第四十九話 どっちつかずの結末
第四十九話になります。
序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。
駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。
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AM6:30
「主はまだ覚醒していないという事だぁぁぁっ!」
グワァァァッッッ!
近くで見ると、上空を覆い尽くさんばかりの巨大な翼を広げ、グレオラはまっすぐに優の元へ突っ込んで来る。
逃げることも防ぐことも出来ない最悪の状況のなか、優は全ての思いを一撃に乗せる!
「我を斬るつもりか? この『老災』のグレオラも侮られたものよ。身の程を知れ!」
優の動きを見たグレオラは全く動じる事もなく、その大きな口を開き、優を飲み込もうと近づいて来る。
手に持っている『黒刀』が、本当に『天牙』なのか優には分からない。
グレオラは『主はまだ覚醒していない』とはっきりと言い放った。
その言葉通り、優の髪は未だ、覚醒者特有の髪色と瞳の色に一切の変化がなかった。
もし、本当になにも力が備わっていない状態ならば、たった一本の刀で彼の百倍以上大きな巨体を倒さなければならないという事だ。
アニメや漫画でさえも、『勇者』特有の特殊能力を駆使してドラゴンや怪物を戦う物語が殆どだ!
センナは先の攻防でオーラを使い切り、ドラゴンから優を守ることが出来ない。圧倒的に不利な状況だ。
しかし、優の眼は一切諦めの色を感じさせなかった。
姿勢は真っ直ぐに刀を頭の上まで持ち上げ『上段の構え』を保ったまま立ち続けている。
今まさに、グレオラとの距離がゼロになろうとするその刹那!
「うおぉぉぉぉぉっ!」
全身全霊の力を振り絞り、刀を一気に振り下ろす!
剣先がグレオラの体に触れたその瞬間……。
「ぐぬっ!?」
「おぉぉぉぉっ!」
「優!」
黒刀が再び銀色の光を放ち、優とグレオラの体を飲み込んでゆく。
グレオラは思いも寄らない出来事に驚嘆の声を上げ、優は視界が銀色一色に染まり何も見えなくなっても尚、刀から感じるグレオラに触れているという手応えに身を任せ、肺の空気を全て絞り出すほどの野太い声を張り上げ続けた。
優の名を懸命に呼び続けるセンナだが、光はどんどん輝きを増していき、あまりの眩しさに彼女も目を開けられなくなった。
光が収まった時、彼女が最初に眼にしたものとは……。
「っ!? 優!」
「はぁ、はぁ、はぁ、」
輝きを失い、再び刀身から柄まで真っ黒に染まった黒刀。ソレを握る優は、意識を失いうつ伏せに倒れていた。
対するグレオラには意識が残っていた。しかし、彼は一切優を傷つけることが出来なかった。
それどころか、グレオラはいつの間にか人型の姿に戻り座り込んでいる。しかし、その体からは左腕が消えていた。
「こ、小僧が! よく我の左腕をぉぉ!」
グレオラはおぼつかない足取りで立ち上がるが、相当のダメージを負っているためにフラフラだった。
それでも積もり積もった怒りの感情に身を任せ、ゆっくりとした足取りで優に近づこうとする。
「そこまでよ!」
「くっ!?」
残った右腕を懸命に伸ばし、優の体にあと一歩のところまで押し迫るも、センナが優の前に立ち塞がる。
まだ体力が回復しきっていない為に、はぁ、はぁ、と肩で息をしているが、優を守らんという意思で杖の先をグレオラに向けている。
彼女が十分に戦えない事は佇まいからすぐに理解したが、これ以上の戦闘は不可能だと判断したグレオラは、優に向けて伸ばしていた腕を下した。
「今日のところは一旦退いてやる。だが、この『老災』の怒りを買った事、努々忘れるでないぞ!」
怒りの感情をふんだんに言葉に乗せて宣言すると、グレオラは右手を空に掲げた。すると、呼びかけに応えるように暗雲から一体のドラゴンが現れた。
センナは攻撃に備えようと杖をドラゴンに向けようとするが、それよりも早くグレオラがドラゴンの背中に飛び乗った。
ドラゴンは大きな翼を羽ばたかせ、暗雲へと消えた。
完全に敵が撤退したことを確認すると、センナは緊張の糸が切れ、その場に座り込んだ。
「撤退させたと言うより、見逃してもらったと言うべきでしょうね……」
その気になれば、あのままドラゴンを使い攻撃を仕掛けてくればセンナの体力では防げなかっただろう。
グレオラが何故そうしなかったかは分からないが、ひとまず戦闘が終わった事にセンナは大きく安堵した。
振り返ると、完全に意識を失って尚、刀をしっかりと握りしめている優の姿があった。
様子を見る限り、怪我はしていないようだ。それはつまり、グレオラの攻撃を真っ向から防ぎ切ったのだ。
それだけではない、グレオラの左腕を消し飛ばしたのも、優しかいないだろう。
センナは体ごと後ろに向き直り、漆黒の刀を凝視する。
「優は霊体になっても黒髪と黒い瞳……黒い刀は彼にピッタリなのかもしれないけど、でもそれならなんで優から『オーラ』を感じないの?」
先にグレオラに言われた言葉通り、センナもまた、戦闘中に優の体からオーラを全く感じなかった。それは今も変わらず、刀から発せられた『銀色の光』もオーラだったのか識別できなかった。
「センナァァッ!」
「っ! ミキ、皆も!」
声に惹かれて空を見上げると、ミキとブラド、メルスがセンナのもとに大急ぎで駆けつけてきた。
「みんな大丈夫だった?」
「それはセンナの方よ! 気持ち悪い緑色の光が見えたと思ったら、今度は銀色の光が見えるし。しかもその後にドラゴンたちが一斉に撤退したから何事かと思ったわよ!」
空からセンナの体に抱き着きながらとても心配そうな顔で言うミキ。
ここで起こった光はミキ達のいる場所にもしっかりと見えていたようだ。
センナはミキの背中を摩りながら、事の顛末を語った。
「え!? 優の奴、まだなにも訓練してないのに剣聖になっちゃったの!?」
話を聞き終えたミキは仰天しながら優の持っている刀に歩み寄り顔を近づけた。
ブラドとメルスはその場を動くことはなかったが、視線は黒刀に釘付けになっている。
「どうだろう……。優からオーラを感じられないから、多分まだ覚醒していないと思うの。本人もどうやって『あの光』を出したかきっと覚えてないと思うし」
「なるほどな」
センナが座り込んだままの状態で見解を伝えると、ブラドは納得のしたように彼女の意見に同意した。
「まぁ、なにはともあれ皆無事だったんだ! それだけでも良しとしよう。とりあえず全員、優の部屋に戻っていてくれ」
「はい。あの隊長は?」
「此処の激臭、放っておく訳にもいかんだろう」
ブラドは苦笑いしながら辺りのカビが浮かんでいる水溜まりを指さした。
センナの力を利用すれば、腐った水でも操り処分することが出来るのだが、疲弊している今の状態では仲間に頼らせてもらおうとセンナは引き攣った笑みを浮かべながらも頭を下げた。
「センナは私が支えるから、メルス、優をお願い」
「っ! ま、まて! これはいくら何でも!」
「お・ね・が・い・ね!」
ミキはセンナの肩を抱き、支える様に空を飛び優の家に向かった。
残されたメルスは少しの間その場に佇み、がっくりと項垂れた状態で優を持ち上げ、空を飛んだ。
「まだまだ課題は多いが、チームとしては悪くないかもな」
飛んで行く仲間の背中を見送ったブラドは、暗雲が消え、冬の空を遅れて照らす空模様を見上げながら一人呟いたのだった。
AM6:40
「だははははっ! 傑作だなぁ! かの『老災』のグレオラ様が、覚醒もしていない、しかも生者のガキ相手にしっぽ巻いて逃げてきたとは。だははははっ!」
「黙れぇい! 青二才が!」
暗闇の部屋の中、消し飛ばされた左腕を見て大笑いをする男の笑い声が高らかに響き渡っていた。
グレオラは怒声を上げるも、男はまったく聞く耳を持たず腹を抱え笑い続けている。
「しかし、我ら『モルス・シュンボルム』の一人として、その名に泥を塗ったのは確かだ。『あのお方』のお耳に入ればどうなるかな?」
別の処からは女性の冷たく突き放すような声がグレオラに刺さった。
グレオラは『あのお方』という言葉に一瞬肩を震わせるも、女性の言葉に応えた。
「あのお方の決定ならどんな処遇も受ける覚悟くらいあるわい。じゃが!」
グレオラの全身から老緑色のオーラが漂い、瞬く間に部屋中に拡がった。
彼の顔は怒りの感情をそのまま表すように酷く歪み、その瞳は得物を捉えた猛獣の風格を感じさせるほど鋭くぎらりと光った。
「奴だけは……何としても我が殺してやる! 死も生ぬるいと感じさせるほどの絶望と共に! 覚悟しろよ、小僧ぉぉぉっ!」
グレオラの研ぎ澄まされた殺気に、部屋はシンっと静まり返るも、誰も物怖じすることはなかった。
むしろ、グレオラの反応を面白そうに頬を緩めたのだった。
読んで頂きありがとうございました。
新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」
と思われる所もあると思います。
感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも
募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。
以上で二章完結となります。
ここまで読んで下さり、本当にありがとうございます。
続きます第三章に関しましては、皆さんにより一層楽しんで頂けるように現在急ぎ創作中ですので、完成次第すぐに投稿させて頂こうと思います。
宜しければ、読みに来てやってください!
これからも、よろしくお願いします。




