第二十四話 解剖結果
第二十四話になります。
序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。
駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。
PM1:10
「なんじゃそりゃ! あり得ないだろ!?」
「勝負の結果なんて分からないものよ」
「そりゃそうだけど、そうじゃないだろ!」
全くの予想外の展開に優は驚き悶えながら反論していた。
『伝説』というからには最後はハッピーエンドに終わるはず、なのに消えたのは剣聖というまさかのバッドエンドに驚くのは無理もないだろう。
優にとってはむしろ、それを冷静に話すセンナや黙って聞いているビエラやブラドのほうが異常だと感じている。
一方、ブラドは優の反応は無理もないと表現するように両肩をあげている。ビエラは無反応だが、それが逆に優の反応を予期していたと語っているようだった。
「でも、残った犯罪者も相当な深手を負って、多くの犯罪者たちを連れて姿を消したの。それから四千年間、その姿を見たものはいないわ」
「深手が原因で消えたっていうのは?」
「それはないだろう……」
優の疑問に答えたのはビエラだ。腕を組み真剣な眼差しで優を見ながら言う。
「もう知っていると思うが、死者の体は肉体ではなく魂だ。どれ程の深手があっても魂が壊れなければ消えることはない。犯罪者は剣聖が消える瞬間を見ていたはずだ。戦いを終えた戦士が既に負った傷で壊れるなど考えられん」
優はビエラの言葉に納得せざるを得なかった。
どれ程激しい戦いであろうとも勝てばそれまでなのだ。むしろ激しい戦いを制したとあらば痛みによる苦痛よりも勝利の喜びをかみしめることになるだろう。
だが、それではおかしな点が一つだけあった。
「だったらどうして犯罪者は姿を消したんだ? 邪魔者がいなくなったのなら破壊を続ければいいのに」
優の言っていることは至極もっともだった。実際にそうなっていれば六道は完全に滅ぼされ神帝教会も潰されていただろう。なぜそうしなかったのか、自分でも酷い質問をしているという自覚はしていたがそれでも聞かずにはいられなかった。
「それについては我々にも分からないのだ。ただ、この伝説を誰も作り話だと疑わないのには当時の遺産があるからだ」
「遺産?」
「犯罪者をあと一歩のところまで追いつめた伝説の剣聖、彼が使っていた一本の刀、『天牙』」
「それって!?」
優はその名に聞き覚えがあった。二度にわたって優を襲ってきたリガードが現世で言っていた言葉『そうはいかねぇ! 天牙は俺達にこそふさわしい。何千年も宝の持ち腐れをしているキサマらとは違うんだよ!』つまり、奴らの狙いは伝説の剣聖の使っていた刀だったのだ。
そこから優は自分が疑問だったことが一気に晴れていくような感じがした。
「センナが俺を『剣聖様』って呼んだってこと、ずっと不思議だったんだ。でも何となくわかってきた。あのトランクに入っていた物。俺を貫いて、霊体に変えたあの黒い刀がてん」
「ウソをつくなっ!」
優の言葉を遮り、突然部屋に怒鳴り声が響いた。
四人はいきなりの声に驚き、声のした方を見ると、金色髪の青年『メルス』が部屋の扉の前で優を睨みつけていた。
その険しい顔からは優に対する激しい怒りの感情がにじみ出ている。
ビエラが一歩前に出て、メルスを叱りつけるように言い放つ。
「メルス! ここは私の部屋だ。何の声もかけずに入るとは何事か!」
「……申し訳ありません、総隊長。そこにいる身の程知らずなヴラカスに我慢できず」
「おい、センナ」
「なに、優?」
メルスに睨みつけられているのをものともせず、センナは内緒話をするようにセンナに耳元で話しかけた。
「ヴラカスって何?」
「あぁ、愚か者って意味よ」
「誰が愚か者だっ!」
優はセンナから答えを聞くなり、メルスに反論した。
それが火に油を注ぐ結果となり、メルスはさらに優を睨みつけ怒鳴り声をあげた。
「キサマ以外に誰がいる! よもや自ら剣聖の名を語るとは」
「語ってねぇよ! ただ、分からなかったことが漸く分かりそうだから整理しようとしただけだ!」
「自分を貫いたのが天牙だと、天牙がキサマを選んだとでも言うのか。バカバカしい」
「なんだとっ!?」
優にとっても自分が選ばれたなんて大それた事は言うつもりはなかった。
ただ、センナたちの話を聞いていくうちに、自分を刺したのが天牙である可能性は十分に考えられるのではないだろうかと思っていた。
なぜ死んでもいない自分が霊体になったのか、優はずっと知りたかったのだ。それが漸く分かりそうだと思った矢先に邪魔をされ、その上自分を馬鹿にするようなメルスの態度に優は腹を立ててしまった。
そんな二人を見かねてブラドが助け舟を出した。
「アレス! メルス! そこまでにしておけ。ここは総隊長の部屋だ。勝手に騒ぐような権限お前らにはないだろう?」
「「………」」
両者とも納得はしていないのが表情で丸わかりだったが、反論する言葉が見つからずに黙った。
やれやれという表情でブラドはため息を漏らし、再びビエラが二人を叱りつけるように言い放つ。
「優の中に本当に天牙があるのかは、現在ルドウが調べている。だが、生者であったアレスを死者へと化し、また魂の抜けたアレスの生身を生きているとイレギュラーなことばかり、原因は天牙しか考えられない。違うか?」
「くっ……」
ビエラの質問に対しメルスは何も言うことが出来なかった。人を殺す刃物なら現世にはいくらでもあるだろう。しかし、肉体を生かしたまま死者にするなど通常では考えることも出来ないことだ。
天牙というものがどういうものかは優には分からない。死者であるビエラたちがここまで言うということは、ただならぬものであることだけは理解した。
ビエラは優の方を向き、今後の事について話し合うことにした。
「アレス、お前を神帝教会の戦士にするかどうかはルドウの解剖結果を聞いた後にする」
(いや、そもそも戦士になりたくないんですけど……)
もはや決定事項であるとでも言うかのように話を進めていくビエラに優は何も言い返すことが出来なかった。下手に反論をすればまた鞭で叩かれるかもしれないということを優は恐れているからだ。
言いたいことをため息に変えて、全身の余分な力を吐き出すようにため息をついた。
その後程なくして、ルドウが優達の前に姿を現した。
「よう、待たせて悪かったのぅ」
「ルドウ、天牙は見つかったのか?」
誰もが知りたいこと、部屋にいる全員が、ルドウ博士の言葉に耳を傾けた。
ルドウは右手で自分の長いひげを撫でながら一呼吸置いてから、ゆっくりと口を開いた。
「いや、見つからなかった……」
「「「「っ!」」」」
「やはりキサマはウソをっ」
「最後まで聞けメルス」
ルドウの言葉に当然だと言わんばかりにメルスが告げようとすると、ルドウが彼の言葉を遮り続きを聞くように言い放った。
「今も小僧の体は生きておる。しかし小僧の体のどこにも天牙は見つからなかった。となると、残るは……」
「……えっ?」
全員の視線が一気に優に集中する。優自身、この後にルドウが言おうとすることが理解できた。
理解できたからこそ、顔を引きつり、一歩二歩と後ろへ下がろうとする。
「小僧、その体も解剖させいっ!」
「そんな馬鹿なぁぁぁぁぁっっっっ!」
読んで頂きありがとうございました。
新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」
と思われる所もあると思います。
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募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。
遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
今後も体調の事を考えて毎日投稿ではなく、なるべく頻繫に更新するという方針でこれからは行こうと思います。
どうかこれからも、『生者と死者の掛け持ち剣聖』をよろしくお願いします。




