第十三話 繋がっていく世界
次は現実世界っと……
またいつも通り朝食を食べながら朝のニュースを見る。
「——ここ数日相次いで発生している行方不明者多発事件ですが、昨日捜査に進展がありました」
お、やっと犯人の手がかりが掴めたのか。
いつも日本の治安を守ってくださりありがとうございます。
「行方不明者が消える瞬間を防犯カメラが捉えました、映像ですと黒い穴の様なものの中に被害者が引き込まれている様子が映っています」
俺は思わず持っていた茶碗を落としてしまった。
なぜなら映像に写っている黒い穴は俺も何回も見たことがある。
これは転移穴だ。
この世界に能力を使える奴が俺以外にいるのか。
だとしても何でこんなに人間を攫っているんだ。
だめだ、全く目的が分からない。
「こら蓮、茶碗を落として」
「ああごめん……」
何故こっちの世界にも能力持ちがいるんだ。
その疑問が頭から離れず、一日が過ぎるのが一瞬だった。
「どうした蓮、何か悪いことでもあったのか?」
「唯斗、いや何でもない」
「ならいいんだけどよ、お前塞ぎ込みがちなところあるから何かあったら言えよ? このスーパーポジティブな俺が何でも聞いてやるから!」
「ああ、そうするよ」
そんな会話をして唯斗と別れた。
転移穴の話なんて、しても信じないだろう。
ましてや異世界の話なんてしたら頭おかしいと思われるかもしれない。
今日も玲奈は帰り道に現れない。
今まで毎日絡んできてたものだから、急に現れなくなると調子が狂う。
学校にはいたんだけどなあ。
そうこう考えてる間に家に着いた。
食事、風呂、アニメのセットをこなし、俺は眠りについた。
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「レンさん! レンさん! 早くいかないとですよ!」
「ん‥… 支度の速さには定評があるからもう少し寝かせて……」
「ダメです! 起きて!」
セリカは俺の掛け布団を引き剥がし、俺の肩をブンブン揺らしている。
「起きてぇぇぇ!!」
俺の肩を持っていたセリカの手が滑り、セリカは体勢を崩した。
俺の上に覆いかぶさる様に倒れたセリカの唇が、俺の首筋に当たる。
突然の出来事に思わず目が覚める。
その瞬間入り口からシエラが入ってきた。
「おはよ〜! えっっっっ!?」
シエラが部屋に来るタイミングは毎度最高に悪い。
もはや部屋の外でタイミングを測っているんじゃないかとさえ思う。
少し顔を赤らめながらシエラは俺たちを見ている。
「一晩でここまで進展したの? アンタ達……」
「わわわわ、誤解です! 私はレンさんを起こそうとしただけで……」
「レン君、ドが付く程の草食系だからねぇ、襲いたくなる気持ちはわかるけど……」
「誤解です!」
「誤解だ!」
俺とセリカの声が見事にハモる。
よく考えたら毎朝こんなハレンチ騒ぎしてないか?
「ってこんなことしてる場合じゃないですよ! 出発しなきゃです!」
「えーっと、今何時…… まずい、レナと約束した時間の3分前だ!」
「早く準備して転移穴を!」
ベッドの脇に置いておいた荷物を取り、ゼラートの屋敷への転移穴を開く。
「じゃあ行ってくる、何かあったらここに帰ってくるからよろしく」
「は〜い、ご来店いつでもお待ちしてるよ!」
俺とセリカは転移穴を通り屋敷の庭に向かった。
「よし時間ピッタリ、セーフだな」
「できれば5分前には到着しておいて欲しいものだがな」
背後からゼラートの声がした。
振り返るとゼラートとエリスがいた。
その後ろには大型バンくらいの大きさの馬車があり、脇にはレナが立っている。
「すみません、準備に時間がかかってしまって」
「首長様初めまして、セリカといいます! この度は馬車を手配くださりありがとうございます!」
「これくらいどうって事ないよ。 それより君だね? 両親が王都に囚われているレンの友人っていうのは」
「はい、半年前から連絡がつかなくなっていて‥…」
「大丈夫、きっと見つかるさ。 このお守りを持っていってくれ」
そう言ってゼラートは青い宝石がキラキラと輝く首飾りをセリカの首にかけた。
「これは我が家に代々伝わる首飾りでね、きっと君たちを守ってくれる。 全てを終えて必要がなくなったら返してくれ」
「あ、ありがとうございます!!」
「レン君、帰ってきたら旅の様子を聞かせてね」
「おうエリス、任せてくれ! よし、じゃあ馬車に乗るか」
重い荷物を抱え馬車のほうに進む。
セリカがようやくレナの存在に気づいた。
「あれ、レナさん……? お久しぶりです! 何でこんなところに?」
「あ…… 」
「2人は知り合いだったのか?」
「はい! あれは確か…… ぶへぇ!!」
レナはセリカの口を押さえ馬車の裏に連れていった。
30秒ほど経ち、2人が出てきた。
「ひ、人違いでした!!」
「嘘つけ!!」
セリカは不自然に笑っていて、若干冷や汗を書いている。
どうやら嘘をつけないタイプの人間の様だ。
「この前市場でお会いして、少し世間話をしただけです」
レナは少し顔を赤らめながら言っている。
本当なのかは分からないが、彼女達が知り合いなのかどうかは大して重要ではない。
この後7日間一緒に過ごす訳なのだから。
「まあいい、早速向かうか、南の都に!」
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