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本当の君を好きになる  作者: 瑠音
第3章『冬の私たち』
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第24話 クリスマスの夜


「サンタさん!」


「うるさい」


「サーンタさん!」


「やめろ」


 私が話しかける度に、面倒くさそうに返事をする直登。先ほど、湊くんの家に行ってプレゼントを渡してから、今はマンションに向けて帰っているところだ。私たちは、サンタさんの衣装を着たまま、歩いている。


 直登の家の玄関前まで帰ってきたところで、プレゼントを入れるのに使っていた、白い大きな袋を投げられた。それを受け取って、私は違和感を感じる。

 直登は、そのまま家に入ろうとしていた。



「ちょ、直登!!これ、まだプレゼント残ってるんじゃないの!?」


 直登は、こちらをチラッと見るが何も答えてはくれなかった。もしかして、湊くんへのプレゼントも用意してて、渡しそびれたってこと?もー、本当に素直じゃ無いんだからー。

 そう思って、袋からプレゼントを取り出して、私は固まった。



「……え?」



 そのプレゼントには、『可鈴へ。』というカードが付いていた。私は、プレゼントと直登を交互に見る。直登は、遠くを見ながら頭をポリポリと掻いている。



「……それも……サンタからのプレゼントだよ」



 その言葉に、私は直登に思いきり抱きついた。一瞬、よろめいた直登だったが、しっかりと受け止めてくれた。嬉しくて、本当に嬉しくて、にやけが止まらない。


「直登サンタさん!!本当にありがとう~……!!」


「はいはい」


「嬉しい!!大好きだよー!直登っ!!」


「……へ」


 私は、直登から離れると、プレゼントの中身を確認しようと、リボンをほどく。と、その時ガシッと腕を掴まれた。


 え?まだ開けちゃダメだった?


 不安になって、直登の方を見ると、顔を真っ赤にして私の方を見ていた。

 頭の中が?マークでいっぱいになる。


「さ、さっきの……もう一回……!」


「へ?さっきの?」


 さっきのって?考えて、私は直登に確認をするように呟く。




「直登サンタさん、ありがとう……?」



「ち、違う!その次っ……!」



「へ?──大好きだよ?直登?」



 それを言った瞬間、直登の頭からボンッ!という音がした。私は驚いて、直登に駆け寄る。直登は、片手で頭を押さえて、座り込んでいる。



「もう、俺にとってはその言葉が、プレゼントだ……!」


「ちょ、直登?壊れちゃったの?大丈夫?」


「俺は幸せ者だ。もう死んでもいい」


「え、ちょ、直登さん?」



「俺……お前に出会えて本当に良かった」



「……それは、私もだよ……?」



 そう言って、直登の手を握る。指先は、とても冷たいけど、手のひらはほんのり温かい。すると、直登は私の事を見上げる。真剣な顔で。その真剣な顔に、私はドキッとする。



「……何か……今日は帰したくない」



「……え?」



「おいで、可鈴」



 その言葉に、私は引き寄せられるように立ち上がると、直登についていく。

 私だって……今日は一緒にいたいよ──。




***




「──わああっ!!可愛い!!」


 直登の部屋に辿り着いて少ししてから、きちんとプレゼント交換を済ませた私たち。今は、直登のプレゼントを開封したところだ。中には、小さなスノードームと、可愛らしい膝掛けが入っていた。


「直登ありがとうっ!!」


「いえいえ~」


 得意気に笑う直登。その笑顔は、とても可愛らしい。

 そのまま、直登も私からのプレゼントを開ける。


「おおっ!!マフラーじゃん!!」


「直登に似合うかな?って思って買ったの!」


「毎日使うわ!」


「本当!?良かった~!」


 プレゼント交換は、大成功に終わった。すると、コンコンと扉をノックする音が聞こえてきた。



「──直登。私は、可鈴ちゃんが泊まるのは全然構わないんだけど、可鈴ママはどうだったの?」



「あ、許可もらったらしい」


「はい!大丈夫です!」



「あら、そう!じゃあ、布団とか持ってくるから、お風呂も順番に済ませちゃってね!」


「おばさん、ありがとうございます!」


「いえいえ!素敵な夜になると良いわね!」


 そう言って、ウインクをすると直登のお母さんは出ていってしまった。



「たぶん、姉貴のパジャマと布団使うようになるだろうから」


「え!?お姉さんのお借りして良いの?」


「お前が文句さえ言わなければ大丈夫だろ」


「文句なんかないよ!!」



 私たちは、それから色々な話をしながら、ゆっくりと過ごした。お互いにお風呂を済ました頃には、眠くなってしまい、私たちはすぐに布団に入ったんだ。



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