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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第ニ章 覚醒編
42/64

第四十一話 呼び名

第四十一話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。

AM7;00


「朝ごはん出来たよぉ」


「はぁい!」


 階段から朝食が出来たことを知らせる母の声が壁を通り抜けて聞こえてきた。

 今、優はメルスからマンツーマン状態で数学を教えてもらっている。もっとも、優も高校の頃は真面目に勉強をしていたので殆ど復習のようなものだ。

 思いの外メルスの教えは分かりやすく、優は久々にとても集中が出来た。他の皆は俺の邪魔をしないように静かに部屋に置いてあった漫画で時間を潰していた。

 母の呼びかけに答えた俺の後に、漫画を閉じたブラドが思いもよらぬ事を言い出した。


「お、飯か! んじゃ、一旦中断して行きますか!」


「「はい」」


「了解」


「え?」


 ブラドの呼びかけに三人とも答える。ブラド達は漫画を本棚に丁寧に置いてから落ち着いた動きで部屋の扉の方に向かう。メルスもその後に続いた。

 優は三人の自然な動作に茫然としてまう。まるで彼らの動きに躊躇いが感じられず、此処が自分たちの家であるかのような自然な動作に反応が遅れてしまったのだ。ブラドがドアノブに手をかける前にやっとこさ気を取り直し口を開く。


「え、皆も来るの?」


「当たり前でしょ。私たちを仲間外れにするつもり?」


「いやそうじゃないけど……まいっか」


(どうせ死者の体は生者には見えないし触れないからな)


 優は既に、死者の体のままでは『この世』に一切干渉することが出来ない事を身を以って知っている。ミキ達が一緒に来たところで何も問題はないように感じた。


「二人とも何してんだ? 早く行くぞぉ」


「あ、はい隊長……武羅怒(ブラド)さん」

 

「ん? ブラドさん?」


 ミキがわざわざ隊長の呼び名から名前に変えたことに訝しさを感じた優は顔を傾ける。

 ここに来てからセンナ達が自分の事を『優』と呼んでいることに疑問を感じていた優だったが、今の自分は生身に入っている生者なのだから、彼らも『アレス』と『優』を切り替えているのだろうと勝手に納得していた。

 しかしそれでは、自分たちの呼び名まで変える必要はない筈だ。

 優は母と接触する前にこれも聞いておいた方が良いと判断して、ブラド達に続き階段を下りようとするミキの腕を掴み引き止める。


「ちょ!? 危ないわね! なに?」


「どうしてブラドさんを『隊長』って呼ばないんだ?」


 優はただひたむきに今、自分が聞かねばならぬ事を聞いているだけだと本人は思っている。

 彼の眼差しからは真剣さを伝えるかのような熱を感じられた。

 ミキは優の勢いに少しばかり畏縮されながらも、淡々と答えた。


「私たちの存在は、本来生者の世界で明るみになったらいけないの。だから皆名前呼び、名前も漢字なんだから」


「え? マジで!?」


 優が狼狽に声を高鳴らせるが、ミキは一切取り合わず、廊下の壁に指を触れさせ擦りながら文字を描いた。


「私から『美姫(ミキ)』、『千奈(センナ)』、『芽瑠守(メルス)』、『武羅怒(ブラド)』、ここには居ないけど『(サクラ)』ね」


「美姫と千奈と桜は分かるけど、芽瑠守と武羅怒が……ていうか武羅怒威喝(いかつ)過ぎないか?」


「私に言わないでよ、本人は気に入っているみたいよ」


「えぇ……」


 優にとってブラドという男とは性格的には合わない気はまるでしなかった。むしろ、自分にとってとても頼れる存在が出来たと心の中で喜んでいた。

 しかし、服のセンスや名前の評価基準に関して言えば、(すぐる)には全く理解できなかったし、今後も理解出来そうにないなと薄々感じていた。


「いやぁぁぁっ!」


「っ!? 母さん!」


 突然リビングから母の叫び声が聞こえ、優は美姫を追い越し一目散にソコ(リビング)へ血相を変えて走り出す。


 半開きになった扉を勢いよく開けて(すぐる)が目にしたものとは……。


「いやだぁ、()()()さん似合ってるぅ♡」


「ナッハッハッハー! 実はこれお気に入りでして」


「分かるわぁ、とっても(たくま)しいですもの! あら優、おはよう。勉強(はかど)ってる?」


「…………」


「あらやだ、固まってるわ。どうしたの優?」


「いや……『どうしたの』は俺の台詞っていうか。母さん武羅怒さんたちが見えるの?」


「はぁあ!? 何言ってんのこの子は。ごめんなさいねバカな子で」


「ナッハッハッハー! いえいえ構いませんぞぉ! それよりせっかくお母さんが作ってくれた美味しそうな朝食だぞ、早く食おうぜ!」


「まぁ武羅怒さんお上手! 優、アンタも早く座りなさい?」


 優はテーブルの近くで固まったまま動かない。食卓には六人分の朝食、足りない分の椅子はお客様用のを母が準備したのだろう。

 (すぐる)の目の前には、楽しそうに会話をする母と武羅怒、千奈と美姫も加わり盛り上がっている。芽瑠守は話に参加こそしなかったが、談話を邪魔しないように静かに椅子に腰を下ろした。


 すべてが自然な流れ、まるで違和感を感じない日常のような『異常な光景』。

 流れに付いていけない優に出来ることは……。


「どうなっているんだぁぁぁぁぁっ!?」


―――ただ、声を高鳴らせ叫ぶことだけだった―――

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


頻繁に投稿すると、文字数が短くなっている気がする……。

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