【1/15】マジメな女子高生
朝は駅まで妻と歩く。改札前で別れて、一人散歩する。4年ほど続くルーティンだ。通勤通学の波と逆を行く、我こそモーゼなり、のような万能感もなく、ただただ社会からはぐれたフリーランスだと自覚する。
駅前に信用銀行がある。駐輪場が完備していて、しかもいつでも駐輪できるようになっている。駅近くの有料駐輪場は、駅を少し通り過ぎたところにある。忙しい朝に駅を通り過ぎて、停めて、駅前戻るというのは、通勤通学する人たちには、何とも効率が悪いのだろう。それでいて有料というのだから。
と、推察する。というのも、僕は駅の駐輪場は利用しないからだ。何を朝から考えているのか。
女子高生が原付に乗って、駅前の信用金庫の駐輪所にバイクを停めて、駅まで猛ダッシュしているのだ。
情報が多い。
・女子高生
・原付に乗る(ヘルメットはしている)
・駅までの通学に使っている(一旦停止などは丁寧め)
・停車は信用金庫の駐輪所(端に停めている)
・駅まで猛ダッシュ(とにかく足が速い)
ということだ。
一見すると、この子はマジメなのかちょいワルなのかわからない。学校によっては、原付OKのところもあるだろうし。最寄り駅が包括するエリアは広いから、チャリで駅までと言うのは遠すぎることも考えられる。とはいえ、信用金庫に毎日停めるというのは、あれは大丈夫なのだろうか?
そもそもであるが、駐輪所はこの原付だけでなく、ほかにも自転車が2.3台停まっている。その端に原付。
そして、女子高生が慌ただしく駅へと猛ダッシュしていくのだが、僕が歩き進めると信用金庫の窓が見える。蛍光灯はついていて、人気がする。
これは、信用金庫が許容しているのか。誰かが告げ口しそうなものだが、僕の知る限り彼女は2年近くこの信用金庫に原付を停めている。
高校生で原付に乗るのは、免許があればまずは法律には抵触しない。もちろん。学校が許していれば、校則には抵触しない。そりゃそうだ。
加えて言えば、信用金庫が承諾または黙認していれば、問題はない。確かに。
あらゆる問題の可能性を、問題ではないという可能性からみつめると、朝もう少し早く起きればいいのになマジメな女子高生ということだ。だって、雨の日はカッパ着て原付乗って来てるから。
つまりはだね、高校に遅刻しないように通っているってことだ。(学校に行く人が素晴らしいという話ではなくて※こういうエクスキューズ面倒臭いね)
朝もう少し早く起きればいいのにと言うが、もしかしたら朝のお弁当をきょうだいの分まで作っていたり、洗濯してから学校に行ってるとか、はたまた遅くまで勉強しているのかもしれない。
つまりは、僕の中に「原付に乗っている女子高生」という一次情報だけで、いわれのない偏見が構築されているということだ。これは危うい。こういう大人が嫌いだったじゃないか。
ということで、あらゆる肯定的な可能性のもと、原付女子高生は今日も駅まで猛ダッシュしていたのだ。
僕だって、通勤通学の人波の逆方向へと、毎日歩いてるんだから、「あの人フリーランスのライターさんかな?」なんて思われることもないだろう。
「仕事もせずに、ふらふらとしてる人」みたいなバッチをつけられているのかもしれない。そうじゃないのに、そう思われる。たまには、歩くコースを変えてみよう、そう思う午前のことであった。




