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【毎日・昼まえ・更新したい】ぼくのホーム オフィスには 人間きぶんの 猫が2匹いる  作者: 常に移動する点P


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【12/2】スタンプカードで会話する、コミュオバケのおばあちゃんに会った

フレスコなるスーパーがある。24時間営業のスーパーとあって、便利だ。コンビニの比ではない。少し前から会員カードを作り、ポイントをせっせと集めている。


販促の一環として、スタンプカードなるものが始まったのは夏前。6個貯めれば、店内商品1品だけ10%オフという、通いのご褒美システムを導入している。


そんなものが無くても、通わざるを得ないほどの過疎地であるのだから、リピート必須だ。店側からしたら、きっと商圏を広げたいのだろうに。


で、スタンプカードは会計ごとに1回スタンプを押してもらえる。常識の範囲で、一日複数回来店でも押してもらえる。だけどもスタンプ欲しさにそんなことしてたら、次のスーパーを探す羽目になりかねない。そして、過疎地スーパーというだけあって、徒歩圏内にスーパーはない。チャリでも遠い。

フレスコの信用と信頼は失ってはいけないのだ。


スタンプカードはペラペラのカードサイズの紙。プリンターで印字したみたいなものだ。それに会計のたびに、スタンプをポチっと押してもらえる。アナログだけどいい仕組みだ。店員とは「レジ袋ありますか?」の殺伐とした会話だけだったが、「スタンプカードはお持ちですか?」とも言われるようになる。


どこかで鍵を入手したドラクエのごとく、いつも同じことしか言わない住人は、二つ目の会話を獲得し披露してくるのだ。スタンプカードをあらかじめ用意してレジに向かう自分も好きだ。レジでもたつかないことは、店員さんへのリスペクトだと思っている。


このスタンプカードの大いなる欠点は、月初発行、月末までに使い切らねばならぬというもの。つまり、12月1日になると、11月発行分はなかったことに。使えないのだ、また12月分が発行されるというシステムだ。


フレスコに玉子を買いに行く。スタンプをためて、31日に10%オフだ!と息巻くが、11月の悲しい性だね、11月は30日までという血も涙もないマンスリーなのだ。霜月なんて気取りやがって、と腹立たしい。


うっかりしていたのだ、11月は30日までだったということを忘れていた。


ニシムクサムライだな

ポイントカードはちょうど6つ溜まったのだ。コツコツ溜めたんだ!だが、使えない。使うのは翌日以降と言うルールだからだ。クソ、明日は12月1日だ。クソッ。迂闊だった。これがドラゴンボールだったら、6個集めて、あと1個だが、翌月持ち越せないルールならフリーザーじゃなくても怒る。




気持ちを切り替えろ!


ココロが叫んでいる!

ひらめいた!


ちょうどレジは2つ空いている。さっき通ったレジじゃない方にいけば、いいんじゃないか!!!


やるか、1日2度のレジ通り。しかも、買い忘れじゃなくて、スタンプカードを使いたさマンマンで。グレーだ、ルールを使いこなしてこそゲームを支配できるのだ!!!ふははは。


サッカー台で玉子をお買い物袋に詰め込み、入口で再びカゴを手にする。気合十分、ターゲットは冷凍シュウマイ!味の素のやつだ。


すると…


入口前の青果コーナーでおばあちゃんが、おそらく見知らぬ若い女性に声をかけていた。


なんとなく聞こえてきた。おばあちゃんの手にはスタンプカードが。


「あのぉー、これ、さっきスタンプ溜まったんですわ。でもねぇ、今日はもうお買い物終わったの。だから、お姉ちゃん、よかったらコレもらってくれる?」と。


膝がポキッと折れて、地面にダイブしそうになった。


見知らぬおばあちゃんからの申し出に、若い女性(たぶん、大学生ぐらい)は、遠慮して断っていたようだが、入口付近・青果コーナーが謎の渋滞を引き起こしているのを見て、スタンプカードを受け取った。


「ありがとうございます」と若い女性。

「こちらこそ、ありがとうね」とおばあちゃん。


目が全部取れた。落ちた。鱗が逆に生えてきた。



ギフト!プレゼント!贈り物!寄付!あげる!


そんな物語が、この過疎地に!!!


よし、僕だって!52歳はポイントカードを握りしめる。


だがしかし、僕にはそんなおばあちゃん的高度なコミュニケーション技術を持ち合わせていない。年の甲、と、人間性。どちらも兼ね備え、そこに度胸が加わる。ダメだ、人に声かけるなんてできねぇ。


ましてや、このスタンプカード、使って帰るなんてできねぇ。


僕は、手に持っていたレジカゴに、6個溜まったスタンプカードをそっと置いて、入口に戻した。


「誰かに使ってもらえよなッ」と言い残して、店を後にした。育て上げたスタンプカード。11月・霜月・ノーベンバーのマブよ。さらば、いい人に拾ってもらえよ。できれば、小銭を握りしめて来店した子どもにサ。


すれ違いの入れ違いで、ヤンキーカップル入店。財布と声がデカい。


入口から少し離れていても、そのいかつい声が聞こえる。


「なんか、満タンのカードはいってるやん!」とヤンキー女性。

「米買おうぜ!」とヤンキー男性。


そうか、そうか。いや、いや。いいんだ、これで。


僕も少しは徳を積んだ、そうだよね。きっと。


だがな、そのスタンプカードは酒・米・ハーゲンダッツはダメなんだよ。


追伸:12月からはお客様の声により、6個溜まった時点のお会計でスタンプカードが使えるようになるらしい。12月・師走・ディッセンバーよ、やるな、間に合ったじゃないか2025年に。



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