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本当の君を好きになる  作者: 瑠音
第2章『みんなの想い』
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第16話 お互いの想い



 湊くんからの告白を、やんわりと断った私だけど……本当にあれで良かったのかな?でも、今の私には誰とも付き合える自信が無くて……。知らないうちに、断ってしまっていた。

 きっと、あれで良かったんだ。

 そう自分に言い聞かせて、1日を終えた。


 一人で歩く帰り道。また、こんなつまらない登下校が続くのかな……。そう考えると、すごく寂しい。

 マンションに辿り着いて、エレベーターで自分の階のボタンを押し、上がる。6階に辿り着き、ボーッとしながら歩いていて、私は思わず声を出した。



「あ」


「あ」



 お互いにそんな間抜けな声を出す。

 私の隣の家に住んでいる、直登。その直登が家の前にボーッと突っ立っていた。



「……何してるの?」



 そう尋ねると、彼はプイッと顔をそむける。


「……ボーッとしてるだけ」


「……ふーん」


 そんな直登の目の前を通り、自分の家の前まで移動する。すると、直登がこちらをチラチラと見てくるのが分かった。


「……何?」


「いや、別に」


 ……何かすごく変。そして、自分なりに必死に考える。あの様子。言葉……。

 あ。




「──もしかして、鍵忘れたの?」




 私のその言葉に、直登はギクリと肩を震わせる。

 何も言わないから図星なんだろう。



「……お母さんは?」


「……友達と旅行行ってる」


「……お姉さんは?」


「……彼氏の家に泊まる」


「お父さんは単身赴任だもんね?」


「……ああ」



 直登は、変わらず顔をそむけたまま。私は、冷たい目で直登の方を見る。

 でも、次の瞬間おかしくなって私は噴き出した。


「はっ!?な、何笑って……!?」


「だって、おかしいんだもん!!」


「はあっ!?ば、馬鹿にしてんじゃねぇぞ!?」


「いやぁ、やっぱり幼馴染みだなーって思ってね!!」


「……え?」


「だって、いくら気まずくなっても、すぐにこうやって話が出来る機会を作ってくれるんだもん。絶対に、話をするしかないような場面をね!……あー、神様に感謝しなきゃね」


 そう言って、ニコッと笑うと直登も気まずそうに笑みを浮かべる。









「直登の嘘なんてどうでも良い。私はね……





──直登の事が好きだよ」







 私の言葉に、直登は何とも言えない表情をする。そして、俯く。



「直登が誰の事を好きでも構わない。私は、直登の事を想い続けるよ?だからね、もうそんな顔しないで?」


 私がそう言うと、直登は手で顔を覆い隠した。

 鼻をすすっているから、少し泣いているのかもしれない。



「……嘘をつくつもりなんて無かった」


 直登が話し始める。



「ただ、可鈴にフラれるのが怖かっただけだ。逃げただけだ。……あの告白は、俺の本当の気持ちだったんだ。俺は……本当に可鈴の事が好きだ。ずっと前から。信じてもらえないかもしれないけど、好きなんだ」



「……直登」



「でも、今の俺には可鈴と付き合う資格は無い。可鈴に嘘をついて、傷つけて……」


 すると、直登が顔をあげて私の目を真剣に見つめてきた。その視線にドキッとする。



「だから、もう少し俺に時間をくれないか?ちゃんと可鈴の事を幸せに出来るようになるまで……待っていて欲しい……」



「……分かった!直登がそう言うなら、私いつまでも待つよ!待ってる!」


 その言葉に直登は、優しい笑顔を浮かべてくれた。

 つられて私も笑う。

 直登の気持ちが知れた。直登に待って欲しいと言われた。それだけで、今の私には十分だ。




「──全く、イチャイチャしてんじゃないわよ」




 と、その時女の人の声が響いた。私たちは、驚いて声がした方を見る。

 そこに立っていたのは──


「姉貴!?」


「お姉さん!?」


 直登のお姉さんは、鞄を漁り鍵を探しているようだ。


「姉貴、彼氏と泊まるんじゃ……?」


「はあ!?そんなもん中止よ!中止!!見ての通り喧嘩して帰ってきたのよ!!!!だから、今の私の前で幸せオーラ出すんじゃないわよ!?」


 私と直登は揃って苦笑いを浮かべていた。


「ほら、バカ直登!!お姉さまのやけ酒に付き合いなさい!!!!」


「は!?ちょっ、引っ張んなって!!」


 直登は、そのままズルズルとお姉さんに引っ張られて、家へと帰っていった。

 とりあえず、家に入れたから良かったかな?


 そんな事を思いながら、笑顔で家へと帰った。



「──ただいまー!!」



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