エクサイティング・ランド
水の神殿の情報を見つけるために行くあてもなく旅を続けていた。もう、アルマとはだいぶ離れた場所を歩いていた。
特に何も考えず道を歩いていると何やらワイワイ賑わっている遊園地を見つけた。情報収集で3人共疲れていたので入ってみる事にした。受付で入場券を買おうと!すると遊園地の人が、
「ひょっとして、アルマ王国で有名な勇者様ですか?」
と俺に聞いてきた。はいそうです、と答えるとその人は急に興奮し始めた。
「わーーー!本物だ、スゲェ!勇者様ならお代は頂きません、どうぞお楽しみ下さい!!!」
俺達はこんな遠くでも有名なんだな、と思いながら中に入ると、そこにはものすごい数の楽しそうな乗り物があった。
僧太は非常に乗りたそうな目で訴えるようにこっちを見てくる。その視線に耐えられなくなった俺は、
「よし!今日はここで楽しむか!」
と言った。僧太は大喜びし、従太も少し嬉しそうにしていた。
最初に俺達が目をつけたのはプレート・シューティング。なんか妙な名前だったので乗ってみる事にした。
予想通り、俺らが乗ったのは皿みたいな乗り物だった。俺達が乗っている皿と他の人が乗っている皿が向かい合った。全ての皿が2人組になっている。
一体これはなんだと思い乗っている皿を見ていると、赤いボタンを見つけた。そこには攻撃と書いてあった。その隣には緑のボタンがあり、そこには防御と書いてあった。
このボタンで察した通り、これは相手の皿と戦うゲームだった。攻撃ボタンを押すと相手の皿におもちゃの皿が飛んで行くのだ。相手の攻撃が自分の皿に当たると画面に出ている体力ゲージが減る。
防御ボタンを押している間は相手の攻撃を半減出来るらしい。
相手には申し訳無いが、俺はこういう遊びが大得意だった。小さい頃、よくシューティングゲームをやっていたからな。
スタートの音楽が流れ、俺達は一斉に攻撃ボタンを押し始めた。もうその速さときたらとんでもなく速くて、相手の攻撃も弾き返していた。防御ボタンは使わず、ただひたすら攻撃ボタンを連打していた。
結局、俺達はダメージを受ける事なく相手を一瞬で倒した。最近の遊園地はこんな物もあるんだな。悪気があって相手をフルボッコにした訳では無いが、何故か申し訳ない気持ちになったのでさっきの相手に謝りにいった。
「さっきはやりすぎました。すみません」
「いやー、さすがアルマ王国の勇者様ですね。強すぎて歯がたちませんでした」
そう言うと相手は俺に笑いかけた。
俺達が遊園地に着いた頃もうすでに遅かったのでプレート・シューティングで遊んだ後は夜になってしまった。
帰る時、俺はこの遊園地に勝手に名前をつけた。
エクサイティング・ランド、と。