第六十話 第八部隊
第六十話になります。
序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。
駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。
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PM1:10
「ちょっと待ってくれ!? 模擬戦って……えぇ!?」
黒髪の女性が言い放った一言にアレスの心は大きく乱され、見るからに挙動不審となっていた。無理もない、アレスはこの場に現れた四人の女性全員と初対面なのだ。彼女たちが何者なのかさえ知らない状況で唐突に模擬戦を申し込まれれば驚くことは当然だ。
一方、勝負を仕掛けてきた女性はキョトンッとした表情でアレスの顔を凝視している。
「どうした? そこまで驚く必要はない筈だが」
「いや驚くに決まってるだろ! なんでいきなり」
「たいした理由ではないさ。強いて言うならメルスと同じだ」
「メルスと同じ? どういう意味だ?」
「はぁ!? お前マジで言ってんのか!?」
アレスは黒髪の女性の言葉に疑問を抱き、復唱を取る形で聞き返すと後ろにいるオレンジ色髪の女性と、薄茶色髪の女性が一気に近づいてきた。オレンジ髪の女性は初めは何処かのお嬢様のような余裕をたっぷりと含んだ口調だったのだが、黒髪の女性が現れてからは口調がどんどん荒々しく変化して、二人称の呼び方も『貴方』から『アンタ』、次は『お前』へと変わり果てていた。彼女の視線からは、最早余裕の色は一切伺えなかった。二人はアレスと黒髪の女性の間に割り込むとオレンジ髪の女性がアレスの胸ぐらを掴み手前へ引っ張ってきた。
「お前まさか、私らの頭を知らないんじゃないだろうな?」
「もしそうならマジあり得ないんデスケドォ!」
「知ってる訳ねぇだろ! 初対面なんだから」
「止めないか! 二人とも」
「「イタッ! ……すみません」」
再び黒髪の少女が二人に拳骨を当てると、謝罪しながら黒髪の女性の後ろへと下がっていった。やれやれと言った表情で一つ溜息をつくと、黒髪の女性はアレスに視線を戻した。
「また粗相をしでかしてすまないな。聞いた話では君は生者だそうだな。なら知らないのも無理はない」
「は、はぁ……」
四人の女性は見た目だけならば全員同い年に感じるのだが、少なくともオレンジ髪の女性と薄茶色髪の女性を躾ける黒髪女性の姿は、妹たちを叱る姉の姿そのものだった。見た目が同じなのに性格でここまで上下の差が出るものなのか。筆舌に尽くし難いギャップに飲まれてしまいアレスは半ば放心状態になっていた。
黒髪の女性は自分の胸に空いた手を置くと、笑みを浮かべながら自己紹介をした。
「私はシグレ。第八部隊の隊長だ」
「た、たいちょう!? 第八部隊って」
「此処にいる全員だよ。せっかくだから紹介しよう」
目の前の女性がブラドと同じ隊長であることに驚き言葉を詰まらせるアレスの視線を誘導する様にシグレは後ろに振り向くとまず最初にオレンジ髪の女性の方に掌を向けた。
「彼女はア二ス。言葉遣いが偶に荒っぽくなる時があるが性格はとても綺麗好きだ」
「やだ、頭ったら私の事綺麗って」
「そうは言ってねぇだろ」
アニスは頬を両手で覆いながら嬉しそうに顔を綻ばせている。シグレの言葉を明らかに取り違えているのだが、アレスのツッコミは舞い上がっている彼女の耳には届かなかった。
シグレは構わずに腕を動かし、今度は薄茶色の女性に掌を向けた。
「次に彼女はクラーラ。言葉遣いが少々特殊だが内一番で足が速い」
「頭ァ。世界一足早いとか言いすぎなんですけどぉ! でもテンアゲェ!」
「だからそうは言ってねぇって」
クラーラもシグレの言葉を勝手に取り違え、というより自分たちに都合の良いように捻じ曲げているとアレスは感じたのだった。彼女もまた、嬉しさに口端をつり上げ喜んでいるため、アレスの言葉に一切反応することはなかった。
シグレは再び腕を動かす。これまでずっと瞼を閉じて、殆ど会話に参加することのなかった栗色髪の女性に掌を向けた。
「最後に、彼女はソフィ。我が第八部隊の副隊長だ」
「……よろしく」
「お、おう」
アレスは仲間に対しても口数があまりにも少ない女性なので、てっきり無口でスルーされるのだとばかり思っていたのだが、ソフィは意外にもアレスの方に視線を合わせると友好的に挨拶をしてきた。アレスは一瞬言葉を詰まらせながら返事を送ると、彼女は再び目を閉じた。
「私を含め以上四人が第八部隊のメンバーだ」
「え、四人だけ!?」
第七部隊はアレスを抜いてもブラド、センナ、ミキ、メルス、サクラの五人編成だった。それ比べこの第八部隊は四人編成、しかも全員が女という顔ぶれはアレスの眼にはとても特殊に映ったのだった。アレスの心境が伝わったのか、シグレはフフッと笑いながら得意げに答えた。
「たしかに他の部隊と比べても人数は少ないが、私はこの部隊が最強だと思っている」
「ほう、大きく出たな。シグレ」
「「「「「「っ!」」」」」」
アレスにも聞きなれた声、スミレの言葉に対し直接顔を見なくても興味を抱いたのだと感じさせる称揚を帯びた声に全員の視線が声のした方向に集中する。そこから現れたのは……。
「ビエラさん!?」
「隊長!? みんなも」
総隊長のビエラを筆頭に、サクラ以外の第七部隊全員が修練場へとやって来た。ビエラの登場にアレスは驚嘆の声を上げ、サクラは他のメンバーが全員集まったことに思わず声を上げていた。
ビエラはアレスの声には反応せず、薄笑いを浮かべながらアレスとシグレのすぐ近くに立つと腕を組みながら彼女に挑発的な口調で話しかけてきた。
「お前の部隊が最強か。ならば我が第一部隊が二番目だと?」
「さぁ、どうだろうな。だが、劣っているとは思っていない」
「ほう……」
ビエラの言葉に対し、シグレは一切怯むこともなく逆に挑発し返すが如く先ほどよりも得意げな口調を強めて答えた。ビエラは言葉を聞くと薄笑いから深い笑みへと変わっていった。ビエラの罰にトラウマが有るアレスはビエラの恐怖を感じさせる笑みに加え、先ほどとは別人かと思えるほど強烈なプレッシャーを放つシグレの二人に対し、すっかり足が竦んでしまい後ろに下がることも出来ず、誰よりも近い距離でタジタジになっていた。っと、其処へ自ら飛び込んで行く者が一人。
「ちょっと待ったぁ! 最強というのであれば、我が第七部隊を忘れないで頂こう!」
言うまでもない、ブラドだ! 見るからに自信ありげな表情を浮かべながら二人へと近づきながら高揚と言い放った。
「俺の部隊は第七部隊と書いて第七部隊と読むくらいだからな! ナッハッハッハー!」
「笑わせる、我が第一部隊こそ第一部隊だ!」
「笑止、我が第八部隊こそが第八部隊である!」
まるでそれぞれに自分の子供を自慢しているような光景に、アレスにも、第八部隊のメンバーにも、第七部隊のメンバーにも止めることが出来るものは居らず、全員唯々その場に立ち尽くすのみであった。
「ならば、戦いで白黒はっきりさせるとしよう!」
「「どうやって!?」」
「過去一度も前例のない一大イベント、神帝教会全部隊でのトーナメント最強決定戦の開催を此処に宣言する!」
「「「「「「「「な、なんだってぇぇぇぇぇぇっ!?」」」」」」」」
――何も発することの出来なかったアレスたちが此処に着て、ひときわ大きな吃驚の声を上げたのだった――
読んで頂きありがとうございました。
新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」
と思われる所もあると思います。
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『トーナメント』始動!




