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第五十五話 王宮の情報

 俺の能力(スキル)で目覚めたセリカの父親に、王宮内部で起きていた事について話を聞くことになった。


「聞いた話だと異世界人と一緒に装置の様なものに入れられるとか」

「それはもう知っているのか、セシルに聞いたのか?」

「セシル……?」


 俺が首を傾げていると、隣からセリカがひょこっと顔を出す。


「私のお母さんの名前です!」

「なるほど、そういえばお名前をまだ聞いてなかった」

「どうだったね、命の恩人にこれは失礼した。 私はルパート、知っての通りセリカの父親だ。 それと今言った妻のセシル、娘のセリカの3人家族だ」

「俺はレンです、改めてよろしくお願いします」


 俺はルパートさんにお辞儀をする。


「それで話は戻るが、異世界人達は死んではいないと思う」

「本当ですか、何か見たりしたんですか?」

「ああ、私が開いた転移穴が何者かに封じられてしまう事があってね。 その時、装置から連れ出される異世界人を見たんだ。 その人は小さな声だけど喋っていたよ、"元の世界に返して"ってね」


 "元の世界に返して"という言葉が胸に刺さる。 彼らは現実世界で見たニュースの被害者だ。 日常生活を送っていたら急に拉致されただけの罪もない人々だ。

 俺の場合はこの世界に来て、チートとも呼べる能力(スキル)を授かったから良かったものの、彼らは能力(スキル)の存在すら教えられていないんだろう。 生きている可能性があるのであれば、救いたい。


「また助けに行かなきゃって顔してるね」

「えっ、そんな顔してますか?」

「深刻そうな顔しているよ、あまり気負いすぎない方がいい。 助けられた私が言うのもなんだがね」

「はい……」

「なんだか一人で色々なものを背負いすぎる性格の様だね、レン君は」


 この前玲奈にも同じ様なことを言われた気がする。

 正直そんな意識はないんだが、周りにはそう見えているのか。


「助けられるだけの能力(スキル)を持っているので、ここで何もしないって言うのは見殺しにする様なものなので」

「確かに君は空間転移(テレポート)も使えるし、どうやら他の能力(スキル)も使えるみたいだね。 確かに凄い力なんだけど、四聖剣や王と闘うとなると別かもしれないよ」


 確かに、アウゼス一人倒すのに俺は相当な怪我を負った。

 これから後3人倒して、尚且つどんな能力(スキル)かも分からない王と戦うには一人では無理かもしれない。


「味方ですか……」

「その方がいいと私は思うよ、協力してくれる人を探すのは大変だと思うけど……」

「少し考えてみます。 あ、後もう一つ知りたい事が」

「何だい?」

能力(スキル)を無力化する能力(スキル)のことです」


 俺の話を聞くと、ルパートさんは来ている服の袖を(まく)った。

 そこにはセシルさんの首筋にあったものと同じ柄の痣がそこにはあった。


「あのロエルという少年に触れられた瞬間、ここに鈍い痛みが走って、見てみたら痣ができていた。 そこから私たちは能力(スキル)が使えなくなってしまったんだ」

「つまり、触れられると痣が発現して、能力(スキル)を使えなくなるという事ですね……?」

「ああ、恐らくそうだ。 その能力(スキル)に加えてあの身体能力だ、全く恐ろしい少年だよ」


 身体能力…… そういえば俺が出した氷の壁も一突きで貫通していたな。

 もしあのロエルという少年と戦うことになったら、物理的な接触は避けるしかないのか。


「その情報を聞けただけでもアイツと戦うときに少し有利かなと思います、ありがとうございました」


 俺が感謝の意を伝えると、ルパートさんが少しだけソワソワし始める、何か言いたげだ。


「そ、それでレン君、私からも質問したいんだが……… セリカとはどういう関係なんだ?」


 突然の質問に俺とセリカの目が合う、お互いなんと答えたら良いのかわかっていない様だ。 ここは俺の方から伝えておくか。


「僕とセリカさんは……」

「恋人なのか……!?」


 ルパートさんがとてつもない目力で俺を見つめてくる。 思わず俺は目を逸らしてしまう。


「お父さん、レンさんと私はただのお友達だよ!」

「何、恋人でもないのに私たちを助けてくれたっていうのか。 レン君は神様なのかな?」

「いやいや、僕もセリカさんには色々とお世話になってるんですよ。 なんていうかその恩返しというか……」

「なんだそうなのか…… 恋人だったら結婚の話とかになるから厳格な父親にならないといけないと思ったんだが……」


 俺たちの会話を聞こえたのか、セシルさんがこちらに向かって歩いてくる。


「あなた、冗談はその辺にしておきなさい。 私たちの命の恩人ですよ、そんな人がセリカと結婚するっていうなら私たちは喜んで見送るべきところですよ」

「確かにな、厳格な父親なんて流行らないし止めておこう」


 なんだろう、セリカが友達と言い切ったにも関わらずまだ話が続いている。


「お父さんもお母さんも勘違いしないで!」


 痺れを切らしたのかセリカが二人の間に入り弁解をしている。

 なんだか家族団欒といった様子で、微笑ましい。 セリカが楽しそうで本当に良かった。


「あの」


 話を聞いていたレナが口を開く。


「空気を壊してしまったらごめんなさい、王宮にリベラという女性はいましたか?」


 レナの質問に、ルパートさんの表情は真面目な表情に戻った。


「リベラ、顔は知らないが王宮内でその名前を聞いた事がある。 どうしてだい?」

「——私の母なので」



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