表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/296

ラ・マンチャの女 -Mujer de la mancha- 12

イザベル陛下がノリノリでアナウンスする案内、いえもといスペインと痴女皇国が手を組んだ結果の強大な国力を誇示する自慢トークに、騒ぐ寸前まで色めき立つ客席。


しかし、当の英国陣、わけても女王陛下は泰然としたご様子のようです。


なぜ泰然としているのか。


はい、プレフェンテ…一等車にお座りのドレイク護海卿・海軍大臣閣下。


(いやなに、私も周りから色々聞かれておりますが、山に穴が開き街の下を穴で通れるのですから、海の下に穴も開くであろうと返しておりますよ。なぁサトウ君)


ええ、アーネスト・サトウ痴女皇国派遣大使と同席しておられるドレイクさん、質問攻めとはいかねど、ブリテン島と大陸が繋がるとあっては周りの要人から気鋭新進の軍事国家がどう出るのか、色々と観測気球とか探査針めいた質問を入れられているようです。


で、実のところはどの程度、英国に対する情報公開が進んでいるのか。


(大英帝国王室と首脳部への鉄道関係説明会を設けた席で、りええとあたしがユーロトンネルの存在をプレゼンして教えてる。そして…連邦世界での英国やNBの現状もな…)


つまり、ある程度の階級には、かなりのところまで色々教えているのです。


その現状があればこそ、こうして爆弾発言もできようというもの。


少なくとも痴女皇国の傘下国・同盟国に関しては今回の鉄道について混乱を防ぐための説明役めいた役割を期待して、この記念列車に乗車して頂いております。


そして、ウチ(痴女皇国)の軍門に降り傘下に入ることが早ければ早いほど、恩恵は大きいとも。


「Le train passera bientôt par la gare centrale de Cordoue.Après la gare centrale de Cordoue, le train continue en surface jusqu'à la gare de Séville Santa Justa, la fin du tronçon à grande vitesse. Le personnel distribuera des boissons à partir de maintenant, veuillez donc retourner à votre place.」


(列車は間もなくコルドバ・セントラル駅を通過します。このコルドバ中央駅を過ぎますと、高速運転区間の終点となるセビリア・サンタフスタ駅までは地上を走行します。現在の天候は晴、気温は摂氏7度…水は凍りませんが、外はそれなりの寒さです。只今より係員が飲み物をお配りしますので、お立ちの方は座席にお戻り下さい)


ええと、ここでも国力自慢、さりげなく入ります。


まず、列車はまだ、穴の中です。


しかし、この先の気温や天候を把握した案内をしている件。


(ふふふふふ、今ロンドンでは小雨ちらつく気温9度ですなとサトウ君と聞こえよがしに話させて頂きましたよ…ええ、近くの席の北方帝国(おそろしあ)木靴大麻売春国(ねーでるらんと)蒸留酒蹴球国(ぽるすき)の者たちが顔色変えて騒ぎそうになっておりますな…そりゃあ、このような物を作られる方々、遠く離れた地の天候気象を知る事が出来るくらいは想像できそうなものですがなぁ…)


ええ、ドレイクさんは嫌味役兼、自慢役です。


それとこの話では恒例の国名がひどい件、今更ですが一応は文句を言っておきましょう。


そして、本当ならばスペインの大臣なり貴族なりがこの役目を負うのが正しい外交という気もしますが、この辺りの事情は18禁版の闇堕ちマリアでティアラちゃんが少し触れていた通り、今、スペインは内政的に激動の渦中にあるのです。

https://novel18.syosetu.com/n0112gz/180/


で、側近騎士のアナ・メンドゥーサ様…アナさんもティアラちゃんと一緒にこの列車のトゥーリスタ車…随行員用に指定された二等車に乗車していますが、本当ならばイザベルさんか誰かの隣で外交補助をするか、最低でもプレフェンテ車に乗っていなければならない立場なのです。


そう…これも、闇堕ちマリアでティアラちゃんやベラちゃんなどが触れてくれていますが、アナさんにはある嫌疑…もはや限りなくクロな罪の嫌疑がかかっています。

https://novel18.syosetu.com/n0112gz/180/


そして、ダリアと…北欧支部のある自由恋愛無修正猥褻物刊行国から派遣された臨時使節という建前のニオちゃんこと、ニオオフラーネさんが向かい合わせになった席で、アナさんの前に座っています。


ダリアからの視覚情報で見ていますけど、アナさんの顔はもはや赤黒くなっています。


これ、前田慶次郎さんの従者で忍者の捨丸さんがかつて教えてくれましたが、本当に言い逃れができない状態になると、人は血の気を失うどころか顔面や頭に血液が集まってこんな顔色になるそうですね。


つまり、アナさんは心話で問い詰められています。


で、この面子…特に、ダリアを前にして暴れたり逃げ出せる訳がありません。


アナさんの顔が汗だらけなの、決して列車の暖房が効きすぎだからでもないでしょう。


そう…話を列車自慢に戻しますと、多くの乗客は「暖かい」事に気付いています。


更には、今からワゴンで配られる飲み物。


ミネラルウォーター・コーヒー・紅茶・ワイン・ブランデー。


熱い冷たいがきっちり分けられている事に、何人が気付くでしょう。


ほほほほほ、現代工業水準技術の威力を思い知るがよいわ。


で、ちょいとダメ押しを。


「En passant par la gare de Cordoue, si vous avez déjà bu, posez une tasse ou un verre sur votre table de siège.」

(コルドバ駅を通過する際、既に飲み物を手にした方は座席のテーブルにコップまたはグラスを置いてみてください)


このイザベルさんのお言葉の意味を即座に気付かれる人も何人いらっしゃるか。


で、コルドバ駅の前後のポイント…つまり線路の分岐装置、ちょっとだけ特殊で高価なものにしてるってお話、しましたでしょ。


ここを時速70キロで通過したくらいじゃコップのコーヒーはこぼれませんよ、という意味です。


「Ce train roule plus vite qu'un oiseau. Et dans ce train, vous pouvez manger à bord sans renverser de boissons ou de nourriture. Il n'y a pas de tremblement, mais il y a un dispositif qui le supprime pour qu'il ne soit pas inconfortable.」

(この列車は鳥より速く走ります。そしてこの列車では、飲み物や食べ物をこぼさずに車内で食事をすることができます。揺れは皆無ではありませんが、不愉快にならないように抑える装置が付いています。)


そして…開通式に参加した人々は、クリスさんやまりりが運転していたロールスロイスと…痴女皇国の欧州地域各支部とのお付き合いがある人ならダンケ号などもそうですね…このセリエ1919型に使われているサスペンションとの関係性に気づくでしょうか。


更には、比丘尼国から輸出している板バネまたはコイルスプリングを装備した馬車の台車枠、即ち走行用フレーム部との関係性も。


そうです。


スペインが手にした工業水準について噂し、ヒントを与えるサクラ役の人が少なからず乗客に紛れていたりもするのです。


この工作制度で銃砲やら何やらを作るとどうなるか。


更には、馬に頼らない馬車が既に存在しているのを見せつけています。


こうした近代技術の軍事利用への転用を考えない人物、この時代にはいないと思うのです。


「L'armée espagnole a déjà lancé un essai conjoint de production d'un véhicule pouvant être remorqué avec des canons déchargés des navires. Cette recherche et développement sera un effort conjoint entre l'Empire britannique, le Duché de Lorraine et le Grand-Duché de Baden-Baden.」

(既にスペイン陸軍は、艦船から下ろした大砲を車に乗せて牽引する車両の共同試作に着手しています。この研究開発は大英帝国とロレーヌ公国、そしてバーデン=バーデン大公国との共同作業となります。)


(あーあ、言ーっちゃったー言っちゃったー♪)


(…誰よ…初期型とは言え戦車の映像、車内プレゼン用に紛れ込ませたの…)


ええ、ドレイクさんとサトウ大使の近くには、フローレシェーネさんと…そしてブリュントレーネさんが待機というか座席を充てがわれて座っています。


で、痴女皇国の罪人頭は目下、元・英国陸軍大臣護国卿であったクロムウェルさんが続投中。


このクロムウェルさんが陸軍に残る自派軍人に密書を流して、陸軍の名誉回復のためにこれこれこういう研究を推進して上奏いたせ、痴女皇国英国支部…英国聖母国教会に連絡を取れば王室に繋いでくれようとか云々と吹き込んでおられます。


ふははははは。


更には、画面に大写しになるのは…スイス地区本部に所在する車両ですが、目下ロレーヌ公国に貸し出されており、連邦世界だと自由恋愛王国に該当する国の自動車メーカー製品。


すなわち、この話ではボロボとか散々に言われている会社の大型トレーラートラックです。


意気揚々とバーデン=バーデン側の船着場を離れてライン川の河底トンネルに突っ込むトレーラーの運転席には鉢巻姿のマリーさん。


そして助手席には、マリーさん同様にエマちゃんスタイル…つまり、ド◯タ姿のフローレシェーネさんが。


「ドイツ南部でこれが採れるとわかったのはだいひっとですわねぇ」


「ほほほほほ、耐火煉瓦の原料となりますからねぇ…」ええ、悪役めいた高笑いを決めながらトンネルを抜けた先には。


ストラスブール郊外に設けられた製鉄場建設地とか、ドイツ語フランス語イタリア語英語でテロップが流れます。


で、到着したボロボのコンテナ扉を開くと、そこには山のように積まれたレンガが。


更に、パレットごとレンガを下ろしてしまう木製フォークリフトの姿すらも。


そしてカメラは、引き込み線が存在する一角に移動していきます。


解説役のマリーさんが歩いていく先には、試運転で停車している無蓋貨車と、それを牽引するBB69000…あの精気駆動発電電気機関車のBD69を標準軌版にしたものですが、既に貨車には石炭や鉄鉱石を載せております。


「この石はルールから船で運ばれてきたものですわ。で、この石と、隣におります()()()に積み込まれた燃える石を使いますと、この地にて鉄を精錬することが可能となりますの」


「ルールは現在、バーデン=バーデン大公国…即ち、痴女皇国南独支部の管轄下にあります。ルールから採れる石炭や鉄鉱石は必ずしも質が良いものではありませんが、最新技術を使えば高質な鉄に変える事も可能。更には、北欧から運ばれる超高品質鉄鉱石、英国とドイツ南部に送り込まれて船の材料となります」


そして、カメラはドローンで飛んでいるかのようにライン川に戻ります。


そこには、本当は鉄製じゃないんですけど、そのようにも見える()()丸型貨物船が、何隻か停泊している姿が。


そして、ゆり丸型の船首に後付けで自衛用として装備している小型の砲台に載った機関砲がくりくりと動きます。


次の瞬間に、火を噴く機関砲。


対岸のロレーヌ側で揚げられた標的用の風船が一瞬で弾け飛びます。


で、カメラはマリーさんの方に切り替わり、にこやかに説明する背後には、その機関砲本体が台座に置かれて鎮座しています。


いえ、ただの台座じゃないです。


とっても頑丈なことで知られ、中東地区やアフリカでは非公認軍用車両の扱いすら受けている、三河監獄社の製品(はいらっくす)の上に乗っかっているのです。


で、その運転席にフローレシェーネさんが座り、砲座にはマリーさんが。


(機関を始動しないと砲座を回転させたり、砲を駆動するでんきをもらえませんのでね…)


そして、走り出したピックアップトラックの上でマリーさんが砲身を向けた先にはいくつかの的が。


次の瞬間に、これまたバリバリと火を噴いて薬莢を撒き散らしながら、その標的を薙ぎ倒していく機関砲と、汚物を消毒する笑顔で射撃を堪能するマリーさんの姿が。


恐らく、これの持ち込みや操作指導者はジョスリーヌさんでしょう。


こんなもん、空気を吸うように操作できるなんて…ましてや、マリーさんに操作を教えられるであろう人物、痴女皇国広しと言えどもですね、まりりかジョスリンしか思い当たらないのです。


ジーナさんは戦闘機パイロットの人ですしね。


(マダム・室見に戦争女に思われているのですね…小官…)


(間違ってないと思うのですよこのカエル女わぁっ)


このデモ映像も、お乗りの皆様のうち、痴女皇国との交流がない方々の発狂を誘うのには充分すぎました。


更には、明らかに戦車や装甲車とおぼしき車両を何台も積んだ貨物列車の映像までもが。


ご丁寧に、冬の東欧か北欧(ばるとかいえんがん)辺りで撮影したのでしょう、雪景色の中の映像です。


つまり、この軍用車両の活動映像、北方帝国やポーランド王国の密使向けです。


どう見てもウクライナからロシアにかけての黒土帯が毎年春になると雪解け水で泥濘地になる対策としか思えない装輪式・装軌式装甲車や、緊急牽引用らしいトラクターまで。


(今回の北方帝国攻略戦だと自製するのが間に合わないからって、とりあえず旧式のロシア系車両をかき集めたんだよ…新型の浮上タイプは流石にこの時代の人には操縦なんて無理だしな…)


で、この車両はフランスのル・アーブルでアークロイヤル級に積み込まれて痴女皇国世界に運ばれ、既にこちらのハンブルクと…そして、一部はカディスに荷揚げしているそうです。


つまり、ハンブルクは我々痴女皇国が既に抑えています。


更に、カディスに降ろした分。


ジョスリン率いる一隊が、()()には操作する模様。


ええ…アナさんの一派が、万一にも内乱を起こした場合、鎮圧用火力や兵員輸送用として運用するためなのは明白。


ベラちゃんと私のやりとりだけ聞いていれば平和でアホやってるような痴女皇国ですが、裏ではきっちりとこの世界に対する経済的・軍事的プレゼンスを有しており、事あるごとにその影響力を知らしめているのも事実です。


(ちなみにこの車両だけど、こっちである程度使ったら装甲車はNBに持って行って開拓用のアシにするから大切に使ってくれよ…一応は直せるけど、エマ子が泣くから…)


ま、このようにセコい女もおりますが、トラクターは米大陸やウクライナで使うらしいのでよしとしましょう。


あの超絶だだっ広い大地で麦畑などを開拓するには、もはや機械化は必須。


愛の麦畑を実現し、精気授受を捗らせるためにも耕地開発は必須なのです!


------------------------


マリア「確かに畑は必要だが、そこで精気授受する必要あんのかよ…」


りええ「青姦大好きの誰かとか誰かとか」


べらこ「そこまでしてやる気はありませんよ…遠いし…」


りええ「ジーナさん今NBよね。あっちの麦畑開発もやってるよ」


べらこ「NB出張の機会があれば是非考えましょう」


りええ「墓穴を掘った瞬間を見た気分ね」


べらこ「パイセンの誘導尋問がいけないのです!」


マリー「鬼細胞持ちが麦畑でアレをすると豊作になりますわよっ」


マリア「その手があったか!」


他全員(実利が伴うなら速攻で手のひら返して青姦を奨励するうちの国って、倫理的にどうなんだろう…)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ