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国立手野大学シリーズ

うちのねーちゃんがやばい

作者: 尚文産商堂

うちは、兄と姉と俺の3人兄妹だ。

兄は大学院生。

どこかの大学院へ通うため、下宿をしているので、家にはいない。

俺と姉は大学生。

通っている大学は別だが、家から通える範囲にあるから、二人とも家にいる。

母さんは専業主婦、但し、FXでぼろもうけ中。

なんでも、この前うん千万円だが、うん億円だが儲けたらしい。

父さんはサラリーマン。

今は会社で課長職をしているそうだ。詳しくは知らない。

そんな、どこにでもいそうな、普通の家庭だが、一つだけ違うところがある。


「姉ちゃん、起きろって。朝だぞ」

俺は姉ちゃんが眠っている2階の部屋のドアを、拳でドンドンと叩く。

すると、体が徐々に軽くなり、そして浮いてしまいそうになる。

「……姉ちゃん、起きてるんだったら、早く降りてこいよ」

「まだねてるー」

姉ちゃんは、寝ぼけた声で返事をしている。

俺の体はますます浮いていき、とうとう両足が地面から遠くなる。

「とりあえずは、俺に能力使うの禁止な」

「えー」

だが、すとんと重力が戻る。

これが、俺の姉の能力。

超能力だ。


手野大学魔術学部というところに、姉ちゃんは通っている。

そこでは、魔術の勉強をするそうなのだが、俺の家系には魔術の血が流れていない。

超能力と魔術の差と言うのは、どうやらそこにあると言う。

どうにか姉ちゃんの部屋のドアが開き、寝ぼけた格好で、寝癖を激しくつけた髪のまま、部屋の主が出てきた。

「朝飯、食わないと体によくねえぞ」

「さすが栄養学部だねぇ」

あふぁとあくびをしながらも、姉ちゃんが俺に言った。

重力が半分になっているような格好で、姉ちゃんは半ば浮きつつも移動をする。

その間に、部屋の中の様子をみると、訳の分からない教科書類が散乱している。

よくみると、服も散らばっているようだ。

「超能力ってのは、便利なんだかどうなんだか」

「便利だよぉ?魔術と同じだからねぇ」

姉ちゃんが、ずいぶん前のことだがちゃんと起きている時に話してくれたことによれば、家系的に能力が使えることが前提となる能力のことを魔術、突然変異的に能力が使えることを超能力と言うそうだ。

だから、同一の現象を別の名前で言っているにすぎないそうだ。

魔術師も超能力者も、その点では同じことだと言える。

そんな姉ちゃんなのだが、学校に行く時には結構楽をしているようだ。

なにせ、物体を浮かせる事ができるのだから、両手を外したまま荷物を持ち運んでいるらしい。

さすがに電車やバスの中は普通に手に持っているらしいけど。


俺は、近くの私立大学の栄養学部に通っている。

そのこともあってか、メニューはいろいろと考えるようになった。

姉ちゃんに再三言っているものの、あまり聞く耳を持ってくれない。

だが、体は誰もがうらやむような体型で、特に問題はなさそうだ。

そんな姉ちゃんは、今日も元気に先に出発する。

俺の方が大学は近くだから、後で出る。

それを見送りながらも、朝飯を食べて元気になった姉ちゃんの姿が見えなくなると、俺も行く準備をはじめた。

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