【5/26】ラムレーズン、どうしてあなたはカップアイスなの?
なんといっても、絶賛ダイエット中である。もれなく、痩せたいのだ。中年太り、腹が出て、BMI・25を平気な顔して乗り越える。なんとも無様な中年53歳なのだ。
食べる量自体を減らし、筋肉を損なわないようにとタンパク質と運動(有酸素と無酸素)、早寝早起き。腸活もはじめて3年。もういいだろうと、自分で違う方へとアクセルを踏む。
そう、散歩と称して、アイスクリームを買い食いしてしまうのだ。クレープアイスにアイスモナカ。カップアイスはスプーンをもらうのが煩わしくて買わない。スプーンの封を開ける時点で罪悪感の扉もぎぎぎぃっと開くのだ。
先日、フレスコ(24時間スーパー)に散歩で行った。日曜日だ。家族と一緒の時間、唯一のフリータイム。切らしたタマゴを買い、ついでにアイスコーナーへ。
アイスモナカ、チョコ掛け。しかも低糖質。悪くない。だが冒険に出たのに、こんな保守的な決断をして、いいものだろうか? とチートの悪魔が囁く。
隣に、「ラムレーズンアイス」があった。これじゃないか。もうええ大人だ。チョコ掛けモナカアイスなんて、ラグジュアリーさが足りん。子ども騙しだ! そだそだ! えい、と保冷ケースからラムレーズンを取り出す。
家に帰るまでの20分で食べきるのだ。時間は十分にある。ははは、ははは!
レジで高らかな声が響きそうになるほど、我が心に巣作ったチートの悪魔が高笑いするのだ。
店を出る。そういえばレジが若いとっぽい兄ちゃんだったな。と振り返る。というのも、スタンプカードのことを聞いてこない(自ら申告した)、有料レジ袋について聞いてこない(ナフサ不足だから?)、といういつもの店員とは違う感じにザワツク。
とにかく店を出て、エコバックからラムレーズンちゃんを取り出す。袋のギザギザを無造作にびびびっと引きちぎる。破るではなく、引きちぎる乱暴さ。いい、さて、かぶりつくか!
とそこで、アレだ!
カップアイスやないか!!!
レジで聞かれなかった。スプーンはお付けしますか?またはスプーンは1つでよろしいですか? のあのトークラリーがなかった。そうか、アイツ!と店員に文句を言っても仕方ない。レジでカップアイスとわかっても、少しずつ溶けていくアイスを保冷ケースに戻すだけの、図々しさと胆力はない。
俺はナーバスでデリケートでセンシティブなおっさんなのだ。
とにかく、帰り道では食べられない。このまま20分、溶かさずに持って帰るしかない。液状にして飲むは不本意すぎる。保冷バッグならまだ持ちこたえられたか。店に戻って、保冷氷をもらうか。クソ、戻るにしてももう半分手前ぐらいまでは歩いている。
それなら、家に帰る方がいい。
幸いにも、カミさんは昼寝中であった。冷凍庫にパッケージ破ったラムレーズンちゃんをそっと入れる。見つかりにくいように奥へ奥へ。
そうして、翌朝にはラムレーズンちゃんのことを忘れて、月曜日を迎えたのだ。
朝食準備の妻。昨日ご飯を炊き忘れて(俺が)、冷凍庫から冷凍ご飯を解凍している。ふふーんと、コーヒーを飲んでいる俺。
がさがさ、冷凍庫から、ラムレーズンちゃんが捕獲された。
「ねぇ、これ。ナニ?昨日はなかったけど」
「え? なに?」と言いながら状況を思い出す。あぁ、ラムレーズンちゃんじゃないか。俺が昨日隠しておいた。
「あぁ、それ、ほら、一緒に食べようと思ってね。昨日フレスコで買った」
と、相手のターンを待つ。
妻が手にしているのは、破いたラムレーズンちゃんのパッケージ。
「じゃぁなんで、こんなビリビリなの?パッケージ」
「へぇえええ」
「へぇえええじゃないよ、食べようとしたんでしょ」
とここで、洗いざらい自白。
痩せる気あるのか? とごもっともな問いただしをキッチン越しでいただき、本日もしょうもないウソがばれたのでした。(おわり)




