魔王と勇者
「これで何度目になるかな魔王アイゼンハルト、貴様の野望が潰えるのは。」
追い詰められた魔王が膝を着きながら笑っている。
「まさかボクの結界を破るなんてね、さすがだよ勇者ルールル。今度こそ負けないと思ったんだけどな。」
勇者は剣を掲げながら言う。
「教導神エコールより授かった最強の剣、神剣マブイータ。この剣だからこそ貴様の結界を決壊させる結果を出すことができた。」
「・・・・・。」
魔王は言葉を失う。
「そしてこの剣ならば不死身の貴様にもとどめを刺せるらしぞ。」
「やれアイゼンハルトだエコールだマブイータだって、そんな固有名詞を並べられても混乱するぜ。どうせ僕は殺されたってまた生き返るんだ、何度だって立ち上がっていつかきっと君に勝って君達が崇める偽りの神を滅ぼしてみせるさ。」
「アイゼンハルトはお前の名前だろうが。何度も言うがエコールは偽神などではないし、もしまた生き返ってもまた別の方法で殺してやる。復活できない殺しかたを見つけるまで何度でもな。」
そう言いながら剣を突きつける。
「他に何か言い残すことはあるか?ひょっとしたら今回が本当に最後になるかもしれないぞ。」
魔王は再び笑う。
「さっきのダジャレ、クソつまんねえから。」
次の瞬間、勇者の持つ剣が魔王の額を貫いた。
それが勇者と魔王の長きにわたる戦いに終止符が打たれた瞬間だった。