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天使を埋めよう!  作者: 後見 ナイ
5/9

愛するものへ。

第5話!こっから話は進みます!!

 「ふぇふぇ、ひどい目にあんたもんだ…」デゥーンさんは亀裂の入った頭蓋骨を悲しそうにさすりながらいった。


「ごめんなさいっ!」オートメータが頭を下げた。


「ふぇふぇふぇ、いいよいいよ予備なんてたくさんあるんだから。」


「ふぇふぇ、でもまあ、シューターが女を連れてるなんてな。やるじゃねーか。」


「こ、これは、そんなんじゃない」


「えー、そんなのってひどくない?」オートメータは頬を膨らませながら言った。


「ふぇふぇ、女の子を怒らすとは、罪な男だねえ、ふぇふぇ」


「うっさい」僕は、デゥーンさんの頭蓋骨を蹴り飛ばした。

デゥーンさんはそれを拾いに行ってしまった。


「ところで、フォーミ山脈ってどんなところなの?」


「たくさんの龍が生息する素晴らしい場所なのですっ!大型龍のフェフスさんやダークドラゴンのナイヨさんとか皆優しくていい子ばかりなのです。それなのに、それなのに…」オートメータのテンションが初めて下がった。


お父様が、オートメータをわざわざここへ呼んだのには、僕のためではなく、何か事情があったからだろう。


「なんだよ、さっきまでの調子はどうした?」


「そうね、私、どうかしてたわ。あそびましょっ!」


そうして、僕たちは月が登るまであそび尽くした。帰り際、オートメータは、「聞かないでくれて、ありがとう。」そう言い残し、帰っていった。


 僕も、自室へ戻り夕食を取り終えるとお父様会いに行った。


「お父様、オートメータがここにくるまでの経緯を、僕に教えてください。」


「ほう、そんなにあの子のことが気に入ったのか。」


「お父様、真面目な話です。」


「…いい目を持っているな。単刀直入にいうと、現在フォーミ山脈は攻撃されている。」


「…で?」それは彼女の反応から見て予想の範囲内だ。


「龍族のプライドが、我々の介入を嫌ってな、だが、戦争の相手は、対龍装備を持っていて龍族が不利な状態だったんだ。そして、オートメータがここへくる直前、彼女の父が戦死したんだ。


「…なのに彼女は、あんな風に振る舞っていたんですか!?」


「オートメータは…その強い子だな。」


「そんな強さは間違ってるっ!」僕は、部屋を飛び出して、彼女の元へ走った。


あの笑顔も、話し方も全て無理矢理作ったものだったんだ。それなのに僕は気がつくことができなかった。僕の目は節穴だった。もっと僕が、ちゃんとしていれば。女の子1人守れるだけの力があれば。


「オートメータっ!」僕が、彼女の部屋を開けると、そこには全裸のオートメータがベットの上で泣いていた。


…え、どういう状況?

オートメータは僕に気がつくと叫ぶこともなく、苦笑いを浮かべた。

それでも彼女は笑ったのだった。彼女は、本当に強いのだ。


「…ごめん。話はお父様から聞いた。」


「そう、でも別に慰めなんていらない。父さんは役割を果たしたまでよ。」

オートメータは、毛布を包み、僕の背中に背中を預けている。毛布越しに彼女の温もりが伝わってくる。そうしているとなんだか、ふわふわとした気分になった。


「僕は、どうしても君の力になりたいんだ」

そう僕がいうと彼女の背中の温度が上がった気がした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 次の日、朝食の時間、

「お父様、僕は、戦争に介入しようと思います。」


二言返事で許可してくれるものと思っていたが、結構な時間、お父様は考え込んだ。


「お前には、言いにくいのだがお前と同じ種族のものと交戦することになるかもしれない。その覚悟はあるのか?」


背筋が、冷えた。

そうか、だから、わざわざ外に出る時は変装していたんだ。僕みたいな魔族とエルフの混合種はあまり評判が良くないのだろう。


「覚悟は、出来ています」

僕の冷えた背筋を、昨日の温もりが優しくつつむ。


「そうか、では私も行こう」とお父様が言った。


「魔王様、それは困ります。こちらも戦争の最中だというのに人手不足になりかねません」師匠が口を挟んだ。


「うるさい。我が子の初陣を見届けない親がいるものか。こちらの指揮はしぎも動員させれば良いだろう」


お母さんは何か言おうとしたが、いうのをやめ、静かに頷いた。師匠も心なしか笑っているように見えた。


「では、出陣っ!!!」お父様が城中に響かせるように言った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〈しぎ視点〉


 彼は、私のことを変わったというが、先に変わっていったのは彼の方だ。


 変わりゆく彼を初めは怖いと思ったが、今ではそれも彼の魅力だ。

彼は愛人を人間に殺されて以来、人間を生き物として扱わなかったのに、シューターを拾ってきたあの時の顔は、昔の彼を見ているようだった。


私もシューターは彼との共通の話題としてしか見ていなかったが、その成長を見守るのが、今では生きがいになりつつあった。もちろん彼の魅力には及ばないけれど。


だから、シューターを息子呼びしたあの時、私は嬉しかった。ずっと真っ暗だったこの城に光を刺したのは間違いなくシューターだ。私も彼と一緒に出陣したかったけれど、今回ばかりは我慢してやろうと思えた。


私も変わってしまったものね。


だけど、この愛だけは変わらない。10年前も、今も、未来も。


ブックマああああああああああああああああああああああく。

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