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ニルルの再会②

ニルルは少しずつ思い出してきました。


夢の中で弟が名前をつけてもらう間もなく樹化された数日後、あの果実が川上から流れてきたこと。

そのなかにはちいさな赤ん坊が入っていたこと。

その赤ん坊は男の子だったこと。

赤ん坊は自分たちよりも少し肌の色が薄いカンジだったこと。

弟を失って悲しんでいたニルルはその子を洞窟に連れて帰り、リュイと名付けてかわいがって育てていたこと。

リュイはとってもかしこくて、2歳ですでに周りの大人たち以上にことばを話し、文字を操っていたこと。

ときどきよくわからないことばを話していたこと。

そして、いつのまにかいなくなっていたこと。


ほかにもいろいろあった気もします。

でも夢の記憶がもんわりまっさりふんわりふわぁーとなっており、それ以上考えきれないような感覚になっているようです。


ぼーっとしている間に、見たことのない果実、もとい見たことのない見覚えのある果実は浅瀬の石にひっかかりました。

ニルルはその果実を川岸までゆっくりと引き寄せ、記憶をなぞりながらねしゃりねしゃりとかじってみました。


中はやはり空洞になっていました。

でもそこにいたのは赤ん坊ではありません。

ニルルと同じくらいか少しだけ下かなってくらいの歳で、肌の色も自分たちと同じような男の子でした。

そして耳はニルルと同じ、頭上にあって毛で覆われてフワフワとしたものでした。


男の子は果実の中ですやすやと眠っていましたが、太陽の光に気づき、まぶしそうな顔をして「ふぁ~」っと言って伸びしながら目を覚ましました。

そしてニルルと目が合った男の子は一瞬アルカの種をのどにつまらせたような顔をしました。

それが何秒続いたでしょう、状況がよくわからないニルルがとりあえず口を開こうとしたとき、先に口火を切ったのは男の子でした。


「ニルル!ニルルだね!会いたかったよ!!」


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