赤土高原・かんぽの台地に拓くは愛の豆畑編
なんじゃあ、この表題は。
…しばくぞ、天の声。
失礼。
相も変わらず痴女皇国・国土局長の地位にある室見理恵ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、私はブラジルに来ています。
厳密に申しますと、痴女皇国世界の南米尻出国。
この国は、欧州はイベリア半島に所在する海綿菓子国、すなわちポルトガルの衛星国家として建国されたばかりです。
そして、アマゾン川流域のマナウスに住む女戦士族の族長とポルトガル国王の息子さんが婚姻を結ばれた結果、息子さんは初代尻出国皇帝を名乗られました。
この建国に際してはかねてからポルトガルと仲が悪かったスペインとの確執が絡んでいたのは、R18の方のアルトさんのお話などで出ていましたね。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/176/
でまぁ、諸々あって南米大陸の利権を調整したり、はたまた今後の国家経営方針を策定したり等々の結果なんですけどね、私がこの尻出国に来た理由。
で、今回の私の仕事はクレーゼ通商産業局長の依頼でして…このかんぽの大平原を切り拓いて畑にするだけでなく、尻出国の新しい都に定められたリオデジャネイロや港町のビトリアと、内陸地を結ぶ鉄道や道路の建設を手掛ける予定です。
いえ、連邦世界だとブラジル連邦共和国には、内陸部の鉱山から鉄鉱石を積み出して港までピストン輸送する専用鉄道が2〜3本ほど存在しております。
そして、そのうち1本はまさにビトリア港にあるツバロン製鉄所と、そして鉄鉱石運搬船専用埠頭が存在する場所にある貨物駅を起点として延々と内陸に伸ばされ、大規模な露天掘りの鉄鉱山との間を結んでいます。
オーストラリアやアフリカのモーリタニアやスウェーデンのキルナ鉱山にも存在するその手の鉄道にありがちな、全長2〜3キロの鉱石運搬列車がごく普通に走っている光景を見ることができますよ、そこに行けば。
(ちなみにビトリア・ミナス鉄道は旅客列車も走らせています。もっともメーターゲージ…日本のJR他の線路よりレールを敷いてる幅が狭い、タイなどと同じ1,000mm軌間なのもあって約700キロを走るのに10時間以上を要しますが)
(パイセン、観光案内ですか…確かにあたしもその、ツバロン製鉄所やイタビラやサミトリ・ブルクツ鉱山の視察に同行しましたが…)
(エマちゃん連れて行って鉱滓ダム決壊被害の修復と、ブルクツを再採掘可能にする処置をしたげたお礼だって、現地の特産の宝石いっぱい貰ってたの誰よ…)
(おかげであのインペリアルトパーズの原石とか加工して、尻出皇帝の帝冠とかお妃様への装身具にしてポルトガル経由で痴女皇国から贈呈してあげることできたじゃないですか…)
(それはいいんだけど水晶とかアニサちゃんや瞳さんやティアラちゃんへの装身具にして渡していたでしょ…どこの世界に臣下に逆賄賂というかお尻を貸させるために貴金属を握らせる皇帝がいるのよ…仮にも皇帝なら、ベラちゃんの権力の程度を考えてもさ、別に犯していいんじゃない?)
(強姦したら懲罰委員会じゃないですかっ)
ああ、私も痴女皇国の考えに染まっていますね。
それはともかくとして、私が尻出国にお仕事をしに来ている理由ですがね。
確かに名目はクレーゼ局長からの依頼ですよ。
しかし実際にはマリアヴェッラ皇帝陛下、つまりさっき観光列車云々を言ったベラちゃんがかんぽの大平原とカンポ・デ・セラードをそれぞれ視察して見比べた結果、必要なことが突きつけられたのを知っております。
で、何を要求されてんのか。
単純、そして端的に申し上げます。
豆を大きくして。
いえ…失礼しました。
大豆畑、それもブラジル連邦共和国では日本の面積に匹敵するまでに拡大された畑とまではいかねど、痴女皇国世界の食料事情を改善するための商品作物として、はたまた尻出国の主要輸出産品生産のために、大規模な大豆畑を作って欲しいという要望です。
そして、具体的にはですね。
・まず灌漑用のお水、なんとかして。
・酸化鉄分を含み土壌PH値も酸性に振り切ってる土、なんとかして。
・ついでに日本列島くらいの面積を最終的に畑にしちゃうから、農産物の輸送手段考えて。
…しばくぞ、まりりとベラちゃん。
いえ、これらは全て、ブラジル連邦共和国はカンポ・デ・セラードと呼ばれる中部の台地に広がる大平原に所在する大豆畑では解決され、「他国に輸出できるほどの収穫高を誇る」量の農産物が大型トレーラーなどで港へ向けて積み出されています。
しかし、その解決方法をまるっとそっくり痴女皇国世界の尻出国で真似るわけにはいかない事情が存在するのです。
まず、お水。
これは、ブラジルの場合はセラードを流れる大きめの川にダムを作って灌漑用水を取水しています。
更には、地下水を汲み上げて対応している場合も。
ですが、痴女皇国世界でセメントだコンクリートだ鉄筋だと用意して、ダムを建設せぇっちゅうんかい。
そもそも鉱物資源が少ないのが痴女皇国世界の悩みどころやろがいっ。
何のために尻出国のアマゾンの大密林に目ぇつけたと思っとるんじゃいっ。
鉄骨や鉄板の代わりに半生体樹脂で補強した木材を各種建材や構造材に使いたいからやろがいっ。
失礼。
で。鉱物資源が少ない件は今後建てる建築物にも悪影響を及ぼすの、はっきりしているんですよ。
と申しますのもですね…聖院を開いた初代様と、比丘尼国を開いたおかみ様の姉妹が世界中の活火山をあらかた止めて下さったおかげで地震や噴火の凶悪な被害に悩まなくなった痴女皇国世界の地球ですけど、その反動でですね、採掘可能な石灰石や硫黄が少ないってのが判明しとるのです。
つまり、火薬は元より化学工業原料に使う硫酸などはもちろん、セメントやコンクリートに用いる石灰石が少ない。
加えて、鉄鉱石も連邦世界の地球の良くて半分の埋蔵量とあっては、鉄筋コンクリート構造の建築物を大量に建築できないことになります。
そう…ダムを作るには砂防ダムのような土石を積み上げた堤防のようにするか、さもなくば初代様が築き上げた聖院開闢記念大堤…他ならぬ痴女宮のすぐ裏に存在する石造の上にオーパーツで補強したようなあの巨大ダムのごとき代物を築く方が手早いのです。
ですが、砂防ダム形式ですと水力発電設備を併設しにくいんですよね…川から離れた場所まで用水を引くにしても高低差が存在しますし。
(最悪の場合、鉄扇公主能力で人工降雨しかありませんか…)
(だから大抵の建材が現地の木材をそのまんま使うか、合板成形と硬化樹脂処理で何とかなる上に面倒くさい事しなくても黙って雨が降ってくれる熱帯を優先的に開発してるって切羽詰まった理由があんのよっわかってるのベラちゃん…)
(北方帝国にもシベリアの木材を西へ運ぶためにシベリア鉄道を作る話になってましたね…あれ、冬場の燃料と建材確保が目的ですか…)
(木材ならチンポネックスさえ使えば早期に森林復旧が可能だからね…根っこさえ残せば数ヶ月で元の森に戻るとかどんなチートよ…)
そうです。
南洋島や痴女島でも木材の伐採と資源化を本格化する動きがあるのですが、その背景には南洋島や茸島でのおめ…お米の三毛作四毛作を実現するだけでなく、灸場他で砂糖きびを大量栽培したり、アルゼンチンチンや流刑地国他で小麦やとうもろこしを三毛作四毛作で作れてしまう驚異の鬼細胞由来ファンタジー系合成肥料たるチンポネックスの存在があります。
比丘尼国の鬼族の最高位にあって、かつ比丘尼国から痴女皇国への出向者でもある外道丸ちゃんこと酒呑童子さんの血液細胞をベースに製造されたこの特殊変態肥料ですが。
その効果は、田んぼや畑に撒くだけで、そこに植えられた稲なり麦なりが驚異的な植物の生育速度と害虫耐性を身につけた改良品種になってしまうのです、勝手に。
そして最速1〜3ヶ月で収穫可能になるという驚きの効果をもたらします。
ただ、ですねぇ。
このチンポネックスには重大な副作用が存在します。
いえ、痴女皇国では起きて欲しい部類の副作用災害でもあるのですが、それにしても起き過ぎると現地の農作業員の仕事が手につかなくなって困りますので制御は必要なのです。
何が起きるのか。
もはや申し上げるまでもない気もしますが…散布されたチンポネックスの霧をうかつに吸い込んだが最後、この室見が命名させて頂きました「愛の麦畑現象」が起きてしまうのです。
(でもパイセン、言うまでもありませんけど、灸場はもとより茸島や南洋島の農場でも一島丸ごと痴女皇国の荘園化めいた政策に向けて試行錯誤を重ねているじゃないですか…南洋島なんて罪人や女官への報償金経理業務削減とか言ってですね、オリューレさんったら無給化の提案までしてきてるんですよ?)
(あー、あれね…よくもあんな無茶なこと思いつくわよって思ったけど、考えてみたら灸場でも一般罪人と重罪人については実質無給に近い制度やってるからね…)
そう、人の三大欲望について、睡眠と食欲とアレの欲求を痴女皇国で満たしてあげる代わりにお給料ナシねという、およそ現代地球の民主主義国家はもちろん、絶滅危惧種ですけど社会主義や共産主義国家からしても驚きの政治経済制度を模索する動きが存在します。
ただ、究極の共産主義を目指すとか、某銀河連合国家のような無貨幣体制を作りたい訳じゃないのははっきりしてるんですよ。
(要はオリューレさんが、南洋行政局で経理業務をなるべくやりたくないから。これに尽きるのです)
(財務局に人を回して欲しいとお願いしたところ、デルフィリーゼ様から「教育者なら行かせるから自分たちで育てよ」などと通牒を受けたのです!決して教育を疎かにしたいからではないのです!それに室見局長…田野瀬局長にお聞きするまでもないでしょうに…私も両替処時代ですが、財務は経験があるのですよ…デルフィリーゼ様に依頼して両替処勤務時代の経験記憶は復活させて頂きましたし、決して経理が嫌だからではないのです…)
と、当のオリューレさんから反論が返ってきました。
まぁ、確かにオリューレさんは聖院時代から騎士職以外の部署はあらかた経験済みですし、むしろ知っていないとおかしいと思えるほどのキャリアの持ち主です。
ただ、南洋行政局はグラスベルク金山の埋蔵量相当の予算を確保されている立場ですし、所轄領地が南洋王国そのものという事を考えますと、独自の財務・経理組織を有していてもおかしくない規模になる事が確定している部署ですよ。
更には南洋王国の少年国王となったカルノ君という子、あの子の後見人も最初はワル子さん…ワルトヒルディーネさんが担当していたのですが、いつの間にかオリューレさんの受け持ちになってているじゃないですか。
ベテハリ君とアニサちゃんの子供だって聞いてますけどね、あんな子を飼っているなんて、それこそ職権濫用という気がしますよっ。
(カルノを王たる存在に育てないと今度こそ査問らしいのです…室見局長もジニアの養育を東欧支部任せにしない方がよろしいかと)
(むー、正直そのへんはダリアに任せてるのよね…)
まぁともかく。
土についても、実のところはチンポネックス投入で何とかなる目処がついています。
仮に豆がすぐ生えなくても、レンゲやミントかドクダミか竹でも植えてからチンポネックスを撒いて育てて鋤き込めば土壌改良がなされるのも実験済みです。
(りええ、竹はやめろ…あれはユーカリの次に他の木を拒む生態があるから…)
(いいじゃん、筍も取れるし…)
(あれ、土壌汚染してでも他の植物が生えないようにする生態があるって知ってて言ってんのかよ…とにかく竹だけはやめとけ…)
はいはい。
で、出来たお豆の輸送手段ですけどね。
先ほど触れた農産物輸送、ブラジルでは鉄道網、あまり発達していません。
いえ、総合計すると三万キロ近い路線延長の鉄道が存在するにはします。
しかし、鉄道で全てをカバーするには国土が広すぎるのです。
で、アマゾン川流域では幅数キロにもなる川幅に橋をかけ密林を切り開いて道路だ鉄道だとやるより船を走らせる方が手っ取り早いとばかりに、河川船運がまず発達しました。
そして、アマゾンの流域の恩恵に与れない場所については、渋々線路を敷いたり道を作ったような状況があると思って頂ければ。
(何せ日本の22.5倍。アメリカ並みかそれ以上にみんな、飛行機乗るよねって場所だからねぇ…)
それとですねぇ、ビトリア・ミナス鉄道に類するものの建設を含めて、まりりからは厳命を受けていたりするのです。
ええ、他でもない、この大豆畑事業について。
(着手から1年以内に、最低でも50万トンの出荷が可能なように開墾して欲しい。連邦世界でのブラジルの大豆生産量は年によって異なるが1億トンを常時超えているから余裕のある数字だと思うんだけど…)
(その最低でもって数字に引っ掛かるものがあるわね。なんか需要があんの?)
(りええ…あんたも日本人だろ…大豆って何の原料だよ…)
…あああああ!
必要です、大豆。
確かにまりりから指摘されて思い出しました。
痴女皇国にも決して少なくない日本人、または日本の食生活にどっぷりハマっている連中。
その辺りからものすごいプレッシャーを受ける話です。
(Γενικός Διευθυντής Muromi. Αφροδίτη…アフロディーネですが、室見局長。雅美母様が何がなんでもその尻出国での大豆畑を性交、いえ成功させないと何が起きるか分かってるわよねと…ええ、私も同意見です。女官長経験者の先輩が暴力に晒されるのを見るに忍びません…)
(ペルセポネーゼです…アフロディーネ、あんたが豆腐入りの味噌汁を朝ご飯に欲しいからでしょ!)
(あのさぁ理恵ちゃん。納豆…水戸藩で生産、始まってんのよ…それとさ、比丘尼国の北海道を開墾して大豆畑作る件がさ、もたついてんのよ…なんせアイヌの人たちって日本型の農耕作業を知らなかった訳でしょ…つまり、この大豆は比丘尼国で消費量が洒落にならないくらいに旺盛になりつつあるお味噌やお醤油、そしてお豆腐の生産原料をまかなうためでもあるの…おかみ様からは、監獄国の囚人や筑豊口曲国の労働者とか、可能なら百姓が出来る労働力、数千人は尻出国に送り込んででも開発を進めるのに協力するからって…)
(りえ…わしがわがまま言うとるんちゃうんや…えどの連中がせっつきよってな…で、かすてらのくにやいすぱにあの仕事がどんくさいようやったら、おまえらせめほろぼしにいくぞとか、血の気のおおいさむらいどもがえどの幕府に来てはもんくをいうとんのや…)
(理恵さん、姉が申す通りなのです…わたくしもにほんじんの食べ物を雅美さんやマリアヴェッラ、更にはアレーゼにクレーゼやマリアリーゼの味覚を通じて知っておりますし、からだがあるときは頂いておりましたから申し上げますわ…この、おまめについては本当に比丘尼国で暴動がおきかねない話…)
(りええ…おかみ様や初代様が言ってる話は本当なんだ…そもそも江戸の開拓や江戸湾干拓の煽りを受けてだ、江戸前の魚の消費量が急増してるんだよ…で、塩だけで魚を食えとかむごい話になると思わねぇか…真剣に家光さんも大豆一揆なんかで倒幕されたら困るって嘆願を比丘尼国朝廷、それも大江山に入れてんだよ…日光の東照大権現扱いされて意識保存されてるタヌキさんまでもがお願いするって言っててさ…)
ふむ。タヌキさん…徳川家康様までが泣きついておられると。
どうでもいいんだけどさ、まりり。
そもそも関西人の雅美さん、納豆を食べられるのですか?
(理恵ちゃん…あたし、赤門なあそこ大学卒業生よ…つまり、東京生活が長いせいでダシの色が濃いうどんそばはもちろん、納豆にも舌が順応してんのよ…で、なまじ普通にあっちのご飯を食べられるからさ…はっきり言うけど、離宮のあたしのお部屋の調味料だけじゃなしに、本宮の女官食堂と罪人食堂、そして聖院学院の食堂で使ってる和食用の各種調味料ってさ、マリアちゃんのツテで海老原さんとこでさ、卸価格で一括購入して頂いてからNBのコンテナ便で聖院港に持って来てもらってんのよ…言うなれば抜荷…密輸で調味料をまかなってる状態なのよ? 流石にお塩や砂糖に卵に牛乳とか、内製できるものは罪人工場で製造してもらってるけどさ…)
ぬぬぬぬぬ、そんな裏があったとは…。
しかし、雅美さんは関西出身者の癖に頑なに関西弁を使おうとしなかったり、今の食生活の話にしてもそうですが、箱根の東に定着するような生態を意識して生活していたように思えます。
裏切り者とか言われないんでしょうか、同郷の関西人から。
(ジーナや。あのな理恵ちゃん…雅美さん、仮にもあっちの大学、それも曲がりなりにも日本の最高学府行った訳やろ…国家公務員はもちろんやけど、民間企業に就職するにしても全国に支社や支店のある大手を狙う事になるやん…雅美さんの考え方はある意味で正解なん、うちも嘉手納どころか世界ドサ回り、果ては宇宙空間にまで行って悟らされたからな…関西圏以外の暮らし方に順応する必要はあるからな…)
その割には関西弁、抜けませんね。
(ええやんっ。それに大豆話やけどな、大豆は基本的に乾燥保存さすもんやろ…せやからミリ飯でも登場する事が多いんや…水で戻す必要はあるけど、保存食としての価値は高いからな。マリアが豆植えろ豆増やせ豆いじれ言うんは、そこらも考えてる思うで)
(ええことないですっ。それに豆いじりとかさりげなくセクハラやめてくださいっそれもNBからはるばると超光速通信技術の無駄いをしてまでっ)
(田野瀬です。あのさぁりええ。あんたも食堂で食事してて不思議に思わなかったの? 確かに売り切れるのが早いから全食和食ってわけにいかないと思うけどさ、普通に和食、メニューに出てたのを疑問に思わなかったの?)
ええ、文教局長の田野瀬麻里子…私とまりりの高校時代の同級生だった女からも突っ込みを入れられる有様です。
ほんまにもう。
それに畑を切り開いたとしても大豆他、農産物を輸送する手段に車を大規模に使う訳ではありません。
確かに痴女皇国世界ではダンケ号やぱちもん号、それに無理ティプラなどを大量に運用しています。
その台数…乳上が言ってましたけどね、東欧支部管内、ぶっちゃけハンガリー国内に大規模な車検や修理設備を含めたデポセンターを設けて保守を行う必要があったくらい、絶賛増加中なのです。
で、当初は反社作戦の際に痴女皇国に拉致された逆谷突当さんがダンケ号に詳しい修理板金のプロということで面倒を見てくださっていたのですが、さすがに台数が千台を越すとこれはまずいという話になって、現在は三河監獄社とおっさん自動車、そしてイタリアの会社のサービスセンターをブダペスト近郊に設けて対応しています。
もっとも、逆谷さんの離婚した奥さんや子供さんの元に乳上が行って事情を説明した結果、痴女皇国に移住の上で再婚、奥さんは女官種同等一人卒化して若返るわ、子供さんも聖院学院神学部欧州分校に通えるわ逆谷さんご自身も一旦一人卒痴女種化した上で監獄社の期間工が受けられる正規社員登用試験に見事一発合格するというチートの恩恵に預かって、現在は監獄社の痴女皇国世界ハンガリー整備工場の技術主任という肩書きを貰っていますよ。
(サカタニは間違っても東欧支部から離しませんよ…今、私ども東欧支部に何台のダンケ号が存在するか、室見様はよっくご存じでしょう…ぱちもん号も増やして頂いておりますけどね、あれはダンケ号より更にとらっくというものそのものではないですか…私はまだ身長がありますからよいものの、小柄な女官からはやはりダンケ号の方がええとか嘆願が入っておるのですよ?)
ええ、痴女皇国開闢の後で持ち込まれた高収入求人号なる宣伝仕様の軽トラを預けられてからこちら、まりりから運転の適性を認められた乳上ことアルテローゼ東欧支部長様の率いる東欧支部では、その管轄の広さだけでなく平野部が多い地域特性からも自動車やオートバイの導入が積極的に行われています。
で、これは内緒の話なのですが、かつて痴女宮本宮や聖院学院本校に所在した歴史差異研究室、今は乳上の監督する文化科学宮殿の異名をとるルーマニアの東欧支部本部に移設されておりますが、そこに続いて、自動車の運転をするためにはものすごく重要な施設がハンガリーに設けられました。
そう…教習所です…。
これは国土局の所轄でもありますから、この室見理恵が知らぬとは絶対に言えない話でもあるのです。
更には欧州地区のダンケ号他の燃料ですね…ガソリンと軽油は、実のところ東欧支部の管轄のオデッサ…あの白いモビルスーツに縁のある黒海沿岸の港に受け入れ施設が出来ておりまして、土星衛星のタイタンと土星深奥部から採集されたメタン他の有機化学材料元素をエマちゃんが元素転換して精製したものを、アークロイヤル級にオイルタンカーモジュールを装備した状態で輸送頂いております…ええ、痴女皇国世界の土星の衛星軌道上に無人精製プラントを設置したのです…。
ただし、この精製プラントで作られた石油、痴女皇国世界の地球の産業革命をまかなうために大規模に増産する予定ではありません。
あくまでも痴女皇国の業務用として、やむをえずに連邦世界で自動車を購入して使っている分の燃料をまかなっているだけなのですよ。
ですから、五十万トンだの一千万トンだのという量の農産物を尻出国の内陸部から港に向けて運ぶのに、連邦世界のビトリア・ミナス鉄道のようにアメリカ製のいかにもアメロコ!という外観のディーゼル機関車を導入するわけにはいきません。
(木材を生産してもろてるのもですね、実は製鉄用の石炭に転換するためでもあるんですわ…)とは、エマちゃんこと、我が国土局のエマニエル建設部長です。
この方の正体もかねてから語られている通りで、MIDI、特にM-IKLAと呼ばれている無人救世主兵器の人型生体モデルたるインマヌエル型M-ILKA-22。
普段、私たちが見るエマちゃんの姿は人類向けにこの姿であるだけで、実態はそれこそ銀河系が1つまるっと入るくらいの容積の超空間超光速粒子回路集合体がその本体らしいのですが。
(ま、ほんまはうちやったら出来ない事から数えた方が早いんですけどな…例えば、痴女皇国世界の地球をそっくり、理恵さんが生きてきた地球の環境に揃えて必要資源を確保するとか)
(でも、それをやったら怒られるんでしょ?)
(ですねん…タイタンのメタンを持ってくるんでも、散々っぱらMIDI同士で喧々轟々侃侃諤諤、ようやっと承認もろた経緯がおますねんで…あと、元素転換プラント自体はルナテックス社がタイタン開発用に開発した標準モジュール製品でして、サン=ジェルマンさんの協力を得て設置してます。動力は木星磁場から界磁発電設備を介して得てますよってな、とりあえず半年に1回程度の定期点検しとくくらいで済みますわ)
で、生成された石油は無人タンカーシップ…連邦世界でもエウロパの水資源を他の場所へ輸送したり、まさにタイタンの石油化学資源を輸送するために使われているのと同型のもので地球の静止軌道上に設けられたデポ施設へ輸送され、そこからアークロイヤル級などで地上に降ろしておりますよ。
(軌道エレベーター建てたら話が早いんですけどな…マリアねーさんが建造許可出しよらんのです…文句はねーさんに)
(あんなもん痴女皇国世界に建てて一体誰が面倒見るのよ…)
(うちが分体出すから言うてまんねんけど…この世界には早すぎるわとか毎回それで喧嘩になってますねん…)
うん、確かに飛行機の発明すらまだ先にするって聞いてるし、いきなりあんなもん見せられたら卒倒する人が出ると思うから、ここはまりりの言う通りにしとこうね、エマちゃん。
(で、ビトリア・ミナス鉄道ですけどな。連邦世界と同じ場所に敷いたら川に沿ってぐねぐねさすしかないからトンネルと橋梁のショートカットで行きますねやろ?)
(さすがにあの線形はね…鉱石輸送編成がブレーキミスや保守不備でよくカーブで脱線してたし、仕方ないでしょ…)
これ、連邦世界のブラジルでは驚愕の方法で脱線を復旧してたんですよ。
狭くてどうしようもない場所以外は。
脱線した列車ごと線路を放棄して、すぐそばに新しい線路、敷いてたんです。
さっさと開通させて鉄鉱石を運べるようにした方が儲かるからって…。
日本ではあり得ない、国土が広いブラジルならではの豪快な方法ですけど、これを流石に真似るわけには行きませんし、だいいち西暦1900年頃の蒸気機関車で鉄鉱石列車を牽引していた時代と違って、私たちにはより進歩した技術があります。
で、以前お話ししました精気発電機を搭載した生体発電式電気機関車のBD69ですが、これは実のところこのビトリア・ミナス線と同じものを作る場合に備えた設計も盛り込んでいるのですよ。
見た目は日本国鉄で大量に生産されたDD51型ディーゼル機関車ほぼ、まんまですが実際にはアメリカ製のジェネシス型といわれる新鋭ディーゼル機関車と同等以上の牽引性能があります。
しかも4重連以上での総括制御運転、可能。
で、この機関車は主に比丘尼国で使う事を前提に設計していますが、ビトリア鉄道ではアマゾン分流などの川が長年にわたって大地を削ってうねうねと曲がりくねった谷をあちこちに作っている地形が存在しますので、標準軌の鉄道を敷くにはちょっと困ることもあるのがはっきりしています。
無論、エマちゃんが言ったように力技で新幹線並のど直線な線路を敷くことも我々には可能ですけど、ここはフランス製のCC07210型機関車ばかり痴女皇国世界に増やしても困ると言うことで、敢えて狭軌区間での運用を主に考えているBD69を投入するということで。
(理恵さんのお父さんの会社を儲けさせるためなのは内緒で)
(パイセン…職権濫用です…懲罰委員会ものですね…)
(だから欧州向けはこの木なんの木イタリアレイル社の英国工場でノックダウン生産させてるでしょうがっ。そこで尻出国分も作らせるだけよっ)
ええ、父の勤務先、このBD69で牽引する貨車や客車の生産に全力で噛んでおるのです。
ただ…父社は機関車の製造があまり得意ではないのです。
ですから、DD51同様にこの木なんの木社他に製造を丸投げしてるに近いのです…決して職権濫用でBD69を入れるわけじゃないんですからね!
-------------
べらこ「痴女皇国世界で使う分はNBのテンプレス・レイルウェイズ工場製造じゃないですか…痴女皇国世界の分は車体に樹脂強化木材とか、痴女皇国世界由来の複合素材使いまくってるでしょ…)
りええ「それは確定事項じゃない。日本の会社に製造法や特許やらでうるさく言われないためにNBで作ってるわけだし」
まりあ「で、テンプレス・レイルウェイズはあたしたちが100パーセント、株式を握ってねぇんだよな…」
りええ「え」
べらこ「パイセンのお父さんの会社…豊川社や放出新車センター社や通称オレンジ社にも出資して頂くことで、役員や出向社員を受け入れる理由にしてもらってるじゃないですか…」
まりあ「つまりCC07210型を作るよりもBD69を作る方が、うちらはともかくりええパパ社にはロイヤリティが入るのよな…」
べらこ「これがご実家への利益誘導でなくてなんなのか。あたしはパイセンに懲罰を要求します」
よしふみ「マリアヴェッラ陛下…実はオマリー陛下からも大豆の輸入は早急にって頼まれてんすよ…」
べらこ「あら中井さん、なんでまた」
よしふみ「ほら、俺は今、中米支部の料理人頭をやってて海賊共和国やアメリカ大陸に向いた料理の開発、やらされているじゃないですか…それに料理人の育成も…」
まりあ「つまり、中井くんはポークアンドビーンズやブラジル料理にメキシコ料理にチリやボリビアなどで広く親しまれている豆料理を広めている立場なんだな」
べらこ「それがなにか…あ、食料問題ですか…」
まりあ「これは連邦世界でもそうなんだけど、ペルーやボリビアの高地では食物にできる作物がとれにくいんだわ。で、乾燥させると保存性が高い豆は重宝されてるんだよ」
よしふみ「船員向けの船内のメシの食材としてもいいから、なんとしてでも作らせて欲しい。なんならカリブの島々や中米地区で大豆畑にできそうなところででもって、元海賊のティーチさんやロバーツさん、更には英国海軍のドレイクさんからも要望が来てるんすわ…」
べらこ「まさか、連邦世界のアメリカからキャンベルのかんづめとか輸入するわけにいきませんよね…」
まりあ「あれは当たり外れがでかいからやめとけ…で、トマトの生産も始めてるから、ポーク&ビーンズは作れる環境にあるんだよな、痴女皇国世界」
よしふみ「胡椒にトマトピューレにケチャップにスープストック、それから玉ねぎとベーコンは楽に手に入るようになってますよ」
まりあ「つまり、和食の食材以外にも豆…とりわけ大豆は各地でひっぱりだこなんだわ。りええ…あんたとエマ子に大豆畑を任せた理由がわかるな…みんなの期待がかかってるんだ…」
まさみ「既に銚子では醤油工場が建設されているのよ…この時代から既に銚子は漁港だから、今は魚醤をメインに生産してもらってるってクレーゼ様が言ってたけどさ」
べるこ「女官の中にも醤油や味噌を欲しがる者は決して少なくありません。そして、何より罪人たちの食事についても、比丘尼国に派遣して監獄国他で働く者たちの分を警務局と合同で手当する立場なのです、我が厚労局では…」
まりあ「というわけで、尻出国の国家経営にも関わる責任重大な話だからりええは頑張るしかないな。できませんでは良心がないとみなされるんだ…」
りええ「あたしは某黒電話の国の幹部みたいに失敗したら処刑される立場なのかーっ!」
ダリア「滝壺や堤防で済めば御の字ですわな…」
りええ「いやあああああああ」
まりあ「というわけで、R18の方ではインドネシアに該当する南洋王国の新王朝建国の件もあって話がかなり進んでいるが、未成年の方には申し訳ないそうだ」
べらこ「えっちぃな話がいっぱいなので読んじゃいけませんよ…(ペアレンタルロックの外し方とかプロキシの使い方とか覚えないでくださいね…)」
おりゅこ(皇帝の変態性欲からカルノと南洋王国を守り通す必要があるのです…)
べらこ「オリューレさん、あたしがあれこれするより以前に色々している気が」
りええ(どんなことをしているのかは、闇堕ちマリアの方に載ってるわよ…)
べらこ「では、R15版の方もよろしくだそうです…可能なら淫化編と明日輝編はR15で書きたいと」
りええ(そもそもインカ帝国が淫化帝国って名前の時点で絶対にR18版になりそうな気がするわね…)




