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2話
二か月が経った。
体の成長はもちろん、脳みそも発達してきたのか当初より驚くほど頭が冴えわたっている。首こそまだ座っていないものの、周囲を見渡したり体を起こす程度のことはできるようになっていた。
故に。
その異常にも気が付き始めていた。
私たち双子の、恐らくは私の兄にあたるのであろう赤ん坊が、ぐずるという行為を全くしていないということに。
ただただ天井を眺めるのみ。ときおり表情や体勢に変化はあったが、正直不気味なほどおとなしいのだ。妙な事態に陥っているように思える。
判断材料は転生と赤ん坊だけではない。
ベビーベッドの中から古い木製の壁を眺めながら両親の顔を思い出す。
青い髪に碧眼をもつ母親。くすんだ銀髪に黒い瞳の父親。人の形はしていたが、地球では間違いなくお目にかかれないその容貌は現状の把握をより困難なものとしていた。
なさんとすることは依然として変わりない。自分自身の決意に揺らぎもない。
ただあるのは、理解の及ばない現状と、予測もつかない漠然とした未来に対する抗いようのない不安であった。