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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第一章 出会い編
15/64

第十四話 パニック

第十四話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。

AM11:40


 戦いは終わった。センナは報告を済ませた後、優達のいるところまで下りた。そこではまだ足に力が入らないのか、座り込んでいるミキと呆然と晴れた空を見上げている優、そして剣を鞘に納める金色髪の青年の姿があった。

 センナはゆっくりと優とミキの近くに下りて、笑顔で二人を労った。


「お疲れ様。ミキ、優、怪我はない?」


「お疲れセンナ。何なのよあの子! 急に体が重くなって、危うく地面に埋もれるところだったわ」


「あれはあの子の()()()()()()ね、多分重力を操っているのだと思うわ」


「同感! あんなのが敵だと思うと、先が思いやられるわ……」


 本当に辛かったのだろう。ミキの表情にかなりの疲労が見て取れた。

 センナは優のほうを見ると、先ほどまでの事が相当刺激的だったようだ。未だに何の言葉も発することもなく、まるで人形のようにその場に立ち尽くし、空を見上げていた。

 いきなりドラゴンが押し寄せ、しかもまた自分が狙われた。なぜ自分を狙うのか。あの鬼男は何者なのか。

 そしてその鬼男を助けた小さな少女。会話の内容からも、奴の仲間であることは間違いない。

 ならばあの少女も俺を狙っていたのだろうか。分からない。この世界に来てから、分からない事ばかりである。


 優の頭の中は混乱していた。センナが声をかけようとするが、その前に先客が入った。


「ぐはっ!」


 金色髪の青年が乱暴に優の胸ぐらを掴んだ。かなり力が強いようだ。優の表情に苦しさが見える。しかしそんなこと一切気にしていない様子で青年が声にまで力を込めて強く言う。


「キサマ、いい加減にしろ!」


「ハァッ!?」


 青年の言うことがまるで理解できない。いい加減にしろとはどういうことであろうか。自分は何もしていないはずだが、青年の目には激しい怒りが宿っている。


「何のことだよ!」


「何のことだと! とぼけるな。キサマが(みな)を騙しているということは、もう分かりきっている」


「騙す? 俺が、何を!?」


「まだとぼけるか! ならばキサマの体に聞くまでだ!」


 青年は荒々しく優を突き放し、剣の柄に手を掛けた。本気で優を攻撃するつもりなのだろうか。

 青年は美しく整った顔を歪ませ、激しい怒りを今度は全身から感じる。とても冗談では済みそうにない雰囲気だ。

 優は身の危険を感じ咄嗟に後ろへ下がる……が、


「なっ!」


 優は一切青年から目を離さなかった。だが、大人の大股五歩分ほど離れていた青年の姿が一瞬で消えた。

 何処へ消えたのか、一度は見失ったものの、探す必要はまるでなかった。なぜなら青年は優の僅か数十センチ手前で、つまり優の懐に体をかがめ、左手を鞘に、右手で強く剣を握り今にも抜こうとしている。

 この距離ではどうやっても逃げられない。剣を防ぐ道具もない。たった一瞬で優はどうすることも出来ない絶望に追い込まれたのだ。

 鞘から白い刃が見え始めた。

 寸止めをしてくれれば良いが、初めてあったこの青年がどういう人間なのか優は何一つ知らない。

 センナやミキが慌てて助けようとするが、今から動き出したのでは間に合わない。


(やばい、斬られる。でも……)


『自分の体が穴だらけになったり、体中を斬り刻まれたり、首だけになる可能性だってある。その時人は、自分の姿に恐怖して、パニックになるの。そうなれば感情は大混乱を起こして、精神バランスが崩れて形を保てなくなる。魂が壊れてしまうの』


(冷静を失うな。たとえ、首だけになっても。たとえ、両目を潰されても。両腕、両足を切り落とされても、どんな激痛が走ろうとも、冷静を崩さなければ俺の魂は壊れない!)


 なんという肝っ玉のデカさだろうか。優は自分がこれから斬られるということを受け止め、既にその先のことを考えていた。

 優の目には諦めの色など全くない。まっすぐに青年の瞳を捉えている。一切顔も逸らさず、逃げ腰でもない。拳を強く握り、その場に仁王立ち!

 これから斬られる男の姿とはとても思えないものだった。


(コイツ、痛みを恐れていないのか?)


 青年も内心驚いていた。目の前の男にはなんの策もない筈なのに、何も出来ない筈なのに、なぜあれほど真っ直ぐこちらを見ていられるのか。

 青年は優の姿に言い知れぬ恐怖を感じた。自然と剣を持っている腕に力が入り、本人が気付く前に、力強く振り上げようとしていた。

しかし、


「そこまでだっ!」


 ドスの効いた男の声、一体いつの間に現れたのだろうか。二メートルを超える巨漢の男が柄に手をかけ剣が抜かれるのを止めていた。

 金色髪の青年も巨漢の男の存在に気付かなかったようだ。驚きを隠せない表情をしている。

 男は青年を睨みつけるように見つめ、警告するような口調で言った。


「剣を戻せ、メルス! これは命令だ!」


「……了解」


 青年は苦虫を噛み潰したように歯を食いしばった後、小さな声で答えた。その声からも、表情からも不満をつのらせているのは明確だったが、青年はゆっくりと抜きかけた剣を戻し、手を離した。

 とりあえずは一件落着したが、別の意味で予想外の出来度に優は空いた口が塞がらない状態で立ち尽くしていた。

 その巨漢の男の服装に優は完全に思考が停止するほどにまで強い刺激を受け、何も言葉が出てこない。目を見開き、目の前の光景に釘付けになっている。

 その巨漢の男の全身には、たくましく鍛え上げられた筋肉。髪の色は情熱を語るような濃い赤色。二メートル超えの高身長も重なり、男らしさをこれ以上ないほど詰め込んだ体。それを覆う衣が何故、()()()()なんだ!?


(へ、変態だぁぁぁっっ!)

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


巨漢男の姿をイメージして気持ち悪くなった方、本当にすみません。これは自分の趣味とかではないんです!信じてください!!

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