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【毎日・昼まえ・更新したい】ぼくのホーム オフィスには 人間きぶんの 猫が2匹いる  作者: 常に移動する点P


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【12/13】知らないおじいさんに、声をかけられた52歳

師走だ。今年もやり残したことは多い。だが日常こそが正義。重要だ。


寒空のなかオンボロ自転車漕いで、えっちらおっちらとスーパーマツモトへと向かっていた。戦後の買い出しぐらいのデカいリュック背負って。毎週金曜日、一週間分の食料買い出しというウィークリーミッションが発動する。


道中、狭い道路。ギリギリ車同士が行き違いできるぐらい。車のミラーに当たらないように。ようやく、大きな交差点に。


僕の正面は赤信号。僕は信号待ちをしていた。左側は青信号だ。左側の横断歩道から勢いよく自転車がカットインしてくる。ガラガラの声と一緒に。


「おい、兄ちゃん!」


聞き慣れない。でも記憶にはある。あれは、酒焼けした喉から、絞り出した声だ。声じゃない、音だ。


「おい、兄ちゃん!」


音のスタンドか?兄ちゃんなどここにはいない、だが、信号待ちしているのは僕だけだ。僕はちなみに52歳だから、兄ちゃんではなくオジサンだ。立派に仕上がったオジサンなのだ。


「あのな、兄ちゃん、自転車で逆走してたやろ」


ん?僕に話しかけている。


声の主の方に上半身をぐいっとひねる。


知らない男性が片足ついて自転車から、僕に話しかけている。


こわい。誰?何この人。


毛量が少ない、全部白髪、シワだらけで、歯があんまりない、服が全部ねずみ色。


お、お、おじいちゃんだ。といっても、僕のおじいちゃんではない。記号化された見事なまでのおじいちゃんなのだ。シンボリックおじいちゃんが一体何の用なのか。


「兄ちゃん、さっき逆走してたのぉ。でな、ここは小中学生の通学路や。逆走したら危ないさかい。頼むでしかし」


頼むでしかし、怒るでしかしみたいに言われた。往年のやすし師匠を彷彿させる。


人は咄嗟の時に、うまいこと言えない。


「あ、そうでしたか。すみません、気をつけます」と反射的に返事した。


ちょうどお昼時。ほぼ誰も通らない道だ。朝や夕方に通るときに逆走していたらそりゃまぁねぇ。。。でも、今後逆走は6000円ぐらいの罰金になるらしいから。


「わかってくれたらええねん、兄ちゃん気を付けてや」とおじいさん。


違和感。なんだこのモヤモヤする感じ。どう見てもこの人はおじいさんだ。52歳の僕よりも年上だ。言うなら「弟ちゃん」だろうが。


いや、そもそも僕とこのおじいちゃんは何の血縁関係もない。


どうしても何か言い返したい!!!言い返さなければ、夜、風呂入ってるときに、「クソ!なんで、こう言わなかったんだ!」と自分で自分を責めてしまうのだ。


そして、絞り出した言葉たちがコレです。


「ちょっと気になるんやけど、兄ちゃん、兄ちゃん言うけど、僕はあなたのお兄ちゃんと違うで。もちろん、弟ちゃんでもない。しかも、50過ぎたええオッサンに失礼ちゃうか」


言い切りました。ショートプログラムなら、ほぼ満点だ。


「いやぁ、えらい、若こう見えたもんで」とおじいさん。


そう言われて、振り上げた拳は、降ろせないまま。今日の赤信号長かった。


夜、妻にこのエピソードを伝えると、普通にオッサンやでと。オッサンはオッサン然としていればいいのであるとも。


みんな、自転車の通行区分違反には気を付けて、安全安心に乗ろうね!

あと、しらないおじいさんに声をかけられても、反応しちゃダメだよ。

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