#1 ~俺は強…くないだと……?~
前作を一時休載にして、反省しつつ書きました。
どうぞ生暖かい目でご覧下さい(笑泣)。
時は12月。もうすぐ今年が終わろうとしているとき。俺こと赤城黒葉は久しぶりに実家の大掃除を手伝っていた。
「ったく、大掃除はめんどくさいな」
などとぼやきつつも片付けをしていた。すると
「おーい黒葉、畳を上げて下を掃除するからあげといてくれ」
「あーわかった」
そう言って俺は畳を上げた。そうするとなぜかそこに黒いぽっかりとした空間があった。俺は気になって手を伸ばしてみたが空を切る。近くにおいてあった布団たたきを持ち「えい」と突っ込むと、なんとそのまま吸い込まれてしまった。俺はあわててつかもうと手を伸ばす。
そして、俺も中に落ちた…。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
俺の声が黒い空間にこだまする。そのままきりもみ状態で落下。俺は視界の隅でさっき持ち上げた畳が元に戻るところが見えた…。
(あっ終わったな。まさかね~高校一年生にして一生の幕を閉じようとしているとは…)
俺の意識は落下し続ける闇の中でフェードアウトしていった…。
「…ーい おー… おーい… おーい」
誰か小さい子供の声が聞こえる…?
「お… い きつねみ…おにー…ちゃん」
ん?きつねみみ これは聞き逃せない!
俺は目を開けると目の前には、小さい女の子が居た。
「おかーさん。おにーちゃんが起きたよー」
ん?けもみみ、もといきつねみみはどこだ?
「あーえっと。ここどこ?」
「おにーちゃん森で倒れてたんだよー」
えっ?ん?ちょっと待て。死んでないな。服きてるな。きつねみみがいないな。ていうか生き返った?
「おーいどうしたのーきつねみみのおにーちゃん?」
きつねみみ?いやまておにーちゃん?俺は確かに高校生だが…それよりもきつねみみだ。
「えーと僕?」
「うん」
「きつねみみ?」
「うん。ついてるよ?」
俺にきつねみみが?ついてる?…
うわーめっちゃ触りたい撫でたい愛でたいのにまさか自分についてるとはね。これで自分の触ってニタニタしてたら変態だよね。
「あら。起きたのかしら。」
「すみません。えっと名前は…名前は?あれ?」
あれ名前なんだっけ?赤城…黒葉…じゃだめじゃね?
「えーと…クローバーです」
いや我ながらこの状況で機転をきかせたと思うよ。でも安直すぎた気はするけどさ。
「じゃあクローバーだっけ?なんであんなとこに居たのかしら?」
「えーとよくわからないです」
「うーんと言うことは家などはわかる?」
「いやわかりません」
あながち間違ってないはずだ。実際わかってないし、さらにここにきつねみみがいる時点でおかしい。とすると別の世界に飛ばされた可能性がないこともない。
…我ながら素晴らしい想像力だなーと思っていたら。俺の頭に直接文章のようなものが送られてきた。
えっ!?なんだこれ…
とりあえず読んでみる
from 神
to 赤城白葉
件名 どうもすいませんでした
(神様から謝罪来たんだけどね、どうしようか?)
本文
どうも、神様です。
この度は誠に申し訳ありませでした。
このようになった経緯について謝罪を兼ねて説明させていただきます。
まず、赤城様が見つけた畳のしたにありました黒いものですが、これは世界を移動するためのゲートのようなものです。あそこにゲートが開いていたことをこちらは把握できておらず、今回のような不手際が起きてしまいました。重ね重ね申し訳ございません。
そして現在あなたは第33番世界に転成されました。この世界では魔法が使える仕様です。
このゲートですが自然現象として捉えられているため、ゲートの生成や行き先の指定ができません、よって赤城様が元の世界に帰れる可能性はほとんどございません。
誠に申し訳無いのですが、この世界での生活を余儀無くされました。
今回の一連の事件についての質問は本部教会の神託の係員へご申しつけください。
こちらとしては、神力をむやみに行使できませんが特例として、生死が関わってくる場合のみ、微力ながら力添えをさせていただきます。
体つきについては基本的に今までの世界を基本としてあります。ある程度は修正されていると思います。年齢についてはおよそ8歳ほどだと思います。言語関係は全てこちらの世界に適応済みですので会話や筆記には問題ないと思います。
今回の件、誠に申し訳ございませんでした。
神様、話長いよ
だいたいの状況は把握した。ようは転成した、かつ魔法のある世界に。そしてきつねみみに。
「おーい」
「あっすいません」
考え事していたら思いっきり無視していた。
「何か思い出したかしら?」
「やっぱり全然です」
「そうですか。ではとりあえず、ここで面倒は見てあげましょう」
「ありがとうございます」
「歳はわかるかしら?」
「えーとそれは多分8歳だと思います」
「わかったわ。じゃあ少し休んでいなさいな」
「すみません」
「さっきから謝ってばっかりよ。いいのよ気にしなくて」
「ありがとうございます」
「じゃあ。そういえば名前言ってなかったわ。私はハンナよ。そしてこの子がフラン。あと少ししたら帰ってくると思うけど夫のファーゴよ村の防衛の騎士をやってるわ」
「わかりました。ハンナさん」
「じゃあ休んでてね」
俺はまたベットに横になるとまたすぐに寝てしまった。
次に日
「おはよう。昨日はよく眠れたかしら?」
「はい。おかげさまで」
「じゃあ朝食作ってあるから来て」
「わかりました」
俺はベットから起きるとハンナについて行った。
「おはようございます」
「あーおはよう。適当に座ってくれ」
「はい」
「なんかおめー硬いぞー」
「すみません」
「謝るなって。もっと楽にしろ」
「わかりました」
「はーあんま変わってない。もーいーや。ところで森の中で倒れていたみたいだな」
「はい。自分でもよくわかりません。と言うか記憶がありません」
「うーん。まあとりあえずお前はここで預かってやるよ」
「ありがとうございます」
「えーと一応俺はこの街の護衛の第3班の班長だ。つってもわかんねーよな。まいいや。よろしくな」
「こちらこそよろしくお願いします」
「じゃあ。よろしくね」
「おにーちゃんこの家に住むの?」
「うん」
「じゃあ。遊んでくれる?」
「うん。あとでじゃあ遊ぼう」
「さーさー話はそこまでで。食べるぞー」
『いただきます』
「そういや。おめーなんか体あんま強くないらしいぞ」
「えっ?どういうことですか?」
「いやよくわからんけど。後で教会で聞いてこいよ。道わかんないよな。フランと行ってこい」
「わかりました。あとで行ってみます。自分のことは気になるので」
「おう」
そんな感じな会話をしていたら、みんな食べ終わっていた。
『ごちそうさまでした』
「じゃあ、ちょっと行って来ます」
「おう。行ってこい」
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
「じゃあ行こっか」
「うん」
トコトコとついてくるフランにスピードを合わせながら歩く。教会は意外と近く3分ほどでついた。
「こんにちはー」
「おや。ローレンスさんのところのフランちゃんではないですか。さあ入ってください」
「あのー」
「あーお前さんは確かに森に倒れていたんだったか」
「はい。その時はお世話になったようで」
「おー幼いのにしっかりしておる。さー入ってくれ」
「わかりました。いくよ~フラン」
中は意外と広く天井も高くてドーム状になっていた。真正面にはステンドグラスが入ったガラスがはまっており綺麗な色になっていた。
ロマネスク様式のような円形アーチにゴシック様式のステンドグラス…時代的には中世ヨーロッパあたりだろうか… |(たまたま授業でやってただけの知識だけどな…)
「フラン」
誰か呼ぶ声がした。
「あっフランツ。おはよー」
「おはよー遊びに行かない?」
「うん。おにーちゃんは行く?」
「ちょっとしたら行くよ。それまで遊んでていいよ」
「じゃあ行ってくるー」
「ああ」
パッとフランが駆け出して遊びに行った。
「ところで、お前さんは何のようじゃ?」
「実は、体についてに話を聞きに来ました」
「あーそのことか。まずお前さんの肌じゃな」
「肌?」
「あーその肌の色じゃが白すぎるじゃろ、おそらく体を鍛えても、あまり強くならんな。」
うん。仕方ない前世が体育できない頭脳派で本ばっか読んでたもん、万年体力テストFランカーなめんな!!
「それから、その耳と尻尾じゃがそれは獣人の特性じゃな」
「獣人?獣人ってなんですか。と言うか他にも種族がいるんですか?結構記憶がないようなので…」
まあ予想はだいたいついてはいるけど、ここはあえて聞いてみよう。
「わかった。獣人って言うのはなこの国には人間族 妖精族 獣人族の三種類がおる。魔族に関しては特別変異と言うことなので種族ではないがな」
魔族?ってこちは魔物がいるパターンか…体が弱いとちょっと厄介だな。
「でお前さんの場合はおそらくは人間族と獣人族のハーフだな。そしてハーフの血を持つものだな」
「ハーフの血ってなんですか?」
「ハーフの血っいうのはな、ハーフの中でも特にお互いの能力バランスが取れなかったものじゃ。お前さんは人間族の体に獣人の体が合わさり弱くなっとる。だから鍛えても強くなれないのじゃ。そして人間族の魔力の高さに獣人族の魔力の低さが合わさりこれも少なくなっとる。ただ、なぜかハーフとして魔力の回復速度が人間族の単純に2倍以上になっておるがな。あとは、見た目は獣人族が優先されておるな」
あーうー残念体質ですよこれ完全に。だって魔力ほとんどなし、力なしとかどんだけだよ。そんでもって魔力の回復速度だけ早いって。意味ねーじゃん。例えば、バケツが自分の持てる魔力量だとすると。人より蛇口が空いてるけどバケツじゃなくてコップです。みたいな?いや残念すぎる。
「というわけじゃ。まあそんなに落ち込まんでも、力が弱いと言っても生活するためには問題なかろう」
「はい…」
「ただ体力もないようじゃな。それと魔力はをためる魔術具がこの世にはあるが、おまえさんの場合神々の祝福がないのでやっぱり魔法は使えないな。魔法陣も然り。」
もう最悪じゃん、魔法を使おうにも祝福がないので使えませんっていう、魔法陣にも神々の祝福が関わってるのか…
「ちなみに神々の祝福とは?」
「その名の通り神々の祝福じゃよ、それがなければ魔法が使えないのじゃ。」
「いろいろとありがとうございました。じゃあ失礼します」
「おーなにか困ったらまた来い」
「わかりました。では」
俺は教会後にするととりあえずフラン探しに行く。と言っても目の前の広場で鬼ごっこしているようだった。体力がないってどんくらいだろうな?基本的に前と同じスペックぽいしそれだともしかして、この世界だとだめな感じ?うーん悩んでも仕方が無いとりあえず鬼ごっこに混ざてみるか。
「おーいフランー」
「あっおにーちゃんこっちこっち。ほらーあそぼー」
「うん。なにする?」
「じゃあ鬼ごっこの続きする?」
「いいよ。じゃあ誰が鬼やる?」
「じゃあ おいらがやる」
「フランツがやってくれのか。じゃあそれで」
そして鬼ごっこが始まった。
10分後
「はあはあはあ」バタッ
倒れました。
結果だけ言うと、惨敗した。いやこの世界の子供たくましすぎる。つうか足速いむりついていけない。正直開始3分で俺が鬼になり、その後フランでさえタッチできないという有様。自分の速さは一応学校にいた時は、平均的な体力だったのに..。嘘です、後ろから数えたほうが圧倒的に早かったです…
正直小さい子舐めてました。全く勝てない。
もう日も高くなって来た。なかなか鬼ごっこで消し飛んだ体力が回復するのに時間がかかったな。
「おーいそろそろ昼になるぞ。」
「うん。じゃあ帰るー」
「じゃあな」
「うん」
「よし帰るか」
フランツと別れると家に帰った。
「ただいま」
「ただいまー」
「おかえりなさい」
「おーおかえり、ところでどうだったんだ?」
「あーそれはですね」
俺は神父に聞いたことをそのまま言った。隠したところで何の意味も無いので。
「なるほど、あまり力がないということか。なら勉強してみたらどうだ?」
「勉強と言うと?」
「王都には王立学院があるのよ」
「王立学院?学校ですか?」
「そう、ここにも学校があるが一番学ぶなら良いところでだと思うのよ」
「なるほど、でも学費などがかかるのでは?」
「それは、特別枠で入ればタダになる」
「特別枠?」
「ああ、筆記試験の結果が一番から五番までは特別枠になる、剣術や魔術も競いあってその点数で特別枠が用意されている」
ふむふむ。天才と脳筋はタダになるってことか。
「試験とは何が出るのですか?」
「神話・計算の二つよ」
ふーむ。この世界の勉強ってどの程度なんだろう。興味があるのでちょっと行ってみようかな。
「少し興味がありますね、やってみたいと思います」
「おーじゃあがんばってみな。でも入学できるのは12歳からだからまだむりだな」
一応8歳だしな、中身はともかく。身長は120cm位あるかないか程度しかないから…ね…。元の世界じゃそれなりに大きかったのに…。これは嘘じゃないよ、ホントだよ
「わかりました。12歳まで勉強してみようと思います」
そうして俺は、少し離れたところにある村に学校に行っくことになった。村と言っても人口300人ほどで小さい村だが勉強設備はしっかりと整っているようだ。
まあとりあえず、今日はもうやることもないので午後はフランと遊びに行ったり、ローレンスさんの家の手伝いとかをやり、夕飯を食べて風呂に入りそのまま布団にもぐりこむ。
今日はすごく密度が高い一日だったな。明日は学校に行ってみよう。そういえば村の学校ってどこにあるんだっけ?全然村の配置がよくわかってないからなあ。とりあえず寝るか
というわけで、おやすみなさい
最後までお読みくださりありがとうございます。今回はいかがだったでしょうか。日記風になってしまった部分も...
この小説は、前作の反省を踏まえて文字数や改行・会話・句読点などに気をつけて書いてみました。小説家になろうで有名な方はみんな大体一万字くらい書いているのですが、僕の場合展開は速くなりすぎたりして(特に設定シーンとか)うまく一万にたどりつけないので、今のところ五千字位でいこうと思います。これから先文章がうまくなり、一万に達せるようにがんばりたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
2017年 盛大な改稿をしました。どうせ誰も読んでないだろという憶測(実際アクセス解析みても全然いないんですが…)のもと、主人公や諸々の設定の見直しなどを行いました。前作ともども酷い出来ですがよろしく