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チートスキル "スキルドレイン"をもってすれば、陰キャでも世界を救えます!  作者: 久間佑(くますけ)
第二章 ボルグラン編
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第三十九話 新支配人

 セリカの唇が俺の唇に重なる。

 あまりに突然のことに、何が起きているのかを理解するまでに時間がかかった。


「セリカ……?」

「フェラルさんばっかりズルいので私も……」

「そ、そっか」


 今日のデート、ここまで気まずさも緊張もなかったが、帰り際になっていきなり緊張する瞬間が訪れた。

 ——っていうか陰キャの王とも言える俺が、昨日今日で3人の女の子とキスをするだなんて一体どうしてしまったんだ。


「私、レンさんの事お兄ちゃんみたいだと思ってるって言いましたよね」

「あ、ああ」

「私は一人っ子ですし両親も遠出してばかりなので、レンさんが一緒に居てくれて嬉しいんです。 そんな私のお兄ちゃんみたいな人にフェラルさんがキスしてるのを見て、心がざわざわしちゃいました……」

「……なるほど、でも普通兄妹はキスなんてしないと思うけどなぁ」

「えっ!?」


 前を歩いていたセリカが驚いた表情をして急に振り返る。 

 俺は何か変なことを言っただろうか。


「き、キスって親しい人にするものと昔お母さんが……」

「それは間違っちゃないけど、普通は恋人とか……」

「こ、恋人……?」


 セリカの顔がどんどん赤くなっていくのが分かる。

 表情は固まり、どことなく挙動不審だ。


「きょ、今日はありがとうございましたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 赤面がピークに達したと思ったその瞬間、セリカは叫びながらその場を走り去って行った。

 昨日から何だか調子がおかしい、俺なんかが女の子とこんなにキスするなんて、一生に一度だろう。

 女の子の唇って柔らかいんだなあぁ……

 唇の感覚が残っている、どこか触れた箇所が火照っている様な気もする。

 俺は半ば放心状態で宿の自分の部屋に戻った。

 レナとセリカにキスをしてしまった手前、会うのは気まずいのでそのまま自分の部屋で就寝する事にした。



 *************************



 現実世界ではまだ平日、俺はいつも通り学校に向かう。

 教室に着くや否や、唯斗が俺の方にやってきた。


「俺のデートテクニック、いつ実践するんだ?」

「もう実践してみたよ、気まずい空気には殆どならなかった。 助かったよ」

「もうか!? 手が早いなあ、放課後デートなんていったい誰としてるんだかなぁ?」


 唯斗はニンマリと笑っている。


「誰でも良いだろ。あ、玲奈にはこの話をするなよ?」

「お、もしかして二股か? じゃあ早坂には俺がアタックしちゃおうかな……?」

「勝手にしろ! でもデートテクニックの話は秘密だ、男の約束だぞ」

「分かった分かった!」


 玲奈にこんなことが知れると多分またキレる、そんな状況になるのは避けたい。

 だけどそもそもそんな事隠す必要があるのか? 誰とキスしてようが俺の勝手な気もしてくる。 

 玲奈と恋人ってわけでもないんだし。

 若干のモヤモヤを抱えつつも、俺は一日を終え就寝した。



 **********************



「レン、今日は朝礼あるぞ! 起きてくれ!」

「ちょ、朝礼……? 支配人もいないのにどうやって……」

「良いから、とりあえず来てくれ!」


 俺はそのまま着替え、フェラルについて行った。

 階段を降りると、そこには宿の従業員が集結しており、レナの姿もあった。


「はい、これで全員揃いましたね!」


 その場を仕切っていたのは受付のダリアさんだった。


「皆さんも聞いているとは思いますが、支配人は諸事情があってこの宿を去る事になりました。 もう戻ってくることはないと思います。 そこでこの宿はどうなるのかなのですが…… 営業は継続します!」


 従業員から歓声が上がる、皆無職になる事は避けられた。


「そこで新しい支配人なんですが、フェラルにお願いしようと思います!」

「えっ、アタイ!?!?」

「この宿で一番長く働いているのはフェラルでしょ?」

「そ、それはそうだけど……」

「もちろんすべての仕事を押し付けるわけじゃないのよ、皆でサポートするから! それに元々この宿はフェラルのご両親の別邸って話じゃない!」


 恐らくフェラルが支配人の思考を読んだ時にその事を知ったんだろう。

 それにしても、だからこんなに設備や装飾が豪華だったのか、納得がいった。 王族の別邸だったとは。


「うーん、上手くできるか分からないけど、やってみるか!」

「よし、決まりね!!」


 従業員も皆拍手している。

 新支配人となったフェラルはその場でゆっくりとお辞儀をして、朝礼は解散となった。


「フェラル、おめでとう。 ここはフェラルの両親の家だったんだな」

「ああ、これまでここで何があったか、支配人の思考を読み取れちゃってな! 楽しい事も嫌な事もあった場所だけど、私にとっては唯一の家だ! これからは私が守るぜ!」

「頑張れよ! ところでお給料の話なんですが……」

「安心してくれ、こレまでのお給料は払うしこれからも働いてくれ! あと礼と言っちゃあなんだけど、宿泊料はいらないぞ! ボルグランにいる間は好きに寝泊りしてくれ!」

「それめちゃめちゃ助かるよ! サンキュー新支配人!」

「ふっふっふ、(あが)めよ(あが)めよ! 今日は仕事できそうか?」

「傷はそんなに深くなかったみたいだし大丈夫だと思う!」

「よし、じゃあ今日もよろしく頼むぜ!」


 俺は客室清掃の仕事を再開した。

 ハウエルとの修行が終わるまでここにはお世話になるし、フェラルの厚意はとても助かる。

 あとは俺がもっと強くなるだけだ。



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