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第六十話 一時停戦

 俺は無力化したギルバートの手足を、近くに落ちていた紐でガッチリと縛った。

 これで手足は使えなくなったが、こいつの事だ、すぐ抜け出してくるだろう。

 もうこれ以上四聖剣と戦いたくないし、深手を負わせておきたい所だが、悪い奴ではなさそうだし気が引ける。

 そう考えていたのも束の間、地面に高速で移動する影がチラついた。


「上……!?」


 俺は一度ギルバートから離れた。

 視線を俺が立っていた位置に戻すと、一人の男が立っている。

 スラッとした体型で、白髪混じりの黒髪と顔のシワから見るに、年齢は50代と言った所か。 熟成された大人の色気を感じる。


「ギルバートがやられるとは、なかなかの腕前の様ですな」

「お、お前は……?」

「私はソラス、四聖剣の役職を拝命しております。 以後お見知り置きを」

「また四聖剣かよ……」

「"また"という事は、アウゼスをやったというのも君ですか?」


 ソラスが俺のことを睨む。


「ああ、間違いない」

「それでは我々の敵という事で間違い無いですね。 本当は争いなどしたくはないのですが」


 ソラスは腰に携えた一本の剣を抜く、その剣はオーソドックスな両刃剣だ。 持ち手の部分には大きな橙色の宝石が埋め込まれている。


「それでは」


 ソラスは剣を構えた瞬間、俺の視界からソラスが消えた。


「四聖剣を二人も倒したというのに、その程度ですか?」

「後ろ!?」


 気がつくと背後にソラスが立っていた。 そして何やら腹部にジンジンとした痛みが走っている。 腹部を見ると、服にうっすらと血が滲み出していた。


「斬られた!? いつの間に!?」

「私の剣は王国で最速です。 とは言え、せめて反応くらいはしてもらいたかったものですが」


 どんどんと痛みが強くなる、このままだとまずい。

 俺は自然治癒(ヒーリング)で自分の傷を治癒してみる。 すると自分の身体に対しても使える能力(スキル)の様で、傷口は塞がり流れる血が止まった。


「なるほど、治癒ですか、便利な能力(スキル)ですな。 しかし斬られ続けていては治癒も追いつかないのでは?」


 またソラスが剣を構える。


「斬られなきゃ良いんだろ……!」


 俺はソラスが斬りかかって来る前に、絶対零度(アブソリュートゼロ)でドーム状の氷壁を周囲に出現させた。

 これで斬りかかって来るにはどこかの壁を破壊しないといけないはずだ。


 数秒後、正面右方の壁が爆音とともに割れる。 そのタイミングに合わせて俺は高速移動で攻撃を回避した。 来るタイミングさえ分かれば、ソラスの攻撃もギリギリ見ることができる。


「なるほど、複数の能力(スキル)を使うと。 初めて見る能力(スキル)ですね、面白い」

「よく言われるさ。 アンタ正直戦いたくないって言っていたよな、戦わないっていう選択肢はないか?」

「王宮に侵入し、四聖剣にまで被害を与える危険人物を見逃せと? そんな都合のいい話は聞き入れられませんな」

「俺だって何も戦いに来たわけじゃないんだ、誰かを傷つけたいなんてこれっぽっちも思ってない。 ただ、捉えられ虐げられている人々を助けに来ただけなんだ。 本当だ、信じてくれ」


 俺を睨んでいたソラスの表情が一瞬柔らかくなる。

 俺の目をじーっと見つめた後、ソラスが口を開いた。


「言葉に嘘偽りはなさそうですな」

「ああ、だから……」


 ソラスの柔らかい表情がまたキリッとした表情に戻る。


「とはいえ、人々を逃すというのは王の意思に反する行為。 四聖剣である我々はそれを止めねばなりません」

「戦うしかないのか……」

「私に一撃喰らわせることができたら、話を聞きましょう。 話次第ではまた戦うことになりますが」

「聞いてもらえるだけでもありがたい」


 ソラスの剣は速く、真正面からやり合ったら確実に剣をもらうことになってしまう。

 どうすればソラスの攻撃を回避して攻撃できるだろうか。 俺は自分が使える能力(スキル)を思い出しながら作戦を立てた。 

 ——1つ、これならという作戦が思いついた。 試してみるしかないか。


「それでは宜しいかな」


 ソラスは再度剣を構える。

 そのタイミングに合わせて、俺は再度ドーム状の氷壁を張った。

 先程と同様に一箇所氷壁が破壊されたかと思った瞬間、別の方向の氷壁も破壊された。

 複数箇所破壊した上で中に斬り込んでくるつもりなのだろう。 そうなると俺はソラスの剣を避けられないかもしれない。


 突然ソラスがドームの中に出現する。

 どうやらドームの中心に立つ俺の身体はソラスに切られてしまった様だ。

 だがそれはドームを張った際に配置しておいた俺の幻影。 本物の俺はドームの頂点部分にぶら下がっている。 俺は空中から飛び降り、ソラスに向かって拳を振り下ろした。


「別の気配!?」


 ソラスは驚きの声をあげる。

 俺の拳は俺の方を向きかけたソラスの顔を直撃した、ソラスは殴られた勢いで地面に倒れた。


「これで話を聞いてもらえるかな」

「大層な能力(スキル)を沢山お持ちの様ですな。 決闘中の約束です、話を聞きましょう」

「よし! こんな所で話すのもなんだから、他の場所に移動しよう」


 俺は空間転移(テレポート)を発動し、西の都のほとりの崖の上に転移穴(ポートホール)を開いた。


「驚きました、空間転移(テレポート)まで……」

「悪さはしないから入ってくれ」

「分かりました、ギルバートも一応連れていきましょう。 あの状態でここに放置するのも酷ですので」


 ソラスは手足を縛られ地面に横たわるギルバートを指差した。


「ああ、そうだな」




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