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第五十九話 敵意のない戦闘

 俺は王宮内で水の能力(スキル)を操る四聖剣に遭遇した。


「さあ、まずはこんなのでどうだい?」


 男は人差し指の先を俺の方向に向ける。 その瞬間、指先から何かが放たれた。

 俺は辛うじて飛んでくる何かを回避するも、来ている服に一筋の切れ込みが入る。

 背後の石壁を見ると大きな窪みができているが、あいつは能力(スキル)で水を発射したのだろうか。 水でこの威力ってのは信じられないが、そうとしか考えられない。


「良かった、避けてくれたんだ! こんなのでくたばってもらっちゃ困るし、まだまだ避けてね!」


 男はそう言うと、今度は先ほどの攻撃を連発する。

 高速移動(ファストムーブ)で何とか避けているものの、この猛撃はいつまで続くのだろうか。 いつまでもこうしている訳にはいかない。 この音を聞いて他の兵士がやってくるかもしれない。 早くケリをつけて姿を隠さなければ。


高速振動(バイブレーション)!!」


 俺は壁に手を当て小道全体を大きく揺らした。 天井から砂埃が降ってきたと思うと、天井が崩れ始めた。

 俺は高速移動(ファストムーブ)で小道を抜け、塔のような建造物がある空間に戻る。


「これでやれ………」


 そう口に出したのも束の間、小道から大量の水が流れ出てくる。

 大量の水が流れ切った後、奥から平然とした顔をした男が出てきた。


「いや、地形を活かした良い攻撃だった。 僕じゃなかったら多分死んでたよ!」

「相変わらず四聖剣ってのは化け物かよ……」

「そういえば自己紹介をまだしてなかったね、僕の名前はギルバート。 ギルって呼んでくれて良いよ!」


 このタイミングで愛称を言ってくるなんてどう言う事だ。 そしてこのギルバートっていう男からは敵意を全く感じない。 ここで戦う必要なんてないんじゃないか?


「俺はレン。 俺に対して敵意がないなら戦う必要はないんじゃ……」

「僕の場合は純粋な興味だよ、君をもっと知るために戦いたい!」


 ギルバートが掌を前に出すと、まるで津波のような大きな波が俺の方に向かってくる。

 俺は絶対零度(アブソリュートゼロ)で水を凍らせるもなかなか勢いが止まらない。 絶対零度(アブソリュートゼロ)の力を限界まで振り絞り、やっと目の前で水の勢いは止まり、氷になった。

 安心するのも束の間、ギルバートは氷の上を走り、剣を構え俺に飛びかかってきた。


 アウゼスの剣とは異なり、ゲームで見たことのあるようなレイピア状の剣だ。

 しなりが効いた剣は、ギルバートが振る腕よりも速く目標に到達する。

 辛うじて避けられたものの、トリッキーな剣はとても戦いづらい。


「話聞いてたか? また別の機会に戦えば良いんじゃないか?」

「まさに今僕は高まっている、この高ぶりを抑えられずにはいられない!!」


 ギルバートは笑顔で剣を振る。 アウゼスとはまた違った意味でぶっ飛んだ奴だ。


地獄業火(インフェルノ)!!」


 俺はアウゼス戦で発動した炎の剣を手元に出現させる。


「良いねぇ!」

「こうなったらやるしかないか……!」


 俺は炎の剣をギルバートに向けて振る。

 ギルバートは剣で防ごうとするも、この剣は実態がないので、すり抜けてギルバートに向かう。

 ギルバートは咄嗟に水の壁を出現させ、俺の炎を鎮火した。 ジュウゥゥという音とともに蒸発した水が辺りを曇らせる。


「今のは危なかった、この件も使い物にならなくなっちゃったね」


 ギルバートの剣はあまりの高温に折れ曲がってしまっている。

 ギルバートは剣をその場に捨て、屈伸をし始めた。


「この能力(スキル)、ハウエル先輩の能力(スキル)だね? ハウエル先輩と会ったのかい?」

「ちょっと野暮用でね……」

「ふーん、またハウエル先輩と一緒に戦いたいなぁ…… あの人には一回も肉弾戦で勝てなかったし!」

「俺は一回あの人を気絶させてるけどな」

「えっホント!? 尚更君に興味が湧いてきた! 本気で行くよ!」


 ギルバートが何かを掴むような仕草をすると、俺の足元から水が吹き出し俺の体を完全に包んだ。

 息ができない、水中なので水が重くて体も思うように動かない。

 水の外でギルバートが何か喋っているようだが、水の中なので何も聞こえない。

 ギルバートが手を動かすと、水がどんどん重くなっていく。 水がどんどん俺の体を潰しにかかっている、水圧が上がっているのか。

 まずい、息ももう持たないし、この水から逃れることもできない。 俺にできることは……そうだ!空間転移(テレポート)!!


 俺は目の前に転移穴(ポートホール)を出現させ、流れる水流に身を任せた。

 俺の身体は水と共に王宮の外に流される。

 ゆっくりと呼吸ができることに感謝しながら、俺はその場で横たわり身体に酸素を取り込んだ。


「あの状況で脱出できるなんて、やっぱり君すごいよ!」


 クソ、転移穴(ポートホール)をすぐに閉めるべきだった。 ギルバートも転移穴を通って後を追ってきてしまった。

 ギルバートは横たわる俺のすぐそばに近づいてくる。


「もう限界かな? 君ほどの才能、殺すには惜しい! 王に掛け合って僕の修行の相手役にしてもらおう!」

「絶対に嫌だね……」


 俺は地面にできた大きな水たまりを絶対零度(アブソリュートゼロ)で凍らせる。

 水たまりに踏み込んできていたギルバートの足は地面に固定され、動けなくなっている。


「ハウエルもそうだったけど、油断は命取りだぜ」


 俺は高速振動(バイブレーション)で動けないギルバートの意識を飛ばした。





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