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第4話 『敵』

サイドレンドを出発してから早くも3日が経っていた

リオは黙々と険しい山道を歩いていく

ルイもそれに続いて歩を進めていく

そして数分がした頃、大きな町が見えてきた

「見えたぞ、次の街だ」

リオは城壁に囲まれた大きな町を指差した

するとルイが1つの疑問を口にする

「あの・・・・この街に入るのって、偉い人の許可が要るのでは・・・・・?」


それもその筈

この街は、過去数十回盗賊やテロの被害に会っている

そのため、先代の神が警備を強化したのだ


「大丈夫だよ、見てな」

リオはルイをゲート前50mにおいて、ゲートに走っていった

そしてゲートの前まで行くと案の定門番に止められた

「君、通行許可証ある?無いなら通れないよ」

「黙れ」

リオは一言そう言って門番の腹を思い切り殴った

門番は悲鳴も上げずに倒れこむ

「おーい、ルイー通れるぞ」

ルイは呆れて声も出せなかった

とりあえずルイは門番に近づき、力なく開いた目を覗き込んだ

そしてルイの左目が蒼く輝きだす

「あぁ、最初からそうすればよかった」

「これからはもう少し慎重に行動して下さいね」

こうして門番から通行許可を貰ったことにした2人は門をくぐって行った



「幸族の街、ミルリテにようこそー!!」



激しいクラッカーの音と共に見知らぬ男の声が2人の耳に響いた

男の顔は満面の笑みに包まれていた

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・誰ですか?」

その男に2人とも面識がなかった、つまり赤の他人である

リオも多くの街を旅してきたが幸族の街に入ったのは始めてだった

「君リオだよね?ほら、入って入って」

リオとルイは見知らぬ男に手を引かれ、街の中に連れて行かれた

街の中には辛気臭い顔をした者はいなかった

皆が皆、顔に笑顔を浮かべて接している

「ここだよ、さぁ入ろう」

男は『すまいる』と書かれた暖簾のれんをくぐって店に入った

リオ達もそれに連れられ店に入っていく

「連れてきたよ、婆ちゃん」

男は店のカウンターに座っている老婆に話しかけた

老婆はゆっくりとリオとルイのほうに向いた

「来たか・・・・・来て・・・・しまったか・・・・」

「お前ら何者だ?何で俺を知ってる?」

リオは勝手にここに連れて来られたことよりも

自分のことを知っていることの方が不思議でたまらないようだった

その左手は老婆達の死角で腰の日本刀の柄を握り締めていた

「自分を知っている者がいて不安か・・・・?」

「言え!!何で俺を知ってる!!!」

リオは今までの表情を崩し激昂した

そしてさきほど握っていた日本刀を抜き放ち、老婆に突きつけた

「婆ちゃん!」

「お前も動くな、玄関に生首飾るぞ」

リオはもう一本の日本刀を男の首に当てた

あと少し力を加えれば血が噴出ふきだすほどの距離だった

「もう一度訊く、何で俺を知ってる?」

リオの表情は怒りではなく、焦りや恐怖だった

表面こそ体裁を保ち冷静な表情を作っているが

内面では、何故自分を知っているのか、何が目的なのか、恐怖が支配していた


一方ルイの内面は疑問符が支配していた

それは何故自分達が連れてこられたのかと言うこと

しかしそれよりも疑問だったのは、リオの怒りようだった

自分のことを知られているだけでここまでいくだろうか?

そしてルイは1つの回答を導き出した



この人の過去には重大な秘密がある―・・・・・・?



「リオよ・・・・アルニを覚えているか・・・・?」

「・・・・・・・覚えてるよ、それがどうした」

「アルニから頼まれたのじゃ、お主をここから逃がすように・・・・・と」

(ダメだ、ついていけない)

ルイは自分には関係の無い話だと思い、横にあったイスに腰をかけた

「逃がすって何だ?ここで何が起こるのか?」

「それは・・・・・・」

老婆が口を開こうとしたその時、ドアが乱暴に開かれた



「動くな!!貴様らを世界を脅かす者とその内通者として連行する!!」


いきなり現れたのは、黒を基調とし、所々に金色の装飾が施された

鎧を身にまとった『独立世界平和執行部隊』だった


『独立世界平和執行部隊』

それは、神すらも干渉することができない部隊

それは、この世界に平和をもたらそうとする部隊

それは、平和のためには手段を選ばない部隊

それは、『平和のため』と称し、虐殺を行う部隊

それは、『ピース』を探している者を敵とみなした部隊


それは、リオ達の敵


「おいおい、ドアぐらい丁寧に開けろ。マナーがなってねぇな」

リオが茶化すように言った

「黙れ!今すぐその刃物を鞘に収めて床に置け!!」

喋ったのは5、6人の部隊の先頭にいる人物だった

「ハーイ」

リオは口元に薄笑いを浮かべながら老婆達に突きつけていた

日本刀を鞘に納め、床に置いた

「よし、手錠をかけろ」

先頭の男は部下達に手錠をかけるように命令した

そして部下がリオとルイ、老婆達に手錠をかけようとした時

「ゴホッ、ガハッ、ガッ・・・・ゥグッ」

リオが突然咳を始めた、そして10回ほど咳をすると


「プッ」


リオが先頭の男の方に何かを吐き出した

それは、小さく、黒く、楕円形だえんけいだった

そして音がする

ブスッ・・・ブスス・・ブシッ

何かが燃えていくような音・・・・・

そしてリオが叫んだ



「伏せろっ!!」


次の瞬間

リオが吐き出した物体は膨張し

3倍ほどの大きさになったところで

大爆発を起こした


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