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【毎日・昼まえ・更新したい】ぼくのホーム オフィスには 人間きぶんの 猫が2匹いる  作者: 常に移動する点P


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【10/17】卑しき中にも、礼儀と胃袋あり

性欲・睡眠欲・食欲、三大欲求のなかやはり「食欲」のウェイトはデカい。胃袋も小さくなって、二年前には大腸炎疑いという地獄の入院コースを経験したにも関わらずだ。


まったくもって、卑しい胃袋。いや胃袋が卑しいのではない。胃袋はよくやってくれている。わが胃袋をはじめ、小腸・大腸チームには感謝しかない。


卑しいのは私の心の奥の大脳新皮質、理性を司るこのエリアがバグっている。先日のこと、打合せが昼過ぎに終わり流れ解散と相成った大阪にて。当方、京都人である。右も左もわからぬ心斎橋を潜り抜けいざいかんとしたその12時30分ごろのこと。スマホが鳴る、電話だ。


二十年来懇意にしていたデザイン会社の副社長が退職となるという電話だった。何も電話でとも思わんこともないが、それなら「今からご挨拶に伺ってもいいですか?」とフットワークの軽さで調子よく返事した。


心斎橋から天満橋へ、副社長のいるオフィスへと向かう。天満橋、かつてよく訪れたエリアだ。あれも食べてみたい、これも食べてみたい!あぁ、京都人には珍しい、「大阪王将」まである。「一人焼き肉屋」もある。つけめんに、イタリアンに寿司に、理性でのコントロールは難しい。


打合せで大阪エリアに行くことは、そう多くないので、何かうまいモノ食って帰りたい、それは「卑しんぼ」のサガかもしれない。時間は13時。とりあえず訪問して、そのあと、昼メシ。空腹は最高のスパイス。14時には昼メシ、遅めの昼メシ。ワクワクしてきた、そのころの私。


いざ、副社長のいるオフィスを訪問。1年ぶりぐらいの対面。昔一緒に仕事をしたデザイナーさんたちとも、談笑した。手土産に、近くのデパートで九州物産展の催事をしていたので、「長崎銘菓・かすていら」とやらを買った。どこのメーカーかはよく見ていない。長崎なら、どこでもうまいだろう!かすていらのメッカなのだから。京都なら漬物はどこで買ってもうまいし。同じことだ。


お茶が出てきた。お話をして30分もしたころ、手土産のかすていらが切られて運ばれてきた。「せっかくなので、一緒に食べましょう」と副社長。「いやいや、(私はこれから腹いっぱい昼メシをくうので)いいですよー。みなさんで食べてくださいよー」とマジお断りしたものの、カットして持ってきたアシスタントデザイナーの女性が悲しそうな顔をしたので、モリモリと食べてしまった。


腹も減っていた。買ってきたもの、どんな味かも知りたかった。普通にうまかったけど、食べたことのない味ではなかった。普通のかすていらだった。


お茶とかすていら。お互いの良くないところが出て、かすていらがスポンジのごとくお茶を吸い込む。腹の中でゆっくりと膨らみ始めていた。その時、これから起こる惨劇に私はまだ気づいていない。


きっちり14時、訪問先を出た。副社長とは握手を交わし、いままでありがとうございました的なごあいさつで締めくくった。かすていらを食べたとはいえ、腹ペコだ。


大阪王将、閉まっていた!一人焼き肉、シャツがおろしたての白!これではダメだ。このコスチュームで焼き肉はダメ。歩いて5分、さまよって5分。目の前に、巨大チェーン店「吉野家」が!


大食い系YouTubeを好んで観るようになったのは、くしくも大腸炎疑いで入院していたころ。3日間の断食は辛かった。点滴のみでも、便が出ることに驚き、人間の生きる執念を感じたあの頃、読書にも飽きた私は人がモリモリと飯を食う姿に釘付けになっていたのだ。


吉野家で牛皿つまみに一人飲み、定食のごはんをお代わりする、から揚げは単品で頼む、もう吉野家のコンテンツは奥深い。よし、吉野家だと相成りいざ入店となった。


私が頼んだのはコレ「月見牛とじ御前」ライスお代わり自由!


月見牛とじ御膳 のメニューページです。サイズ別の金額やカロリー、テイクアウト、セットメニューなど

加えて、単品で「からあげ」


まずは、ライスは「大盛」で注文。TKGで一杯目の半分を食す。醤油がうまい、生卵を食うなんて久しぶりでテンションが上がる(我が家は子供がうまれてから生卵を禁止していた)。


からの、牛とじをすくって、ごはんにダイブ。すき焼き風の甘さと卵とじされているなめらかさが箸とまんない。間に、から揚げをかじる。ううううまい。これはお代わり確定。


大盛ライスが溶けるように胃袋に消えた。お代わりのしかたを、店員さんに聞く。タッチパネル、どこにお代わりライスがあるのかわからなかったからだ。優しい店員さん。この米不足のご時世、米をたんまり食わせてくれる吉野家ってのはなんて、心がホットな会社なんだ!!!!と感謝しながら再び「大盛ライス」を。


躊躇がなかった。だって牛とじとから揚げ半分もある。味噌汁だって残って得る。なんなら、紅ショウガだって。牛とじのおつゆも残ってる。これは三杯目もいけるんじゃないかと。


大盛ライスがやってきた。まんまとやって来たなと言いたかったところだ。食べ終えた1杯目のライスお椀を下げての、登板。リリーフとして、果たして私の胃袋を抑えられるかな?と。いざ対決。


牛とじ、から揚げをおかずに、ライスをかっこむ。もう50歳、アラフィフおじさん、初老、認知症の始まり、老眼、言いたいように言われてきたが、胃袋は中学三年生だ!!!!とぐらいの勢いがあった。


その勢いが突如失速したのは、二杯目大盛ライス半分食べたあたり。腹が、ちぎれそうに。脂汗が。大食いの人たちは4kgぐらいペロリなのに、私は600gぐらいでも(体感)ヤバい。それなら、小ライスにすべきだったのではないか!と。反省はあとからだ。今は、完食目指せとばかりに、残さずライスだけでも食べきろうと。卑しさがここでブーストし、おかずなしではライスは食べられないとばかりに、理性とは真逆におかずを口に入れ、次にライスを放り込む。もうおかずの入り込むスペースはないというのに。


胃袋ジャックが起きていた。クーデターともいう。ひっそりと胃袋で先頭に立って食道へと逆流デモ行進をしていたのは、あの長崎かすていらwithお茶だった。


胃袋の側面から回り込むように。簡単に小腸には行かない!流し込まれてくる米、肉、卵たちを味方に引き入れ、胃酸をボッコボコにしていた。簡単に消化させねーぜと。


店を出た。単品から揚げつけても、1,000円しなかった。ライスは大盛2杯。おろしたてのシャツは腹のボタンが飛び出そうに。外は暑いが、気温のせいで汗が出ているわけではない。恐ろしい量の食べ物が胃に流れ込んできたせいで、脂汗が出ているのだ。


天満橋の駅に向かう。家まで遠い。幸いにも電車は空いていた。座ると腹が圧迫される。ダメだ。でも立てない。知らぬ間に、座ったまま意識を失ったように眠っていた。


最寄りの駅に着いた頃、まだ腹がいっぱいだった。家に帰りつく。猫たちが腹を空かせていた。朝と夕方の1日2食の健康生活の猫たち。2匹とも腎臓ケアタイプのフードにしている。いつも同じ味だ。


猫にご飯をあげたあと、ソファーに横になり気が付くと2時間寝ていた。腹が減っていた。自分の欲深さと卑しさに呆れつつ、朝カミさんが研いでおいてくれた米4合を炊飯器にセットし、炊き始めた。


生きている間は、食い続けるのだ。生きるとは卑しさとのルームシェアみたいなもんだ。卑しさが一人立ちしてどっか行ってくれたら、ただ生きているだけになるのだなと。卑しさがいるから、ワイワイと楽しいってもんだなと、でっぷりと出っ張った腹をさすりながら、炊飯器を眺める。


健康診断まであと15日だった。

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