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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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139/296

鬼さん江戸へ来る Visite d'Ogre à Tokyo・6

ふーむ。


でまぁ、前回の脱線しまくったお話はともかくとして。


私、オリューレは考えます。


確かに、比丘尼国と痴女皇国、相互に密接に提携している…政体は全く異なりますが、政治経済交流は非常に密なものがある相手です。


何せ、訪問の必要が認められた場合、この私が地下の一部とは言えど行けた場所ですし、女官教程によっては比丘尼国での研修が必須となります。


(ほらほら、色街旅館勤務者は中洲泡風呂国研修が必須になったでしょ…)


何より、ちょっと年季が行った女官であれば誰もが知る事になる、聖院または痴女皇国の開闢者(かいびゃくしゃ)と比丘尼国の建国を成し遂げた存在が姉妹であるという事実。


そして、その二人が実は神様としての姿も持っている件。


で、おかみ様の正体は、言うまでもなく比丘尼国の太陽神で始祖女神です。


一方、痴女皇国…の前身の聖院初代金衣たるテルナリーゼ様の真の姿たるや、シュメール神話の原初海洋母神ナンム様。


(実はその前の姿もあるみたいなのは内緒、内緒、内緒の話は以下略)


(わかりましたからNBでのお仕事ちゃっちゃと済ませて本宮戻って下さいっヒマなんですかマリア様っ)


(いやその、緊縛(きんばく)感がある話が続くのもどうかと)


(続いてませんからっ)


まぁ、困った事をする時は本当に困った事をする主君はともかく、比丘尼国ですよ。


ただ…比丘尼国はその特殊な諸条件故に、日本神道という政治宗教の概念が根強く蔓延(まんえん)しています。


そして日本列島の地理条件からくる、実質的にほぼ単民族国家である現状。


一方で我が南洋行政局管内は、少しばかり事情が違うのです。


敢えて触れてませんでしたけどね、痴女島と茸島(きのこじま)・南洋島、そして須磨虎(すまとら)島やセレベス島とで微妙に主要居住民族、違いますからね。


即ち、使用言語も完全に単一ではないのです…。


南洋行政局の管内…つまり南洋王国の国民総入れ替えとも言える、人口増加計画を奏上したのも実はこの辺があります。


更には痴女皇国本体の痴女宮と門前町の食料他の資源確保のために、南方の巨大な流刑大陸とやらの支配すら、この私は視野に入れています。


あそこで食肉生産を既に開始している件は既出だったと思いますが、他にも鉄鉱石などの貴重な資源を有している上に、私には懸念すべきことがあります。


それは、連邦世界の流刑地国に該当する国が欧米諸国の犯罪者流刑地から独立を果たして英連邦入りした件や、連邦世界での南洋王国に該当するインドネシア共和国と微妙に仲が悪い件を考えると、痴女皇国世界では他国に手を出される前に直接に私どもで支配してしまい、国家間民族間対立の原因を一つ消しておくのも一法ではないか。


調べてみれば、痴女島にいるジーナ様の使用していた戦闘機の類似品で長距離の対地爆撃が可能な飛行機すら持っていたそうじゃないですか、その流刑大陸の国(オーストラリア)


で、その理由がインドネシアとの軍事的緊張が極限に達した際にジャカルタ他のこちらの拠点を爆撃するためと聞いては呆れるしかありません。


そんな訳で、こちらとしては諸島間や、果てはくだんの流刑地大陸の所有権領有権を巡ってのくだらぬ争いに労力を割きたくない一心で、南洋慈母宗の布教普及と、独自の宗教政治体制を作っていこうと思っております。


無論、その範囲には元祖出稼売春国や泰拳仏象国に編笠民平国に珍呼尖塔国だの三千倍阿片国だの竪琴真紀子国だの蛇寺虎魔王国だの海獅子嘔吐国といった近隣諸国も含んでおります。


(国家名がろくでもない件は今更で)


(誰がつけたんですか…そのうち修学宮時代に(さかのぼ)って犯人探し、やられますよ…)


(あたしじゃねぇって…)


ひどい国家名を勝手に与えて相手国の反感を買って挙兵されるかどうかはともかく、私の構想を侵略というか、進出というかの判断、皆様にお任せしたいところ。


しかし私としては、可能な限りは痴女皇国の影響地域として安定化を図っておきたいのが正直なところです。


それに、せっかく黒薔薇騎士資格を得たディードや、その存在故に同僚後輩の黒薔薇騎士の派遣も容易に承認される南洋行政局です。


黒薔薇騎士を派遣して貰えるということは、即ち、痴女皇国の基幹軍事力の導入がそれだけ容易になりますから。


例えば…そうですね、仮に須磨虎で宗教摩擦に起因した大規模な暴動や反乱が起きたとしましょう。


黒薔薇騎士が1〜2名いれば、簡単に鎮圧されてしまいます。


それだけではなく、喧嘩両成敗で対立部族なり勢力なりの大半を捕虜として頂戴し、ボロブドゥール送りにした代わりを補充する手配の話も早くなります。


つまり…黒薔薇騎士がいる場所…取りもなおさず、マリア様が「問答無用で制圧戦闘が発生する可能性があるから、痴女宮にいちいち応援要請する前にカタつけられるようなら黒薔薇の判断と権限で動かせる自前の戦力で何とかしてくれてもいい、報告は事後で構わない」と言っておられるようなものなのです。


黒薔薇が行かされているだけで、即時の武力行使が容認される緊張状態にある場所とお考え頂ければ。


だから…グアンタナモにも悪魔島にも亀地獄島にも、黒薔薇が行かされたのですよ、ワルト。


あれ…その場で大規模な反乱やサボタージュが発生した場合、最悪は全員ドレインして()()して良しって事ですからね?


それに、茸島の聖隷(せいれい)騎士団も、言うなれば私の指揮下にあります。


あそこの行政区分、一時は内務局の所轄に戻った事もありましたが、結局は住民の特殊性やら所在施設の重要性もさりながら、私が切り拓いて諸々を作った事もあって、現在は南洋行政局扱いでアンヌマリーが行政支局長、そして神学部分校長兼聖隷騎士団極東騎士団長としてリンジーさんがその任務を拝命している状態です。


まぁ…あと半年もすればアンヌマリーがストラスブール異動辞令を出されて、彼女の娘のジャンヌが支局長を引き継ぐとは思いますけど。


でね。


正真正銘の孫娘に対面して衝撃を受けているそこのジョスリン。


ショックから立ち直りましたか。


ええ、この二人も、実は茸島勤務ですけど、女官生産に関与する立場です。


母親のマリーから鬼細胞を引き継いでるアンヌマリーと、孫のジャンヌは元来ならば殊更に鬼細胞を上書きしなくてもと思いましたが、今後の女官生産に携わる可能性がある以上、戦闘型ではなく開拓人口生産仕様の鬼細胞機能も装備させておくべしとの話が来ましたので。


そして…この二人に生産仕様の鬼細胞を移植するということは、いずれはどちらかが欧州で女官生産に携わるということになります。


既に、神学部では尼僧候補たちを一定のペースで聖隷騎士団員や偽女種(おかま)助修士が種付けして子供を(はら)ませてはボロブドゥールのプラントに連れて来ての出産作業を行っていますから。


(茸島の神学部で生産した女官は本宮聖院学院コース対象児童になりますけど…)


(ただ、本宮女官寮差し回しの女官候補だからね、その子たちは…)


そう、痴女島の聖院学院本校の空き枠を埋めるべく、一般女官の()()にも回しているのです…ボロブドゥール…。


ですから、今後は女官を産んだ母体がどこの所属の誰だろうと、共通化を図る…正に生まれた子が比丘尼国に行くか痴女島に行くか茸島に行くか、はたまたそのまま南洋島に残るかは正にその時の生産要請書に書かれた要望女官数次第。


ある意味では運、運に支配されているようなものです、彼女たちも…。


で、その嚆矢(こうし)となる生産用の種付け役ですがね。


今回の鬼細胞移植対象者。


比丘尼国担当 ジョスリーヌ・メルラン

  〃    リンドリアーネ

  〃    前田まつ

南洋王国担当 オリューレ

  〃    メルトリューネ

  〃    ディードリアーネ

  〃    アニサ

  〃    マルハレータ

  〃    アマンディーネ

  〃    リモニエディーネ

茸島支局担当 リンゼイ・ギャラハン

  〃    アンヌマリー

  〃    ジャンヌマリー


で、まずはアンヌマリーとジャンヌマリーの二人が施工となりますが、この二人がなぜ先行するのかというと、既に外道丸ちゃん由来の鬼細胞持ちであり、プラウファーネさんを少し舐めるだけで更新可能だろうという判断からです。


それと、アンヌマリーは茸島の除霊儀式…例の盆踊りで使う儀礼刀の原型となった黒漆剣(くろうるしごしらえ)を貸与されている立場です。


今回、前田藤四郎という短刀を持ち出して来た雅美さんの補助役で、移植された鬼細胞の制御と過剰増殖を制限管理する役目を負うため、先に鬼細胞の影響を受けて慣れておく必要があると。


(本当は一番後にした方がいいと思うんですけどねぇ…)


(はいはい、とりあえずアレするのよアレっ)


そう…皮膚ではなく生身がむき出しになっている部分…ですね。


つまり、プラウファーネさんのプラウファーネさんを咥えるのです。


私もこの人のあれを知っていますけど、久々に見るとやはり不思議というか、血の気がないのに青筋が立っている状態の元気な物件を咥えるアンヌマリー。


で、はいっと雅美さんにプラウファーネさんが合図すると、その前田藤四郎という小刀でアンヌマリーの頭を峰打ちします。


この一見間抜けな動作が、正に鬼細胞の隷属関係を遮断するか弱化させる作用になるそうです。


で、元々鬼細胞遺伝者でもあるアンヌマリーでは鬼細胞を新たに受けたからと言ってステータスに変更はありませんが、黒漆剣を取り落とさなければ良し、だそうです。


そして、見た目は髪型以外、アンヌマリーとほとんど変わらない姿のジャンヌも同じようにプラウファーネさんを咥えて…10秒も経たない内にまたしても終了合図が出て、今度はアンヌマリーが娘の頭を真っ黒な日本刀で峰打ちします。


で、その刀をジャンヌに渡して異常反応が出ないならOKであると。


そして、次は私を含む南洋組とリンジーさんのために、今度は液体の入ったコップと一緒に血液製剤とかいう錠剤が用意されました。


これは、鬼細胞の提供形態でどの程度の侵食があるかを試す意味もあるそうですね。


ええ、お元気を頂けると思っ…何を言わすのですか。


で、南洋組はその赤い錠剤を飲む…ちょっと待って、これ絶林檎(ちんちんにーる)の樹液希釈水を沸かして淹れた効果淫(こかいん)茶でしょうが!


「勃起状態で試す必要があるのよ…協力お願いっ」と拝み手をする雅美さんに頼まれますけどねぇ…。


まぁともかく、この場合の手順について、指示を受けながら鬼細胞を浸透させるそうです。


まず錠剤を効果淫茶で服用。


この錠剤は、従来の痴女種が持っていた鬼細胞抗体の効果を敢えて引き下げる効果もあるそうです。


そして、服用者は下着姿かつ、プラファーネさんのプラウファーネさんを勃起させたプラウファーネさんと向かい合って座る形になります。


更に、プラウファーネさんはご自身をしごきます。


我々も、アレを出すわ制服のままで大股を開いた状態。


この状況かつ、聖環モニタでプラウファーネさんとの間の発情状態がリンクしていて鬼細胞効果の発動があればOKだそうです。


即ち…我々のあれも勃起して、かつプラウファーネさんに突っ込まれたくなる…制服の穴が開けば、目の前の人を受け入れる許可が出たとなります。


特に、黒薔薇仕様の制服を着た私とディード、そして南洋慈母宗宗主たるアニサの制服が変化すれば確実に鬼細胞の影響が出たと判定されるそうです。


「よし、ちょっとだけ叩くわよ」


で、雅美さんとアンヌマリーが手分けして、椅子に座った南洋組の頭を後ろから峰打ちして回ります。


この処理で、再びあれが萎えて制服の股や胸の開口部が閉じれば処理終了。


「それと言っとくけど、ここまでの処理を受けた人、鬼化処置はステータスに出ないわよ…」


えええっ。


特にメル子なんて、内心色々期待してたみたいなのにっ。


「マリアちゃんが言ってたでしょ、今はある程度は鬼細胞の機能を痴女種に取り入れてるって…私たちの身体は昔のままじゃなくて、通告されないアップデートも入ってるからね、結構」


ふーむ。


ではメル子の体型処理、どうするのでしょう。


流石に申請も出て通っているものを施工してあげられないのも、不憫。


「メル子さんの体型処理の件はうちがやりますわ」


えっ。


見れば…ダリアが来ています。


いや、なぜに一体。


で、流石にこの場でダリアがどこのどういう人物かを知らない人間はいないでしょう。


そして彼女は申します。


「いやね、マリアさんからの話で、プラウファーネさんの鬼細胞は外道ちゃんのと特性がちょっと違うから、与え方によっては施工者…プラウファーネさんも与えられた側の女官も暴走する危険があると」


「で、あたしが呼びました」と、きっぱりと言う雅美さん。


「でねぇ、プラウファーネさんが暴走しないようにする対策がね…」


ニマニマしてますね。


「うちが来た理由その2。要人警護ですわ…」


と、ダリアが自分の後ろにいた人物を押し出します。


「なぁ雅美さん、ほんまうち忙しいねんけどな…」


ええ、サングラスに連邦世界の女性用スーツ姿の御仁…その大柄な女性は、独特のショートヘアをかき上げると、サングラスを外してスーツのポケットへ。


その姿に、あんた誰という反応を返す者もおれば、おやまぁだの何で貴女がだの様々な反応思考が返っています。


「ああ…そうか、ジーナちゃんの事、知らない人もいるわね…紹介しておきます。マリアリーゼ上皇陛下並びにマリアヴェッラ皇帝陛下の実母で聖院初代聖母認定者のジーナ・高木さん…現在はNB下院議員ですが、聖院が痴女皇国に体制転換する前から聖院に関わり、その継続と発展を助けた功労で永代聖院顧問並びに聖母認定を初代様他聖院金衣銀衣家族会から賜っておられます。皆さん、敬礼を」


「いやその、そこまで大層に言わんでもええがな…まぁ、この中でうち知らん言うたらそこのマリーのお孫さんか、その子とアニサゆう子と()()()のかんづ…マルハレータ王女様やったっけ、あなたくらいやろ。汎銀河人類族連邦宙兵隊・嘉手納基地所属痴女皇国分遣第334飛行隊隊長兼嘉手納基地司令部付中将の高木です、よろしくね」と、ジャンヌとアニサとマルハの手を順に握るジーナ様ですが。


(私はマリーお祖母様とジョスリーヌお祖母様の記憶経由で存じ上げております。どちらのお祖母様も絶対に頭が上がらない方だというのも心得ております)


この、ジャンヌの心話にええっとなったのがアニサとマルハ、そしてジーナ様とはあまり接点がなかったリンド。


(えっと田中局長にオリューレさん、私は確かぎりっぎりで面識がなかったと思いますけど、マリアリーゼ上皇陛下とベラ子陛下それぞれのお母様ということは、痴女皇国では大変にえらい人なのでは…)


(正直普通の中年女性にしか見えません。いえ、かなり大柄で容姿端麗ではあると思いますけど)


(聖環反応ではステータスが不明なのですけど…何万卒なのでしょう…)


Geena Wordsworth Takagi ジーナ・ワーズワース・高木 Limited Suction(Retired)墓所聖列者 Savior body Equipment. インマヌエル型擬体装備者 Our Marie 1st. 聖母


「うちは普通の女やぞ…無理矢理痴女種の体にされただけや…」


「嘘おっしゃい。進んで転換されたと聞いてるわよ…それに何よその如何にも2番じゃダメなんですかスタイル…そこまでするなら襟は立てるべきよ襟」


「元タレントちゃうけど議員やってんねんから当たり前やないの…格好も年相応マイナス○歳にしと…こらダリアに雅美さん、何してけつかんねん!」


「痴女皇国、それも南洋王国みたいなクッソ暑いとこでその格好はおまへんですやんジーナさん…ひひひ」


「そーよそーよ、皆に合わせるべきよっ元祖エロ服元祖歩く18禁なのにっ」


ええ、雅美さんとダリアの聖環権限で、無理矢理痴女皇国に適応する体にしてしまったようです。


つまり、いつものジーナ様。


服装は秘書課長時代の紫色の()()服ですね。


「マリ公も噛んどるな、この制服変更…身体もいじられてるやろ…ああ、やっぱりか…」


聖環の自撮りモードで確認されたその姿は、懐かしいというかよく見た光景。


「一気に若返ったというか、昔のまんまというか」


「せやなー、プラウファーネさんとかダリアとかメル子ちゃんはこの姿の方が馴染みあるもんなー」


「ということは閣下のこれは」


「これこれジョスリーヌさんにプラウファーネさんまで。うちは今完全女性形態のはずやぞっ」


ええ、二人がジーナ様のとね服のスカート部をまくって、何を確認しようとしたのかは丸わかり。


言い換えれば、この場でこの二人は()()が出来る間柄だということです。


「でねジーナちゃん、来てもらったのは他でもないのよ」


「ああ、ダリアに聞いた。要は鬼細胞移植の際に、比丘尼国の上級巫女さん生産に対応したメンツのために鬼との混血状態マックスに見せかける処理するんやろ。ていうかプラウファーネさんえっらい女の子状態やん…」


「ああ、これですね…恐らく今回の任務用に加えて、ジーナ様と会ったせいで身体が本能的に対応してると思いますよ、ほら、うちの姉の外道。あれに近い状態だと思って下さい」


見れば、プラウファーネさんがかなり若返る…というか幼くなっています。15〜16歳くらいですか、今。


(ジーナ様が呼ばれた理由、これでしょう?神種族序列…十月会議の席でもおかみ様に準拠した扱いなので、鬼族…いえ、大江由来の人外は全てジーナ様に服従するようになってますから…)


「なるほどな。で、雅美さん…うちはここで今からおまつさんらの○○○、見とくだけでええんかいな」


「このメンツの分だけでいいわよ…残ってるメンバーの中で一番、反応が出そうなのがジョスリンの時ね…」


「ふむふむ。でまたジョスリーヌさんも何で比丘尼国くんだりに。いや、派遣されたとは聞いたけどさぁ」


「閣下、何卒小官に痴女宮帰還命令をっ」


見れば、ジョスリンがジーナさんの足にすがりついています。


「うちの指揮下にない子の帰還命令出されへんがなっああっ泣くな泣くなっ」


その馴染みっぷりに驚く新参組。


特に、あのジョスリンがこうも変貌するとはと絶句しているのがリンド。


(小官が痴女皇国に関与して派遣されるに至った契機を作られた人物なのだ…いいか、この方には絶対に逆らうな…この方の幼馴染である田中局長や、ジーナ閣下の実娘のマリア様を怒らせたくなきゃ、だ…ついでに言っとくがな、ジーナ閣下は痴女皇国内務局皇帝室秘書課長や皇帝室長…つまり皇族の管理業務をなさっていたのでな、オリューレ局長とも長年の昵懇(じっこん)の間柄だからな…くれぐれも粗相のないようにな…)


(ひぃいいいっ)


(バラさない方が面白かったのに…)


(小官は余計な騒動を好みませんよ、ふふふ)


「でまぁ、えーっとオリューレさんが困った状態になって茸島に島流しにされて、今は逆に南洋王国の国土全部かっぱらって…別室におるカルノ君やったっけ、ベテハリ君とアニサちゃんの息子さんが王様になってその愛人兼後見人で南洋行政局長と、これで合うてるよな」どっす、と手近な椅子に腰を下ろしておられますが、それ、アニサの玉座…。


逆らう者は誰もいません。


ええ、ある意味でこの方は天才的に「文句ある奴は言うてみい」的展開に持って行くのが得意なのです。


(ベラ子陛下のおかー様ということは、東方聖母教会聖母…ですよね…)


(更には慈母宗教義でも存在には言及してるわよ…)


「ええ、合ってることは合ってます。黒歴史と言うべきですけど」


ですが、黒歴史を蒸し返された件は件。


「そないにぶっすーとせんと…そら、うちがおったら絶対に厚労局長の椅子はキープしたったけどさ、それが最終的に良しかとなるとまた別問題やろからなぁ…」


と、ジーナ様が私をこいこいとされます。


「とりあえずダリア、メル子ちゃんに身体異常がなかったらそのまま身体変更施工したりぃな。雅美さんもそれでええやろ?」


「はーい、ほなメル子さん、ちょっとそこらの姦淫台を借りて…」


「へいへい。皇帝室長には逆らえまへんわよっ」


そう…この場で一番偉いのは誰か、ものの数分で認識させてしまったのです、皆に。


この挙動所作も変わっていません。


ジョスリンも大概…いえ、ダリアや雅美さんもそうですが、痴女皇国生え抜きの幹部は実力主義。


特に聖院経験者は、マイレーネ様の睨み殺しや読み殺しに耐えて育って来たのです。


ですが、この方はやはり別格と言うべきか、はたまたマリア様の母親だと言うのもさもありなんと言うべきか。


「うちもクレーゼさんやアルトくんと部屋掃除、やらされたからなぁ…」


まぁ、アルトと二人で…時にはクレーゼ様が混ざって三人で怒られてましたね。


あれは当時の女官寮居室はもちろん、本宮上層階の上級女官執務室では接客以外のアレをすることまかりならずの掟が存在したからです。まぁ、今はそんな掟が存在したのも今は昔、と言うべきでしょうか…。


(でな。せっかくうちも呼ばれたんやし、ちょっと遊んどこか。特に請願の件はうちが聞いても、あれをシャンシャンで済まさんかったのは前・皇帝室長として一言言いたい)


と、密かにクァンタムリンクとやらで接続して来られるジーナさん。


「でなぁリンドリアーネさん、あんたこれからプラウファーネさんとアレして鬼細胞もらう立場やろ。ただ、鬼細胞というのはあんたも聞かされておる通り、大変に危険な代物や。うちも痴女皇国建国後しばらくして起きた通称鬼作戦の当時、マリ公…マリアリーゼやここにおる一部の人らと共同して迎撃する作戦の指揮を取った事があってな」


ふむふむと頷くリンド。


「その際に鬼や鬼細胞についての研究が進んだがために、今や痴女皇国を支える技術の一つでもあるというのはうちも知ってはいるんや。ただ、それだけに余計、今回の鬼細胞付与、単純にプラウファーネさんとアレをするだけでは、あんたのステータスランクやと汚染度がこちらの意図を遥かに超えた速さで侵攻しかねん。いや…仮にあんたが鬼になっても征伐すること自体は、ここにそれが出来る武器がいくつか存在するけど、あんた鬼としてしばかれたいか」


このジーナさんの言葉に、真っ青になって首を横に振りまくるリンドです。


「でな、あんたについては鬼化を抑制するための特別手段を講じようと思うんや。これは痴女宮本宮地下の墓所に行って盆参りをした人であれば誰しもが見たことがあるやろうけど、かつてどっかの不肖の娘で現在は痴女皇国上皇の地位についたどこぞのマリ公がやらかしよった時に、うちは指導を依頼された。で、その時はともかく、後には地下を管理してたプラウファーネさんも指導対象に入れられてもうたんやわ、なぁ」


この言葉に、ジーナさんが何を言いたいかプラウファーネさんも理解したようで…嫌そうな顔をしてますよ。


「で、うちの案が採用されて以来、痴女皇国では伝統ある懲罰服という能力抑制服を採用することにしたんや。この懲罰服は、元来は然るべき懲罰を受ける対象になってしまった者が着用を強制される。で、おのれの行状を反省して心改め女官勤務に邁進するまではずっとその服が制服になるもんでな。他の服、聖環で選ぼうとしてもあかん言われるはずやねん。ただな…能力抑制機能があるわけやろ…仮に今からあんたが鬼に変化するとなっても、その変化を止める働きがあるねん…」


なんという真っ赤な嘘。


(いえいえ、これ、全くの嘘でもないんですよ…当時は本当に恥ずかしい姿を晒すためだけの単なるコスプレ服だったんですけどね、確かその後に本当にその抑制機能、付いたはずなんですよ…)と、プラウファーネさんから連絡が。


「そしてこの服は、実のところプラウファーネさん用も存在するんや。今は確か現物は存在せんけど、代わりにプラウファーネさんの聖環で制服バリエーションとして選択できるはずやで。それにな」


と、ジーナさんが聖環を操作しますと。


「ぎゃああああああっジーナちゃんなんであたしまで!」


「ひいいいいいうちはもう金輪際着ることないて思ってたのにぃっ鬼悪魔ジーナさん!」


「あんぎゃああああ!なんで私までとばっちりで!」


「あの…小官もこれ…なんでしょうか…」


「ちょちょちょちょちょ何ですかこの変な服!オリューレさん一体これはぁっ」


「ミセス…ミスタークリスがこれ着てたの見た事ありますけどね、この痛さを私に体験させる必要性ってあるんですか?」


「あの…お内儀様…わたくしまで…」


ええ、この場にいた全員がとばっちりを受けました。


そして、私も逃げられようはずもなく。


そうです、伝説の懲罰服1号。


別名:島○の服とかホモの象徴とか言われて痴女皇国以外でも恐れられていたはずのあれです。


全員、あれに着用制服が強制変更されてしまったのです…。


特に悲惨なのはプラウファーネさん。


副作用か何か知りませんが、再び大人体型に戻ったものの、その姿は…ええ、墓所の祭壇上部にクレーゼ様の例の絵と並んで堂々と額装され飾られた懲罰写真に写った皆が着ている懲罰服、そのもの。

https://novel18.syosetu.com/n0112gz/11/


「プラウファーネさん…あたしにも黒画像なのよ…いえ、あの時に撮影された者全員だけじゃなくて、沖縄でも着せられた人間がいたのよ…」


あの雅美さんですら、普段の傲慢で勝ち誇ったかのような気迫は微塵もありません。


そして、未経験のアニサとジャンヌ、()()が存在することだけは知っていたアンヌマリーも嫌そうです。


「なまじこの変なスカートがあるから余計にその、痛く見えるんですね…」と、自撮りで己の姿を見てげっそりしていますよ。


「それ、○○○するん以外でスカート外したら確か聖環の懲罰機能が働くから注意しぃや…いや、うちもこれ着るん久々やけどやっぱ痛いわ…」


ええ、当の本人も、恐らく操作を誤ったのでしょう。見事にその、懲罰服姿。


「ジーナさんはまだ身長ある上に横もそこそこですやんか…うちはデフォルトやと微妙に細いから、ほんまに微妙なんですけどギリッギリで似合わん部類になるんですよこれ…そもそもこの服、身長があってチチがでかいと余計に痛く見える乳上懲罰用として作られた代物ですやん…せやからバインバインかナイチチの体型が一番こたえますねんで…」


ええ、ダリアですら泣きそうです。


(うちもね、プラウファーネさんと一緒でね、この服がいかに痛い代物かを後年に知りましてね…ええ、あの時はアルトさんもうちも若かったなぁと…)


助平体型にしていたジョスリンも「あの…小官、ジャパン・エキスポに出ようと思った事は人生でただの一度もないのですが…これはマダム・ドミニク案件です…」


と、何かに敗北した顔をしています。


「オリューレは経験あるようね…」


え、ディードリアーネ…あんたこれ着た事なかったっけ?


「一応はね…」


しかし、この恐るべき服を着た成果はありましたよ。


ええ、その…詳細は省かざるを得ませんが、皆への鬼細胞の移植自体はうまく行きました。


この詳細については、もしかすると闇堕ちマリア辺りで書かれるかも知れません。


そして、私の黒薔薇服に目をつけたジーナさんとジョスリンの詭弁もとい言いくるめで、リンドに対して合法的に私は報復することになりました、図らずも。


そしてリンドはジョスリンによって黒薔薇入りの資格を得られるまでは部下の立場を離れられないようにもなると。


いえいえ、ざまぁ見ろとは申しませんよ。


それに、黒薔薇騎士団入り出来るかどうかはともかく、黒薔薇騎士認定を貰えば女官としては大きく人生の選択肢が広がる事になります。少なくとも、絶対にクビにはされません。


逆に、良かったとは思いますよ。ええ。


ただ…気になる点をジーナさんが申し渡していました。


「で、プラウファーネさんは知ってると思うねんけどな、この懲罰服を着た者は懲罰対象者に認定されて、痴女宮地下の設備管制室で管理している懲罰記録ライブラリにその姿を記録されるんや、その内容込みで」


えええええっ、という声が上がります。


「まぁ、今回はうちの操作ミスではあると思うが、南洋慈母宗の教祖様いうんかみたいなアニサちゃんとか、はたまた茸島の子らみたいにとんでもないとばっちりやとは思う」


ええ、私にしてもとんでもないとばっちりですよっ。


「しかし、この服を着た以上は記録されてしまうのや…今回はうち自身もまさかまさかで自分自身がこれ、この通りに痛い有様や」


と、立ち上がって一回りし、痛い様を皆に見せつけるジーナ様。


「むろん、懲罰記録としては冤罪というか、誤操作で着用というキャプションは入れておくし、報償金査定にも影響がないように雅美さんが(はか)ってくれるやろから、皆には心の傷だけで済むと思うんや。うん…この画像を消すには、ダムや地下の墓所を含めて痴女宮本宮そのものを跡形もなく消し飛ばさない限りは絶対に無理なんや…」


この懲罰システムを知らぬ者から、いえ、知る者を含めて巻き起こるブーイング。


で、私は助け舟を出します。


「他ならぬジーナ様自身が痛々しい懲罰姿になったことで、これは不幸な事故でもあると言って良いでしょう。それに、言い換えれば東方聖母教会の聖母そのものでもあるジーナ様が懲罰服の恐ろしい効果を自ら率先して示したことで、我々は本当に懲罰としてこの服を着せられることがないように自分自身を研鑽する必要があると思います。それと…ジーナ様、これ本式の懲罰過程じゃないんですからね、だからみんなで記念撮影はなしですよっ」


と、釘を刺しておきましょう。


ええ、ダリアと雅美さんからも感謝と共に「ぜってー今日は全員集合記念撮影させたらダメ、やろうとしたらみんなで飛びかかってでも止めよう」という心話、来ましたから。


「どうせやったらやろうや…記念に…」


「ダメです…ええ、今、地下22階で姉が大爆笑してますし…姉さん!録画禁止!」


普段はあまり感情を表に出さないことで知られる、プラウファーネさんですら涙顔。


「前はそんなに抵抗感なかったんですけど、ほら、私も連邦世界の知識、入ったでしょ…この服がどういう見られ方をされているか、知ってしまいますとね…」


「ええ…この服はおのこならば元服、おなごであれば子を産める身体になればなるほど痛々しく見えまするのがようわかります…」


ですが、おまつさんの目が一瞬、輝いたのを私は見逃しませんでした。


恐らく、この恐るべき服を着せて何かをしたい対象が存在するのでしょう。


願わくば、私の忠告が届きますように。


あとジョスリン、変なフラグを立てるからこうなるのですよ。


比丘尼国で何の落ち度もない相手にこれをやったら、十月会議に呼ばれて糾弾会間違いなし。


いいですね…女官管理室長、そして厚労局長経験者としても皆に通告したいのです…懲罰服の濫用はやめてくれ、と!


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まさみ「やめておねがいやめてほんとやめて」


じーな「せやから言うてるやん…うちも巻き添えで記録されとるんやで…」


まさみ「アラフォーアラフィフのレイヤーさんならわかると思うけど、その年齢で○風くん、やりたいですか?って聞きたくなるくらいに痛いのよこれ…おまけに実害機能実装でしょ…いい、たのちゃん…報償金査定に今回の誤懲罰が反映されたら、あんたが懲罰服よ?」


たのの「わかってますよ…あたしもあれ、着た記憶ありますから…」


ひろこ「英国支部の山内です。あたしも痴女皇国来た時、この制服しかなくて着たことありますけどね、痛さは半端じゃないですよ…本当、田中さんが言われる通りで、熟女に近い年齢ほど痛くなるんです…」


だりあ「ジーナさんは人種的に日本人じゃない上にでかい(身長180cm)から、まだ見れるんですけどね…」


まさみ「ちなみにジーナちゃんは日本国籍者だけど人種的にはロシア人50%ウクライナ人50%らしいわね」


じーな「その辺は謎にされてるらしいねん。まぁ、うちの親父の顔を知らんとだけは言うておこう」


あにさ「この恐ろしい服の姿、慈母寺の参詣者だけには何がなんでも見せないようにお願いします…」


じーな「まぁ、本宮の地下行って外道ちゃんに見せてもらうか、マリ公かベラ子かうちの聖環でないと再生どころか、懲罰記録すら検索でけへんはずやから…」


まるは「本宮ってこんなもん、懲罰に使用してるんですか…懲罰偽女種の制服にいいかも…」


でぃーど「やめなさい…これは本当に着用者の尊厳を破壊する恐怖の服なのよ…」


りんど「その制服着せられた上でひどい目に遭わされたんですが!」


じょすりん「リンド。だから言ったろ…この服を着て黒薔薇服着用者にあれこれされたらな、それは貴官が後々に黒薔薇騎士に推挙される場合に有利に働くから、敢えて文句を言わずにあれこれされておけと…」


おりゅーれ「で、リンドリアーネが実際に何をされたのか。これは闇堕ちマリア辺りで書かれるかも知れません」


りんど「少なくとも私はオリューレさんとディードリアーネさんとジョスリン団長を恨みます」


でぃーど「実際にやったのはジーナさあががががが」


じーな「いらんこと言うたらあかんのや…」


でぃーど「豚箱にまた入れますよ…」


じーな「あれも懲罰記録に入っとんのよな…」


りんど「何をなさったのでしょう…」


おりゅーれ「ディードが痴女宮門前町警備本部長…警察署長時代に色々あってね…」

https://novel18.syosetu.com/n0112gz/48/


でぃーど「しかもその時、ジーナ様だけじゃなくてアルト局長とダリア団長も収監されてんですよね…痴女皇国皇族をまとめて留置場にぶち込んだ女として未だに通ってるんですよ、私…」


だりあ(この件のせいでうちとアルトさんとジーナさんはディードにあまり強く言えなかったりするんですわ…あ、アルトさんは構わずに言うな…)


でぃーど(アルトさんは自分に落ち度があろうが「あたくしがなぐるとゆうたらなぐるのです!」で通しますからね…あの人に過去の落ち度を蒸し返しすぎるのは逆効果です…)


じょすりん(それで出す場所と局面を選ぶのだな…)


でぃーど「わかったなリンド…お前が何をどう主張しようが、話の通らない理不尽が今やお前の上司の上司のそのまた上司だ…恨む対象には注意しろ…」


りんど「と言うよりこの件で誰も恨むなと言われているに等しい気がするんですが」


まさみ「物分かりのいい子は大好きよ。それともあたしのお墓の前で色々お話、する?」


他全員(あのお墓の前で何かするだけでも、それはそれで強烈な懲罰なのよね…)


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2023.7.23追記


べらこ「で、闇堕ちマリア枠でちょっとだけ書いたそうです…未成年の方は頑張って読む…読まないでくださいね」

https://novel18.syosetu.com/n0112gz/214/

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