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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第ニ章 覚醒編
46/64

第四十五話 老災

第四十五話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。


絵描きの方募集中です。もし、『この作品の絵を書いても良いよ』という方がいらっしゃいましたら、「感想ページ」か「TwitterのDM」か、「【なろう】のメッセージ機能」にてご一報下さい。

よろしくお願いします。

AM5:45


「メルス、この状況どう思う?」


「手応えが無さ過ぎますね。何故ドラゴンしか襲ってこない」


「同感ね。レース・ノワレたちの姿が見えないわ。天牙を取りに来たのならドラゴンだけに任せる筈がないわ」


 上空でドラゴンたちと交戦中のブラドが、この状況に疑問を抱き、メルスに意見を求めた。

 メルスもまたドラゴンたちだけが襲ってくるという現状を不審に思い、ミキも同意した。

 優を逃がすために囮としてブラドたちはワザと自分たちが目立つように上空で戦い、ドラゴンたちを惹きつけている。次々と撃退してゆくが、ドラゴンの群れはブラド達を囲うように飛び回り、一部を撃退しても外側を飛んでいるドラゴンが直ぐに空いた隙間を埋めてしまう。


 ドラゴンたちは一匹残らずブラド達に群がっている。作戦としては彼らの狙い通りになっている筈だった。しかし、ブラド達の懸念は戦いが長引けば長引くほど膨れ上がっていた。


「優達は、本当に無事なのか……」


 戦いの最中、ブラドは別行動をしている二人の無事を祈るばかりだった。



AM5:50


「エレンホス・ネロ!」


 センナが杖を天高らかに振り上げ、ソノ(つえ)先端から噴き出した大量の水を球体に凝縮する。

 グレオラはセンナが攻撃に移って尚微動だにしない。その瞳は真っ直ぐにセンナを捉えてはいるが、なにも行動を起こす気配すらない事が返ってセンナの焦燥感を掻き立てた。

 技を発動させるのに十分な水が溜まった事を確認すると、透かさず杖の先をグレオラに向けた。

 球体に押し込められた水は圧迫感から解放されたかのように一気に飛び散った。一滴一滴が意思を持っているかのように太い触手になってグレオラを取り囲む。


「一気にカタをつけさせてもらうわ! 『ブルー・カタストロフィ』」


 杖の先が水色に輝き、グレオラを囲んでいた水が全方位から襲い掛かかる!

 忽ちグレオラは水の牢獄に閉じ込められた。この光景を優は数歩離れたところから見守っていた。


(あれは、あの世でリガードって奴を閉じ込めた技だ)


 優はセンナが発動させている技に見覚えがあった。かつて、神帝教会にてリガードをあと一歩のところまで追いつめた技とまったく同じだった。

 牢獄の中に閉じ込められた者は水圧によって全方位から激しい圧力に襲われる。

 水中での息苦しさと圧力による全身への痛みから冷静さを失わせ魂を壊させる技だ。


 だが、グレオラは水牢獄の中に閉じ込められて尚、眉一つ動かすこともなく、未だセンナをジッと見つめていた。


「どういうこと? もう海底三千メートルの水圧と同じくらい圧力を上げているのに、なんで反応がないの?」


 反撃してくる事もなく、攻撃をガードしている事もなく、回避もしようとしなかった。

 依然一切行動を起こそうともせずに毅然とその場に佇まっている。


「なんじゃ、噂の二つ名持ちの実力とはこの程度なのか?」


「「っ!」」


 優とセンナはあまりに突然の事に息を飲んだ。今の声は紛れもなく水の牢獄の中に閉じ込められているグレオラの声だった。

 それは即ち、水の中から声を発してきたという事だ。

 センナは透かさず杖に込める力をより一層強める。目の前の敵と共に心の中を駆け巡る胸騒ぎと焦燥感を押しつぶすために。

 しかし、グレオラは表情ひとつ変えることもなく、不安は増すばかりであった。


「やれやれ、もう飽きたわい」


 そう言うとグレオラは瞼を閉じた。

 センナは(グレオラ)が反撃をしてくることを予期して自分と彼との間に薄い水のバリアを張った。しかし、すぐに無に還される事になる。


「何をしても無意味。万物は老いて朽ちる定め。『ルキウス』」


 ついにグレオラが能力を発動した。センナは攻撃に備えバリアの質を高めるが、事態は全く予想外な方向へ進んでいった。


「な、水が!?」


 グレオラを閉じ込めていた水が、次第に白く濁り始めた。濁りはどんどん広がっていき、グレオラの姿は白色のベールによって隠された。

 全体に濁りが広がると、球体の牢屋として形取られていた水が瞬く間に揺れ動き、徐々にその形を歪ませる。

 センナは水の異変に気付き必死に制御を試みるが、既に水は彼女のコントロール下から外れていた。

 グレオラを囲っていた水は縛りを完全に失ったように破裂して地面に広がった。

 暗闇の街並みを照らす街灯だけでもはっきり視認出来るほど、真っ白な水溜まりが出来た。


「う、なんだこの匂い。カビ?」


 優は水溜まりから漂ってくる悪臭に鼻を押さえる。グレオラは優の反応を見るやニヤリと笑いながら語り始めた。


「臭いのは嫌か小僧。だがお前もいづれ臭く醜くなるのだぞぉ、死体になればな!」


「し、死体?」


「そうじゃ。儂の能力の名は『ルキウス』。『老い』を象徴とする能力じゃ」


「老い……だと?」


「小僧は、長期間使われていなかった蛇口を捻ったことはあるか?」


「蛇口? ……そりゃぁ、あるけど?」


「その時にどうじゃった? 茶色くて汚い水が出てきたじゃろう。他にもペットボトルに入れた水を何も施さない状態で何日も放置していれば雑菌によってカビが生えて白く濁る。それは水の老いともいえる。儂は能力を使って水の老化を何十倍ものスピードで早めたんじゃよ」


「老いを早める……。そうか、センナが言っていた『老災』って」


「ほう、よく覚えとったのう。強き者に二つ名が与えられるのは神帝教会のクズ共だけではないわい。儂はこの能力で百人以上の死者の魂を壊してやったわ」


「ひゃ、百人!? 老いだけで!?」


 一昨日にセンナから聞いた伝説に出てくる最悪の死者に比べればとても少ないだろう。

 しかし、死者の魂は一度破壊されれば二度と戻ることはない。

 老いによって魂を破壊されたという事は、グレオラに襲われた者は(みな)、急激な老いに襲われて精神状態を維持できなくなったという事だろう。


 しかし、それだけで優は精神バランスが崩れるのだろうかという疑問を抱いた。

 若い姿をしていた筈の自分が、いきなり老化し醜く変わってゆく様を見るのはたしかにショックが大きいだろう。しかしそれだけでパニックに陥る様な状態になるだろうかと、優は納得することが出来なかった。


「はっはっは。腑に落ちんという顔じゃのう小僧……。ならば聞くが、人間の老いとは老人までで終わりだと思うか?」


「……どういうことだ?」


「最近の若造には理解出来んか。老衰(ろうすい)によって息を引き取った死体を火葬しないで放置したらどうなるかと聞いておるんじゃよ!」


「なに!?」


「さすがに理解できたか。『老い』の行きつく先は生き物もそうでない物も(みな)等しく『腐る事』。儂のルキウスはそこまで老いさせる事が出来るのじゃよ」


「そ、そんな馬鹿なことが」


「本当よ、優」


 優がグレオラの話に圧倒され、返す言葉を詰まらせていると、代わりにセンナがとても暗い声で答えた。

 その表情は優には見えなかったが、悲劇を思い出しているようにとても険しいものだった。


「この人を抑え込むために派遣された神帝教会のメンバーは皆壊滅状態。唯一の帰還者も、全身から強烈な悪臭が漂い、歯も髪の毛も全て抜けて、カビが生えたかのように茶色く腐りきっていたの。出撃する前の姿の見る影もなく、その人の顔を知る者も見た目だけでは誰か分からなかったそうよ。結局その人も自分の変わり果てた姿に感情を抑えられず、消えてしまったわ」


「……」


 もはや優には言葉を選ぶ余裕がなかった。ただ歳を取るだけだと軽んじていたためにそのショックは計り知れないものだった。

 ただ老いるだけなら耐えられる人もいるだろう。しかし、自分の体が死体になり、火葬されずに腐りきった姿を鏡で見て冷静を保てる人間は居るのだろうか。

 短い説明と過去の被害者を一人挙げられただけで、(すぐる)の考えは一変した。


「はっはっは。良い(怯える)顔になったのう小僧。儂は『老いさせる災害』、すなわち『老災』のグレオラ。(ぬし)らなんぞ一瞬で壊してくれるわ!」


 グレオラは恐怖に怯える優のもとへ一気に駆け出した!


―――ついに、老災がその牙をむく。果たして優達はどうなってしまうのか―――

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


自分の死体が腐った姿……絶対冷静保てないと思います。

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