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悪食暴食の感覚喰らい  作者: 陸海恋華
3/8

異世界転移と分からない能力

 視界を眩い光が満たしていく。爆ぜる音が耳を苛んでいく。永遠に続くかと思われたそれは、徐々に勢いを失っていった。


「う...」


 変わりに、視界は薄暗さを感じさせる色が見え始め、小さくゴオゥゥという音を耳に運んでくる。次第にそこは広間と分かる。


「...ここは?」


 目が慣れたのか、周りを見渡す讐花。自分の周りにいる他の生徒、正面に見える扉、そして、讐花達を囲むように息を切らして座りこんでいる人々を見る。


「......」


 讐花に緊張がはしる。しっかりと人々見据え、少しでも動きやすいよう中腰になる。そこに...


「...ん?ここは?」


 後ろから声が響いた。目をこすりながら起き上がるその声の主は天芽だ。


「おおぉ、成功だ!」

「神よ...」

「私達は救われる!」


 彼女の声で讐花達の存在に気付いたのか、次々と喜びの声を上げる。若干、不穏な言葉が聞こえた気がするが、讐花はスルーした。


「...う、何だったんだ、あれは」

「......な、何の騒ぎ?」


 その声によって一人、また一人と目を覚ましていく。そして、見覚えの無い所に動揺を表していく。


「ここどこだ!?教室じゃないぞ!?」

「嘘、誘拐!?」


 現状を呑み込めず、ある生徒は(うずくま)り、ある生徒は近くの生徒を掴んで疑問を呟き、またある生徒は今にも癇癪(かんしゃく)を起こしそうになっている。


「皆、落ち着きなさい!」


 そこに、生徒会長の仮面を被った天芽が一喝。生徒全員が彼女に注目する。天芽は、近くにいた一人だけフードを被っていた人に近寄り、声を掛けた。


「済みません、私達はある中学校の()()ですが、ここは何処ですか?」

()()様、やはり()()様なのですね!」

「?確かに私達は()()ですが...それより、ここは一体...」

「はい!それに関しては...」


 会話自体は出来ていたが、その中で多少のズレ?が生じていた。フードの人は天芽と会話を続け、話がついたのか、天芽と一緒に生徒へ近付く。


「皆、この人が案内をしてくれるそうよ」

「よ、宜しくお願いします!」


 フードの人はそう言って勢いよく頭を下げた。その勢いでフードが取れ、素顔が露わになる。それに生徒達は、驚きを見せた。


「わぁ、可愛い」

「うん、綺麗」

「男、だよな?」

「いいや、女じゃね?」


 何故なら、黒髪銀眼の美少年だったから。女子は口を押さえて震え、男子は隣同士で何かを話合っている。


「それでは、僕について来て下さい」


 美少年はそれに全く気が付く様子もなく、広間を出ようとする。讐花も最初は訝しんだものの、彼についていく。そして、天芽を先頭に生徒達も広間を後にした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 煌びやかな装飾がされた廊下を生徒達は歩く。同じ風景がかれこれ数十分続いているため、彼らの足取りは重い。讐花も、この変わり栄えのしない時間に少し疲れたように顔を(しか)めるが、無言で歩いている。皆が皆、一秒でも早く着いて欲しいと思った。


 そんな生徒達の心情に気が付いていた天芽が「あと、どの位で着くか聞いてみるか」と考え始めた時、やっと変化が起きた。


「あ、フェイル君。そちらの方々は?」

「神が遣わしてくれた、聖徒様達です」


 人が現れたのだ。それは日本の戦士達が、紳士達が、そして男子達が夢見て止まない事の一つである、美少女メイドさんだった。メイドさんは、フェイルと呼ばれた美少年と話し始めた。


 男子生徒はメイドさんを見て、目を瞬かせ、まじまじと見つめていた。そして女子生徒は例に漏れず、男子生徒に絶対零度の如き冷たさを放っていた。


 そんな中、例外が二人いた...


「メイドさんは見ないのか?」

「興味ないです」

「君も男だろう、本当に興味ないのか?」

「俺は料理にしか興味ないですし、食べる事しか好きではありませんよ、会長」


 そう、讐花と天芽だ。メイドさんには目もくれず、明後日の方向を向いていた。


「それに、誰かは分かりませんが、あの手紙の話が本当なら、他を見ている余裕は俺にはないんですよ」


 そう言って廊下の先を指差す。よく見ると、大きな扉があり、左右に騎士らしき人物が立っているのが見える。


 天芽は、讐花の指した方向を見て「ふふっ」と笑い、振り返るとフェイル少年に訊いた。


「会話中に済まない。私達は疲れているので、早く案内してくれると助かるのだが」

「ふぇ!?あ!す、すみません!」


 メイドさんと会話していたせいか、変な声を出して驚き、案内を中断していた事を謝るフェイル少年。


「すみません、僕は聖徒様達をご案内するので、また今度続きを」

「えぇ、がんばりなさい、フェイル君」


フェイル少年はメイドさんとの会話を止め、案内を再開した。向かう先はあの大きな扉の元。広間の扉の二倍近くはあり、そこからは誰かを守る騎士の意思ようなものが感じられた。


「大丈夫ですよ、国王様はいい人ですから!」


 フェイル少年は笑顔でそう言う。そして、片方の騎士に何かを言うと、何処かへ行ってしまう。と同時に、扉が開き始める。


「「では、お入りください、聖徒様」」


 騎士に促され、生徒達は中へ入る。讐花は、嫌そうにするが、天芽に掴まれて渋々入っていった。


 中には大勢の人が道を造っていた。ある人は期待を、またある人は畏怖を目に灯しながら。その終わりには玉座があり、その前に男が立っていた。


「よく来てくれた!聖徒達よ!」


 その言葉に込められている覇気から、その人物が国王だということを理解する。


「皆の者よく聞け!神は我らに救いに手を差し伸べた。それが彼ら、聖徒達である!」


 その言葉に周りの人々が叫びだす。その叫びからは伝わってきた感情は、喜びだった。


「もう守りに徹するだけの我らではなくなった。これからは神の導きに従い、魔王から平和を取り戻すのだ!」


 国王は左手を掲げ、宣言した。声の音量が増し、空気をびりびりと振動させる。


 讐花は、聞こえてきた不穏なワードを記憶から吐き出すかのように、ため息をした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 讐花達は一枚の紙と針を片手に、ある部屋に来ていた。その部屋の床には、幾何学模様-魔法陣が描かれており、淡く発光していた。


 あの後、国王から話をされた。それは実にテンプレな、ファンタジーではありきたりな内容だった。


『単刀直入に言おう。其方達に魔王を倒してほしい』

『どういう事ですか?』

『まずこの世界、ルフィールには我々人族の他に、古種族、魔人族、亜人族が存在し、均衡を保ちながら生活していた。しかし、魔人族は二千年程前に世界を我が物にしようと、特異な現象を起こす事が出来る獣-魔物と呼んでいる生物を(けしか)けて来たのだ。』


 生徒達は真剣に話を聞く。讐花(しゅうか)も今回はちゃんと聞いている。


『苦戦を強いられた祖先。そんな時、神は其方達の様な使い、聖徒を使わした。その者は、卓越した剣の技術や、まるで未来を見て考えているかのような戦略で、魔物をたおしていった。そして魔人族の企みは失敗に終わり、聖徒は人族の英雄となった。それから魔人族は鳴りを潜め、当時解らなかった魔物の特異現象を人族でも使えるように〝魔力〟を使った〝魔法〟を発明し、人族は発展した。』


 国王はそこで話を切り、顔を歪めた。


『が二年前また、魔人族が攻めて来たのだ。前回と異なるのは、魔物を従えていた存在である〝魔王〟がいた事だった。〝魔王〟がいた事で魔物は人のように動き、人族は追い詰められていった。そこで私は、隣国のホラリア聖教国と同盟を結び、聖徒を呼び出す〝召喚の祈り〟を始めてもらった。そして日に日に被害が大きくなる中、今日、其方達が召喚された。神より使わされた其方達には、我らの数倍の力がある筈だ。どうか我らを、我らの世界を救って欲しい』


 と、頭を下げたのだ。大の大人、それも一国の王に頭を下げられては、生徒達も無下には出来なかった。讐花だけが、「ようは、戦争しろってことだろ」と言っていた。彼には今、余裕がないのである!


 そして現在、讐花達は己に秘めている力を確かめるところだった。


「それでは皆さん、針で指を刺し、紙に血を垂らして下さい」


 そう言ったのはフェイル少年である。あの一件の後、生徒達の世話係の筆頭の一人に選ばれた彼は、数日間で大分生徒達と親密になっていた。


 そんなフェイル少年の仁徳故か、多少怖がりながらも次々と血を垂らしていく。


 讐花も紙に血を垂らしていく。すると、白かった紙に文字が浮かんできた。


=====================================

 名前:神喰讐花  年齢:17歳  種族:人族、◆◆◆  レベル:1

 天職:◆◆

 筋力:◆◆◆

 体力:◆◆◆

 敏捷:◆◆◆

 魔力:◆◆◆

 耐性(物理):◆◆◆

 耐性(魔法):◆◆◆

 技能:悪食、◆◆、言語変化

=====================================


 大半が黒く塗り潰されて見えない、自身の能力が。


どうもはじめまして、陸海恋華です。さて私の妄想を綴っているこの「悪食暴食の感覚喰らい」ですが、初心者なため雑な部分や曖昧な部分が御座います。また、投稿ペースは不定期になると思いますので、どうか暖かい目で見守ってくてると有り難いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 難しい漢字にはフリガナがあって読みやすいです! [気になる点] 時間経過が少し分かりづらい気がします。 あとは場所の様子などをもう少し細かく書いてくれると嬉しいです! [一言] これからも…
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