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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第ニ章 覚醒編
49/64

第四十八話 優の初陣

第四十八話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。


絵描きの方募集中です。もし、『この作品の絵を書いても良いよ』という方がいらっしゃいましたら、「感想ページ」か「TwitterのDM」か、「【なろう】のメッセージ機能」にてご一報下さい。

よろしくお願いします。

AM6:15


「ミキ! 何か見えたか!?」


「……ダメ! ドラゴンたちが重なって向こうの様子が見えない!」


 無数のドラゴンたちと交戦していたブラド達は、離れたところより老緑色の光を不審に思い、ブラドはセンナのスナイパーライフルのスコープ越しに確認を試みていた。

 しかし、ドラゴンはブラド達を囲むように旋回していたために、ミキの視界を遮っていた。


「仕方ない。メルス、ミキ、このまま迎撃を続けるぞ」


「っ! しかし隊長、もしセンナ達の身に何かあったのなら」


「分かっている。だが俺たちがセンナ達の処に向かえば、こいつ等(ドラゴン)も確実に付いて来る事になる。誰か一人でも向かわせたいところだが、こっちもあまり余裕がない」


「せめてここが()()()()()()()……!」


 ミキが歯痒そうにそう呟いた。

 ミキ達やドラゴンのように死者は現世に直接干渉することは出来ない。優の肉体にはなぜか霊体でも触れることが出来るが、本来は『カモフィアーズ』を着用していなければ生者に触る事はもちろん、彼女たちの存在を認識することも出来ないのだ。

 それだけではない。干渉できないのは生き物に限らず、壁や天井をすり抜け、姿は鏡にも映らない。


 しかし、例外があるのだ。

 たとえ死者たちの攻撃が生者に直撃をすることがあっても、攻撃は擦り抜け、一切のダメージはない。

 たが、死者たちの意図しない《二次災害》の場合は違うのだ。

 ドラゴンが発する炎の球は死者の身体のみを焼き尽くすが、爆発によって発生する爆風は現世にも影響を及ぼしてしまう。

 センナ達の戦場においては、水はセンナの『デュナミス』によって発生したために生者には水を認識することは出来ず、濡れることもない。

 しかし、グレオラのポテンティアによって水は腐り果て、カビが生え激臭(二次災害)を放っている。

 したがって、生者にとっては腐った水は見えることはないが、かび臭い匂いのみを鼻で認識してしまうのだ。


 現世に死者が干渉することは神帝教会より固く禁じられている。

 故にミキ達は実力を発揮することが出来ず、ドラゴンを撃退してセンナ達を援護することが出来ないのだった。


「センナ、無事でいてね。……ついでに優も」


「おい」


 祈る様に呟くミキの言葉に、メルスがさりげなくツッコミを入れるのだった。



AM6:20


「優、その刀……」


「間違いない。あの時俺を刺した刀だ!」


 一方の優達は、誰もが思いがけない出来事によりその場にいる全員の表情が固まり、緊張の雰囲気が漂っていた。

 疲労したために壁を背に座り込んでいるセンナと、暗い上空を飛んでいるグレオラ(ドラゴン)は、目の前にあるのが本当にあの『天牙』であるのかと、優の握っている漆黒の刀を凝視している。


 一方の優は、目の前の漆黒の刀からたった二日間ではあるが、あまりにも沢山の出来事が次々とフラッシュバックしていた。


・自分が霊体になったこと


・ドラゴンに襲われたこと


・センナと出会ったこと


・あの世に行ったこと


・ミキを筆頭に、沢山の死者との出会い


 すべて、コノ(漆黒の)刀が(すぐる)を刺さなければ起きなかった出来事だった。

 しかし、優にとってそれは決して辛いだけの思い出ではない。

 短い時間ではあるが、優にとってセンナやミキ、ブラド達の存在はとても大きなものになっている。

 だからこそ優は、刀に怒りの感情など一切抱かず、両手でしっかりと握り直し得意の『中段の構え』で戦う意思を表した!


「優、あなた戦うつもり!?」


 センナは優が戦おうとしていることに驚き、止めようと腕を伸ばすが、疲弊した体は彼女の思い通りには動かなかった。


「センナはまだ戦えない。なら、俺がやるしかないだろ!」


 優は決して自棄(やけ)になっているのではない。むしろ刀の出現によって絶望的状況を一時的にでも救われたことにより、『ルキウス・スピリトゥム』からセンナを守ろうとしていた時よりも冷静を取り戻していた。

 しかし、いくら武器を手にしても、目の前の強敵(グレオラ)に勝つ自信は優にはなかった。

 握っている刀はずっしりと重みを感じさせ、剣道に使われている竹刀やメルスとの模擬戦で使用した木刀とは違う、『真剣』であり、今が命を懸けた『実戦』である事を優に伝えているようだった。


 漆黒の刀が現れた事によって一時的に消えていた恐怖心が再び優の心の中に芽生え、全身を硬直させていった。


「ほう、小僧! 我と戦うつもりか? 先ほどは何か特殊な力で切り抜けたようだが、あれは(ぬし)の意志ではなかろう。その証拠に、小僧からは未だオーラを全く感じられん。つまり! 主はまだ覚醒していないという事だぁぁぁっ!」


グワァァァッッッ!


 グレオラは再び大きな咆哮を上げて優に向かい突っ込んできた!


「優、無茶よ! 早く逃げてぇぇ!」


 悲鳴のように鳴り響くセンナの声にも応えず、優は刀を上へ持ち上げ、『中段の構え』から『上段の構え』でグレオラと対峙する!


『当たり前だけど、剣道の技は真剣を使うことを想定してはいない。そもそも相手が人間ではなくドラゴンなら尚更役に立たないだろう。ヤツ(グレオラ)の攻撃を躱したら後ろに居るセンナが危ない。でも俺の力じゃとても防ぎきれない。一発まともに喰らったら死ぬ。なら、()()()()!』


「うおぉぉぉぉぉっ!」


 優は緊張と恐怖によって身体中に広がった全ての力を刀を握る両手に込める。

 外せば死ぬ! 押し負けても死ぬ! 再び訪れた絶望的な状況に優は彼の中にある全身全霊の力と思い(かくご)を込めて、刀を振り下ろした!


―――果たして、優に待つのは勝利か? それとも死か!?―――

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


まだ予定ですが、次話が第二章最終話になると思います。

優の命はどうなってしまうのか!?

ぜひ読みに来てください。

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