第二話『夏にゃん』
第二話『夏にゃん』
時が立つのは早いもの。夏ににゃるのもあっという間にゃ。
青い空も、白い雲も、強い陽射しも、
『さぁ思いっ切り遊びにゃさい』と促す季節の真っ盛りにゃ。
「もうじっとしてはいられないでしゅの」
親離れをした子ネコ。
見るモノ触れるモノにゃにもかもが珍しく、あちらこちらと散策にゃ。
木に登ったり大地を駆け回ったり。
こわごわと湖の水に触れてみるのにゃ。
「大丈夫みたいでしゅの」
なめてみるのにゃ。飲んでみるのにゃ。
「あの中に飛び込んでみたいでしゅの」
とめどにゃく湧き上がる好奇心を抑えきれず、
身を鎮めてみるのにゃ。勇気をもって泳いでみるのにゃ。
未知にゃるモノに挑んでいくのにゃ。
食欲にゃって旺盛にゃ。
「頂くでしゅの」
夢中で木の実を頬張るのにゃ。
小川の水を、ごくごくっ、と喉を鳴らして美味しく飲むのにゃん。
「むむっ。野生に目覚めたでしゅの」
手始めに魚を捕ろうと試みるのにゃ。
でもにゃ。何分、不慣れにゃ水の中。
捕まえるどころか、あっぷあっぷと溺れそうに。
「ネコは陸の生き物だから、仕方ないでしゅの」
にゃらば、と野を駆ける小っちゃい生き物も狙ってみるのにゃ。
でもにゃ。追い駆けても、追い駆けても、逃げられるのにゃ。
逆もまたあるから大変にゃ。
追い駆けられ、追い駆けられ、ようようの思いで逃げ延びたのにゃん。
「ほっ。狩りは難しいでしゅの」
ひたすら、反省の子ネコにゃん。
我が身を振り返ってしばし熟考。出た答えはにゃ。
「野生はしばらくおあずけでしゅの」
いっつも、ひとりぽっち、とはかぎらにゃい。
雪ネコ、他のネコ、問わず、
おんにゃじ歳ぐらいの子ネコらと意気投合。
一緒に過ごすこともあるのにゃ。
話をしたり遊んにゃりもするのにゃん。
そして……、いっつも、ひとりぽっち、に戻るのにゃん。
やがては疲れるのにゃ。
子ネコは、うつらうつら、し始めるのにゃ。
どんにゃ季節でも夜はくるのにゃ。
子ネコは、うつらうつら、し始めるのにゃ。
暖かにゃ洞穴を見つけては潜り込んで、まったり、とおネムにゃん。
子ネコが繰り返す日々の営み。似たり寄ったりの毎日にゃん。