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本当の君を好きになる  作者: 瑠音
第4章『3年生』
31/59

第31話 運命の……

 嬉しそうな声。残念がる声。

 教室のあちらこちらから、色んな声が聞こえる。

 そんな声を聞きながら、私はムスッとしていた。


 そんな私を心配そうな顔で見てくる凪沙。

 そんな私を──嘲笑うかのような表情の、直登と湊くん。教室の前に固まって座る、その3人の様子を見て私は机に突っ伏した。



「はーい、じゃあこれで席替えは終わりな。誰か座席表書いとけよー」



 そう言って担任が立ち去ると、私は顔を上げ、ボーッと窓の外を眺める。

 と、その時誰かが近づいてくるのが分かった。



「瀬戸さーん!」


 そこには、ニヤニヤを隠しきれていない直登と湊くん。その後ろから、ひょこっと凪沙も顔を出していた。


「いやぁ、後ろの席羨ましいですわー!」


「僕も後ろの席が良かったよ!」


 そう言いながら、まだニヤニヤしている二人。

 私はそんな二人をギロッと睨み付ける。

 そんな私の様子に、二人は少し怯んだようだ。


 先程行われた席替えで、凪沙、直登、湊くんの3人は見事に教室の前の廊下側に固まり、私は、教室の一番後ろの窓際になってしまい、ぼっち状態。

 よって、そんな状況を煽られたお陰で、私の不機嫌さはMAXになってしまったのだ。


「授業始まっちゃうから、3人は仲良く戻ればー?」


「か、可鈴……?」


 凪沙の表情は、完全に固まってしまっている。

 流石の二人も、ヤバいと思ったのか、何も言わない。



「早くしないとチャイム鳴るよ」



 私が、冷たく言い放つと、3人は渋々戻っていった。

 はぁ……とため息をつく。

 ここまで怒るつもりは無かったんだけどな……。あまりにも二人が煽るから。さすがに、イラッと来てしまった。


「──瀬戸さん」


 と考えていた時、急に隣から声がした。

 隣に目を向けると、そこには一人の男の子。

 幼い顔立ちで、不思議な雰囲気がある。



「……はい……?」


「あ、いや、えっと……そんなに、ここの席が嫌なら、僕誰かと変わろうか……?そうすれば、少しは気分が楽になるんじゃないかと思って……」


「へ?あ、大丈夫だよ!別に、この席が嫌とかじゃないから!!」


「……そうか。それなら良かった」


「何か、気遣わせちゃってごめんね?」


「ううん。大丈夫だよ。これから、隣同士よろしくね」



 そう言って、フワッと笑うその男の子。

 その優しくて可愛すぎる笑顔に、私はキュンとしてしまう。

 な、何て可愛い子なんでしょう……!!!!


「こちらこそ、よろしくね!私、瀬戸可鈴です」


「あ、僕は樋野綾人(ヒノアヤト)です」



 何か、席替えしてブルーだったけど、すごく楽しい生活が待ってるかもしれない……!!

 ちょっと、楽しみになってきた……!!






***





「──なあ、可鈴」


「ん?何ー?」


 下校中に、直登に話しかけられ、彼の方を見ると、少し不機嫌な表情をしていた。


「あんまり、優しくし過ぎんなよ」


「え?」


「誰にでも優しいのは、お前の良いところだけど……あんまり、誰にでも優しくしてたら、すぐに惚れられるぞ?」


 直登の言葉に、私は目をパチクリさせる。

 惚れられる……?私なんかが……?



「アハッ!!直登、それ余計な心配しすぎだから!」


「余計じゃねぇよ」


「とりあえず、直登たちが前の席で楽しんでる分、私も新しい友達作って楽しんじゃうんだからねー!!」



 直登は、そんな私を見ると深くため息をつく。



「はぁ……。不安しか無いわ」


「私は、楽しみしかないよ!!」


「もう良いや。さっさと帰るぞ」


「はーい!早く帰ろ~!!」




***






 樋野綾人くんと隣の席になった事によって、私たちの運命はまた大きく変わっていく。



 そんなことも知らずに私は、ただ明日が楽しみで楽しみで仕方がなかったんだ──。








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