初バトル
「コロス!!」
次の瞬間、男が正面から斬りかかってくる。その斬撃を右に避けながら相手の顔に向かって拳を繰り出りだした。
「コロ~。」
コロスが鳴き声みたいになってる。
男が軽く仰け反るが、間合いが遠いせいでうまく力が伝わらず大したダメージを与えることは出来ていない。
剣対素手って不利過ぎる。
「コロース!!」
男が今度は間を置かず何度も斬りかかってくる。避けることは難しくないが、反撃に転じることができない。
『あきらめてボクを頼ったら?今なら水に流してあげるよ、ちょうど川の中だし。』
ちょっと面白い。
マブイータの声が聞こえる。距離は関係ないらしい。にしても
「っ!貴様、なんなんだその態度!そして今後私より面白いことを言うな!」
『別にたいして面白い事を言ったつもりもないけど、後半の主張はおかしいだろ。それってさあ、もうパワハラだと思うんだよね。』
「パワハラだと?何でもかんでもハラスメントにするな」
『そりゃあ何でもかんでもパワハラ呼ばわりしたくはないよ?あきらかに不真面目な人間を注意して注意された側が開き直ってパワハラパワハラって叫ぶ風潮も良くないと思ってるし。けど今の「自分より面白い事言うな」は完全にアウトでしょ。』
「そういう追及するのはモラハラじゃないか?」
『パワハラを指摘してモラハラ呼ばわりとか、それこそモラルの欠片も無いぜ。もはや別にハラスメントじゃないのにハラスメント扱いするハラスメント、名付けてハラハラだぜ。ちなみにエコールの加護が無いこの世界で殺されると資金や所持品を失って祭壇で復活ってのじゃすまないぜ。正真正銘、君の人生が終わるだけだ。』
マブイータが訳の分からないこと口にするが、どちらにせよ今命を落とすわけにはいかない。そう思い、相手に背を向け川へ飛び込みマブイータを掬い上げる。
『うんうん、人間素直が一番だな。剣だけど』
・・・上下関係をハッキリさせるのは後にしよう。
「コロす!!」
背後から迫りくる斬撃をマブイータで防ぐ。
『ぐわぁぁ!』
そして刀をはじき返し、相手に向かって切り返す。
『ぐわぁぁ!』
そして更に追撃を加える。
『ぐわぁぁ!ちょっと待って、タンマ、タンマ!』
「なんださっきから一体?振るう度にを上げるな、うるさいぞ!グワグワグワグワ、お前はアヒルか!」
『衝撃を受けるとグワグワ言ってしまうのが僕の悪い癖。そんなに激しく振り回されると気持ち悪い、もっと優しく扱ってくれ!』
・・・使えないなこいつ。
「おまえ!自分から頼れとか言っといてその様か!?」
これなら文句を言わないぶん以前の方が使いやすかったぞ。
「おいマブイータ、だったらあと一回だけ付き合え。」
『断る!お前みたいな乱暴者にこれ以上振り回されるのはこりごりだ!』
「勘違いするなよマブイータ、エコールから授かったとはいえキサマはあくまで剣だ。私にとってはただの道具にすぎない。私がキサマを武器として使用する際に、貴様の同意も協力も必要としていないし、結果貴様にどう思われようと私はいっさい気にしない。」
『マジかよ、少しは気にしようぜ。これから仲良くやっていきにくいだろ?相棒。』
「安心しろ、もうお前と仲よくしようなんて思ってないから。」
『酷い。』
なんで私がお前を傷つけたみたいになるんだ?
「スコロスコロスコロ!」
男が再び正面から斬りかかってくる。スコロ?
『ぐわぁぁ!』
剣を横に向けた状態で両手で支え迫りくる刃を受け止める。
そしてそのまま押し込み距離を詰め、マブイータを刀との交点を軸に半回転させながら刃を滑らせるように距離を詰め、柄を相手のこめかみに叩き込む。男はその場で倒れた。
「とてーいっ!」
そして再度の襲撃を避けるため男の両足をへし折った。
「コ・・・Loss」
そして男は再び気を失った。ロスの部分だけ違う言語みたいになってしまった。
『また、つまらぬものを斬ってしまった。』
「斬ってないぞ。」
『それより酷い仕打ちだったけどな。』