第三十八話 帰路
第三十八話になります。
序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。
駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。
PM5:50
メルスが退室した後、アレスたちは今後の方針にについて語り合うことになった。
まず第一に決めたことは……。
「アレス、そろそろ家に帰れ」
「へ?」
「へ? じゃねーだろ。もうそろそろ6時だ、家に帰る時間だろ?」
「いや俺、歳いくつに見られてんだよ……」
「いいから帰れって、お前が思っている以上に魂は疲れているはずだ」
ブラドはアレスが帰る事に一切妥協はしなかった。勿論それは彼の魂を心配しての事も含まれているのだが、それだけではなく彼の家族の事を心配しての事でもあった。
今神帝教会にはアレスの魂だけでなく、解剖するために肉体まで持ってきてしまっている。
つまり、『荒野 優』という存在を示すものは現世には一つもないのだ。
もしも彼が行方不明という事が騒ぎになってしまったら、『死後の世界にいる』なんて分かるはずもないのだが、大きな騒ぎが起きて彼の長時間外出が厳しくなられては困るのだ。
アレスにはこれから力を覚醒するために訓練を受けてもらわなければならない。どれ程長い訓練になるかは定かではないが、万が一年単位での長期訓練になった場合に備えてアレスにはこれからどんどん変わっていく私生活に早くなれて貰わなければならないのだ。
これから沢山の問題を抱えていくことは容易に想像できるが、今のブラドたちにとってはソレが一抹の不安なのだ。
アレスにはここまでの彼らの意図は理解できなかったが、ブラドに譲る気がないと感じたため、渋々受け入れる。
「まぁ、分かったよ。でも俺帰り道分かんねぇぞ?」
「分かってるよ。センナ、コイツを『お家』まで送ってやってくれ。ゲート開門申請は俺が出しておく」
「ふふ、分かりました」
(お家って……いよいよマジで子供扱いだな)
(ま、儂らから見ればお主なんて赤子同然の小僧じゃよ)
(そりゃ年齢的にはそうだろうけど……って、またか)
「はぁぁ」
「どうしたのよ、いきなりため息をついて」
「いや、なんでもないよ」
またしてもルドウに弄ばれたのだが、もうツッコミを入れるような気力はアレスには残っていなかったので、人知れず溜まった気持ちを吐き出すように小さくため息をついた。
傍に居たセンナとミキが、いきなりため息をつく彼の事を気にかけ声をかけてきた。
普段はアレスと言い争っている彼女だが、一概に彼の事が嫌いというわけではないようだ。話しかけるミキの表情には彼を心配する色が見て取れた。
そして、もとより一番アレスと仲良しと言ってもよいセンナは分かりやす過ぎるほど心配げに見つめている。
「もう少し休んでから移動する? 私はいつでも構わないから」
「ありがとうセンナ。でも本当に大丈夫だから」
(おいジジィ! アンタのせいで要らない心配掛けちまったじゃねぇか!)
(ぬかせ、お主がすぐに表情に出すからじゃろうが。感情を簡単に表に出す、まだまだ修行が足りんぞ小僧)
(足りんというよりまだ一度も修行してないわ!)
懲りずに心の中で言い争っているアレス。ルドウの方は最初からアレスをからかうつもりでしかないため、余裕の笑みを浮かべている。どうやらアレスを弄ぶことにハマってしまったようだ。
心の中での会話は他者には聞こえないため、一度本格的に言い争いに発展してしまったら止める人間が居ない。
ルドウはアレスと心の中で話をしながら、タイミングを見計らい声を発した。
「センちゃん、ミキちゃんや。どのみちあまり遅く帰す訳にもいかんのじゃし、本人が大丈夫と言っている間に現世に帰してやったらどうじゃ?」
「……そうですね。その方が良さそうです」
(ジジィ、無理やり話し終わらせやがったな)
少しだけ考えてから、センナはルドウの意見に同意した。
今はまだ、彼が疲れを自覚できていないだけであって、時間が経てば疲労による脱力感や眠気に襲われる可能性は高いだろう。
一方アレスは、無理やり話を逸らされたために言いたいことが言えなくなってしまったため、鬱積した気持ちが表に出てしまい、非常に歯痒そうな表情でルドウを睨みつけている。当人は終始見てみぬふりであった。
「それじゃあ、アレス。お家に帰りましょうか」
「そのお家って言い方、何とかならないかなぁ」
「お似合いよ」
「嬉しくねぇ」
センナの言い方に引っかかりを感じるアレスだが、ミキにお似合い呼ばわりされその表情がとても楽しそうなことから、これからも言われると察しなんとなく諦めたのだった。
「それじゃあ、移動しましょ」
「あぁ」
「ミキちゃん、この後儂の部屋に」
「行くわけないでしょ、このエロジジィ!」
「それではソレイユさん、ありがとうございました」
「はぁい。帰り道転ばないようにね♡」
「だから俺は何歳に見られてるんだ!?」
アレスたちは部屋を退室してルドウとミキとは途中の道で分かれた。
今はアレスとセンナでディアキリスティス上空を飛んでいる。現世へのゲートは本来決まった場所から移動しなければならないそうだ。
特例として、神帝教会に認められた戦士に限り、非常事態の場合はセンナ達がトランクを現世に送った時のようにゲートを開くことも許されている。
アレスとセンナは、この世界に初めて入ったこの国の外にあるゲートのところまで夕日に染まった空を飛行術で移動しているのだ。
「俺は明日から毎日この世界に来ることになるのか?」
「ごめんなさい。どういう方針で訓練していくかは私にも分からないの。でも、また来てもらう時はこっちから迎えに行くから」
「そりゃ、俺だけじゃこの世界に来れないからな」
「見て、ゲートはあそこよ」
センナが指を真っすぐに前へ突き出す。その先には綺麗な草原に己の存在を国の外から主張しているかのように巨大な二本の白い柱がそびえ立っている。
「でけぇ柱、でもゲートは?」
「ふふふ、見てて」
まるで二本の柱の間に扉でもあるのかと思えるように、センナは片腕を真っすぐに前へ伸ばした。
すると、雪で出来た像のように真っ白だった柱が途端に虹色に染まり始めた。僅か数秒で柱は夕日の光を跳ね返すかのように眩い姿へと変わった。
柱の異変はそれだけでは収まらなかった。柱どうしが七色の光を纏い、まるで二本の柱をつなぎ合わせようとするかのように光は中間地点で繋がった。
光はみるみるうちに広がって、センナが腕を翳してから十秒足らずで柱の間にゲートが完成した。
「す、すげぇ……」
「ふふふ、驚いた? 万が一見習い戦士や国の住民がゲートに近づいても、予め認可を得た戦士以外は開けないようにしているの」
「セキュリティもばっちりってことか、スゲェな神帝教会……」
「さ、行きましょ」
「おう」
―――アレスとセンナは眩い光の中へと吸い込まれるように消え、忽ちゲートは閉ざされたのだった―――
読んで頂きありがとうございました。
新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」
と思われる所もあると思います。
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なんとか連日更新続行出来てます。




