#3 ~魔法解析そして、算術が神った件~
「おはようございます。誰か魔法使える人いませんか?」
「おう、急にどうした。お前魔法使えねえだろ?なんでまた」
「エーとですね。魔法がちょっと見たいからです」
「あんま説明になっとらんぞ。もしかして例の変人研究者のところでなんかあったのか?」
うへえ、ファーゴさんなんか鋭いけど
「いえ、少し関係がありますがただ見てみただけです」
「まあいいぜ。俺も少しは使えるからな」
「使えるんですか!?ぜひお願いします」
「ああ、あと神父も使えたはずだ」
あーそれなんとなくわかる。ていうか何で神父が思い付かなかったんだろう、日本ではなじみ無かったからかな?
「じゃあ朝食の後で見せてやろう」
「わかりました」
「朝食よ~」
「「はーい」」
それから朝食を食べて、村のはずれのほうへ移動した。もはや森の中という感じだ。
「さて、魔法を見せるとするか」
「お願いします」
「えーとまず今から出す俺の魔法の説明だが、簡潔に言えば氷の剣を出す魔法だ。使い方はだいたい投げるな」
「なるほど、大きさは変られますか?」
「ああ自由に変えられるぜ」
「じゃあ早速やってみてください」
「おうよ」
そしてファーゴは手のひらを上に向けしばらくすると、青白い霧のようなものが発生しその霧が晴れると手には20cmくらいのナイフが握られていた。
「こんなもんだ」
「ナイフは冷たく無いですか?」
「冷たいよ。だから普通はすぐに投げる」
そう言うとそのナイフを投げ、近くの木に刺さった。
「ではすみませんがもう一回やってれませんか?」
「いいぜ、じゃあいくぞ」
「あっちょっと待ってください」
そう言うと俺は魔力感応を使う、あと超演算も
「じゃあお願いします」
「あいよ」
そしてまたファーゴが同じように氷のナイフを出現させ投げる。
すると、ファーゴさんの手の上で幾何学模様のようなパターンがいくつか現れたあと魔力の塊ができ、魔力の塊とパターンが重なった瞬間氷のナイフが現れた。
この幾何学模様を細かく見れないものだろうか…
「すみませんが、もう一回いいですか?」
「おう、いいぞ」
今回もまた同じようにやってみる。すると今回は突然世界がゆっくりになった。もしかするとこれが超演算?ということは、幾何学模様がしっかりみれる!
ふむふむ、難しいようでパターン化すれば簡単な形だな。とりあえずこれで同じ魔法は発動可能になった。わりかし記憶力はいいほうだし、多分このままパターンを覚えることはさして難しくはないな。よし
「ありがとうございました」
「おう、いいってことよ」
「じゃあ帰って神父のところに行きますか」
「じゃあフランと一緒の行ってこい」
「わかりました」
そう言うと俺たちは村のはずれから家に戻り時間もそこそこなので早めの昼食をとって俺とフランは教会へ行った。
「おーまたお前さんか。昨日はすまなかった」
「いいですよ。いろいろ面白いものがありましたし」
「今日は何のようじゃ?」
「魔法がみたいのです」
「ワシの魔法は回復系だが良いのか?それにお前さんは魔法使えないじゃろ」
「なんとなくみてみたいのですが...ダメですか」ちょっと上目遣いにしてみる。ちょっと攻撃力あるんじゃないか?身長ちっさいし...ね。まあ相手はおじいちゃんなんだけどね。
「いいじゃろ、ちょうど足を傷を負った人がおったところじゃ」
「ありがとうございます。合図したらやってください」
「わかった」
俺はさっきと同じように感応能力を起動させておく、今回はさっきと違って、全体ではなく神父さんの周辺だけを見れる様にしておこう、地味に周囲までサーモグラフィー状態だと気が散るからね。そういえば、サーモは熱って意味だから魔術的にはマギグラフィーの方がいいな
「では、お願いします」
神父はけが人の足の上に両手を向けて魔法を発動する。
すると神父の手の上に同じようにパターンが現れ、魔力の塊と重なった瞬間 光だした。その光を患部に近づけると、ほとんど傷が消えてしまった。
俺はさっき同様、超演算と得意の暗記でパターンを記憶しておく。ていうか超演算の恩恵なのか暗記もいつも以上に覚えれるな。一応紙が手に入ったらノートにでもしておこうかな?
「お主、もう傷は癒えたはずじゃ」
「ありがとうございます。ありがとうございます」
そのけが人結構な怪我だったのに何事もなかったように歩き出した。やっぱヒーリングすげーな
「ヒーリングは何でも使えるのですか?」
「いやそうではないな、傷などは消えるが病気は何度もかければ治るものもあるが、魔法では治らぬものも多くあるな」
「なるほど、ありがとうございました」
外傷にしかほぼ効かないということは患部の細胞分裂を促す魔法とかなのかな
「おじいさんすごいね~」
「うん、ケガがあんなに簡単に治るなんてね。それでは失礼します」
怪我した人と子供がうれしそうに帰っていく
「うむでは」
「さて家に帰るか」
「さっきね~おにーちゃんに学校行ってこいって言ってたよ?」
「いかん忘れてた。今からすぐに案内してくれ」
「おにーちゃんもそろそろ村の地図覚えたら?」
「あー善処する」
「うん!」
覚えないとほんとにだめだよな~これも超演算でぱぱっとできないものか…
「着いたよー」
「ありがとうフラン」
「じゃあね~また」
そしてフランはまたたく間にどっかに行ってしまった。
やべえ。家どうやって帰ろう?」
「あら、狐耳のクローバーさんではありませんか」
あーも面倒いなお前も!
「なにやら深刻な顔でブツブツ言ってらっしゃいましたが」
「いえ、なんでもありませんよ」
「なら、そこをどいてくださいまし」
「すみません」
あーマジで話すだけで疲れるな~ほんっと
俺はフィーの後に続いて入って行った。
今日は計算問題だ。よっしゃラッキーサクッと計算終わらして、さっきのパターンと、朝のと違いを確認してみよう。
「では、はじめますよ~」
先生の言葉で、プリントのようなものが配られる。
...えっ...。???
「どうかされましたか?まさか計算が得意では無いのですか?よろしければ教えて差し上げましょうか?」
いや何もいってねーし。四則演算なんか暗算で3桁はいけるんだけど、...これ30問中25問が二桁問題。答えがやっと三桁。最後に5問三桁問題。
というか超演算使えば間違いなく3桁どころか、8桁くらいいけるんじゃんねえか?
「いえ、お気遣いなく」
「あそう、では」
そう言うとそろばんの似た道具を取り出して計算しはじめた。
えーっと計算機あり?りありー?まあ繰り上がりがめんどうではあるけども…
持ってないんだけど?
「あら、クローバー君は計算機持ってないのかしら?」先生が声をかけて来た
タイミング悪!二問くらい暗算で解き終わってるんだけど!
「いや暗算でできます」
「「えっ?」」
「えっ」ってなんや~それも先生まで
「じゃあ」
俺は最後の三桁も問題なく解けた。と言うか三桁って言っても数字小さいし。
あえーっと、どうしたらいいのかな?
「これをどうぞ」
とりあえず先生に渡しておく。
「じゃっじゃあ確認して来ます」
うしっ。これで心起きなく解析できる。
なーんて考えていたら、先生が帰って来ちゃった。
「素晴らしい。全問正解です。これならば一位間違いありません」
先生鼻息荒いよ。ちょっと落ち着いてって横が怖いいいい。なんか人が殺せそうな視線が...よく見ると横以外からもなんか目つきが...。やばい緊張で死ねる。
「では、これで帰ってもいいですか?」
「そうですね。いいですよ」
これは絡まれないようにするために早く帰るべきだな。べっ、 べつに家のかっ、 かえりかたがわかっ、 わからないから時間がかかるとかじゃないで ですよ。
俺はさっさと身支度を整えて家に帰ろうとする。すると目の前にはフランが遊んでいた。
「おーいフランー」
「あっおにーちゃん」
「いまから帰れるかー?」
「うーんまだ遊ぶー」
「あーわかった」
まだフランは遊び足りないようで、近くの子と鬼ごっこを続行するようだ。
どうしようかな~まあ近くの広場の端で比較して検討するか。
さて、さっきのパターンを思い出してみよう。
ふうむ、
まず一つ目のパターンが大きな魔法の種類かな?さっきの氷と、回復と似ているけど、ちょっと違う感じ
ニつ目は…サイズかな?いや発動範囲と言った感じか。
三つ目は…形かな?回復魔法には存在しないパターンだからな
あとは…いくつか残っているけど、これだけじゃあよくわからんな。もう少しいろいろな魔法を見ないと意味なさそうだな。
さてあとは発動の方なんだけど、ここでひとつ問題が。この能力、魔法の発動シークエンスを見ることでパターンを解析できるのはいいんだが、魔法陣との間に互換性が見当たらないんだよね。昨日読んだ本にあった説明を踏まえると、根本的には違うものなような…。ついでにいうならば魔法陣を新しく作るのはなかなか難しいらしい。そういや、そもそも俺、魔法陣も使えないんだったわ… なんか魔法陣はあくまで通常の魔法より大型の魔法を発動するために使うものであって簡単な魔法を発動するためにはないらしいから、本のどこにも単純な魔法陣が一切載ってなかったし。
実際のところそのまま魔法をコピーして発動するだけなら多分パターンを維持する時間をのばして魔力を注ぎ込む時間を確保できれば発動可能なはず、ただ魔法をコピーできるとなると周囲に人からどう思われるかが心配だ。正直この世界に来てファーゴさんのようないい人に巡り会えたものの、今後このまま同じ様に生活できるとは限らない。なるべく自分の能力は秘匿し、ごまかすことでなんとか凡庸に生活しないと怖い気がする。ただそれだけだと能力がないおちこぼれだから何か攻撃手段になるようなものも用意すべきだろう。
仕方ない、とりあえず今は誰も周囲にいないので一度魔法のコピーを発動してみることにしよう。そういえばこのパターンて言い方もどうにかしないと、わかりにくいな。例えば…マギコードとでもしておくか。まあ正確にはコード、いわゆる符号というわけではないのだからこの名前は違うとは思うが暫定的に使用することとしよう。
さて、まず発動だが…とりあえずさっき氷のナイフのマギコードを思い出してみよう。何層かに分かれているマギコードを魔力操作で再構築、手のひらの上にファーゴさんの時と同じ様にマギコードを展開、あとは魔力塊を作り出して、重ねあわせると……
できた!! 冷てえ!とりあえず近くに木に向かって投げたら…。
カンッ!...えっ?まったく刺さらないんだけど何で??? あれこれ試していたらわかったこと
筋力がなさすぎて~まったくささらないんですけど~。
もう一度言おう
筋力がなさすぎて~まったくささらないんですけど~。
ちょっとここまで筋力ないの?これだと生活に支障でるんじゃね?
まあ流石に直接持って刺そうとすれば刺さるので問題ないかな…問題ないといいな…
もうなんかテンションが落ちまくったので、そろそろフランのところに行く。
「そろそろ帰るー?」
「うーんじゃあ帰るー」
「じゃあ帰るよー」
「また明日あそぼうねー」
また明日も来るのかよ。だいぶ元気だなぁ。こちとらなんかテンション駄々下がりなんですが
「おにーちゃん どうしたのー?」
「いやなんでもないよ。じゃあ帰ろっか」
「うん!」
俺たちは家に帰る道を歩き出す。その道中
もうそろそろ道覚えないとやばいよな~そんなに難しい道のりでもないし」
「おにーちゃんさっきからなに言ってるのー?」
「いっいやー別にちょっとね。村の道をおぼえないとな~。って」
「じゃあ明日案内する~」
「そっか。明日じゃあ行こうか」
と話ている間に家に着いた。よしとりあえず村の学校から家までの道のりは覚えた。
「「ただいま~」」
「おかえり~」
もう慣れた家だ。俺たちはリビングに行くと。ファーゴさんが居た。
「学校はどうだ?」
「えーまあそれなりに?」
「なにがそれなりだよ。いきなりすごい点数たたき出して速攻出て行ったらしいじゃないか」
知ってたんならいわなくても...「いやーたまたまですよ」
「そうなのか?まあ事情はよくわからんが明日から算術のほうはこなくていいそうだ」
「えっえっえっ...。なんで?」
「そこもよくわからんがとにかくお前がすごいってことだ!!」
まあとりあえずめんどくさいことになってないといいな~なってるだろうけど…
「なんかありがとうございます」
「おうっじゃあ暇なときに村を散策しているといいぜ」
「そういえば、明日フランちゃんが村の案内をしてくれるって言ってるんですがいいですか?」
「いいぞ。じゃあ明日俺もしごとが休みだしみんなでいくか!」
「フラン楽しみ~」
「じゃあ明日はのんびり散策ね」
「ありがとうございます」
「気にすんなって。それと敬語も直したらどうだ」
「あーえーと。そういう性分なんでどうしようもないかと...」
「そろそろ夕飯を食べるわよ~」
「「「はーい」」」
いつものように夕飯を楽しくたべ、なんやかんやあって。
その夜、自室
うーん、今日思ったこと。
やっぱり、武器がほしい。なければ最低限身を守る手段がほしい。筋肉量を考えると剣やナイフといった筋力に頼るタイプの攻撃方法は使えないとすると...やっぱ銃でしょ!魔法銃!もう響きだけで興奮してきた。
まあそれはさておき問題なのは材質だな。魔法の弾丸を生成できるかどうかは確認していないが、おそらくは可能だろう。だとするとやはり何で砲身などを作るかだな。この村に鍛冶屋があればいいのだがどうなんだろうか。その辺も含め明日は確認する必要があるな。なければないでほかの方法を模索する必要がありそうだ。
さてじゃあ今日はこの辺で寝ますかね。
今回はいかがだったでしょうか。
次回「村巡りと見せかけて...」