを考えると釈然とせんものがあるが、だからと言ってメマーラを全面的に庇えるかというとなぁ…」
と、普段は他人を庇う発言も多いロッテが思案顔であることで、メマーラの実態をお察し頂ければ。
で、私どもがうんうん唸っている理由。
ほんまはですね。
エマネとクシー王子。
堀尻安に行かせたかったのです。
あのあたり、乳母湖岸に淫化帝国発祥の地がありますし、淫化が発祥の伝説は伝説としておくとしても、プレ・淫化なる先史文明の遺跡がいくつも存在するそうです。
https://x.com/725578cc/status/1728693601834803272?s=20
(逆にチンボテの北にもチャンチャン遺跡というのが見つかってるわね)
(あれ、日干しレンガで出来てるから中で水が使いづらいという事で結局は凍結廃棄となったのでしたっけ)
(表面処理を終えておかないと何年かに一度の雨で崩れるからね…)
マサミさんの入れ知恵のあった施設、確かに凄い技術で作られたのは私にも理解できるのですが、痴女皇国の設備として使うには水を使用できないと厳しいでしょう…。
https://x.com/725578cc/status/1728759551883952269?s=20
しかし、最終的には堀尻安界隈…すなわち淫化南部の統治の足がかりとして赴任してもらうとしても、差し当たっては淫化と他の支部との貿易拠点である離魔の整備が急務ではあります。
(近代的な物流を支える道や鉄道を作るにしても山が険しすぎるのですよ、そちらの国土…連邦世界のペルーやボリビア、チリでも自動車や飛行機の発達に伴って鉄道が衰退した事実もありますしね…)
と、ムロミ国土局長にも言われておりますが、現状ではくるまが走れる道すら限られております。
なにせリャマや馬、そしてマルハレータ陛下が流刑地大陸を経由して持ち込まれたラクダなる砂漠に強い四つ足で編成した荷運びの隊列を組んでも、基本的には南米行政支局の管内では1週間とか1ヶ月以上の旅行が当たり前なのです。
それはもう、淫化の地で地方分権地方自治の制度を敷いていた理由もよくわかります。
(確かに飛脚やちょっとした荷物を運ぶ隊商が使うための街道は完備されてたけどねぇ…)
で、現状ではどう対処しようかと考えておりますが、ここで皆様には思い出して頂きたいのです。
私ども、リュネ世界の魔族または月人族なる淫化呼称の種族はもとより、私や剣豪四天王のような戦士の芽のある者は羽根を出して飛べることを。
連続で最高速度に近い速さを出す許可が出れば、半日あれば南米大陸の南端から明日輝支部首都のティノチティトランまでもを飛んで行けなくはないのです。
そして、この地形の厳しさと、私たちの飛行能力ゆえに、淫化では他支部より更に手厚い支援を受けて行政支局組織の構築を支援頂いておるのです。
ただ、それに甘えっぱなしもいかがなもんか。
なるべくならば私としては早く、オリューレ様を南洋行政局にお返ししたいのです。
(それと、入れ替わりに短期ではありますがアニサ大僧正がベテハリ様を伴って来淫なさる事を切望しておられるのもありますね。これは、マルハレータ陛下やベラ子陛下もお望みであるとか)
ええ、カルノ陛下のみならず、ベテハリ様については本宮女官のあいどる、人気者であったのもお聞きしました。
それゆえに、苗床技術を使用しての復活延命が期待されておるのです。
このイリヤとて、人の心は持ち合わせておるつもり。
カルノ様とベテハリ様のためにオリューレ様が築き上げた、素朴ではありますが美しい宮殿の外観や室内、画像映像ですけど拝見しました。
間違っても戦火に包まれることなどあってはならないような、平和を前提とした構造。
そして、関係者が愛のひとときを過ごすのと、それに憧れる女官を養成するためのいちゃらぶ宮殿というのは、確かに大層な贅沢にも映ります。
(でしょでしょ、イリヤさんも文句言っていいですよっ)
(しかしながらベラ子陛下…ウチ…即ち淫化も黄金の間がありますよ…あれもよその支部の方にすれば大概なぜいたく設備に映りかねません…)
(チャスカさん。あれは淫化の象徴として姉もあたしも認めておりますから心配いりませんよ。それにですね、それを言い出すと聖母教会の天井に描かれたフレスコ画や装飾彫刻の数々。あれ、かなりの費用がかかっておりますから…)
それと、あの黄金の間。
重要な機能が備わっていると聞かされております。
即ち、聖母教会の聖母像や慈母寺の慈母観音像…ベラ子陛下像と同じ機能が存在すると。
あの間の黄金装飾が正に、地域の精気を授受するための送受信機なる仕掛けらしいのです。
そして、床を含めて黄金そのものが露出しているのではなく、剥がれや劣化を防ぐための透明な層が表面に追加されているのも聞かされております。
そう…あのお部屋、汚しても洗えるのです…。
(ただ、いくら洗えると申しましても…)
(なんか躊躇するのよね…)
(うむ…神殿によっては白銀の間も備わるが、苗床がある場所ならば、ついつい苗床の間を使ってしまうのは貧乏性なのだろうか…)
(気持ちはわかります。あたしも最初に見た時は思わず「ええーここでおめこさせるんですか?」と姉に聞きましたしね…)
ですが、いくら薄い膜といっても黄金の間に使われている金、一箇所につき1キログラムでは効かないそうです。
(金相場が上がってますからね…今の連邦ですと、1gで5,000南洋ルピーです…)
ぬぉおおおおお。
(淋の森売春1回分ですか、たった1グラムでぇっ…)
(ちょっとイリヤ様!私、クスコの近所の砂金が出る川で金、探してきます!)
(お待ちチャスカ!ポトシとグアナファトとサカテカスの保管の金があるわよ!)
(っていうか連邦世界に痴女皇国の金をうかつに撒くと金相場が暴落しますから…)
と、ベラ子陛下に釘を刺されます。
しかし、売春相場でものの価値を考えてしまうなど、やはり痴女皇国の考えに毒されていますね…。
(ふほほほほほ、皆、そうなっていくのです…)
(なんか嫌な気もしますが。それはそうとへーか。ついでに今、私たちで顔を付き合わせて悩んでおる件なのですがね…)
(えーと、オリューレさんだけでなく、その場の全員がメマーラさんとレオノールさんを果たして重要拠点として整備中の離魔に行かせてええもんか。かといって淫化発祥の聖地でもあるフリアカやプーノには行かしとうない。こうですかね)
(左様。オリューレ殿ですら考えあぐねる様子。かと言ってそちらの本宮に、深い考えもなく人事案を出す訳にもいかぬ有り様なのです)
(しかしですねアスタロッテさん…さっき皆さんが話しておられたメマーラさんとレオノールさんの人事異動問題ですが、確か淫化ではミティマエスという国民強制移住制度もありましたね?チャスカさん)
(はい陛下。淫化皇帝の勅令で発することが可能です)
(で、あたしが思いついた件なのですが、そのミティマエス制度の発令にかこつけて、エマネさんとクシー王子、そしてメマーラさんとクシ皇子については行幸や避暑といった、特定の理由による皇族や王族貴族の一定期間の移住として考えてみるのも手じゃないでしょうか)
ほほう。
(こういう期間限定の移住辞令であれば、いついつまでも離魔なら離魔、フリアカならフリアカに住み続けるのではないような印象を与えてうなずいてもらえる気もします。更には、淫化皇帝はクスコ定住としても、皇族や王族貴族については地方行政官職者として、行政定期的な移住政策を考えてみてもいいのではないでしょうか)




