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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第ニ章 覚醒編
41/64

第四十話 地獄とは

第四十話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。

AM5:35


「なに、どういう状況コレ!?」


「朝っぱらからうるさいぞ。近所迷惑になる」


「ご近所さん気にする余裕あるなら俺の心情を気にかけろよ!」


 先ほどの眠り足りないと体が訴えかけているような眠気を優は完全に覚ましていた。

 当然と言えば当然だろう。あの世にいる筈のセンナ、ミキ、メルスが平然と自分のベッドに腰かけ机にあった教材をめくっている。

 次に彼らが来るときは天牙の力を覚醒させるための修行に行く時だと思っていた優は、この状況に心が煽動(せんどう)していた。


「ホットティーできたぞぉ!」


「……えぇぇ」


 優の家に忍び込んでいたのは三人だけではなかった。

 扉の向こうから声を掛けながらブラドまでやってきた。(ブラド)の片手には人数分のティーカップを乗せたトレイ、もう片方の手にはお菓子の袋を3~4個持っている。まるでお茶会でも開くかのようだ。

 しかし優の眼にはもはやお菓子など認識すら出来ていない。それを遥かに上回る衝撃的な光景が目の前に()()()()()()()()


(な、なんだあの格好)


 優はブラドの服装に目が離せない、というより体そのものが石化で固まってしまったかのように動かなかった。それは、ブラドの格好を見れば当然なのかもしれない。

 (ブラド)は今、女性が着るような真っ白なネグリジェに身を包んでいる。

 生地はそれほど薄くないのか、体が透けていることはなかったが、元々ブラドに合うサイズなんてないのだろう。明らかにサイズオーバーだ。

 服は異常なほど肌に密着し体の窮屈さを視覚的に見た者に訴えている。しかし筋肉質なブラドの体を異様にアピールしているその姿はまるで『全身タイツ』だ。

 スカートは膝までで途切れており、靴下すら履いていないのだが、すね毛を綺麗に削ぎ落とされているその足は白く、筋肉によってたくましさを兼ね備えており足だけでも男らしさを感じさせている。


(まともな服を着ていたら絶対モテそうなのに、なんで、こんな……)


 もはや優は心の言葉さえ途切れ途切れだ。

 ひょっとしたら死者の体だった場合、この衝撃だけで魂が壊れてしまっていたかもしれない。

 そんな(すぐる)の心情など一切お構いなしにメルスが淡々と話し始めた。


「それでは始めるぞ()、まずは数学からだ。今のお前は数学が一番ひどいからな」


「え、いや、あの……」


「なにをボヤボヤしている。数学は俺が教えてやる、早く座れ」


「ま、待てよ! その前にこの状況の説明してくれよ!」


「……仕方ない」


「ナッハッハッハー! 今回の勉強会を企画したのは俺だ()ぅ!」


「は?」


 ブラドはぱっつんぱっつんのネグリジェが今にも張り裂けそうなほど胸を張り、腰に手を当て堂々とした出で立ちで説明し始めた。


「いやな、お前の生身を神帝教会に持って行くときに、偶然お前の机の上に広げてあったノートを見ちまったんだ」


「げぇ……」


「ナッハッハッハー! 俺も生者の頃は学生の頃があったからな。お前のノートをみてすぐにやる気がないのが分かったぞぉ」


「それで……コレ(勉強会)か」


「おうよ! 最初は隊長として俺一人で教えてやろうかと思ったんだが、話したらこいつ等も来るってことになってなぁ」


「センナとミキはなんとなく分かるけど……お前(メルス)も?」


「勉強も出来ないような奴を鍛えたくはないのでな」


「ムカッ! それはどうも御親切に!」


「ナッハッハッハー! 5教科それぞれ教えについてやるぞ! ()()()に理科と数学だけは芽瑠守だがな」


「そういえば……サクラは?」


「声は掛けたんだけど……ね」


「あ、そう」


(嫌われたのかな……俺)


 サクラとは第七部隊の部屋で軽く挨拶をしただけでほとんど話せてはいない。

 お茶を沸かして来ると言ったきり姿を消してしまったのだ。

 センナの言い様から察するに、どうやら会うことは出来たようだ。

 ただ、第七部隊のほぼ全員が参加するというのに一人だけ参加しないというのは、意図的に嫌がられているとしか思えなかった。

 たしかにサクラとはあまり友好的な出会い方は出来なかった。しかしそれは彼女(サクラ)だけに限った話ではない。

 むしろ、第七部隊の全員まともな出会い方をしていないのだ。

 優は何か自分が嫌われるようなことをしてしまったのではないと模索する、が……。


「優、少しでも時間が惜しい。さっさと開始するぞ!」


「数学が終わったら俺が社会を教えてやるからなぁ!」


「その次の英語は私ね!」


「その次の国語は私♡」


「最後の理科はまた俺だ」


 メルス→ブラド→ミキ→センナ→メルスという順で教えていくようだ。

 優はこの時、自分の部屋に居る筈なのに、まるで別の世界に迷い込んだような感覚を味わった。


(あの世は『六道』、最下層はともかく『地獄』という概念はなかった。ならば地獄とは……)


 優が悟りを開いたような顔をしている反対側で、ブラドたちはやる気に満ち溢れた明るい表情をしている。


「「「みんなで頑張ろう! おぉぉ!」」」


「ここが地獄だぁぁぁぁぁ!」


―――再び町に、一人の青年の悲鳴が響き渡った―――

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


皆さんにとっての地獄とは何ですか?

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