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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第三章 トーナメント編
53/64

第五十二話 噛むなよ!

第五十二話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。


絵描きの方募集中です。もし、『この作品の絵を書いても良いよ』という方がいらっしゃいましたら、「感想ページ」か「TwitterのDM」か、「【なろう】のメッセージ機能」にてご一報下さい。

よろしくお願いします。

AM7:30


「はぁぁ、」


「なんだぁ、()()()ゥ。いい加減元気出せよ!」


「よく言うぜまったく……」


 常夜(とこよ)のように暗く、己が小さくなったのかと感じさせる程大きなトンネルの中。道を照らすのは、ずっと先の方から眩く輝き続けている出口の光のみ。

 アレスは再び死者の姿となり、ブラドが開いたゲートの中を死んだ魚のような冷たい目をしてトボトボと歩いていた。

 なぜ、アレスがこんな顔をしているのか。それは、ゲートを通るため、強いては神帝教会に行くためには死者になる必要があるのだ。今更だが、(アレス)は生者だ。死者とは言葉の通り死んだ者を表す。アレスが死者になるためには『死ななければならない』。

 一度目はセンナに()()()()()の中で『溺死(できし)』させられた。二度目は、ブラドにまたしても()()()()()で、しかも『()()()()()』で殺されてしまった。

 二度に渡り、アレスは自分の部屋が殺害現場にされていることに憂鬱な感情を抱いていた。


 (アレス)の気持ちが沈んでいるのは死者になれば肉体から出るため、生きているときにどんなに痛みを患おうとも、魂の身体になれば関係ないのだ。

 だが、肉体を傷つけない為とはいえ『あんな方法』で殺されるとは思わなかったアレスは、今の身体にも感触が残っているように感じて、()を何度も擦っているのだ。


「そう怒るな。お前の肉体(からだ)にダメージを負わせれば、戻る時まで残ってしまう可能性があるんだ。本来心臓が止まれば代謝も機能しなくなる筈なんだが、どんな体してるんだお前は」


「知るかよ!」


「ナッハッハッハー! とにかく、センナの()り方ならお前は確実にまた生者に戻れる。現時点で分かっている方法は窒息させるしかねぇんだ。我慢しろぉ!」


 ブラドはいつもと同じく陽気な声で笑いながらアレスの背中をバンバンと叩く。筋肉がしっかりと付いた太くて大きい腕からは流石に強い痛みを感じたが、ブラドの話からまた死者になるときは何度も窒息させられるのかと、アレスは未来に絶望を抱き、痛みを感じる余裕もないのだった。



AM7:50


「着いたな。神帝教会!」


「こんなに早く来ることになるとはな……」


 長いゲートを通り抜け、アレスは再び神帝教会『ディアキリスティス』にやってきた。

 ここから彼らは(たましい)を浮かせ、空を飛びながら神帝教会を目指す。アレスがこの場(ディアキリスティス)にやってきた理由は大まかに()()ある。


 一つ目は、老災の攻撃から(アレス)とセンナを救った『黒刀』。元々神帝教会で四千年もの長きに渡り、誰一人として持ち主を選ばず。ただ保管され続けたあの刀が突然アレスの体の中に入り込み、彼を霊体化させた。そして彼が危険にさらされた時、自らの意志で窮地を救った。黒刀には何か特別な力を持っていることは明らかだ。しかし、その力が解き放たれた筈なのに、アレスには依然覚醒した様子は見られない。本当に黒刀(コレ)()()『天牙』なのか? それを知るために来たのだ。


 二つ目は、アレスの(オーラ)を覚醒させるためだ。老災が襲撃してくる以前から、アレスは神帝教会にてブラド率いる『第七部隊』に覚醒するための『訓練』を受ける事になっていた。黒刀が現れたことによって、一時は訓練をする必要があるかどうかブラドは考え迷ったが、未だアレスが覚醒していないという事実を重視し、予定通り訓練を行うことにしたのだ。


「ブラドさん、俺たちは具体的に何処に行くんですか?」


「まずは総隊長の処だ。現世での出来事は先に戻ったセンナ達が伝えている筈だ、俺たちは次の指示を仰ぐ必要がある」


 現世で自分の部屋に戻った時、センナ達の姿が何処にも見当たらなかったのは、一足早く神帝教会に帰還していたからだった。


 ブラドの背に付いて行く形で優は神帝教会に入る。中は相変わらず真っ白な廊下が何処までも続いており、アレス一人ではすぐに迷子になってしまう事は火を見るよりも明らかだ。

 道中ブラドは一言も話すことはなく、どこまでも長く続く廊下を踏破していく。アレスも(ブラド)に足並みを揃えて並列して歩くが、体格が全く違うために端から見ると少し小さく見えた。


 無言のまま歩き続けると、程なくして二人は総隊長の部屋に辿り着く。扉の前に立つと、アレスはふと頭の中に、依然この場に来た時の事が映像となってフラッシュバックした。

 一人だけ身分を名乗らなかったために、厳しい()を与えられた時の瞬間を。よくよく思い返せば、あの時罰を受けたのは、今隣に居るブラドと自分(アレス)だけだった。センナが居ないことが返って罰を受けるメンバーが揃っていると感じさせる。


『そういえば。前にこの部屋に来るときも、ブラドさん無口だったような……」


「良いな。アレスゥ」


「え?」


 突然ブラドが言葉を発したことに意表を突かれ、アレスは無意識に適当な返事で返してしまった。


「え? じゃねぇだろ! お前、前にこの部屋来た時の事忘れたのか!?」


「あ、なるほど。そう言う事ですか……」


 ブラドが道中一切言葉を発しなかったのは、総隊長の部屋に入る時の緊張感(きょうふ)が自然と口数を減らさせていたからだったのだ。


「良いな。自分(アレス)を『()()()()()()()』と初めに名乗ったのはお前なんだ。はっきりそう言えよ。噛むなよ!」


「わ、分かってるよ……」


 必要以上に念押ししてくるブラドの様子に、アレスにまで緊張が移ってしまう。

 ブラドが慎重に扉をノックし、ゆっくりと扉を開ける。


「失礼します! 第七部隊隊長、ブラドです!」


「エキストラ()()()、アレスで」


「アウトだぁぁ!」


「馬鹿やろぉぉぉぉっ!」


ヒュッビシッ!


「「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!」」


――しっかりとメンバー揃って罰を受けたのだった――

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


最近笑いどころを取り入れられなかったので、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

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