鬼さん江戸へ来る Visite d'Ogre à Tokyo・3
で、マサミ=サンによる手順説明。
「まず、南洋慈母寺と南洋行政局の万卒以上の女官は全員、IFFステータス上に鬼モードが出る状態になって貰います」
でまぁ、どんな風になるか、マドモアゼル・タノキチとプロフェスール・マリー…マリーセンセイの情報表示を聖環で確認。
Mariko Tanose. 田野瀬麻里子 Million Suction(Limited Ten million, Limited Orge mode)百万卒(限定千万卒・限定鬼化能力者) Slut Visual. 痴女外観 Pink Rosy knights. Imperial of Temptress. 桃薔薇騎士団 Director, Cultural Education Bureau. 文化教育局長
Marienne de Lorraine マリー Million Suction(Limited Ten million, Limited Orge mode)百万卒(限定千万卒・限定鬼化能力者) Slut Visual. 痴女外観 Red Rosy knights, Imperial of Temptress. 赤薔薇騎士団 Duchy of Lorraine Branch Manager. 中欧支部長
ただ、タノキチセンセイはあくまでも痴女皇国の女官かつ罪務を担当する際の能力向上のため、マリーセンセイは鬼作戦当時に嵐に紛れて上陸した鬼を発見しやすくするために鬼能力を与えられたのであり、鬼の力を全て使える訳でもないとの説明を受けます。
(本当はアレを生やすた〜め〜)
(バラしやがった皇帝の報償金の特別支給額は懲罰減額じゃあっおらっ支給額詮議付議書類添付っ)
(皇帝権限で報償査定外っ)
(痛い痛い痛い痛いっ)
通常ならば、可能であればパスタ女の暴力からマドモアゼルを救うべき。しかし、アレと単純に戦ってもマドモアゼルの代わりに泣かされるだけです。
それに、承認が困難な経費使用、何もマサミ=サンや内務局や紫薔薇騎士団の専売特許ではありません。
何を隠そう我が黒薔薇騎士団も割と、財務局と仲があまりよろしくない部門なのです。
我々やダリア統括がそこそこの割増報償金を頂いている理由も「こんなもん絶対に経費承認は出ないから自腹で何とかする際の負担を和らげるため」なのですが、それとは別に使途不問の特別対策費を支給されています。
しかし、それとて場合によっては使い切りかねない事もあるのです。
例えば、北方帝国攻略戦の際に、周辺諸国を籠絡しようとした時を例にしましょう。
痴女皇国御用商人のティーチやその配下を北方の豪族や商人に変装させるために、身なりを整える費用として資金を与えるとか。
馬車や馬などはまだ無料に近い調達が可能としても、服はそうはいきません。
そしてこの時代に領収証という概念、まだ完全に根付いていませんし、聖母教会や痴女皇国の影響外の国の人間と偽らせる場合、現地で通用する通貨で支払う必要があります。
そして、毛皮商人に仕込みの毛皮の調達をしてもらう経費。
この時代では殊更に貴重なロシア方面産の生物から得られる毛皮、籠絡先の国家の君主や有力貴族の夫人向けに誂えた帽子だのコートだのにして献上するだけでも、大変に有効な賄賂となるのです。
で、件の価値ある毛皮の調達、美男公の経営するturkuaz mavi şirket…鯖挟青商会なる商店企業を使用するとします。
下手をすると実際に狩猟をしてくる猟師や、シベリアの彼方から毛皮を調達輸送するアジア系民族の商人だのバイキングだのに対する報酬、金貨銀貨ではなく「金銀」「麦や豆や米」「酒や油」「薪や建築用木材や皮革、ロープに鉄器」など彼らに価値がある現物での代物支払いの取引となるのです。
お分かりでしょうか。
別に我々、不正をするとかではなく、普通に工作活動をするだけでも、連邦世界の産業革命以降では常識的な証書証紙誓紙の類のない取引をすることも決して珍しくはないのですよ…。
(ふっつーに協力者に銅貨や銀貨握らせるからね、黒薔薇も紫薔薇も…)
(聖母記念銀行名義で英国方面に金銀銅を輸送しているの、この辺の事情があるんですよねぇ…)
(うちが黒薔薇やってて、紫薔薇と連携する際には連邦世界で得た医薬品、これの瓶からラベル剥がしたり別の入れ物に詰め替えてこれで金の代わりにしろって言って渡したりしたんですよねぇ…他に果物とかスパイスとか、値段張りそうなもんの容器詰め替えて報酬の代わりに渡すとか)
(あたしもその内職、手伝わされたんだよな…あん時は人、いなかったからアルトとダリアと雅美さんと乳上とあたしで夜なべしてさ…)
マリアリーゼ陛下の悲しみに包まれた心話に、ゼニノハナハコウイウトコロニヒラクンヤデ、と慰める他は無いのでしょう。
ええ…ストラスブールでも時々、そういうナイショクめいたこと、やってますから…。
(なぜ変圧器込みで大型業務用ドライヤーまがいのホットガンを支給したかわかるよな…)
(ええ陛下、ガラス瓶なら割れない程度に近づけてラベルを加熱し、綺麗に剥がして擬装ラベルに貼り替えるため…)
なお、ストラスブールで我々中欧支部が拠点としているのはパレ・ロアンという宮殿ですが、この中のコンセント、私の私物を使う関係もあって、フランス共和国と同一仕様の220V 50Hzなのです…。
日本製の非・ユニバーサル電源のカーラーを持ち込んであわや火災発生になりかけたどこぞの皇帝陛下には何で100Vにしないとか散々言われましたが、私が決めた訳ではないのですよ?
ですので、実は冷蔵庫などでもちょっとだけ困るのですよね、アキハバラなどで買った日本製をそのまま接続できませんから…。
(ワインとかはそれやった後、必ず常温か冷蔵庫だぜ…)
(抜かりはありません…コニャックやワインのみならず、上等のオリーブ油や香水、ガラス瓶込みで大変高価な贈答品になってしまいますので…)
(また悪徳上皇が犯罪を犯している…産地偽装反対ー)
(犯罪でも何でもないだろ…連邦世界のメーカー名や住所やら成分表記が邪魔だから剥がして適当な古いラベル貼ってごまかしてるだけで、中身は本物だぞ…)
まぁ、それはともかく、何で痴女宮にジュンファム・ゲドウマルがいるのにわざわざムッシュ・プラウファーネを呼ばれたのか。
「あと、こんかいは外道のちからをさずけると、みこに与えるちからとはちょとちがうもんまでよけいにわたしてまうかもな」
「姉の能力は戦闘向きなんですよ、どちらかというと」
「あとな、外道も茨木も一応はもともとそれぞれおなごとおのこやねんけど、どっちにもなれるからな」
これも痴女種とは大きく異なるところでして、完全な性転換状態になれるとの説明も頂きます。
「ただ…精気を結構食うのと、孕まずに時間が経ちますと元に戻るのです。ですから私の場合だと今の姿が一番エコなのですよ」
エコという概念を理解されている辺り、侮れない気もしますが。
(実は聖院世界に来られてあまり日にちが経っておられない時期に、アルトさんとジーナ様が私や地下の者の精気授受問題を解決する端緒を開かれまして。でまぁ、その際にジーナ様の知識を頂く事にもなりまして…その時代の聖院を経験した女官はジーナ様や、他の連邦世界からお越しの方々の頭の中より色々と得ておりますよ)
(イランコトまで覚えてる可能性も感じましたが、まぁタカギ閣下の脳内は小官にも大体は理解できます)
「せやから大江の連中は大嶽みたいに元々はおのこゆうやついがい、鈴鹿や悦吏子みたいに、おなごのからだのままで、まらだけ生やす方が多いんや。あ、足姫はいつもまらはやしとるし、よりみつやつなは力をせいげんするためにおなごになっとるぞ」
(まさかと思いますが、頼光四天王全員、女体化…)
(まさみ…うちの大江、ひとは巫女しかおられへんぞ…)
ドウユウコトデッシャロ。
(えっとね、源頼光という有名な武将がいました。いわゆるママンね。で、この頼光さんの部下には鬼退治やら何やらで有名な人が四人揃いました。さっき名前が出た渡辺綱さん以外には、卜部季武、碓井貞光、坂田金時…坂田さんはマカオに行く大冒険をする金太じゃなくて、いわゆる金太郎ね)
ええー…ウチで言うと、三銃士とかフランク王国時代の十二勇士とかあの辺全員女性化するようなものでは…。
(まさにリアル・某課金ゲーの女体化世界でしょ…)
(せやからつりがね…べるくんは相性がええんや…)
(ほれほれジョスリン、乳上の弟さんのアンドラーシュ君…出家名がベルテファーネで今は大江に行ってる子、あの子も普段は乳上クリソツ状態よ?)
(大江では釣鐘童子を名乗っておられますよ)
ああ、お見かけしたことは数度ありますね。
あの方、何でまた大江に。
(相互交換制度。聖院と大江山に何かあった場合、救援を呼んだり助っ人の尖兵になる役目なのよ。そして転送処理を行ったり、最近はゲートを使うから地下勤務が必須)
ふむふむ。
言うなれば設備管理員の仕事はそのついでというか、あくまでも普段から地下にいるための方便のようなものでもあったと…。
(で、聖院へ派遣されてたのがプラウファーネさんで、逆にこっちからはエレンファーネ…悦吏子ちゃんを出してたんだけど、プラウファーネさんが八百歳を超えて比丘尼国に帰還して寿命延長処理を行う必要性が生じた際に、交代で痴女皇国に来たのが外道丸ちゃん。その際に悦吏ちゃんは痴女皇国に帰還したんだけど、悦吏ちゃんの代わりを行かせるのを誰にしようかという話になって、男の娘がいいとか何とか)
むぅ。それで指名されたようなものだと…。
(ちなみにべるくんも巫女つくり、てっとうてもろとるぞ。ただ、あのこのばあいは強いみこでけへんねん)
(そうなんですよねぇ、純粋な鬼化はまずいですし…)
つまり、ちゃんとしたミコサンの幹部、それもプルミエールを養成する場合は長期間、オオエでオニサンたちと暮らして、オニの身体に近づくか、はたまたオニサンたちとアレをして濃い混血児を出産するかの二択らしいのです。
まぁ、これとて理解は可能。
なぜならば人を遥かに超える様々な力を弱めるための混血交配を行なって、純血種を減らし人間社会に溶け込もうとしているのがビクニ国の人外の皆様の従来であるとは伺っておりましたから。
ただ、強力な力を完全に喪失するのは、それはそれでいざという時によろしくもないという判断で、一定の純血種や強力な巫女種原種を残すというのがビクニ国、特にオオエヤマの方針であるとも。
で、巫女種同様に痴女種に鬼の力を与える理由とは。
特殊な進化と個体化を果たしているモノノケはともかく、人類に近い繁殖機能を備えている鬼・人魚・天女の場合、血統服従の本能があるそうです。
「例えば、私が…そうですね、仮にジョスリーヌさんを孕ませたとしましょう。で、出て来る子供は、私の強い支配下に置かれるのです。そして、この支配関係は、血や肉といった皆様お申しのところの鬼細胞を与えた際にも発生します」
ああ、それで先程のマイヅルのオヤブンだかドンだかというオオモノ、妖精の所有物を盗ませ身に付けさせようとしたのですね。
「ええ。天女族にも男、いるにはいます。天狗が知られていますが、実のところ天狗は厳しい修行を生き延びた人や鳥などが変化した妖怪でして、厳密に分類すると天女族ではなく、もののけ族に帰属するのです。そして、元来の天女族の男は非常に希少なのです…景轍玄蘇殿がその一例だったのですが、あの方も純粋な天女族ではなく、虹の松原で天女族と出会って天女の力を得た部類でしてね…しかもあの方、お坊様でしょう」
「そうなんですよねぇ、今も南京か泰拳仏象国の方にいらっしゃるとか」
マサミ=サンはその人と面識があるようですね。
「鬼上陸作戦の時は痴女皇国と連携してくれた、比丘尼国の外交僧侶身分の人。今で言う大使や特使の立場ね。今は…えーと、山田長政さんとの交渉で泰拳仏象国にいるわね。まぁ、玄蘇さんは本当は鈴鹿さんが装備してるような羽根を使って飛ぶんじゃなくて、天女族が子供の時に使う繭から取られた絹糸めいた糸で編んだ衣を纏うのよ。ただ、普通の人間が高度4,000mだっけかな、ある程度以上の高度に上がると大気密度や温度が急速に下がって生命の危険に晒されるわよね」
「ですね、非・与圧装備機材は酸素マスク装着高度になります」
「だから天女の衣を使って飛ぶなら、身体も飛行用に強化しておく必要があるわけよ。海上を飛ぶとおトイレも行けないでしょうし…まぁ、天女は見初めた男にわざと羽衣を盗ませたり、あるいはこれ似合うんじゃね?なんて感じで衣を着せて逆ナンする風習があると思って」
「何かこう、切実な男の捕獲事情を感じますが」
「だからその質屋さんの手口はある意味で正解と言えば正解なのよ。天女族になると、単に助平になるだけじゃなしに本当に同族の男がいなくなるから、人間またはそれに類する男を逆ナンしてでも捕まえる必要、あるわけよ…で、衣を持ってただけだと身体の天女化がさほど進行していないから、遠くへは飛んで行けないし男は欲しいしで困った状態になると踏んだのでしょうね」
「しかし、それにしても回りくどい方法ですね…」
「ですから、我ら鬼か、または人魚族女性のやり方が一番手早いのです。鬼は男女両方を相手出来ますし、例えば雅美さんが純粋な痴女種状態の場合でも女体化した私を孕ませるか、あるいは私の子を孕むだけで大抵の神社では二級以上の扱いの職階となるのです。ただ…役階や等階は相応の修行または上等役巫女の認定承認が必要ですよ」
で…恐ろしい話も教えて頂きました。
比丘尼国のミコ=サンは南洋慈母寺の尼僧と同じで、修行後や聖院学院仏学部卒業後は基本、卒業証明として股間にアレが存在するようになると聞いたのですが、ミコサンも同じようなものだと…。
そして、私に与えられた役階等階、はたまた職階といった区分のうち、私では特級とされている区分の判定方法。
じょすりん 守衛二等 特級(比丘尼国各社共通)
その勤務神社の神域…ミコサンによる祈祷礼拝を行う場所や、そこのジンジャのカミサマが住んでいるアクウカンに足を踏み入れて倒れないとか意識があるとか、はたまた股間のあれの角度で判定されるそうです。
「あの中で巫女づくりするんが、比丘尼国のじんじゃでのほんしきの作法なんやぞ…」
えええええっ。
まぁ…慈母寺でも聖母教会でも、連邦世界では絶対にあり得ない場所でしょうが、痴女皇国と比丘尼国の各政府が推奨する宗教はことごとく、それをやることがジュスティス。
「で、鬼の純血度合いが高いとですね、それだけ逸物の角度が高まるのですよ。なにせ雅美さんやおかみ様が言われるように、神域ですから元来は八百万神種族以外は勃起するどころか生存すら困難なのです。その神しか生きてはいられないほどの厳しい領域に耐えてどれだけの角度を記録できるかで、級を判定されるのです…」
「で、そこのかみさんによって、だせる神域のつよさは変わるんや。せやからじょすりんのばあい、どのじんじゃでもちんちんがあばれんぼうになるし、あばれんぼうになるっちゅうことは、お前らちじょ種の能力もそれだけつかえるっちゅうすんぽうになるわけや」
ええ、日本の皆様。
申し訳ありませんが、この判定法は私が決めた訳ではないのです。
罰当たりとかタタリとか神罰の類、私に向けられても困るのですからね。
そして、マサミ=サンが小刀を手にしている理由。
「鬼化の進行にストップをかけるためには、ある程度以上の刀工が鍛えた日本刀が有効なのよ。それと、鬼さんの奴隷にされるのも正直困るから、血族支配のコントロールを断ち切る処理にもこれが必要なのよね。ま、これが必要なのは純血の鬼さんから何かしら提供された場合だけで、混血亜種には必要がないし、それにジョスリンならジョスリンを切る訳じゃないわよ」




