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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど
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アタマ固そうな人工知能と色々押し付けられた女将軍様の悩み

みなさん。

女男爵はまだしも女将軍って、あまり響きがよくないと思いませんか。


とある国の神像…といっていいのかという代物に地下女将軍というのが存在していて、秘境たる群馬県になぜか展開している民族系焼肉屋の入口に天下大将軍と並んで飾っていたりするそうなんですが、実物を知りたい人はぜひ検索してみてください。


なんか「わたくしの野望を邪魔するものは一人残らず始末してくれるわぁ〜〜〜」と叫んで血管浮かしてる、石川県な漫画の鋼鉄○ーグとかゲッ○ーロボとかマジ○ガーZ系の悪役みたいな語感も嫌なんですが女将軍。


まだ「くっ、殺せ!」とか、聖院のアルトリーネかクライファーネにビキニアーマー一式を借りてやってる方がいいかも知れません。


ちな彼女たちの鎧ですが、肝心の胸や股間のデリケートな接触部分はかなり頑丈なレザーです。


更に取り外し可能な綿や絹の内張りが装着できる優れものです。


しかし彼女たちにも女の子の日がある訳で、どっかのゲームのように始終ビキニアーマーとか現実にはあり得んだろと、その期間は非番にしていたそうです。


なんせ普通の女騎士様のようにフルアーマーや普通の服をまとおうにも、この子たちも上級女官相当で、それなりに体温高い部類なんです。


ま、だから放熱効率最優先でかなりえげつない露出度で、かろうじてソードストッパーのような金属パーツとか剣で騎士とわかるような姿なんですが。


あ、典礼時や通常時でも彼女らは露出度激高ですが、上級女騎士は一般的な女騎士姿と少しイメージが違うんですけど、パンツ部分が激しく動いてもずり落ちないということでスリングショット水着みたいなのを着てます。戦闘中に食い込むからとクロッチ部は少し幅広く出来てますが、ケツは見えまくりますね。


で、そんな変態露出狂みたいな姿だからと舐めてかかる奴がいたとしましょう。


一瞬で首と胴が泣き別れする程度には彼女達はめちゃくちゃ強いから、素人は絶対に襲わない方がいいらしいです。


例えば1千人くらいの軍隊が攻めてきた程度なら、どっちか一人行かせるだけで白旗掲げて降参してくる程度には勝ち目がないと知れ渡っているそうです。少なくともアルトくんやクライファーネに「くっ、殺せ!」と言わせるには万単位の軍勢を用意しないとダメとのアレーゼさん談話。


何でかというとですね、彼女達も女官ではあるので、例のエナジードレイン技が使えるからです。


そして先制一撃でやられない限りは一万いたとしても三分の一くらいは一瞬で吸い取られて昇天してしまうので、残りをボコボコにするだけの体力や防御能力のエネルギー源を無駄に供給してしまう事になって、人数の多さがかえって仇になる模様。


すげぇぞ痴女騎士。うん、ガダルカナルで逆に向こうを腎虚で全滅寸前にまで追い込んでたな。


ただ…そんなんでもあたしの家畜ですが。


いやーモテる女って辛…いい加減女にばかりモテとうないわ!あたしも女やねんぞ!何で歩く18禁状態なのに出会いがないんじゃ!泣くわというのがわたくしからの言い分ですが、ドメちゃん曰く「ジーナさん、たいていの日本人よりおっきいでしょー。そーなると日本人の男からは鑑賞品に見えちゃうんですよー」ああ…なるほど。


そして一部の女からなぜち◯ぽ扱いされるのか速やかに理解しました。でも泣きます。


で。


そんな彼女達にも女の子の日には大人しくするか、国難の際には生理痛に苦しみ股間に気を使いながらも剣を振るい槍を握りで前線に出るかの二択と聞いて、あたし、即座に私物のタンでポンなものを2人にあげました。


使い方は絵で袋に描いてるからこないせぇと。この子達も知識共有と個別学習で、そこらの成人日本人程度には日本語の会話も出来ますので、これがどういう効能かすぐ理解しはりまして。


そして、後日ですが聖院(ちじょ)からはなんかの節には是非、日本製の生理用品を持ってきてくれと。みんな死ぬほど欲しがってると。現地の綿でも海綿でもいいんだが、どうも品質がと。


ええ。今回、メーカーから直納してもらった40フィート海コン1本分のタ○ポンとナプキンがトレーラーごと積まれてます。支払いの財源は向こうから持ち込まれた金塊2kgで何とかしました。


手間ですが、英国本国への外交行嚢に積んで闇換金(マネロン)です。こういう時に建前と本音の使い分けが出来て話がわかる二枚舌な国家はありがたいです。


なお、生理用品で女官が堕ちるかも知れないという事実は、うちの会社の奴には言わないでおこうと思います。あたしの身体の祖国が昔真っ赤で左旋回だった時にはボールペンとか下着とかパンストで交渉できたそうですが、タン○ン一つで「くっ、犯せ」と陥落する女騎士とかちょっとかわいそうなので。わはは。


ところで将官用の典礼制服です。


明らかにマルグリッド大佐の着てる佐官用のそれよりスカート丈が短いんですが。


なんぼなんでもこの短さはないやろ、縫製間違いではないかと、受領後に試着した瞬間に、電話かけて主計部被服課に問い合わせました。着用してる現物も見せて。


「ちょっとコレやばくないですか?一応宇宙軍の将官として媒体に映るんですし…」


『提督閣下専用の特別品です。宣伝映えするからこれにしてくれと艦政本部から強い要望が来まして』


あたしはこの瞬間に悟りました。NBの艦政本部に抗議しても多分無理やと。


で、クリス経由で父親にあたしの着用画像を正面と背中側合わせて2枚送りつけて「NB政府や軍としてこれ、まずくないですか」というキャプションつけて。


『本当はもう少し長い方が良いのは分かっているが、志願兵応募率向上のために頑張ってくれと軍に泣きつかれたので仕方なくOKした。地球なら従軍記者以外に報道はいないからパパラッチされる心配はないだろう。申し訳ないが頑張って広告塔を勤めて欲しい』というお返事に、クリスと顔を見合わせて何考えとんのじゃと。


確かにあの国の本国(えげれす)こそまさにミニスカート発明国ですがね。


いくら何でも股下10cm未満の激ミニとかあり得んだろ!と思います。


泣くわ。


クリスの「個人的には素晴らしいです。軍服ということさえ考えないなら、ほら」と鏡の前であたしの姿を褒める健気な旦那が、せめてもの心の慰めです。


んで、マルグリッド大佐。


スカートでわかると思いますが女性です。


ただし典型的なアングロサクソンのおばちゃ…というにはもうちょっと若いか。40歳代で輸送艦艦長から抜擢されたそうで、戦闘行動についてはちょっと未経験なのが気になりますが、その辺は提督がフォローせぇと。


で。女性役職者二人でうちの社員をお出迎え。


親父、めちゃくちゃ来たがってましたが、今回は留守番させました。竹崎のおっさん来させなあかんし。


訪問団代表としてタヌキとマルグリッド艦長を握手させ、とりあえず艦内を巡りながら主に生活に必要な場所を見せておこうという肚です。


「はい、ここが一般食堂です。ごはんはここで食べますからねー」って感じで業務部の瀬野さん一家とか、子供が5〜10歳の家族三組を中心にご案内。


「ジュースとかお菓子欲しかったらこの売店で買ってね。ただし渡してるお金に限度があるから、使っていい金額はお父さんお母さんに聞こうね」などと保母さんしてます。


独身野郎には「艦内は航行中禁酒である。電ヤニについては指定場所で喫煙。酒は停泊時のみPXで販売。一応軍艦なんで掟は守ってくれ。あと指定場所以外うろつくな」とか、竹崎・武内・田中のおっさん三羽烏には「竹崎さんは二人部屋一人使用。田中さんと武内さんは相部屋でお願いします。すんませんがこれでも上等の部類なんです」と部屋割り振ったり。


ちな役員は士官用、それ以外は一般兵卒用四人部屋の予備室を使ってます。


今回、航空機は全数搭載していないので部屋余ってますからというか、余らせました。


で、部屋に荷物置かせた後で希望者には格納庫の戦闘機とか見せて広報向けの絵を撮らせたり。ごめん艦長、出港準備任せたと、広報用のカカシ役に徹します。


で、そんな事してる最中に艦橋から連絡。


『ジーナ提督、1011へ連絡されたし。連邦機到着しました』


まぁ、これは予想していたので、案内を甲板担当士官に任せてあたしは提督室に急ぎます。


アークロイヤルよりは小さいだけで、これ単独だと国内便大型水上フェリーよりでかいので、エレベーターも使わしてもらいます。船橋に近い上級士官区画内のあたしの部屋に入って、今度は連邦のパイロットスーツに着替えます。


おっといけねぇ、NBの身分証もアクティブにしとかんと。


「はい、こちらジーナ。到着機はどこに?」


『飛行甲板に着艦して頂きました。対象機は二機です。飛行甲板にお越しください』


「了解。向かいます。オーバー」あそこなら提督室から近いな…と。あたしはヘルメット片手に階段に向かいました。


「ようこそ、テンプレスへ。艦付将官のジーナ・高木・ワーズワース少将です」しれっとゴルディーニ大佐と、もう一機のババヤガーを操縦してきたロベスピエール少佐という士官にご挨拶。


「お前なぁ…連邦の服で来たのは褒めてやるが、とりあえず何だよこの艦は。まぁいい、ロベスピエール君、これが私の担当士官学生の中で最大級の問題児だ。滅多に遭遇することはないがよろしく頼む」


「はっタカギ…」


「少佐でええよー。ロベスピエール少佐、変な任務で申し訳ありませんでしたね。でゴルディーニ大佐。これ何よ」


で、目の前にあるのは、通常の連邦宙兵隊仕様のF-400ババヤガーがまず1機。


現在は洋上作戦用迷彩カラーで機外色を固定中。これはまぁ、良いとしましょう。


問題はもう1機です。


普通のババヤガーが横にいるから比較しやすいんですけど、本来なら主翼付け根部に左右一発ずつ存在する筈の補助推進エンジンがありません。


それだけでなくて、機体全長、ちょっと長いですね。


そうそう、ババヤガー自体は操縦席に透明な風防、ついてません、


パイロットは完全に密閉された機内に潜り込んで操縦する事になります。


形は…以前、菅野くんが初めて見た時は「何だこりゃ、翼がやたら短くてプロペラのない航研機みてーだな」と評していましたが、実際には紡錘形、ひらたくいうと形が整ったレモンとかサツマイモみたいな感じです。


基本的に純ICD/G推進機なので噴射式エンジンは大気圏内巡航でしか使わないのが通常のババヤガーなんですが、こいつにはそれすらありません。


そしていかにも試験機らしく赤と白に塗られておりまして、民間機登録のJA0334とかいう番号と、宙兵隊の那覇教導飛行隊所属のレターコードが左右1枚ずつ主翼付け根付近から生えてるフィン状の短い垂直尾翼に併記されています。


…許されるなら今すぐ機体外色を虎柄に変更したい衝動に駆られるのですがあっ。


で、ババヤガー同様、主翼もありえんくらいに短いです。


この飛行機が飛ぶ原理を知ってない奴には一体全体なんだこれという違和感炸裂なのは、菅野くんに見せた時に散々感想を言われています。


奴いわく、まだバンシーは普通の飛行機に近いからまぁわかる。ドゥブルヴェも風防があるし、ちゃんと垂直尾翼が2枚あるしでまだわかる。だがこれはいったい何なんだと。


まぁICDで無理やり浮かせて無理やり飛ぶ代物なんでね、ちかたないね。


「まぁ見ての通りババヤガーだ。本当はこれをここに降ろすだけでも大問題なのだが、仕方がない。実はこれが少し早いクリスマスプレゼントだ」と、この機体を示すドハゲ。


「はぁ。一応イニシャライズの必要があると思ってパイロットスーツ着てきたんやけどね。これあたしのインターフェイスに合致するんやろね。飛行特性もババヤガーとあんま変わらんやろね?」


「こいつは見ての通り実験機だ。そして、NBからの技術供与を受けて改造された代物だ。YTF-29というテスト機ナンバーが別途付与されているが、通常のババヤガーとの最大の違いは…対消滅動力機だ。それも多重空間外燃式のな」


「え。つまりMIDIと一緒?ええんかいなNB」


あ、MIDIの名前出しちゃった。


ま、ロベスピエール少佐もそもそもこの場にいるって事は漏らしても大丈夫でしょう。てへぺろ。


「ババヤガーのオリジナル核融合炉とICDに完全合致する形状で、ブラックボックス化して送り込まれて来たそうだ。タカギ准将なら普通に扱うだろうから心配いらんとの注釈付きでな」待てやNB開発担当者。


「で、こいつは連邦とNBのハイブリッド機という事なんだが、機体そのものの基本操作系はババヤガー準拠だからまごつく事はないと思う。始動手順が少し変わるくらいだな…そうだ、変更点が1つある。ババヤガーオリジナルの兵装ポイントのうち、中央部の兵装ベイが汎用ベイに変更されていて偵察ポッドが入る。これは既にこの機体に搭載済みだ。だからミサイルは自衛用のHHMM-04(フレッシュ)が左右のサイドベイに二発ずつ入るだけになるぞ。あと、レーザー機関砲が撤去されている」


「何やねんそれ、実質非武装みたいなもんやん」


「慌てるな。その代わりに、これまたブラックボックス扱いで送られてきた超光速粒子銃が内蔵された。つまり…こいつは、連邦初のマジェスティックキャンセラー搭載有人戦闘機だ」


「あー、なるほど。物理的に撃墜する兵装はないけど、相手の光電子回路を潰す手段はあると」


「うむ。お前ならまごつかんと言った理由はわかるだろう。では早速初期登録を開始する。時間は大丈夫だな?」不安そうに見守るNBの警備組の中にクリスもいるので、手招きしてこっちゃこいと。


「クリス?今からあたし、これ受領するシークェンスに入るから30分から1時間はここ動けんわ。艦長に言うといてくれる?今あたし連邦装備なんでNB側に連絡するん、ちょっと面倒なんよ」


「すまんなクリス君。受領後なら両方の通信システムを稼働させてくれて構わないから、今だけの辛抱だ」


「わかりました大佐。事情は聞いていますので、よろしくお願いします。ジーナさん、ババヤガーみたいですけど、これなら普通に扱えそうですね」と機体を見てクリス。


「うん。複座型みたいやし、向こう着いたらクリスも慣熟で乗ってもらうわ」と、上側に浮いて前にスライドして開くタイプの乗降ハッチを見ながら申します。


このハッチの開閉動作についてですが、天の声が「電車のプラグドアの開閉の動きそのものと説明しる」と言うのでそのまま言うときます。


で、ヘルメット被ってからゴルディーニ少佐が後ろ、あたしが前でラダーを伝って2人して機内へ。


「じゃ、ハッチ閉めるぞ。ハーネス・アンビリカル接続を確認してストラップアームセット」


「了解。接続確認。給気確認」連邦機の場合、身体改造者は一本のアンビリカルケーブルで機体と繋がる事になります。


で、体の左右から降りてきて上半身から腰までを固定するストラップアームというのが、シートベルトの代わりを果たすと思ってくだされ。


このストラップアームの形状、左右で分割されたジェットコースターの安全バーをもっと機械っぽくしたような感じでして、体に当たる側一面にクッションパッドがみっちり付いています。


頚椎損傷を防ぐために首周りから下は意地でもシートに括り付けたるぞという意思みなぎる代物なので、これが降りたが最後、体を浮かせてタッチパネルですとかコンソールのスイッチ類を操作する事が出来なくなるのですよ。


なもんで主要操作は全てHOTASつまり操縦桿とスロットルレバーについたスイッチ類をいじるか、音声コマンドまたは生体インターフェイス経由の作業となります。


で、ICDによる機動飛行操縦と併せて生体インターフェイス装備の身体改造者以外は操縦不可能ということで菅野くんがブーブー言っておりますが、実は奴を嘉手納に送り込んでいるのは年貢を納めて身体改造手術承諾書にサインさせるためでもあります。


ああ、親からもらった体云々という主張をする奴めに、この手術受けないと今後乗れる戦闘機がなくなるぞー、それより受けた方がバンシーも後ろにあたしがお目付で乗ってうるさく言われる事もないぞーと煽っているわけで。


んでゴルディーニ大佐の操作でハッチを閉めまして。


「主機は既に始動している。では認証を開始する。官姓名並びに所属を呼称」


「ジーナ・ワーズワース・高木。連邦宙兵隊嘉手納基地教導・訓練飛行隊LTA334付予備役少佐。認識番号SMY13191969」


『ジーナ・ワーズワース・タカギを認識。網膜記憶。バイオロジカルインターフェイスパターン記憶。ジャック・ゴルディーニ認証担当官に確認。ジーナ・ワーズワース・タカギを当機優先使用者登録してよし?』


「Oui…Yes.ジーナ・ワーズワース・タカギを当機優先使用者並びに機長として認識せよ」


『Copy.ジーナ・ワーズワース・タカギ少佐。あなたは只今より当機UGH-SMY LTA334付LTA1101、またはJA0334の機長と認識される。同時に大阪派遣分隊機として扱われ、分隊指揮官としてもタカギ少佐が登録される。よろしく、メム』


「ジーナ・ワーズワース・タカギより機長承認を了承。よろしく、ババヤガー」


『訂正。当機は機体種別F-400ババヤガーと名称設定されていない。当機の機体名称はノバヤ・ババヤガーと呼称される」


「言うの面倒臭いな…大佐、これの対話応答インターフェイスってこんな高度なん積んでええの?」


「知るか。これはお前用という事でNBが送って来たAI用人格回路まんまらしいぞ」


「うぇ…何よそれ。LTA1101。呼称が長いので緊急時発令に支障を来たす。当分隊には当機以外にババヤガーは未配備であり、呼称ババヤガーを登録したい」


ああめんどくさ。この対話型インターフェイスって、時折かなりムカつく応答を返しますのでね。教育時にも生徒どもに重要事項として教えるのが「こいつへの命令の言い聞かせ方」だったりする訳で。


『334部隊指揮官ゴルディーニ大佐。分隊運用に支障がない場合にタカギ少佐の呼称変更提案を承認したい。承認可否を指示せよ』


「ゴルディーニ大佐より。タカギ少佐による呼称変更提案を承認。飛行特性マッチングプロセスに移れ」後席側でゴソゴソとゴルディーニ少佐がなんかしてる気配が伝わります。多分、あたしの飛行記録から操舵や推力操作パターンを抽出した基礎フライトデータを流し込んでるんでしょう。


「ジーナ・ワーズワース・タカギ少佐。操舵並びに推力操作テスト処理を開始せよ。システムチェック用擬似信号操作出力宣言後に各空力舵動作とスロットル操作を開始。テストパターンはババヤガーの指示する表示操作に従い行うこと」


「ジーナ・ワーズワース・タカギ了解。ババヤガー、只今より操舵装置並びに推力装置の操作試験を行う。今からの前席操作は試験終了まで擬似信号として処理。推力系統については試験パターン照合。実推進機の操作連動を禁止する」


『ババヤガー了解。試験操作を開始せよ』で、前方視覚に出ているテスト操作指示に従って手や足を動かしてサイドスティックをみぎーひだりーうえーしたーとか、フットペダルを踏みーのする作業をします。機械式の視聴覚試験でやる操作に近いぞとは天の声。


…って感じでゴソゴソやって「あたしのババヤガー」にする調教を進めていると。


「ババヤガー。ゴルディーニ大佐。適合処理進捗を報告せよ」


『ババヤガーよりゴルディーニ大佐に回答。現在適合化ルーチン進捗は90%まで到達。残処理は兵装関係の視線誘導系のみである』


「ゴルディーニ了解。…ジーナ、あと5分くらいで終わるが…ロベスピエール少佐経由でNBから連絡が入ったんだが、一般食堂に来て欲しいという要望だ。できれば急いで欲しいらしい。お前のところの若いのが、酒を飲んで兵装区画に入り込みそうになって揉めたということだ」


…おい。何やってんのよ…。


「大佐。とりあえず兵装システム関係は大佐がいないと初期適合が厳しいからこのまま進めてまおう。侵入したアホはさすがに銃殺されてないと思うし、一般食堂ならまだいきなり営倉送りにされてないから厳重注意受けてるところやろ。ああもうアタマ痛いなぁ、私話終了!」


ええ。色々あります。


これも仕事です。でも少しだけ泣きたいです。


でも仕方ないので。とりあえずあたしはババヤガーをジーナちゃんのババヤガーにする仕上げに取り掛かります。

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