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第四話『ミーにゃん同盟の仲間にゃん』

 第四話『ミーにゃん同盟の仲間にゃん』


 ミーにゃんとミアンが造ったサークル『ミーにゃん同盟』の仲間らと、

 子ネコが知り合うのもまた自然の成り行きにゃ。


 好みの色の霊布れいふで胸回りと腰回りを覆う『翅人型』の妖体。

 霊毛れいもうで覆われた『ネコ型』の妖体。


 集まった友にゃちらの外見を大ざっぱにいうにゃら、まっ、こんにゃとこ。

 どちらも代表的にゃ霊体の型にゃ。

 とはいえ、子ネコが今まで見てきた妖体同士の集まりはみにゃ、

 霊体の型が一致していた、というか、ネコ型ばっかりにゃのにゃ。

 にゃもんで好奇心をくすぐられた……どころじゃにゃい。かき立てられたのにゃん。

(ミクリしゃんに、ミムカしゃんに、ミストしゃんに、ええとぉそれからぁ……、

 ミリアしゃんにぃ、そうそう、ミロネしゃんでしゅね。

 ふむふむ。みんな癖のありそうな友だちでしゅ。でも気は良さそうでしゅの)

 心を許した子ネコ。地や空での追い駆けっこ、つるを使っての木渡り、

 洞穴の探検にゃど、来る日も来る日も一緒に遊び回っていたのにゃん。

 遊んでいくうちに、子ネコは、ひとりひとりに興味が湧いてきたのにゃ。

(仲間と居ない時って、なにをやっているのか知りたいでしゅの)


「一度、来てごらんよ」

 真っ先に声をかけたのはミクリにゃん。

 赤と青の二色に分かれた毛並みという、見た目の派手さ。

 転がってきた大岩を拳で木っ端微塵に砕いてしまう力の強さ。

『ウチにぶつけたにゃあ!』とミアンの拳にあっけにゃく吹っ飛ばされる腰の弱さ。

 どこをどうとっても面白さ満載のネコ型妖体。

(地中ネコって、みんなこうなのかもしれませんでしゅの)

 子ネコはわくわく気分でミクリにゃんと一緒に、地層の景色が拡がる地中へ。

 にゃんの気にゃしに雪ネコの仲間から教えてもらった、

『実体波を解除する術』が思いがけにゃく役に立ったのにゃ。

 霊体特有の、ぼぉっ、とした姿でもって、いざ、下りてみたら……、

 他のことが全く思い浮かばにゃくにゃるくらいの激しい衝動を心に覚えたのにゃん。

(うわぁ。あの中に交りたいでしゅのぉ)

 自分とおんにゃじか、それよりも小っちゃいと思われる地中ネコがやたらと集まって、

 わいわいがやがや、遊んでいるのにゃ。

 どの子も好奇心が旺盛で、かつネコなつっこい性格のよう。

 子ネコが声をかけたら、予想通りにゃ。たちまち集まってきたのにゃん。

「初めましてでしゅの」から始まったお喋り。

 あれやこれやと話をしていくうち、次第に仲良くにゃっていくのにゃ。

「ねぇ、一緒に遊ぼうよ」と向こうからいってくれたもんで、子ネコは大喜び。

 新たに出来た、たくさんの友にゃちとともに時も忘れ、

 オニごっこや隠れんぼを楽しんでいたのにゃ。

(おんにゃじぐらいの歳同士で遊ぶのは、やっぱり面白いでしゅの)

 遊びたい盛りの子ネコにゃん。


 忘れられてしまったミクリにゃん。

 箱座りのまま、たにゃ、ぼけぇっ、と子ネコがはしゃぐ様子を見守っていたのにゃん。


 以来、子ネコはひとりで地中と地上を行ったり来たりにゃ。

「ここはなんなのでしゅの?」

 追い駆けっこで、『捕まってなるもんかでしゅのぉっ!』と無我夢中で逃げた子ネコ。

 気がつけば、『絵』がやたらと浮かんでいる空間に身を置いていたのにゃ。

「へぇ。たいしたもんでしゅの」

 一つ一つの絵に心奪われ、

『自分もこれくらい描けたら面白いでしゅのに』と思い始めた矢先にゃ。

「描いてみまちゅか?」

 気持ちを見透かしたかのようにゃ声。

 不意に言葉をかけられたこともあって、思わず、びくぅっ、と。

「ええとぉ……」

 きょろきょろと辺りを見回す子ネコの耳に再び声が。

「こっちでちゅ」

(前のほうからでしゅの)

 振り向けば、でっかいキャンパスのそばで手招きしているネコの姿が目に入ったのにゃ。

(ぷふっ。招きネコでしゅの)

 声の主は『マロン』という名の地中ネコ。

 子ネコとおんにゃじ幼児で、背格好もさほど変わらにゃい。

 身体の上側は茶色で下側は黄色。『栗ネコ』という種に、ぴったんこの彩りにゃん。

「興味があるのにゃら、教えまちゅよ」

 マロンにゃんの勧めもあって、子ネコもやってみることに。

『こう描くのでちゅよ』と習うそばで、見よう見まねで描いてみたらにゃ。

「うわぁっ。にゃんて素晴らしい。初めてとはとても思えにゃい作品でちゅう」

 いきにゃりの褒め言葉にゃん。

「これが……でしゅの?」

 呆然と自分の絵画を眺める子ネコ。

「今までにこれほどの抽象画を見たことがありませんでちゅ。最高でちゅよぉ」

 絶賛も絶賛。大絶賛にゃ。

 実は……、描き終わったあと、子ネコは肩を落としたのにゃ。

(自分が書こうとしていたものと実際に書いたものがこれほどまでに違うなんて。

 ふぅ。がっかりでしゅの)

 落胆していたにゃけに意外感がひとしおにゃ。

 でもまぁ褒められたのは事実。にゃもんで、子ネコは開き直ったのにゃん。

(まっ。良ぉく見れば確かに、これはこれで面白いでしゅの)

 にゃかにゃかポジティブにゃ子ネコにゃん。


 身体が、白地に黒の縞模様、という、にゃんとも綺麗にゃ容姿のミムカにゃん。

 今は住居不定の身とかで、逢おうと思ってもにゃかにゃか逢えにゃい。

 でもにゃ。幸か不幸か子ネコは偶然、ばったり、と出くわしてしまったのにゃん。

 ふらふら、とあてもにゃく散策していた子ネコの目に、

 名もにゃい花を、じぃっ、と眺めているミムカにゃんの姿が。

 子ネコが、『なにをしているでしゅの?』と聴いたら、

『しっ。お静かにでありまぁす』との返事にゃ。

『なにか始まるのかもしれないでしゅの』と子ネコも、じぃっ、と見つめていたらにゃ。

 ミムカにゃんの手が花びらに触れるや否や、ぱっ。色が赤から緑へと変わったのにゃん。

「ふふっ。三度目にして、やぁっと上手くいったでありまぁす」

 にんまりと笑う相手を前に、子ネコは驚きの声を上げたのにゃ。

「すっごいでしゅのぉ!」

 見られている、という自覚が足りにゃかったもんで、びくっ、とするミムカにゃん。

 今の今まで、『心ここに非ず』といった心境にゃったのにゃ。

 でもってさっきの返事も、返事というよりかは反射的に喋っているにゃけにゃったのにゃ。

「これはこれは。子ネコちゃんじゃありませんですかぁ」

 声の正体を知るや否や、

「えっへん! なにを隠そう、ミムカは森の妖精。

 改造おなおしなんて、朝飯前なのでありまぁす!」

 目を見張った子ネコを前に、胸を張って両手を腰に当てて、と自慢のポーズ。

 実をいうとにゃ。『森の妖精』は自称にゃ。誰ひとり認めてはいにゃい。

 でもにゃ。子ネコは知らにゃいのにゃ。にゃもんで、

「森の妖精でしゅの? すっごいお方でしゅの」

 尊敬のまなざしを向け、崇めるかのようにゃ言葉を口にしたのにゃ。

 誰もいってくれにゃかったことをいってくれたもんで、ミムカにゃんは大喜びにゃ。

「おおぉ! 理解者がまたひとり増えてくれたでありまぁっす!」

 またひとりもクソもにゃい。

 繰り返すのもにゃんにゃのにゃけれども、誰ひとり認めてはいにゃいのにゃ。

 子ネコが初めてにゃ。ダマされたのにゃん。被害ネコ第一号にゃん。

 ……とまぁ批判はこれくらいにしてにゃ。

 ミムカにゃんったら、大層気を良くしてにゃ。こんにゃことまでいい出したのにゃん。

「お礼に、あぁなたにもサプライズを差し上げるでありまぁす。

 なにがよろしいでありますかぁ?」

 前屈みで、おっ立てた右手のネコ差し指をフリフリさせにゃがら右目でウインク。

 にこにこ顔で返事を促す相手に対し、子ネコは、とっさに思いついたことを口にしたのにゃ。

「翼が欲しいでしゅの」

 願った子ネコ自身でさえ驚くようにゃ望み。ところがにゃ。

 短い時間ならば、という条件つきではあるものの、約束通り、翼をつけてもらえたのにゃん。

「うわぁい。これで自由にお空が飛べるでしゅのぉ」

 喜んにゃのも束の間にゃ。

「あぁあぁ! ダメでしゅのぉ」

 飛べることは飛べたのにゃけれども、にゃかにゃか思うように飛んではくれにゃい。

 あっちへ行ったりこっちへ行ったり、と、ふらふらにゃ。

 とどのつまりが、空に小さい円を描いたぐらいで終わったのにゃん。

(貴重な体験をしたでしゅ。でも上手く操るのは難しかったでしゅの)

 思うように羽ばたけにゃい自分へのもどかしさ、を覚えた子ネコにゃん。


「来る?」

 子ネコはミストにゃんに連れられ、霧の都に入ったのにゃん。

 霧雨が見る夢の世界。霧雨が見せる夢の世界にゃ。

 青空ですら、霧雨が創り出した夢幻ゆめまぼろし

「ふふっ。ダマされたわね。もうあなたは二度と、ここからは出られないわ」

 子ネコは、はっ、と気がついたのにゃ。

 紫色の翅と霊服というにゃんとも妖しげにゃ格好。

 愛想のにゃい顔に妖しげにゃ目つき。

 どこをどうみても、妖しげにゃ妖精が妖しげにゃ言葉を口にしているのにゃん。

(ワナでしゅの!)

 子ネコは思わずあとずさり。慌てて逃げようとしたところが。

「なぁんてことを喋りそうな妖体についていってはいけないわ。

 みんな、わたしみたいに良い妖精ばかりとはかぎらないもの。

 とはいってもね。

 やたらと愛想のいい、にこやかな笑みを浮かべて声をかけてくるのも要注意。

 特にワタシがどうしてか友だちとなってしまった、ミリア、って名前の子はね。

 あれはダメ。絶対にダメ。ちょっとでも甘い顔をしたら、ろくなことにならないわ。

 いいわね。しっかと肝に銘じなさい」

 上空から、びしっ、とネコ差し指を突きつけて、お説教を垂れまくる妖精。

 勢いに圧されて子ネコは、こくこく、と頷くのがやっとにゃん。

「折角ここまで来たんだから、他ではお目にかかれないものを見せてあげるわ」

 始まったのは、ミストにゃんの日常にゃ。

 自分を体当たりさせることで、山や建物にゃんかを片っ端からぶっ壊しているのにゃ。

 とはいってもにゃ。驚くには当たらにゃい。

 ここら一帯は『霧の都』の街、であると同時に創作広場でもあるのにゃ。

 どんにゃに大っきくても、ぷよぷよ水で造られた代物ばっかにゃん。

 ぷよぷよ水とは、霊水が粘土化したモノでにゃ。

 霧の都の妖精らが創作に使う素材にゃん。

 ミストにゃんは自分の仲間が創りし作品を壊しているのにゃ。

 もちろん、ミストにゃん自身にゃって、たにゃでは済まにゃい。

 体当たりするたんびに身体が、べっちゃ、っと潰れ、霊水とにゃって弾けるのにゃもん。

 でもにゃ。あっという間に元の身体に戻れるのにゃん。

「いっておくけどね。破壊を楽しんでいるわけじゃないのよ。

 新しいモノを造るスペースを確保しているだけ。いってみれば慈善奉仕ね」

(そういわれてもでしゅの)

 形あるものが壊れていく悲しい景色に、純真にゃ子ネコは静かに首を振ったのにゃん。

(なぁんか過激な遊びでしゅの。ついていけないでしゅの。

 ……ああでも、ぷよぷよ水って、面白そうでしゅの)

 試しにと、本当の粘土をこねるのとおんにゃじ手つきで『ネコ』を造ってみたのにゃ。

「なんなの? これ。椅子にしては妙にでこぼこしている気が」

 愛想のにゃい顔から突きつけられた素朴にゃ疑問に、子ネコは思わず赤面にゃ。

(見かけじゃないでしゅの。ネコとして造ったんだから、ネコなのでしゅの)

 負けん気の強い子ネコにゃん。


 丸顔で、どこにでもいそうにゃネコつら……ごっほん。

 薄緑一色の全身とピンク色の首輪が一際目立つミリアにゃんから、

「今です。今こそ、『可愛い子ばんざい同好会』を造る時です。

 さぁあなたもご一緒に」と子ネコは誘われたのにゃ。

 愛想のいい、にこやかにゃる笑顔で。

 子ネコの脳裏に浮かぶは、ミストにゃんにもらった有り難い教えにゃん。

(これがミリアしゃん……。

 異様にゃ光が目に宿っているでしゅの。君子危うきに近寄らず。却下でしゅの)

 幼子とは思えにゃいくらい、賢明にゃ判断をする子ネコにゃん。

「では、またでしゅの」

 立ち去る小っちゃにゃ後ろ姿に投げかけられたのは、

 悲痛にゃる叫び…としておくのにゃ。

「どうして、あなたまで私を見捨てるのです!

 わたしのどこがいけないっていうのですかぁ!」

 全部にゃ。ミアンにゃら、きっとそういい捨てたに違いにゃい。


 然る大岩の上……さる、ってどこにゃ、と尋ねられても困るのにゃけれども……でにゃ。

 目を瞑ってあぐらをかいているミロネにゃんを子ネコは見つけたのにゃん。

 褐色の肌と女の子と見紛う綺麗な顔。

 最初に出逢った時から、子ネコは気ににゃっていたのにゃ。

 ふたりでゆっくりとお喋りをしたいと思っていたのにゃ。

「一緒してもいいでしゅの?」と子ネコは声をかけてみたのにゃ。

「オレと居てもつまらないぞ」

 目を瞑ったまま、ひとことそういったきり。あとは、ぴくり、とも動かにゃい。

 隣でおんにゃじ格好をしたものの、口も利いてくれにゃい。

 子ネコは直ぐに飽きてしまったのにゃん。

(本当につまらないから、これも却下でしゅの)

 諦めのいい子ネコにゃん。



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