深い森
ようやく神殿へ行く準備が出来た俺達は、どうやってガーディアンを再生の神殿へ連れていこうか考えていた。
しかし、二人の喋りが早すぎて、俺はついていけなかった。頑張って聞こうとしたが、聞けたのはこの会話だけ。僧太はこう言った。
「昔アルマ王国を守ってくれたのなら今だって事情を言えば来てくれると思うんですけど」
「そんな簡単には来ないと思いますよー」
二人は十分程話していた。
どうやら結論は、事情をわざと深刻そうに話して助けてもらう、らしい。俺はなんともふざけた案だなと思った。
ガーディアンは守り神だ。今の状況くらいすでに知ってるに決まってる。しかし、俺はずっと黙ってたし、この案を実行する事にした。正直かなり不安だが。
兵士から神殿への地図を貰っていたので、その通り慎重に進んで行く。しかし、道の途中で非常に深そうな森に差し掛かった。
道は確かに合っているハズ。でも、ここに森があるなんて書いてないぞ。
文句を言っても仕方がないので、この森を通り抜ける事にした。僧太は森で迷いそうと怯えていたが、俺は乱暴に僧太の服を掴むと、森の中へずかずかと入った。
これを見ていた従太はやれやれという顔でついて来た。
-------[森の中]-------
俺はあの時冷静さを失っていたのだろう、でなければ闇雲にこんな深い森には入らない。この森は迷路だった。右に行っても左に行っても分岐点ばかりで抜けられそうにない。
従太さえもこの森を抜けるのはかなり難しいと言う。僧太はすでに泣いているし、俺はもう冷静さを失いイライラしながら当てもなくどんどん進んで行った。もうパニック状態だ。
俺はどんどん進んで行った。しかし、しばらく行くと目の前に無数の光が現れる。気にせずに進もうとしたが、その光に声をかけられる。
「ねえ、助けて欲しい?」
俺が答えようとする前に僧太が泣きながら答えた。
「お願い、助けて」
「おっけー」
光がそう言うと同時に、俺らは何処かにテレポートした。しかし、そこは森の中。
「ここをずっとまっすぐ行けば森を出られるよー、がんばってねー」
光はそう言うと、突然消えた。ここをまっすぐ行けば出れるのか?どうせなら、出口へ連れて行ってくれれば良かったのに。
でも、助けてくれたんだしよしとしよう。俺達はまっすぐ進んで行った。途中分岐点が多数あったが、気にせずまっすぐ進んで行った。
15分近く歩き、ようやく出口を見つけた。喜んで出て行くが、出口の先は崖だった。下は大きな川があり、流れが非常に早そうだった。
その時、後ろからさっきの光の声が!そいつは魔物になっていた。
「ヒヒヒ、引っかかったな。死ねえ!」
その声と共に、僧太を押した。僧太はバランスを崩し、川へ落ちて行った。このままでは流されてしまう!
俺は助けたい一心で、何も考えずに川へ飛び込んで行った。勿論従太も。