【12/17】肉ラップから考える、「こちらのレジどうぞ」に反応しない人たちの信念とは。
毎週金曜日はひとりで食材の買い出しだ。フリーランスになってはや三年。入れ替わりにカミさんが正社員となり、忙しい。しっかり扶養から外れたカミさんにはとっておきのカードを預けているわけだ。
いつでも離婚カード、チラ見えしましたよ
いつでも離婚できるカード。これは夫婦お互いに持っているはずなのだが、子供ができたり、病気をしたり、親の介護があったり、転職したてだったりと、いつでも50-50とはいかない時期がある。
そんなときに、「いつでも離婚」カードがチラッとのぞき見えたら、おぉおんおぅぉ?と、おの五段活用(お、ぉっ、おん、おぅ、ぉ?)が始まる。
お:お、今なんて言った?
ぉっ:ぉっとぉぉ!
おん:おんど感がなんて?
おぅ:おぅ、いや受け入れたわけじゃぁ
ぉ?:ぉ?サイン?
古典の授業では習わない、ホンマに驚いたときの
おの五段活用(離婚切り出され編)
お互いに働いて、稼ぎがあるとそこはフェアな関係に近づいて行って、まぁ離婚ってことも現実の「2の世界」的な延長線上にあるわけだ。
(※2の世界は名探偵津田をご覧になってください)
そんな事態を避けるためにも、できること・してほしいこと・自分のためにもやったほうがいいこと、は積極的に執り行うのだ。それが、一週間分の食材買い出しなわけだ。
幸いにも近くにいいスーパーがある。チャリで5分。肉やら、野菜やら、ビールやら米やら、買うモノ多すぎてチャリではどうにもならないので、ピストン往復で金曜日チャリを走らせている。
買ったプチトマトが傷んでいる、ひき肉がちょっとアブラが多い、キノコがすこしくたっとしている。選ぶ目がそれなりにないと(気を付けていないと)はずれを引くことだってある。責任重大なわけだ。
ちがう、ちがう、今日の本題はレジでのできごとだ。いつものスーパー、レジはバイトばかり。今日のバイトくんは初めて見る顔だった。毎週この時間に来てるのに会えてない、あぁ大学がもう冬休みだから午前中のシフトに入っているんだ?ぐらいの推察。
新人ではなかろうな手さばきで、黄色いお買い物カゴから会計済みの黒いカゴへとバーコードを通して、商品を移し替えてくれる。
僕の番がきた。わかる人にはわかると思うけど、お肉のパックのラップ部分ってピッと張ってて破れることはなかなかないんだけど、緊張感あるよね?(問いかけ)
ピッがいいのか、パンがいいのか、とにかく張っている。肉パックと肉パックを重ねても大丈夫そうだけど、納豆なんかが当たると角っこで裂けてしまうんじゃないかとドキドキものだ。
そう、今日あった事件とは、おいおいHEI!YO!肉のラップがYO!
SAKETESHIMAU避けてしまうんじゃねーか事件だYO!
テキパキバイトくん、指の圧が強い。肉のパックのラップ部をギュ~ッと親指で押し込む。ギリギリ破れない。指圧部分のラップが少し伸びている。三パックともだ。
地上に戻るために身ぐるみ剥がれた男が、地下で借金をするときに拇印をつくかのごとく。ぎゅーっと。
50万ペリカぐらいの借金のイメージ
会計はセルフ式。肉ラップたちは、ギリギリのところで命を守り切った。まるでランパートクレーターのように、指で押されたところがクレーターのように凹み、まわりが城壁のようにそびえ立っていた。
あのバイトくんは、近いうちに口うるさいおばちゃんに、こっぴどく叱られるだろう。図々しいとよく人から言われるが、クレーマーっぽく思われると今度行き辛くなるのも嫌だ。だから、嫌なら今度彼に会ったら、もう一人の方のレジに並べばいい。
「こちらのレジにどうぞー」に反応しないのはなぜかがわかった!
この店に限らず、レジでよく見る不思議な光景。レジがごったがえして、アイスが溶けるんじゃねーかってくらいの長蛇。
レジ応援お願いします!みたいなアナウンスか、パトランプみたいなのが点灯、巡回している社員が気づくか、でもう一つのレジがオープンする。ざわっと前のめりになるお客さんたち。
「こちらのレジにどうぞー」
ゲートが開く!人生でレジに並ぶという超無駄時間をディオのスタンド【ザ・ワールド】ばりに「無駄無駄無駄無駄ッ」といなしてくれる。
だが、しかし
「こちらのレジにどうぞー」と言われても、長蛇の列から離脱しない人。無反応なのだ。ピクリとも動かない。夫婦で並んでいる人なんて、どっちかが聞こえているはずなのに。
実はこれが今回のエッセイのテーマなのだ。
そこで、あの肉ラップの一件を振り返ってほしい。そう、新ゲート(レジ)との因縁があるのだ、きっと。移り先のレジの人に思うところがあるのだろう、そんな風に思ったのだ。肉ラップ、指でぎゅーーーっ、としてきたあのバイト君のレジにはもう並ばないもの。
意思をもって並び替えない。
だけども、その意思表示を感じ取られると、「カンジがワルイ」人になってしまう。それは僕にはできそうもない。というわけで、今度はっきりとわかる大き目のヘッドホンをして、レジに並ぼうと思う。もちろん、無音で。




