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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第三章 トーナメント編
59/64

第五十八話 きっかけの約束

第五十八話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。


絵描きの方募集中です。もし、『この作品の絵を書いても良いよ』という方がいらっしゃいましたら、「感想ページ」か「TwitterのDM」か、「【なろう】のメッセージ機能」にてご一報下さい。

よろしくお願いします。

AM10:10


「眼が、眼がぁぁぁ」


「だ、大丈夫ですよぉ! 霊体なんですから!」


 アレスはサクラの目潰しによって潰された両目を抑えながら床の上を転げまわっている。目潰しなどされたことのある人間の方が圧倒的に少ない筈だ。両目から体の内側に伝わってくる異常な熱を感じ、遅れてやってくる痛みにアレスは悶え苦しんでいる。

 一方サクラは、自分がやった事とはいえ流石にやり過ぎたと感じたのか、先ほどまでの顔の火照りがすっかり冷めており、おどおどとした動作でアレスを落ち着かせるために隣に座り込み、体を抑える事を試みるが、元々彼女は体型が小さい故に力だけではアレスにも敵わず、手は宙を掴む動作でしどろもどろしていた。


「お、落ち着いて下さいアレスさん! 冷静を失ったら()()()()()()()()()!」


 サクラが瞳をぎゅっと瞑り、体を抑えられないなら力いっぱい声を出して聴覚的に静止を試みた。サクラの言葉にアレスはビクッと体を震わせ、時間が止まったかのように急停止した。

 サクラの言い放った言葉は一歩間違えれば単なる()()()()()()()()()()()()()()可能性がある事を彼は理解しているからだ。


「だ、大丈夫。何とかパニックにはなってない……だぶん」


「たぶんって。で、でも本当に大丈夫ですよっ! 霊体の身体は魂が壊れない限り何度でも再生しますから」


「その話は前にセンナ達からも聞いたけど、潰れた目玉も治るの?」


 アレスはゆっくりと起き上がり、床の上で胡坐(あぐら)をかく体制で(まぶた)を閉じたままの眼を指さした。霊体なので血は一切流れていないが、眼球を失った瞼はやや萎んでいる。

 サクラは痛々しそうな眼差しでアレスの眼を見ながら怯えた口調で答えた。


「は、はい! 本当に再生しますよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()、再生速度は速いです!」


「マジかっ!?」


 アレスはサクラの言葉に一瞬痛みを忘れるほど驚いた。霊体になってもう暫く時間が経過しているとはいえ、アレスは霊体の身体が再生するところを一度も見たことがなかった。

 唯一目に見える負傷したのはミキに心臓を撃ち抜かれた時だが、あの時彼はすぐに気を失い目を覚ました時には既に傷が癒えた後だったので、実際に見ていない以上はセンナの話でも半信半疑だったのだ。

 サクラの話を聞いたアレスは、両手を両膝の丁度中間の位置に置き、座禅を組む体制になった。痛みを未だ感じながらも、より一層冷静さを高めることを意識したのだ。


 アレスの狙い通り、変化はすぐに訪れた!


 瞳の中からじわりじわりと感じていた熱が少しずつと消えていき、(ソレ)と比例して痛みも時間が経つ毎に和らいでゆくのをアレスは実感した。

 熱によって瞼の感覚が殆ど感じなかったが、返って痛みが消えた頃には瞼の内側から外に盛り上げるような感触を感じ取り、彼はゆっくりと瞳を開けた。


「す、すげぇ!」


 アレスは視力検査を行うように片目を手で覆っては辺りを見回し、満足すると反対の眼も同じことを試す。その時の彼の興奮した表情はまさしく子供そのものだった。大の男が明るい顔をしてはしゃいでいる姿にサクラも自然と笑みがこぼれた。が、


「っ! あ、あの。さっきはやり過ぎちゃって本当にごめんなさい!」


 先程自分がしてしまった行いを思い出した彼女は、座り込んだままの体制で目をギュッと瞑りながら誤ってきた。怒鳴られることを恐れているのか、小動物が震えているようなとても怯えた表情をしている。しかしアレスは、一切怒鳴ることはしなかった。それどころか……。


「いや、悪いのは俺だ! サクラさんの気持ちも考えずに()()()()言ってしまって。サクラさんが慌てるのは当然だよ。俺の方こそ本当にゴメン!」


 非常に気まずそうな笑みを浮かべながらそう呟くと、最後は頭を深々と下げながらアレスは謝罪した。サクラはまさかアレスの方が謝ってくるとは全く予想していなかったためにその場で固まってしまい返答できなかった。

 いつまでも返ってこないサクラの言葉を待たずして、アレスは顔を上げて()()()()()を立てた。


「安心してくれ! サクラさんの気持ちは絶対に誰にも言わない。もちろんメルスにも! 約束するよ」


「……はい」


 どこまでも真っ直ぐな彼の眼差しにすっかり取り込まれてしまったサクラは、気が付くと力を抜いた声量で無意識に答えていた。


「よし、ならこの話は終わりにしよう。サクラさん、俺の訓練に付き合ってもらう話だけど」


「は、はい!」


 再びサクラは緊張した表情へと変わってしまった。肩がぴくっと上に上がり頬はほんのりと赤く染まっている。それほどかしこまる必要はない筈だとアレスは心の中で感じたが、構わず話を進めることにした。


「たぶん、ブラドさんは今日の午後から俺たち二人で訓練を始めさせるつもりだと思うんだ。サクラさんはそれで構わないよね?」


「は、はい! 大丈夫です!」


「良かった。じゃあ午後から……何時頃に何処で集まれば良いかな?」


「え、えと! 午後一時に修練場で大丈夫ですか?」


「分かった。じゃあその時に」


 会話の最中、終始サクラから聞こえてくる言葉には緊張の色が感じられた。アレスはなるべく落ち着いた口調で話してゆく。一通り要件が済み次に会う約束を交わすと、アレスは体を立たせて玄関へと歩みだした。


「じゃあ一時(そのとき)にはよろしくな!」


「は、はい! よろしくお願いします!」


 サクラの返事を聞くと、アレスはそのまま玄関から外へ出ると女子寮を後にした。


「サクラ、どうも緊張が過ぎる気がするんだよなぁ。まぁ今は良いか。まずは午後の訓練を頑張るぞ!」


――しかしこの後、交わした約束が神帝教会初の()()()()()()のきっかけになる事を、()()は夢にも思わなかった――

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


メルスの下り必要だったのかと思う方もいらっしゃると思いますが、実はこの章で非常に深く関わってきますので、どうか続きをお楽しみ頂けると幸いです。

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