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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第一章 出会い編
3/64

第二話 一時の幸せ、訪れる絶望

第ニ話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。

AM7:20


 優は鏡の前で踊ったり、ポーズを決めたりと様々な方法を行ってみたが、どうやっても鏡に映らない。

 自分が死んだと一度は理解した優だったが、その現実は受け入れ難く、認めたくないものだった。

 

「あ、そうだよ! 俺にまだ意識があるってことは、死んだわけじゃない。これはアレだ! 幽体離脱ってやつだ、そうに違いない!」

 

 一時的に自分は霊になっているだけで自分はまだ死んだわけじゃない。幽体離脱なんて普通の人間ならばまず信じないだろう。だが彼のすぐ後ろには全く彼と同じ姿、同じ顔の男が倒れているのだ。通常通りの心理状態など到底保てるものではなかった。

 彼は、恐る恐る振り返り、倒れている自分の体を見た。

 

「あれ、どう見ても俺だよな。そういえば、俺あの状態で倒れたんじゃなかったっけ?」


 体を仰向けにしてみると、やはり自分の顔。

 しかしこの体にも今の自分の体にも黒い刀がないのだ。あれだけ痛みがあったのに服は破けておらず血も流れていない。服をめくって胸を見ても穴もない。

 優は全ての元凶であるトランクを確認するも、そこには何も入ってはいなかった。

 完全に意味不明な状況に途方に暮れていた。


「イヤ、まてよ!? 考え方によってはこれはチャンスじゃないのか! 霊体ってだいたい漫画とかじゃ、壁とか擦り抜けられるようなものだけど……」


 この状況下で今の自分がどんなことが出来るのかを考えられる彼は相当ポジティブだろう。

 それから彼は時間をかけながらも色々な事を試し、以下のことが分かった。

 

・壁やドアは擦り抜けられる。


・物体に触れることは出来ない。


・体が全然重くない!


・空を飛べる!!

 

AM7:35


「ヒャッホォォッ! マジだよコレ! 自由に空飛べるとか最高じゃねぇか!」


 狭い男部屋の空間で、空を飛べることを満喫していた。先程まで悩みまくっていた筈の彼は、空を飛ぶ嬉しさに我を忘れるように満喫していた。空を自由に飛ぶことは誰にとっても夢であるだろう。それが何の前触れもなく叶ったとあれば、舞い上がるのも無理がないのかもしれない。


「幽霊も悪くねーなぁ、なんか全ての(しがらみ)から解き放たれたって感じぃ。そういえば今幽霊なんだから、他の人に俺の姿は見えねぇのかな?」


 彼はまだ霊体になって部屋から出たことがなかった。当たり前の話だが、霊体の体は彼にとって初めてなのだ。外に出て本当に大丈夫なのかと不安になることは当然の事であろう。

 しかし、一度起こった好奇心は簡単に抑えられるものではない。優は気持ちの赴くままに、部屋の壁を擦り抜け外へ飛び出した。

 今日は天気もよく、風もほとんどない。外に出ても彼の体には何の問題も起こらなった。異常がない事を知った彼は、広い空間を飛べることに更なる喜びを感じ、自由に飛び回った。

 一通り満喫した彼は、道行く人の前に立ったり、目の前で踊ってみたりしてみたが、誰も反応することはなかった。


「こ、これは! マジで俺の姿が見えてない! 壁を擦り抜けられて、誰にも見つからないってことは……ムフッ」


 今彼が何を思いついたのか、男性ならお分かりだろう。早速近場の風呂屋に向かった。


「イヤァ、仕方ないよねぇ。俺だって男だしぃぃ、結婚してないしぃ、まず彼女出来たことねぇしぃ、このチャンス逃す奴はいないだろぉぉっ!」


 優は鼻の下を伸ばして完全に浮かれていた。何か異変がなければ、彼は人として最低のことをしでかすことは誰が見ても明らかだった。

 しかし、幸か不幸か、異変は訪れた。

 突然晴れていた空に分厚く黒い雲が流れてゆく。まるで空に分厚いカーテンが掛かったように分厚い雲の動きに合わせて街も暗い闇に染まっていった。空には風も無い中で、雲は猛スピードで空を覆った。

 ほんの数分の()に空は完全に雲に囚われ、地上はまるで夜になったのかと思わせるほどに暗闇と化した。


「なんだあの雲。めちゃくちゃ早いし、なんか様子変だぞ!」


 先程まで下劣(げれつ)なことを考えていた優もそれどころではない。当然だろう。たとえ山のふもとであろうと、ここまで急に天候が変わることはない。明らかにこの天候は常軌を逸していた。

 町が途端に暗闇に襲われたことにより、地上の一般人もデパートや店の明かりでしか周りを把握することが出来なくなっていた。電車や自動車は夜間を通る様にライトを点けながら、皆窓越しから分厚い雲をじっと見つめている。街はちょっとしたパニック状態だ。


グワァァァッッッ!


「っうう!」


 突如、耳をつんざく様な音が響いた。まるで鼓膜を直接しげきされるかのような痛みに優は両手で耳を塞ぐ。


「なんだよ今のは。何かの声のようにも聞こえたけど……って、なんだ!? 雲から何か出てくるっ!」


 分厚い雲の中心だろうか、そこだけが異常に膨らみはじめた。まるでそこから何かが飛び出してきそうにも見える。


グワァァァッッッ!


 再び耳が痛くなる程の大きな音が響き渡る。その直後、雲の出っ張りから巨大な影が飛び出て来た。その姿に、優は目を見開き言葉を失った。出てきた影は、皆一度は漫画やテレビで見たことはあるだろう、ある意味馴染み深い姿だった。


「ド、ドラゴン!?」


 優は呆気に取られていた。

 それもそうだろう。今彼の頭上にいるのは、ファンタジー、ゲームやアニメの世界にしかいない筈の空想上の生き物なのだ。その姿は空を覆う雲と同じ様に全身が黒く、牙は鋭く、真っ赤な血の色を連想させるようにドス黒く染まった瞳で街全体を睨みつけている。

 よく見てみるとそのドラゴンの背中に人の様なシルエットが見えた。


「なんだアイツ、ドラゴンに乗ってやがる……」


 その者はフードを被っており顔は見えない。なにやら街を見渡し、まるで何かを探しているようだ。

 ふと優は、その者と目があったような気がした。その者は、黙ったまま優の方を指差す。


グワァァァッッッ!


 すると、ドラゴンが吠えながら大きな翼を羽ばたかせ、優のもとに突っ込んできた!


「ど、どど、どうなってるんだコレはぁぁぁっ!?」

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


幽霊になったら皆さんは何をしたいですか?

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