第1話 『始』
この世界は『神』の称号を持つものが統治する世界
『神界』
この世界には5つの種族が存在している
・争いを好み、常に頂点を目指そうとする『覇族』
『覇族』の多くは武器の扱いに長け
その体は戦闘に特化した肉体へと変化している
角が生えている者
腕が伸びている者
その姿は多種多様である
・計算高く、自分に利益の出ない事は決してしない『己族』
『己族』は利益を優先するあまり、仲間との繋がりが薄い
もし繋がりが在ったとしても、それは利益を得るためだけの卑しい関係
それ故に他の種族には『己族』が悲しい種族と言う者もいる
・自然と共に生き、無闇に生物を殺めない『地族』
『地族』は山の中や森など緑が豊富な場所に住んでおり
肉を食わず、特殊な野菜を食して生活している
彼らが生物を殺めるのは極稀であり、中には生物を殺めた瞬間自分の命を絶つものもいる
・笑顔を見ることを「生き甲斐」とし、一生の90%を笑顔ですごす『幸族』
『幸族』は5つの種の中で最も寿命が長く、長いものでは400年は生きる者もいる
この種族は生まれつき笑顔で生まれることが多く
他の種族との交流も積極的に行っている
・『神』を絶対的な存在と崇め、平和を尊重する『天族』
『天族』は神に最も近い種族として神に仕えている種族である
しかし神に最も近くで仕えるが故に、他の種族を見下しがちな一面もある
この5つの種族は仲が良い種族もあるが仲の割悪い種族もある
現に『覇族』は他の種族全てと仲が良くない
唯一『己族』は友好関係を築こうとしているが、それも利益を見越してのことだろう
そしてこの危うい関係も現在の神が両者の間を取り持ち
何とかおさえてきたのである
しかし今この『神界』に史上最大の危機が訪れていた・・・・・
『覇族』の村近隣の森
地面にひれ伏している巨大な狼の横で青年達が勝利の祝杯を挙げていた
狼の体には刀や矢が刺さっていた
「今日も大物だぞ」
「いくらぐらいで売れるかな」
「このぐらいだと5万ラルかな・・・・・・」
「5万かぁ、儲け儲け♪」
青年たちは酒を酌み交しつつ
今回の獲物の取引価格について話し合っていた
すると遠くから少年が新聞をもって走ってきた
「大変だ!これ・・・これ見て!!」
「あぁ?これがどうした?」
青年達は新聞を覗き込んだ
そしてその瞬間青年達の表情が凍りついた
「これは・・・・・・!!」
『己族』の族長宅
「その様な条約は結べません、我々にとっての利益が少ないです」
「なっ・・・こちらも断腸の思いでですね・・・・!!
「お引取り下さい、では」
己族の族長、つまり己族のトップの自宅では
他種との平和条約の内容でもめていた
「待ってください!最後に1つだけ・・・・・・」
親善大使らしき人物が族長を呼び止めた
族長は気だるそうに振り向いた
「何ですか・・・・こちらも暇ではないのですが」
「実は・・・・・・・・・」
親善大使は1つの出来事を族長に告げる
それを聞くと族長は驚きもせず口元を歪ませた
「それはそれは・・・・・・大変ですね」
『地族』の集落、ヒラヤマ山頂地区
「今日も平和だな〜」
一人の青年が雪の積もった道をザクザクと歩いている
「おっ、フキノトウ見っけ〜」
青年が半分雪に埋もれているフキノトウを見つけて喜んでいると
空から鳥のようなものが飛んできた
「郵便鳥か、鷹ってことは速達か・・・・」
郵便鳥の鷹の背中の箱に入っている新聞を取り出した
「あれ?速達なのに普通の新聞?」
青年は疑問に思いつつも新聞を広げた
そしてその内容に驚愕した
「・・・・マジかよ・・・・・・」
『幸族』の娯楽施設
「って、何でやねん!!」
『アハハハハハハハハハハ』
幸族の村に設けられている娯楽施設の壇上では漫才が繰り広げられていた
横から見ている分にはそれほど笑えるものではないのだが
幸族は他の種族よりも笑いやすいらしい
そして壇上のコンビが漫才をしていると
壇上横の司会席の女性が奥から出てきた人物に何か耳打ちされている
「何ですって・・・・・!」
司会席の女性が小さく驚きの声を上げる
そして木製のイスから立ち上がり
「本日おこしの皆様、真に申し訳ございません」
と娯楽施設に来ている皆に告げた
その言葉と共に会場がザワザワと騒がしくなり始める
「実は・・・・・・・・・」
女性が先ほど耳打ちされた情報を会場の皆に伝える
「!!」
その情報を聞いた幸族の顔から笑顔は消えうせていた
神の側近達の『天族』
神の住む宮殿は壁と言う壁が純白に染め上げられている
そして今その一角は絶望に包まれていた
「あぁ・・・・なんと言うことだ」
神に最も近く仕える存在、つまり神の「側近」が嘆いていた
すると奥の扉から白衣を着た男が泣きながら出てきた
そして側近はその男に駆け寄った
自分の聞いた情報の真偽を諮るために
「おい!!あの情報は本当なのか!?本当に・・・・・」
その問いに男はゆっくりとその口を開いた
「神は・・・・・お亡くなりになられました」
その情報は一夜のうちに神界全土に伝わった
それを聞いたものは恐怖に慄いた
神がいなければ今まで5族の間を取り持っていたものがいなくなると言う事
それは5族間の戦争を意味しているに等しかった
しかし中には神の死を喜ぶ者もいた
その理由は「跡継ぎ」だ
神になれば絶対的な権力を得ることができる
神の地位を得たい者は山ほどいるだろう
その者達による跡継ぎを賭けた戦争が起こることもあるだろう
しかしその心配は一通の手紙によって払拭された
その手紙は神の残したもの、事実上の遺書だ
そしてその手紙にはこう書かれていた
私は5つのパズルピースを神界の5箇所に散りばめた
その5つを全て探し出し、神の宮殿に現れた者を次の神とする
尚、この権利は『能力者』にのみ与えられるものとする
『能力』
それは神界の約3分の1の者が持っているもの
その能力は個人によって違い、同じものは存在しない
例えば、金属を水に変えたり
物を瞬間移動させたり
空間を爆発させたり
その能力は千差万別、十人十色
そうして新たな神を決める戦いは始まった
『能力者』による激しい戦いが
死者も出るかも知れない
だが誰一人として戦いをやめることは無いだろう
神が決まるまで
どうも「神を目指す者たち」を読んで下さってどうもありがとうございます
頑張って書いていきますのでお付き合いして頂ければ幸いです