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天使を埋めよう!  作者: 後見 ナイ
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小さな世界。

第二話です。

 机の上には、豪華なご馳走が並んでいた。中には僕の好物のグラタンもある。


「シューター6歳お誕生日おめでとう!!!」


どうやら今日は僕の誕生日らしい。6歳になったようだ。とても長い机の誕生日席に僕は座っていて両脇にはお父さんとお母さん?がいた。


僕の両親のはずなのに、僕が「ママ」と言うとお父さんは「違うよ」って言う。わけわかんない。

でも、これも一つの愛情表現なのかもしれない。


僕にはママみたいな大きな耳がなければパパのようなかっこいいツノもない。もしかしたら僕は捨て子なのではないかと思うこともあるけれどパパが、自慢の子だといつも褒めてくれる。これがパパでないわけがない。


「ほら、シューターの好きなグラタンよ」とママが僕のお皿にグラタンを乗せてくれる。

僕がお礼を言って食べ進めていると、パパが「何か、欲しいものはないか?」と僕を見た。


「僕、外に出たい」と希望を言う。

と言うのも、僕はこの六年間、外に出たことがないのだ。


僕の世界は自分の部屋と、ここと、浴場くらいだ。


パパは、すこし困った顔をしてこう言った。

「今、人類との戦争中だって言っただろう?それが終わるまでは我慢しなさい。」


ちえ、つまらない。パパの言うジンルイとは一体どんな容貌をしているのだろうか。きっとさぞ恐ろしいのだろう。デゥーンさんよりも恐ろしいかもしれない。

(ボールかと思ったたらデゥーンさんの頭だったあの事件以来トラウマなのだ。)


しかし、人間に奴隷として売られたステンミーさんや、真っ当に生きていただけなのに殺されたジェラ、晒し首にされたチェルの話などいやでも耳に入ってくる。


ジンルイは許し難い存在だ。


「ねえ、あなた。シューターももう6歳なのよ、ある程度自分で考える機会を与えてみたらどう?」とママが言う。


「母親面はやめろと言っただろう。でもまあ、それにも一理ある。…そうだな、この城内なら行動を許そう」


「やったあ」僕は両手を掲げ喜んだ。


その様子を見ていたキュリオベータさんやデゥーンさんが笑った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 誕生日会も終わり、明日、非番のキュリオベータさんに城内案内の約束を取り付けたあと、ベットに潜った。


しばらくするとドアの奥からパパとママの話し声が聞こえてきた。


「もう6年か、早いものだな」


「ええ、色々大変だったけれど、楽しかったわ。」


しばらくしてから、「まさか私より警戒していたしぎが、城内散策の許可を与えるとはな。」


「…ねえ、いつあのことを打ち明けるの?」


「いつか、自分で自覚して、自分で判断するだろう。私はそれを見届けるつもりだ」


警戒?あのこと?一体なんのことだろう。そんなことを考えているうちにいつの間にか眠りに落ちてしまった。


 朝になった。朝になると、城はいつもがらんとしている。皆、戦場に赴いているのだ。

いつか、僕も大きくなったら、パパとママと肩を並べて戦ってみたい。


「おや、目が覚めましたか。」


そこには、キュリオベータがいた。昔はどこか距離感はあったのだけれど、最近は仲良くできていると思う。


「うん、今日はよろしく。」僕は、眠い目を擦りながら洗面所へ向かう。


朝食を取ったあと、闘技場へ案内してもらうことになった。


「いいですか、名のない魔物と関わりを持ってはいけません。」キュリオベータは言う。


「なぜですか?」


「彼らは、あなたのことをあまり良く思われていないようです。それでは、これを身につけてください。」とキュリオベータは、僕に翼と尻尾を渡してきた。


「何これ?」


「いや、ただの変装ごっこですよ。気分が上がるでしょう」と言った。


キュリオベータさんは、少し嘘をつくのは苦手のようだ。彼は、嘘をつく時、少し眉を顰めてしまうのだ。

でも、キュリオベータさんを困らせるのは申し訳ないので、指示に従った。


闘技場には、ミノタウロスやゴーレム、オークがぶつかり合っていた。

ぶつかるたびその衝撃が鼓膜に響く。


その様子を眺めていると、「おう?なんだそのガキ」ミノタウロスの1人が、僕に近づいてきた。


「おめえ、なんか匂…」ミノタウロスが何か言おうとした瞬間、キュリオベータさんは手刀をミノタウロスの首もとギリギリに放った。


「キュ、キュリオベータ様、すいません。まさかいらっしゃったとは」


「いえいえ、お気になさらず失せてください」キュリオベータさんは笑いながら淡々と言った。


パパも、ママも、キュリオベータさんもデゥーンさんも何か隠している。それは間違い無いだろう。だが、僕はそれを知るのが怖かった。僕は、ただ今が続けばそれで十分なのだ。

外に出たいと言ったのは、間違いだったかもしれない。


その後、大迷宮、大農園、工場群に行ったのだがあまりよく覚えていない。

 

 その日の夜。僕は天窓から見える月を見ながら考えた。


なぜ、僕に教えてくれないのか。僕が子供だから?でももし、実は、僕にはものすごい力を持っていて、それが暴走しないようにしているのかもしれない。


……そして決めた。10歳になった時僕に関する秘密を探ってその上で今まで通り過ごそうと。

いかがでしたか、もし気に入っていただけたならブックマークをつけていただけると、最新話を読めるし僕もモチベが上がってwin-winなのでブックマークお願いします…。

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