表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

174/296

がんばれペアーズ・おねショタ布教軍創設ものがたり・5

「む、むぅ…」唸るアスタロッテ。


この女、リュネ人族はもちろん魔族としても相当な年齢を生きております。


下手をすれば魔大陸はおろか、リュネ世界一の長寿かも知れません。


(お前、よほど自分の星齢…ニホン暦換算の年齢についてもあれこれ言われたいようだな…)


るせぇっこのBBAっ。


(お前もOBHNだろうがっ。フユキにお前のネンレイを教えるぞっ)


で。


講師の方々から見えぬ場所で繰り広げられる、醜い尻のつねり合いつつき合いはともかく。


研修資料として見せられた、あられもない記録映像の数々に私たちは目を奪われます。


茸島に聖院学院仏教学部校舎に、更にはマヨルカのパルマ分校から派遣されている少年たちがイビサ島で繰り広げられる痴態。


そして聖院時代から存在したというバーゼル救貧院のストラスブール分院などなど。


そう…痴女皇国が子供…わけても少年を育成している現場の実態記録を見せられたのです…私とロッテと、そしてチャスカ。


で。


男女共学というのが私には結構、新鮮だったのですよ。


リュネでは戦時下というのもあり、男と女はそれなりに分けて育てられておりました。


そして少年も少女も、それぞれが玩具ではなく武具を渡され戦士としての教練を受けるのが、基本。


それがですねぇ。


特に、私の印象に残ったのは、聖母教会や慈母宗の学校ではなく、痴女島の本校。


こちらでは一般女官候補または罪人工場での労働者を育成することを目標にしているため、他よりは宗教教育の比重を減らし社会の実働実習を重視していると聞かされました。


ですので、授業の内容や生徒の装いに生活習慣など、明らかに聖母教会が絡んだ分校とは様相が違うのです。


そして、児童の誕生日やら何やら、何かしらあると集まって催し事をするのです。


淫化帝国の身分制度に置き換えて考えると、ここでは神官ではなく俗界に住まう俗人を育てておる様子。


(ふむふむ、イリヤさん、面白いところに興味を示されますね)


(む…確かに淫化では神殿勤務の政治家や軍人の階級と、一般労働者の俗人の世界ははっきり明確に分けられていますね…)


そう、私の興味というより懸念は、俗人の教育にもあったのです。


ひるがえって考えますと、リュネでは、戦士もいくさ場に出ない者も、教えられることは大体、同じでした。


しかし、こちらの痴女皇国世界では毎日の如くいくさをしておる訳ではありません。


むしろ、いくさのある時が異常とも思える状況です。


となりますと、俗人にも神官候補にも、緊迫した戦士の戦いを教える必要はなくなります。


その分、畑仕事やら何やらを教えるべきでしょう。


そして、私は気付いたのです。


この淫化のみならず、痴女皇国が聖母教会やら慈母寺やらを置く理由。


貧しい者の娯楽たる、アレ…あれの管理です。


あれ、無軌道無計画のままにやりたい放題させると、とんでもない事になります。


リュネですら、いくさでの戦死の損耗を考えても、なおの事子作りの規制を手掛けねばならなかったのです。


そしてリュネでは、魔毒以外の疫病は魔法でたいてい、治せます。


そう…いくさで死ぬ以外の死因、寿命なのです。


おまけに出産の際の補助も魔法で行いますから、死産という事態に至るのはかなり「運が悪い」事になっておったのです。


すなわち、孕めばまず確率九割以上で、子供は生まれてしまうのです。


で、リュネでは西方三国に「魔族との矢面にはうちの国が立つから、その代わりに食糧やら何やら支援して」とやっておりました。


そしてその三国でも、子作りの事情はリュネとだいたいは同じ。


限りある国土から取れる作物やら何やらをみだりに消費する訳にはいかないと、人が増えすぎないように町や村単位で子供の数を調整していたのです。


で、子供が出来すぎた場合は…リュネに送られて慰安用に使われるか、さもなくば罪人村に配置されて魔族の拉致対象になっていたのです…。


しかし、痴女皇国が統べるこの世界、リュネ世界と比較にならぬ広大な土地がまだまだ、人の手が入らずに眠っております。


そして人、淫化でも足りません。


即ち、増やす必要があると。


ただ…これとて無軌道無計画に増やすと、単に人が増えただけとなってしまうでしょう。


畑仕事なら畑仕事で、世に役立つ人になってもらわねば。


それと、この南米大陸では東半分…アルゼンチンチンですとか、あるいは尻出国のかんぽ平原。


こうした広大な大地に切り開かれた農園では、人の手だけでは困るということで、からくりも動いておる件、私も知っております。


即ち、農夫といえど単に農具を振るい力に任せて畑を耕し、適当に種なり苗を撒いて植えてだけでは駄目と申せるでしょう。


そう…俗人にも、ある程度はものごとを考える頭がなくては、この先まずいことになるのでは。


私の懸念はそこでした。


で、この私の考えと同じ事を思っておられた方、この場に最低1名。


オリューレ様は茸島に関与された段階で、既に現地の農夫の感化に着手しておられたそうです。


そして茸島の水利組織なる水利権の調整役の調査に始まり、様々な試行錯誤を経て「農夫の子の余暇時間を作り、保養所に来た女官の相手をさせる」事に成功したそうです。


そう…女官に買われるべき男の子を用意したわけです。


それも一人や二人、ではなく。


更には茸島までの船便確保や、保養所の移転拡充。


私からしても、気の遠くなるような作業です。


(やはり転機はマリア様の金衣就任、そして海事部設立でしたね…あれで淫棒茸(いんぽたけ)の収穫から搬出経路に道筋がつきましたし、ファインテック社屋や皇族別荘、更には聖院学院の誘致に繋がりましたから)


なるほど、それで聖院学院の初等部に船員学科が存在する上に、練習船が茸島との間を航海する航路についているのですか…。


このオリューレ様の茸島での諸々、更に大きく昇華結実したのが南洋王国首都、ジョクジャカルタの東街区なる少年少女の同棲から結婚を促す町だそうです。


同様の目論見で少年少女を住まわせている灸場(きゅうば)のハバナ西街区や、東欧支部所轄のカランバカと偶然にも同じ事を始めていたと皆が驚いたそうですが…。


こうした俗人教育は淫化でも必ずや必要になるし、何より優れた女神官を生み出す原動力にもなるとオリューレ様は仰られます。


(それとね…農夫にも娯楽は必要だって力説するのが、教え子にいてね…)


ふむ。


聞けば、ある事を契機として、その方の任地には必ず置かれるようになったものがあるそうです。


それも、相応の成果を上げる結果となっているとか。


(ここから一番近い、それが置かれている場所はキュラソーになるわね)


ほう。


あの娼年…いえ、少年偏愛家として知られるレオノール様ですか。


聞けば、ウィレムスタットなる街の北側には少女のみならず、少年や偽女種に卑猥な姿をさせて建物の出窓に立たせて客を引かせる売春宿…置屋(おけや)がいくつも存在しており、しかもそれが聖母教会の経営になるのだそうです…。


(確かに聖母教会でも慈母寺でも売春はもちろん、管轄住民との行為を義務化したり無茶苦茶やってるけど、ここまで無茶するのってキュラソーくらいよ…言うなれば痴女島のクラブジュネスの踊り子の服や淋の森の私服、あれよ…少年まであの姿なの…)


ちなみにその企画をした方…マルハレータ陛下に少年趣味はないそうです。


そう言えば、タノキチ様にも少年趣味はないとの事だそうですね。


純粋に仕事というだけで、よくぞそのような事を思い付かれるものです。


「でね。サクサイワマンの初等神官学校。男子部も設立します。それと、俗人街と月乙女街区の境界に、俗人学校を別に設ける予定なのですが…」


ええと。


男子部の生徒は太陽乙女街区。


俗人学校の寄宿生徒、男子も女子も俗人街区に寮を建設すると。


そして、敷地内には()()が置かれると聞かされます。


「いえ…実は女性向けが既に置かれてるのよ…それも南神殿の門前に…」


で、そこの映像、見せられました。


1台じゃなかったです、()()


で、物珍しさもあって、行列を作って購入しているようです。


「紙やトナーの補充に専用の女官を配置するかってくらいにね…売れてるのよ…エロ本…」


(うははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!)


なんという壮絶な高笑い。


間違っても、この高笑いの源の本来の姿に似つかわしいであろう「令嬢笑い」と真逆の笑いです。


そして、笑ってる理由は…もちろん、またしても自説を証明したという高笑いです。


そして、笑っているのはエロ本自動販売機の女王の異名を持つ、隙間BBAのゆかり様…ではなく、マルハレータ・ヴァン・オラニエ女王陛下兼・南洋行政局暫定局長代行。


(せやから()いましたやんか、メフラウ…人に文字とゼニの扱いを覚えさすんにはこれが一番手っ取り早いと!)


私も後で拝見してみましょうか。


…その、エロ本自販機とやら。


「ここに一台、予備があるわよ…」


え。


見れば、講師室の隅にもそれが置かれています。


「子供がどんなの買ってるのか見るためもあるんだけど…それと、操作教育は必要でしょ」


つまりこの予備自販機、どうも講師の女官が使うためでもあるようです。


うむ。


で、この販売機が文字教育に役立つのか。


お金の教育に役立つのは、はっきりしております。


これを動かしてエロ本とやらを買うためには、聖環のおさいふ機能を理解していなくては使えません。


そして、未成年者の修学児童であれば、聖院学院より在()生におこづかいを支給しておるという説明も受けておりますし、通学生でもお手当の出るお仕事…何より女官に買われる少年売春に従事するという方法がありますから、聖母教会や慈母寺との接触があれば、エロ本や駄菓子を買う金銭的な余裕は与えられるそうです。


(そして少年たちには教育が施されるのですわ…エロ本も買えぬ暮らしをしておる子供達が近くにおるならば、その子供たちのためにエロ本を密かに恵む隠し場所や隠し方のレーゴ(ルール)を教わるのですがな…性教育や文字教育だけやなしに、収入や境遇の異なる他者への理解や配慮も学ばされますんやで…)


聞けばこのエロ本、未成年者が買うためにはそのエロ本自販機を管理している聖母教会に出向いて「聖環の購入制限ロックを外す」必要があるそうです。


つまり、エロ本を買いたい場合は必然的に、担当の聖母教会職員尼僧からそういう事を教わる過程がセットになってついてくるのだそうですよ。


で、単に貧しい者だけがエロ本を買えないのではなく、先述した聖環ロックを外しづらい環境にいる者や、あるいは躾が厳しい子供にもエロ本の恩恵を与えるべし、というのが聖母教会や慈母寺の教えだとか…。


はぁ。


で、エロ本は割と、高価です。


欧州で一般的なちゃんとした書籍よりは遥かに廉価なのだそうですけど、それでも貧しい子供達であれば、そう何冊も買えるものではありません。


(性欲や好奇心を満たすための尊い労働も必要となるのですわ…人はのほほんと与えられるものだけではなく、自らの所有欲を満たすための思考を巡らせる必要があるとワイは思いますのや…)


では、売春をするとか聖母教会の尼僧にお世話になれば良いんではないのか。


私の問いかけに、マルハレータ陛下はきっぱり申されます。


(ふふん、人間のオスにはエロ本で得られるものがあるのですがな…百聞は一見にしかず、淫化のご三人、順番にその研修用のエロ本自販機の前に立ってみなはれ…)


ぬう、そこまで申されては。


(そうよね、あの自販機って「単純に中に詰め込まれたエロ本を売る」機械じゃないのよ、イリヤさん…)


(あれはまりりの悪趣味と、そして雅美さんのいらん知識の結晶なんですよ…)


で、欧州や痴女島からも。


(あの販売機の前に立ってエロ本を選ぶ素振りをするだけでいいんですよ…)


(何が起きるかを自らの目で見るべきです)


(ちなみに女官寮2階の購買部書籍コーナーにも置かれてますよ、エロ本自販機)


なぜに女官寮に。


(ほも趣味向けの腐った本や、百合本もあるからです)


はぁ…。


で、とりあえず私が立ってみます。


自販機正面の陳列棚、反射の鈍い鏡のような状態だったのが、棚の中に照明が入ったのでしょうか。


何冊かのエロ本が並ぶのが見えます。


上から2段目の棚には「今週のおすすめ!」などという表示すら。


「で、イリヤさん…この並んだエロ本、どこに何が配置されたかある程度覚えておいてね」


ふむふむ。


で、入れ替わりにオリューレ様が立たれますと。


あら。


何やら、本の配置が変わったような…。


「ロッテロッテ、あなたもちょっと前に立ってみてよ」


「お、おい…」


嫌がるロッテを「これも研修とやらじゃっ」とばかりに立たせますと。


おや。


これまた、私や局長の時とは微妙に変わります、売られている本。


そして、チャスカが立った時も。


で、購入実習モードとやらで、オリューレ様の聖環で買えるようになったエロ本、私が試しに買ってみることに…って、ちょっと待ってくださいよ…フユキとの中央塔のてっぺんのアレとか本になってるじゃないですか!


(ふふふふふ、ハ◯撮りの代用品ですがな…)


えええええ…ぷらいばしーというのが女官扱いされたら全く無くなるとは聞かされましたが、これはこういうことでしょうか。


「チャチャチャチャスカ、あんたはどうなのっ」


で、チャスカを立たせると。


ちょっと待てぇっ。


門外不出、秘中の秘のはずの黄金の間でのあれ、本になっておるではないですか!


「イリヤさん。落ち着いてよく見て…これ、何だと思う?」


で、オリューレ様が自販機の前に立たれますと。


こ、これ…お相手、カルノ様では…。


「もちろんこんなもの、本にするなど許せる訳がありません。もちろん、私は抗議しました」


聞けばこの機械で売られるエロ本、内務局広報部監修・編集だそうです。


しかし、南洋行政局管内に試験設置した際には、マルハレータ陛下がある程度は販売品に口を挟めたようです。


「あの腐れ皇帝陛下の差し金で、私の行為はエロ本にしてしまうと…いえ、南洋島…特にジョクジャカルタでしていることは確かに情報管制対象なんだけど、一方で女官たちにある程度教えておかないと緊急配転時に支障を来すからってね…情報開示の一環として花離宮の撮影分をエロ本にされてしまったの…」


(ふほほほほほ、女官が立てばその女官のプリバシーはないと教えるためなのです!)


(へーか。その割に茸島の皇族別荘の中のあれ)


(あれは聖父たるおじさまのために機密指定されとるのです!それにオリューレさん!あなたは茸島支局時代に何度もおじさまの相手を以下略うっ!)


げげげげげっ。


あの…あの聖父様を…見たいですそれ!


(イリヤさん。エロ本はだめですが、あたしの分体が始めた時の中継なら後で見せてあげます。そして、オリューレさんはあたしの都合がつかなかった際のおじさまの相手役の一人だったのですよ…)


まぁ、事情を聞けば理解は早かったです。


要は、私なら私がフユキの精毒を取り込んで魔毒を浄化排出するようなもの。


聖父様の体調維持のためのお相手の一人がオリューレ様だったと。


しかし…それはある意味では特権のように思えます。


裏山(うらやましすぎ)、というのですか。


(イリヤ…お前も剣聖特権でフユキを預かってた立場だったろ…)


ふんっ。あれは私から頻繁に魔毒を抜くためなのですっ。


まぁしかし、人様の男は輝いて見えるというべきか。


はたまた、隣の島の芝生は青いというものでしょうか。


(イリヤさん。特にこの皇帝は南洋を目の敵にするのです。自分がジョクジャ宮殿東街区で色々遊びたいと思っているのです…へーか、それ、カランバカやハバナでやって来て下さいよ)


(痴女島に近いのがジョクジャカルタだからでしょうがぁっ)


しかし、チャスカならチャスカ、タノキチ様ならタノキチ様が立った時で並ぶ本が変わるのですね、この自販機。


で、オリューレ様が自販機の鍵を開けて中を見せて下さいました。


「中の消耗品や消費品が残り少ないと警告が担当の聖環に自動送信されます。その場合、例えば紙不足だと、この光が点滅している蓋…用紙トレイを開いて用紙を補充します。トナーやインクリボンがない場合も同様で、点滅している光の根元と同じ色のトナーカートリッジや耐水加工用インクリボンカセットをこう、こんな具合に嵌め替えるのです」


むう…何か壮絶に詰め込まれた、からくり。


そして、自販機のフタ部分の棚に表示されていたエロ本など、ただの一冊も中には存在しませんね。


「そうです…この自販機は、前に立った者の聖環と通信を交わし、購入希望者が求めるであろうエロ本を優先的におすすめしてくる機能があるのです…そして、実際に購入ボタンを押すと、機械の中でエロ本を恐るべき速さで印刷製本して売る、いわば販売機能のついた高速多色刷り印刷機なのです…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ